株価
ホクリヨウとは

ホクリヨウは、北海道札幌市に本社を置く鶏卵メーカーで、卵の生産から加工、販売までを一貫して行う企業として知られている。とくに北海道では圧倒的な存在感があり、一般的なスーパーに並ぶ卵の多くがホクリヨウ製であるほど地域密着型の強い流通網を持つ。特徴としては、雛の育成から採卵、GPセンター(パッキング工場)での検品・選別、液卵や加工卵の製造、そして販売までを自社で完結できる体制を整えていることだ。食品安全に対する意識も高く、HACCPやFSSC22000などの認証を取得した工場を複数運営し、トレーサビリティや独自飼料など、品質管理に力を入れている。
事業の中心は「鶏卵事業」で、売上の9割以上は生卵や加工卵によって構成される。液卵や殺菌液卵など、製菓・製パン、惣菜工場に向けた業務用製品の比率も高く、家庭用向けのブランド卵だけでなく、加工食品メーカーとの安定的な取引が事業を支えている。北海道内に複数の大型農場とGP工場を持ち、加えて東北にも事業を展開しており、“産地から短時間で店頭まで届ける”物流体制の強さが大きな競争力となっている。
また、鶏卵業界は飼料価格の変動や鳥インフルエンザのリスクなど外部要因に左右されやすいが、ホクリヨウは農場規模の拡大や加工比率の増加などを通じて収益の安定化を目指している。最近では平飼い卵やブランド卵など、付加価値型商品の販売にも積極的で、健康志向・品質志向の高まりに対応した商品開発も進んでいる。海外向けの輸出にも取り組み始めており、香港などアジア市場に道産卵を送り出す動きが見られる点も特徴だ。
総じて、ホクリヨウは“日常消費品である卵”を中心に据えた堅実な食品企業でありながら、品質管理・生産体制の強化と付加価値商品の開発で競争力を高めている企業と言える。北海道という大きな生産地を基盤に、東北への拡大、加工事業の強化、海外輸出など複数の成長ルートを持っている点も魅力となっている。
ホクリヨウ 公式サイトはこちら直近3年間の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(EPS) | 一株配当(DPS) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単23.3 | 17,823 | 1,318 | 1,383 | 745 | 88.1 | 20 |
| 単24.3 | 18,901 | 2,245 | 2,316 | 1,656 | 195.8 | 40 |
| 単25.3 | 19,397 | 1,925 | 2,001 | 2,181 | 257.9 | 70 |
| 単26.3予 | 21,300 | 2,920 | 2,990 | 2,060 | 243.5 | 70〜73 |
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 2,519 | -1,820 | -19 |
| 2024 | 3,376 | -1,282 | -722 |
| 2025 | 3,216 | -2,258 | -663 |
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 7.3% | 6.9% | 4.4% | ― | ― |
| 2024 | 11.8% | 13.4% | 9.3% | ― | ― |
| 2025 | 9.9% | 15.4% | 11.3% |
PER 高値平均:8.6倍 PER 安値平均:5.2倍 |
1.64倍 |
投資判断
ホクリヨウの直近の業績推移を見ると、この会社は「売上が安定的に増え、その売上に比例して利益も着実に積み上がっている」という、食品系としては非常に理想的な成長パターンを描いている。まず単23.3の営業利益は13.1億円、経常利益13.8億円、純利益7.4億円と、当時は飼料価格の高騰などの逆風がありながらも黒字を維持していた。そこから単24.3では営業利益22.4億円、純利益16.5億円へと大きく伸び、EPSは88円から一気に195円へと急増している。まさに鶏卵事業の回復局面に乗り、利益率が大幅に改善した年度だったと言える。
単25.3でも売上・利益ともに増加傾向が続き、営業利益19.2億円、経常利益20.0億円、純利益に至っては21.8億円と過去最高を更新。EPSも257円台に乗り、企業規模に対して極めて高い利益成長を示した。さらに注目すべきは、営業利益率・ROE・ROAなどの指標がすべて上向きで、企業体質が明らかに改善してきている点だ。食品業界は利益率が低くなりがちだが、ホクリヨウは生産・加工・販売まで一貫体制の効率化が進み、利益が取りやすいモデルへと変わりつつある。
26年3月期(予想)でも、売上213億円、営業利益29億円、純利益20.6億円と、過去の水準を維持しつつ増収増益見通しとなっている。さらに、EPS243.5円に対して配当70〜73円を計画しており、配当性向は30%前後。食品メーカーとしては理想的な還元バランスとなっている。実績PBR1.64倍、実績PER(高値平均8.6倍・安値平均5.2倍)というバリュエーションも非常に割安水準で、事業の安定性と比較しても評価が低めに放置されている印象が強い。
総じて、ホクリヨウは「安定・成長・割安」の3点が揃った非常にバランスの良い銘柄と言える。鶏卵という景気に左右されにくい生活必需品を扱いながら、利益率・ROE・ROAがしっかり伸びている点は大きな強みで、設備投資の効率化や加工卵の拡大などによる中長期の収益改善も期待できる。食品株の中でも比較的株価の割安感が強く、下値が固い一方で業績が安定して伸びているため、中期の資産形成や安心感を求める投資家に向いている銘柄という印象が強い。
配当目的とかどうなの?
