株価
第一カッター興業とは

第一カッター興業株式会社は、神奈川県茅ヶ崎市に本社を置く建設関連企業です。1967年8月9日に設立され、現在は東証スタンダード市場に上場しています。資本金は4億7030万円、従業員数は連結で656名(2025年6月末現在)です。代表取締役社長は安達昌史氏が務めています。
同社は、コンクリート構造物の切断や穿孔工事を中心に事業を展開しています。特に、ダイヤモンド工具を使用したフラットソーイング、コアドリリング、ウォールソーイング、ワイヤーソーイング、グルービングなど、精密で高品質な切断・穿孔技術を強みとしています。
また、高圧水を利用したウォータージェット工法によって、コンクリートのはつり作業や表面処理、塗膜除去、金属切断、プラント設備の洗浄、さらには除染作業なども行っています。これらの技術は、インフラ整備や老朽化対策、環境保全の分野で幅広く活用されています。
さらに、ショットブラストやバキュームブラストなどのブラスト工法、床や路面の研削・研磨、下地処理、鏡面仕上げ研磨といった表面加工工事も手掛けています。これにより、道路や建築物の長寿命化、機能性向上にも貢献しています。
加えて、ビルメンテナンス事業として排水管や雨水管、側溝の洗浄、給排水設備の点検・補修、貯水槽の清掃、内視鏡による管内調査などを実施しています。また、産業廃棄物の収集運搬や汚泥の中間処理など、環境保全に関わる事業にも取り組んでいます。
このように、第一カッター興業株式会社は、切断・穿孔・表面処理・メンテナンスといった多角的な技術を駆使し、社会インフラの維持・再生に貢献している企業です。
直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年6月期 | 22,164 | 2,631 | 2,865 | 1,946 | 172.0 | 35 |
| 2024年6月期 | 20,918 | 2,455 | 2,829 | 1,973 | 174.4 | 38 |
| 2025年6月期 | 20,228 | 1,647 | 1,791 | 1,327 | 117.7 | 40 |
| 2026年6月期(予想) | 20,500 | 1,800 | 1,900 | 1,290 | 114.7 | 40 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年6月期 | 2,740 | -561 | -506 |
| 2024年6月期 | 2,173 | -1,650 | -481 |
| 2025年6月期 | 1,699 | -2,437 | -515 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | PER(倍) | PBR(倍) | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年6月期 | — | — | 11.8 | 11.7 | 9.0 |
| 2024年6月期 | — | — | 11.7 | 10.8 | 9.0 |
| 2025年6月期 | 高値平均10.7/安値平均7.7 | 0.77 | 8.1 | 6.9 | 5.9 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
第一カッター興業株式会社は、堅実な業績を維持しているものの、直近では利益率の低下が見られます。2023年から2025年にかけての営業利益は2631百万円から1647百万円へ減少しており、経常利益も2865百万円から1791百万円、純利益も1946百万円から1327百万円へと減少しています。
営業利益率は2023年が11.8%、2024年が11.7%、2025年が8.1%と下がっており、採算性の低下が明確です。ROEも11.7%から6.9%、ROAも9.0%から5.9%へと落ち込み、収益効率が悪化しています。
一方で、2025年のPERは高値平均10.7倍、安値平均7.7倍と比較的低水準であり、PBRも0.77倍と割安な水準にあります。株価的には割高感がなく、財務体質の健全さを考慮すればバリュー株としての魅力があります。
総合的に見ると、直近の利益減少と効率性の低下はやや気になりますが、依然として財務の安定性と配当維持力があり、長期保有での安定的リターンを狙うには悪くない銘柄です。成長株というよりは、景気変動に左右されにくい堅実なインフラ関連の中長期保有向け割安株といえます。
配当目的とかどうなの?
第一カッター興業株式会社(証券コード1716)は、配当目的での投資にも一定の魅力がある銘柄です。
同社の1株当たり配当は、2023年が35円、2024年が38円、2025年が40円と3年連続で増配しています。利益がやや減少している中でも増配を継続している点から、経営陣が株主還元を重視している姿勢がうかがえます。
配当性向はおおむね30%前後と見られ、無理のない範囲での安定配当方針です。業績が大幅に悪化しない限り、減配の可能性は低く、長期的に安定した配当収入を狙う投資家には向いています。
ただし、2025年は純利益が前年より減少しており、利益成長が停滞しているため、今後の増配余地はやや限られます。
それでもPBRが0.77倍、PERが10倍前後と割安水準にあることを踏まえると、配当利回りは相対的に高めで、インカムゲイン狙いには十分な水準といえます。
総合的に見ると、第一カッター興業は「大きな株価上昇を狙う銘柄」ではなく、安定配当・財務健全性重視の中長期保有銘柄として、配当目的の投資に適した企業です。
今後の値動き予想!!(5年間)
第一カッター興業株式会社の現在値は1,323円です。ここから今後5年間の株価推移を、良い場合・悪い場合・中間の3つのシナリオで考えてみます。
まず、同社はコンクリート切断やウォータージェット工法を主力とする建設関連企業で、堅実な経営を続けています。PBRは0.77倍と割安で、PERも10倍前後と低めです。一方で、営業利益率やROEはここ数年低下傾向にあり、成長性より安定性重視の企業といえます。
良い場合のシナリオでは、インフラ整備需要や再開発案件の増加、そして業績回復による利益率改善が進み、投資家からの見直し買いが入ることが想定されます。この場合、株価は現在の1,323円から1.5倍前後の約1,900円程度まで上昇する可能性があります。
中間のシナリオでは、現状の利益水準が維持され、配当を継続しながら安定的に推移する展開です。この場合、株価は1,300円台〜1,500円台で緩やかに推移し、大きな値動きはないものの、配当収入を中心にリターンを得る形になります。
悪い場合のシナリオでは、建設需要の鈍化や利益率の低下が続き、業績がさらに落ち込む可能性があります。PERが再び切り下がり、1,000円前後まで下落するリスクもあります。ただし、財務体質が堅実なため、極端な下落は限定的と見られます。
総合的に見ると、第一カッター興業は大きな値上がりを狙う成長株ではなく、安定配当と割安水準を評価して長期保有するタイプの堅実なバリュー株です。良い場合は1,900円台、中間では1,500円前後、悪い場合でも1,000円程度が5年後の想定レンジです。
この記事の最終更新日:2025年10月27日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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