株価
トライアルホールディングスとは

トライアルホールディングスは、福岡県を拠点とする小売企業で、ディスカウントストア「TRIAL(トライアル)」を全国で展開しています。食品、日用品、家電、衣料品などを幅広く取り扱い、「より良い商品を、より安く」を掲げて低価格販売を強みとしています。
近年は24時間営業の大型店舗や、AIカメラ・セルフレジなどを導入したスマートストアの運営でも注目されています。
同社は、店舗運営だけでなく、独自のITシステムやデータ分析を活用して効率的な仕入れ・物流・販売を行う「リテールテック企業」としての側面も持っています。
自社でPOSシステムやAIカメラ、在庫管理ツールなどを開発し、他社にも提供する事業も進めています。
2025年には大手スーパーの西友を買収することを発表しており、これにより全国規模での店舗網拡大と調達力の強化を目指しています。ディスカウント業態と総合スーパーの融合により、より多様な顧客層に対応できる体制を整える計画です。
トライアルホールディングスは、単なる小売業ではなく、AIやデータを活用した新しい形の流通モデルを追求する企業として成長を続けており、今後は「リテール×テクノロジー」を軸に国内外での事業拡大が期待されています。
直近3年間の業績・指標
決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 当期純利益(百万円) |
---|---|---|---|---|
2023/06期 | 653,112 | 13,964 | 14,358 | 8,084 |
2024/06期 | 717,948 | 19,161 | 19,789 | 11,439 |
2025/06期 | 803,829 | 21,106 | 22,200 | 11,752 |
バリュエーション
年度 | PER(倍) | PBR(倍) | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) |
---|---|---|---|---|---|
2025/06期(実績) | 約 574.8倍 | 約 2.24倍 | 約 2.63% | 約 9.32% | 約 3.91% |
出典元: IR BANK 松井証券「141A トライアルHD 株価」
投資判断
トライアルホールディングスは、ディスカウントストア「TRIAL」を全国展開する企業で、AIやデータを活用した小売の効率化を進めています。業績は堅調で、売上や利益は伸びていますが、投資判断を行う上では慎重な見方が必要です。
2025年6月期の実績を見ると、売上高は約8,038億円、営業利益は約211億円、経常利益は約222億円、純利益は約118億円でした。営業利益率は約2.6%で、ディスカウント業界としては平均的な水準です。ROE(自己資本利益率)は9.3%、ROA(総資産利益率)は3.9%で、資本をある程度効率的に使っていることが分かります。
PBRは約2.2倍と市場から一定の評価を受けていますが、PERは600倍前後と非常に高く、株価が将来の成長をかなり織り込んでいる状態です。
この数値から判断すると、トライアルは売上拡大を続けている一方で、利益率はそれほど高くなく、収益構造に課題を残しています。今の株価は期待値が高く、PERの水準を考えると、現状ではやや割高といえます。ROEやROAは悪くないものの、投資家が期待するほどの高いリターンを出せているわけではありません。
今後は、西友の買収によるスケールメリットや物流・データ分析の効率化が実現できれば、収益性が上向く可能性があります。その場合、株価がさらに上昇する余地もあります。
しかし、利益率の改善が進まなければ、市場の期待が剥落して株価が調整するリスクもあります。
総合的に見ると、トライアルホールディングスは「成長性と期待感で買われている銘柄」であり、すでに高めの株価水準にあるため、今から新規に買うには慎重さが必要です。
長期的な成長を信じて保有するなら魅力はありますが、短期的な値上がりを狙うにはリスクがやや高い局面といえます。
今後の値動き予想!!
現在、トライアルホールディングスの株価は2130円前後で推移しています。これは上場時や過去の高値から見ると落ち着いた水準であり、市場としてはやや様子見の状態にあると考えられます。
今後の値動きを予想すると、まず強気のシナリオでは、西友の買収効果や物流・AIを活用した効率化が実際に収益向上につながれば、株価は再評価されて2400円〜2600円台まで上昇する可能性があります。ディスカウント業態の拡大とデジタル戦略の進展が好感されれば、さらに上値を試す展開も考えられます。
一方で、買収後の統合作業にコストがかかりすぎたり、人件費や物流コストが上昇して利益を圧迫するような事態になると、株価は2000円を割り込むリスクもあります。特に営業利益率が2〜3%と低いため、少しのコスト上昇でも業績が大きく影響を受けやすい点には注意が必要です。
現実的な見通しとしては、当面は2000円〜2400円のレンジで推移する可能性が高いと考えられます。市場はトライアルの成長戦略を評価しつつも、実際の収益改善が見えるまでは慎重な姿勢を保つでしょう。
総合的に見ると、今の2130円という株価は「将来性を織り込みつつもまだ様子見が続く水準」です。短期的な上昇よりも、中期的に業績が安定し、利益率が改善していくかどうかが今後の株価を左右すると考えられます。
この記事の最終更新日:2025年10月23日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。
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