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IDトークン取得に失敗しました。シンカとは

株式会社シンカは、東京都千代田区神田錦町に本社を置くIT企業で、企業のコミュニケーションを効率化するクラウドサービスを中心に事業を展開しています。設立は2014年1月8日で、資本金はおよそ3億8千万円、従業員は70名前後です。代表取締役社長は江尻高宏氏で、2024年3月に東証グロース市場へ上場しました。
同社は「カイクラ」というクラウド型コミュニケーションプラットフォームを主力サービスとしており、電話やSMS、メール、LINE、チャットなど、さまざまな顧客対応履歴を一元管理できるシステムを提供しています。企業が顧客と行うやり取りをクラウド上に自動的に記録し、顧客情報と紐づけて管理できるため、営業・サポート・コールセンターなどの業務効率化に大きく貢献しています。
電話着信時に過去の通話履歴や顧客情報を自動で画面に表示する「ポップアップ機能」や、通話の録音・文字起こし・要約を自動で行うAI機能も備えています。さらに「カイクラフォン」という機能を利用することで、在宅勤務や外出先からでも会社の固定電話をクラウド経由で発着信できるようになり、テレワーク環境にも対応しています。
顧客は中小企業から大手企業まで幅広く、特に不動産業界や自動車販売、医療、美容、金融、自治体などで導入が進んでいます。売上構造は月額課金を中心としたストック型モデルで、毎月の定常収益(MRR)が安定して積み上がる点が特徴です。2024年12月期の売上高は約12億円で、前年よりも18%以上増加しました。解約率は低く、ユーザー拠点数も年々増加しています。
今後は、AIによる感情分析や顧客対応の要約などの新機能を強化し、企業のDX支援や業務自動化の領域を拡大していく方針です。また、医療・金融・自治体分野など新たな業界への横展開も進めています。
同社は「コミュニケーションを価値に変える」という理念を掲げ、企業と顧客の関係性をテクノロジーで最適化することを目指しています。クラウドCTIやAI分析など、自社開発の技術力を武器に、今後も安定した成長が期待される企業です。
直近3年間の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 当期純利益(百万円) | 1株当たり利益(EPS、円) | 1株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年12月期 | 1,040 | 101 | 98 | 108 | 40.45 | 0.00 |
| 2024年12月期 | 1,232 | 78 | 48 | 16 | 5.27 | 0.00 |
| 2025年12月期(予想) | 1,479 | 50 | 49 | 24 | 7.55 | 0.00 |
バリュエーション
| 決算期 | PER(倍) | PBR(倍) | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年12月期(実績) | 約 111倍 (予想値参照) | 実績 PBR ≒ 2.97倍 | 9.74%(営業利益率) | 27.79% | 20.29% |
| 2024年12月期(実績) | — | 実績 PBR ≒ 2.61倍 | 営業利益率 ≒ 6.34% | 1.64% | 1.31% |
| 2025年12月期(会社予想) | 予想 PER ≒ 110.6倍 | PBR ≒ 2.52倍 | 営業利益率 ≒ 3.38% | ROE 予想 ≒ 2.35% | ROA 予想 ≒ 1.92% |
出典元:yahooファイナンス IRBANK 株予想Pro
投資判断
株式会社シンカは、ここ数年で売上を順調に伸ばしている一方で、利益率やROEの面でやや不安定な動きを見せている銘柄です。
まず業績面を見ると、2023年の営業利益は約1億円、経常利益は約9,800万円、純利益は1億円を超えていました。この時期は営業利益率が9%台、ROEが27%を超えるなど非常に高い収益性を誇っていました。会社としては成長初期に勢いがあり、事業拡大による効率の良い利益体質を維持していた時期です。
しかし2024年になると、売上は1,232百万円まで伸びたものの、営業利益は7,800万円、純利益は1,600万円と減少しました。営業利益率も6%台に低下し、ROEは1.6%、ROAは1.3%と、前年と比べて大幅に落ち込みました。クラウドサービスの開発・人件費・販売促進などのコストが先行している可能性が高く、利益の伸びよりも投資を優先した結果と考えられます。
2025年は会社予想では売上1,479百万円、営業利益5,000万円、純利益2,400万円と再び増益を見込んでいますが、営業利益率は3.3%、ROEは2.4%と依然として低水準にとどまる見通しです。利益の回復には時間がかかりそうです。
株価指標を見ると、PERは2024年時点で200倍を超えており、2025年予想でもおよそ110倍と依然として高い水準にあります。PBRも2.5〜3倍程度とやや割高です。業績の伸びに対して株価が先行している印象が強く、投資家の成長期待が大きく反映されている状態です。
総合的に見ると、シンカはクラウドやDXなど成長分野に位置する企業であり、将来的な拡大余地は十分あります。しかし現時点では利益率の低下や高いPERから、割高感が否めません。中長期での成長を信じて投資する分には面白い銘柄ですが、短期的には株価調整のリスクが高い局面です。
したがって、現時点での投資判断としては「慎重に様子見」が妥当です。利益率が再び上向き、営業利益やROEが改善傾向を示してきた段階でエントリーを検討するのが安全でしょう。成長性は高いものの、今は業績の裏付けがまだ追いついていない段階といえます。
配当目的とかどうなの?
