株価
ホーブとは

ホーブは、北海道を中心に高品質な農産物の生産と販売を手がける農業関連企業で、特に「いちごの生産」に強い特徴を持つ会社として知られている。施設園芸を積極的に活用し、気候に左右されず安定した品質と収量を確保できる体制を整えており、北海道という寒冷地でありながら、年間を通じて高品質なフルーツを供給できる点が大きな強みとなっている。農業の工業化・効率化に取り組む企業であり、生産から流通までをできるだけ自社で管理することで、鮮度と安全性を確保する姿勢が特徴的である。
事業の柱となっているのは、いちごを中心とした果実の生産で、特にブランドいちごの開発に力を入れている。品種選定から育苗、栽培、出荷までを一貫して行い、産地直送型の供給体制も整えることで、スーパー、百貨店、菓子メーカー、食品加工会社など、幅広い需要に対応している。また、気候や天候に左右されやすい露地栽培だけに頼らず、施設園芸を中心に据えることで、農業の安定収益化を目指している。北海道の広い土地とクリーンな環境を活かし、農薬の使用を抑えた栽培や品質管理にもこだわっており、食品安全性を重視する市場から一定の評価を得ている。
さらにホーブは、生鮮食品だけでなく加工品の事業にも取り組んでいる。自社で生産したいちごや野菜を使ったジャム、菓子、冷凍食品などの開発を進め、農産物の付加価値向上を図っている。単に農作物を販売するだけではなく、「農業×加工×販売」という6次産業化モデルを実現することで、収益構造の安定化を目指す動きが進んでいる。自社農産物を使ったスイーツや加工食品は、ギフト需要やEC販売とも相性が良く、ブランド力の向上にもつながっている。
また、地域農業の発展にも積極的で、地元農家との連携や技術提供などを通じて生産体制の強化を図っている。北海道の農業は広大な土地と自然環境を活かせる一方、労働力不足や気候リスクとの戦いも大きな課題だが、ホーブは施設園芸技術や効率化設備の導入によって、こうした課題を乗り越えられる体制づくりを目指している。生産者と企業が協力することで、品質向上や安定生産を可能にし、地域農業の持続性を高める取り組みを推進している。
総合的に見ると、ホーブは「いちごに強みを持つ北海道発の農業企業」という枠を超え、農産物の安定供給・ブランド化・加工による付加価値創出など、多角的な展開を進める“農業ビジネス企業”へと進化している印象が強い。農業の効率化や6次化の先端を走る企業のひとつであり、農産物の価値を最大限に引き出す取り組みを続けている点が特徴的である。
ホーブ 公式サイトはこちら直近3年間の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | EPS(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.6 | 2,604 | 148 | 149 | 142 | 186.7 | 55 |
| 連23.6 | 2,489 | 135 | 138 | 110 | 144.9 | 50 |
| 連24.6 | 2,519 | 32 | 38 | 20 | 26.3 | 50 |
| 連25.6 | 2,412 | 38 | 39 | 24 | 32.4 | 50 |
| 連26.6予 | 2,600 | 55 | 55 | 45 | 59.1 | 50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 122 | -4 | -45 |
| 2024 | -159 | -24 | -41 |
| 2025 | 16 | -19 | -41 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.4% | 13.9% | 9.9% | – | – |
| 2024 | 1.2% | 2.6% | 1.7% | – | – |
| 2025 | 1.5% | 3.1% | 2.2% | 92.8 ~ 40.1 | 2.20 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ホーブの業績を見ていくと、この会社が「売上は安定しているものの、利益の薄さと不安定さが大きな弱点になっている」ことがはっきり分かる。売上高は毎年24〜26億円あたりで推移しており、急成長とは言えないが大きく崩れているわけでもない。ただ、その裏で利益の落ち込みが目立っており、23.6期には営業利益1.35億円あったものが、24.6期には0.32億円、25.6期でも0.38億円と低空飛行が続いている。営業利益率も5.4%から1%台まで低下し、本業の利益をしっかり出せていないことが数字に表れている。
経常利益や純利益も同じ傾向で、1,1億円あった純利益が2000万まで落ち込み、その後も2400万円と小さな数字にとどまっている。EPSも急激に低下しており、株主価値の積み上がりという面でも力不足が否めない。26.6期予想ではやや回復が見込まれているものの、利益規模は依然として小さく、収益体質が大きく改善したとは言い難い。
資本効率を見るROEやROAも、かつては高かったものの年々低下しており、会社全体の効率性が落ちている印象が強い。それにもかかわらず、株価バリュエーションは低くなく、PERは40〜90倍、PBRも2倍超と割高に評価されている。利益の小ささを考えると、この株価水準はやや重すぎると感じられる。
こうした点を踏まえると、ホーブは事業としての安定性はあるものの、投資対象として見ると利益の低さと成長力の弱さがネックになる。市場で割高に評価されている割に利益が伴っておらず、値上がり益狙いでも配当狙いでも強い魅力があるとは言いにくい。テーマ性やブランドを重視する投資家が長期目線で持つケースはあるが、一般的な投資判断としては慎重に見ておくべき銘柄と言えるだろう。
配当目的とかどうなの?