ホクリヨウを配当目的で見た場合、この銘柄は「安定感があり、将来の増配余地も十分にある優良配当株」という評価になる。まず現在の予想配当利回りは、単26.3期で2.83%、単27.3期で2.60%と、食品関連銘柄の中では比較的高めの利回り水準に位置している。派手な高配当株ではないものの、業績のブレが小さく、生活必需品の“卵”という安定需要を扱う企業であることを考えると、リスクを抑えながら一定の配当収益を得たい投資家に向いている。
配当の源泉となる利益水準も堅実で、直近3年は営業利益・純利益ともに右肩上がりで推移しており、EPSも88円 → 195円 → 257円 → 来期243円(予想)と高水準を維持している。これに対して配当は20円 → 40円 → 70円 → 70〜73円と累進的に増配してきており、配当性向もおおむね25〜30%の健全な範囲に収まっている。無理に高配当を“作っている”わけではなく、本業でしっかり利益が出ているから払えているタイプの企業で、この安定性は非常に大きなポイントだ。
また、鶏卵メーカーは景気に左右されにくい“生活インフラ”に近い業種であり、売上が急激に落ち込むリスクが低い。加えてホクリヨウは自社農場とGP工場を多数保有しているため、品質管理・生産・物流の効率で競争優位性があり、利益が急激に悪化する可能性も小さい。こうした構造的な強みが、配当の安全性を高めている。
さらに、実績PBR1.64倍、PER5〜8倍とバリュエーションがかなり割安なため、「株価が極端に割高になって配当利回りが急低下する」ような心配も少ない。業績に大きな変動がなければ、安定配当+割安放置+緩やかな成長という“複利の効きやすい形”になりやすい点も魅力だ。
総じて、ホクリヨウは“無理のない配当”を出し続けることができるタイプの企業で、バリュー寄りの安定株としてポートフォリオに組み入れやすい銘柄と言える。急激に株価が伸びるタイプではないが、長期で保有しながら配当と緩やかな株価上昇を狙うスタイルには非常に相性が良い企業だ。
今後の値動き予想!!
ホクリヨウの現在値は 2,998円だが、この会社は食品株の中でも業績の安定感が高く、なおかつ加工卵・液卵の伸長や設備投資による効率化が進んでいるため、今後5年間の株価は「緩やかな成長軌道」を描く可能性がある。一方で、飼料価格の変動や鳥インフルエンザといった外部要因の影響を受けやすい業種でもあり、シナリオごとの振れ幅は一定ある。ここでは、良い場合・悪い場合・中間の3つの目線で値動きを整理する。
【良い場合】
卵価(卵の販売価格)が高値圏を維持しつつ、飼料価格が安定または低下し、利益率の改善が続くパターン。ホクリヨウは自社農場とGP工場に強みがあるため、生産効率の改善が利益に直結しやすい。加えて、加工卵・液卵の需要は食品メーカーの省力化ニーズで中期的に伸び続けており、売上・利益ともにジワジワと増えていく。EPSが現在の240円前後から300円台に乗るような展開になれば、PER7〜9倍でも自然と株価は評価されやすく、5年後には3,800〜4,500円のレンジまで上昇する可能性がある。食品株としては堅調な“優等生シナリオ”だ。
【中間の場合】
飼料価格や卵価が平常レンジで推移し、業績も現状の水準を維持するケース。EPSは240〜260円台を行き来し、利益は安定するが大きな成長ストーリーは見えにくい状態。それでもホクリヨウは生活必需品を扱う企業で下落耐性が高いため、株価が大崩れする可能性は低い。結果として株価は2,700〜3,300円のボックス相場に入り、「買われすぎず・売られすぎず」の安定したレンジに落ち着く。このパターンでは、配当利回りが一定の下支えとして働き、長期保有の安心感はあるものの大きな値動きを求める銘柄ではなくなる。
【悪い場合】
飼料価格の再上昇、鳥インフルエンザなどのリスク、物流・人件費の増加などが重なり、利益が圧迫されるパターン。卵価が下落トレンドに入ると一気に収益が細る業種であるため、EPSが200円を割り込むような展開になると市場の評価も厳しくなり、PBR1.2〜1.4倍程度まで圧縮される可能性がある。こうなると株価は2,200〜2,600円のレンジまで調整が進むシナリオが想定される。ただしホクリヨウの場合、事業基盤が非常に安定しているため“長期的に倒れるようなリスク”は低く、下落しても一定の水準で買いが入る特性を持っている。
総じて、ホクリヨウは「大きく跳ねる株ではないが、中長期でじっくりと価値を積み上げるタイプ」の企業で、下値が比較的堅い一方で上方向にも業績次第で素直に反応する。食品株らしい安定性と適度な成長性を併せ持つため、長期投資や配当も意識したポートフォリオの一角としては十分に検討対象になる銘柄と言えるだろう。
この記事の最終更新日:2025年11月23日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す