株式会社シンカは現時点では配当目的の投資には向いていません。
まず、2023年から2025年にかけての配当実績と予想はいずれも「無配」、つまり配当が出ていません。会社側も利益を内部留保し、成長投資や新規開発、営業体制の強化に資金を回している段階です。スタートアップ気質の強い企業であり、配当よりも事業拡大を優先するフェーズにあります。
また、営業利益や純利益の水準を見ると、まだ安定的に利益を出せているとは言い難い状態です。2023年は1億円前後の黒字でしたが、2024年は1,600万円と急減少し、2025年も2,400万円程度の見通しです。利益率も2023年の約10%から2025年には3%台まで下がっており、当面は配当を出せるだけの余裕がないことがうかがえます。
一方で、売上自体は成長しており、クラウドサービス「カイクラ」の拡販が順調に進んでいます。そのため、長期的には黒字を安定化させ、将来的に配当を検討する可能性もあります。ただ、それは中期的な話であり、今すぐの配当収益を期待する投資スタイルとは合いません。
結論として、シンカは現時点で配当目的よりも成長株としての中長期的な値上がり益を狙う銘柄といえます。安定配当を重視する投資家よりも、将来の利益拡大や株価成長を重視する成長志向の投資家に向いている銘柄です。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社シンカの現在値は832円です。ここから今後5年間の値動きを想定した場合、業績の伸びや市場環境によって大きく結果が分かれる可能性があります。以下は、良い場合・悪い場合・中間の場合のそれぞれのシナリオです。
【良い場合】
クラウドサービス「カイクラ」が順調に拡大し、営業利益率やROEが改善していくケースです。中小企業向けの導入がさらに進み、AIによる文字起こしや感情分析などの新機能が高く評価され、安定的な契約数の増加が続きます。
この場合、利益が着実に積み上がり、EPSの上昇によりPERも50〜60倍程度の水準まで落ち着き、成長株として再評価される可能性があります。株価は市場の期待を織り込みながら上昇し、5年後にはおよそ2,000円から2,500円前後まで上がる展開も考えられます。
【悪い場合】
開発費や人件費の上昇で利益率が低下し、営業利益や純利益の伸びが鈍化してしまうケースです。競合が増え、顧客の解約率が上がるなどして、収益モデルの安定性に不安が出る可能性もあります。
この場合、PERが高止まりして割高感が強まり、投資家の期待が薄れて株価が調整局面に入る可能性があります。業績が伸び悩むと配当も出せず、5年後には株価が500円〜700円程度に下がるリスクもあります。
【中間の場合】
事業は堅調に成長しているものの、急拡大とまではいかないケースです。営業利益率は徐々に改善し、ROEやROAもゆるやかに上向いていくものの、成長スピードは緩やかです。
市場の評価も安定し、PERは80〜90倍程度で落ち着くと見られます。株価は大きな変動はなく、5年後には1,200円から1,400円前後といった範囲で推移する可能性が高いです。
【まとめ】
株式会社シンカはクラウドやDX関連の成長分野にある企業で、業績次第では株価が2倍以上になる可能性を秘めています。ただし、現状は利益率がまだ低く、PERも100倍を超えているため、期待先行である点は否めません。
したがって、5年スパンで見ると上昇余地はある一方、リスクも大きい銘柄です。短期の値動きを狙うよりも、事業の拡大が確認できてから長期で保有するスタンスがより安全と言えるでしょう。
この記事の最終更新日:2025年10月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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