ホーブを配当目的で考える場合、この銘柄はそこまで悪くはないものの、明確に“配当投資向き”とは言い切れない立ち位置になる。利回り自体は26.6期・27.6期ともに2.60%と平均より少し高めの水準で、東証プライム全体の利回り(2%前後)を上回っている点は確かに評価できる。ただし、利回りの数字だけを見ると安定感はあるように見えるが、利益水準の低さを考えると安心して配当狙いの投資をするにはやや心許ない。
実際に業績を見ると、純利益は23.6期が1.1億円だったのに対し、24.6期は0.2億円、25.6期も0.24億円と非常に小さく、利益の伸び悩みが続いている。26.6期は0.45億円の予想と改善の兆しはあるものの、配当50円を支払う企業として考えると、まだ十分な利益とは言えない規模だ。利益が少し悪化するだけで、配当維持が難しくなる可能性も出てくるため、安定性の面では不安が残る。
さらに株価の評価面でも、PERが40〜90倍とかなり割高で、PBRも2.20倍と決して安くない。利益が大きく増えているわけでもないのに株価だけが高めに評価されている状態で、配当利回り2.60%を得るために割高な株価を払っている構図になる。配当目的で投資するなら、より割安で利回りも高く、収益基盤がしっかりしている企業の方が効率が良いと言わざるを得ない。
そう考えると、ホーブは「絶対に避けるべき銘柄」ではないが、配当投資として魅力が強い銘柄でもない。どちらかと言えば、北海道産の食品を扱う会社としてのテーマ性や、ブランド価値の方向性に魅力を感じる投資家が選ぶタイプで、配当を軸に投資する人向けとは言いづらい。
配当を長期的に安定して受け取りたいという目的なら、他の食品株やインフラ株、もしくは金融セクターの方が利回り・安定性ともにバランスが良く、より投資効率が高くなるはずだ。
今後の値動き予想!!(5年間)
ホーブは現在の株価が1,922円だが、今後5年間の株価推移は企業規模の小ささ、利益水準の低さ、バリュエーションの高さなど複数の要因が絡むため、シナリオ次第で大きく変わってくる。まずこの会社は売上規模が年間25〜26億円前後の小さな食品メーカーで、北海道産の農産物・食品加工を強みにしている。ブランド性はあるが、市場規模が限られており、急激な成長力を持つタイプではない。
近年の業績を見ても、売上は安定している一方で、営業利益・純利益は非常に小さく、営業利益率も1%を下回る年が続くなど、本業の収益力は弱めだ。25.6期は売上24.1億円に対し、営業利益3,800万円、純利益2,400万円と、利益は“ギリギリ黒字”というレベルで、EPSも32.4円にとどまっている。これは食品メーカーとしてもかなり低い水準で、安定した利益成長を株価に織り込ませるには力不足と言える。
その一方で市場ではブランド性やテーマ性が評価されることがあり、PERは高値平均92.8倍、安値でも40.1倍とかなりの高バリュエーションになっている。利益が小さい企業がこのように高評価されるのは、「食の安全」「北海道ブランド」といったテーマ需要が一定層に支持されているためだ。ただ、こうしたテーマ株は市場環境が悪化すると評価が一気に冷え込むリスクもある。
こうした前提を踏まえると、今後5年間の株価は、良い場合・中間・悪い場合で明確に分かれてくる。
良い場合は、収益改善が進み、営業利益が5,000万〜1億円の水準に安定し、純利益も4,500万〜7,500万円レベルを維持できる展開だ。テーマ性に加えて企業としての利益体質が改善するため、市場の評価が保たれ、株価はじわじわ切り上がっていく。こうしたケースでは5年後に2,300〜2,800円程度まで株価が戻る可能性がある。大きな爆発力はないものの、ブランドの価値が堅調に評価されるイメージだ。
現実的な中間シナリオでは、売上の推移は堅調でも利益の伸びは鈍く、純利益が2,000万〜4,000万円付近で横ばいを続ける展開が想定される。この場合、市場はホーブを「地味だが安定はしている小型食品株」として見続けることになり、株価も大きな方向感が出ないまま横ばいが続く。5年後の株価は1,700〜2,100円の範囲で推移する可能性が高く、今と大きく変わらないレンジでの動きとなる。
悪い場合は、原材料コストの上昇や人件費の負担増、自社ブランド商品の販売減少などが重なり、再び純利益が1,000万円台に落ち込んだり赤字に転じたりする可能性だ。この場合、PERの異常な高さやPBR2倍台といったバリュエーションが剥落し、株価は材料に反応しやすい小型株特有の下落スピードで一気に調整される可能性が高い。5年後には1,200〜1,500円のゾーンまで下振れしてしまうシナリオも十分考えられる。
総じて、ホーブは企業規模の小ささ、利益の薄さ、割高な評価といった特性から、安定成長型や高配当株とは異なる性質を持つ銘柄だ。値動きも軽いので、テーマ性で短期的に跳ねることはあっても、長期で確実に上がるタイプではない。5年間の株価変動も、業績の微妙な上下で簡単に方向性が変わるため、投資する場合はテーマ性をどこまで評価するかが重要になる。
この記事の最終更新日:2025年11月23日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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