株価
カウリスとは

株式会社カウリスは銀行や証券会社など金融機関向けにマネーロンダリング対策や不正検知を行うクラウド型サービスを提供する企業である。主力サービスである「フロードアラート(Fraud Alert)」を中心に、不正アクセスや不正送金などの金融犯罪リスクを検知・防止するSaaS型ビジネスを展開している。
本社は東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル4F FINOLABに所在している。2015年12月4日に設立され、2024年3月28日に東京証券取引所グロース市場へ上場した。事業年度は1月から12月、単元株数は100株となっている。
事業内容は不正アクセス検知サービスの開発・提供であり、AIやデータ分析を活用してユーザーのアクセス情報や行動パターンを解析し、不正の可能性がある取引をリアルタイムで検知する仕組みを提供している。主に金融機関のオンライン取引における「口座開設」「ログイン」「入出金」といった重要な接点を監視し、不正利用を未然に防ぐことを目的としている。
主力サービスである「Fraud Alert」は、300以上の検知パラメータを活用し、金融庁ガイドラインに準拠したモニタリングを実施することで、不正口座開設や不正送金のリスクを低減する。不正検知の精度向上とリアルタイム対応により、金融機関のセキュリティ強化とコンプライアンス対応を支援している。
また、「Grid Data KYC」という本人確認サービスも提供しており、電力契約情報と金融機関の顧客情報を照合することで、空き家の確認や名義の整合性チェックを行い、不正な口座開設の防止や顧客管理コストの削減に寄与している。
そのほか、フィッシング対策として不正サイトのURLを自動検知し、Google Safe BrowsingやMicrosoft SmartScreenへ登録する機能や、SNS上の口座売買投稿を分析する「口座転売情報」サービスなども提供しており、多面的に金融犯罪対策を支援している。
収益モデルはSaaS型のストックビジネスであり、契約企業からの継続課金が中心となる。金融機関を中心に導入が進んでいるほか、通信、EC、行政機関などへの展開も進めており、顧客基盤の拡大が収益成長に直結する構造となっている。
同社は「すべての人が安心してデジタル社会を利用できる世界をつくる」という理念のもと、不正アクセス対策とマネーロンダリング対策の両面からデジタル社会の安全性向上に取り組んでいる。オンライン取引の拡大とともにセキュリティ需要が高まる中で、成長が期待される分野で事業を展開している。
カウリス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単22.12* | 769 | 217 | 219 | 249 | 39.4 | 0 |
| 単23.12 | 994 | 295 | 293 | 260 | 45.6 | 0 |
| 単24.12 | 1,225 | 412 | 388 | 276 | 44.6 | 0 |
| 単25.12予 | 1,410 | 400 | 400 | 260 | 40.0 | 4.8 |
| 単26.12予 | 1,600 | 450 | 450 | 290 | 44.6 | 4.8〜5.5 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 306 | -6 | 51 |
| 2024 | 266 | 0 | 512 |
| 2025 | 208 | -373 | -81 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 29.6 | 22.0 | 57.6 | – | – |
| 2024 | 33.6 | 13.6 | 20.9 | – | – |
| 2025 | 29.1 | 12.6 | 16.6 | 26.6~88.1 | 4.49 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上は9.9億から12.2億、14.1億、16.0億予想と着実に拡大しており、事業規模は安定した成長を続けている。営業利益は2.9億から4.1億へ大きく伸びた後、4.0億、4.5億予想とやや横ばいを挟みながらも拡大基調にある。経常利益も2.9億から3.8億、4.0億、4.5億予想と同様の推移となっている。一方で純利益は2.6億から2.7億、2.6億、2.9億予想とほぼ横ばい圏で推移している。
営業利益率は29.6%から33.6%、29.1%と非常に高い水準を維持しており、高収益体質の企業である。ROEは57.6%から20.9%、16.6%、ROAも22.0%から13.6%、12.6%へ低下しているものの、それでも高い水準にあり、資本効率は依然として優秀である。ただし初期の突出した効率水準からは落ち着いてきている。
キャッシュフローを見ると、営業CFは3.0億、2.6億、2.0億と安定してプラスを維持しており、本業での資金創出力はしっかりしている。一方で投資CFは-600万円、0億、-3.7億と2025年に大きく増加しており、成長に向けた投資フェーズに入っていることが分かる。財務CFは0.5億、5.1億、-0.8億と、資金調達後に返済へ転じている流れが見られる。
2025年のPERは26.6倍から88.1倍とレンジが広く、PBRは4.4倍と高水準であり、株価は高収益と成長性を強く織り込んだ評価となっている。特にPER上限が高いことから、市場の期待値の振れ幅が大きく、評価が不安定になりやすい側面がある。
総合的に見ると、高い営業利益率と安定した成長を持つ一方で、ROE・ROAは低下傾向にあり、成長投資フェーズに入りつつある企業と整理できる。評価はすでに高いため、今後は成長スピードと収益性の維持が重要となる。高収益を維持しながら成長できれば上振れ余地はあるが、利益率低下や成長鈍化が起きた場合はPER・PBRの縮小とともに株価も調整しやすい。収益性の高さと評価の高さが同居している、期待先行型のグロース銘柄といえる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは単26.12、単27.12ともに0.48%と非常に低い水準であり、配当目的で保有する銘柄ではないと整理できる。利回りだけで見れば投資資金の回収にはかなり長い期間が必要となる水準であり、インカムゲインとしての魅力はほぼない。
一方で営業利益は4.0億から4.5億予想と拡大しており、営業利益率も29.1%と非常に高水準を維持しているため、利益余力自体はある。ただし現状はその利益を配当に回すよりも、投資や事業拡大に優先的に使っている段階と考えられる。
また投資CFが-3.7億と大きくマイナスになっていることからも、成長投資を強めている局面にある。営業CFは2.0億と安定してプラスであるものの、それを上回る投資を行っているため、内部資金は拡大に使われている。財務CFもマイナスに転じており、資金調達フェーズから投資回収フェーズへの移行途中にあるような動きが見られる。
さらに営業利益率は30%前後と非常に高いが、ROEは57.6%から16.6%、ROAも22.0%から12.6%へ低下しており、効率は徐々に平準化している。今後は高収益を維持しながら規模拡大できるかが重要な局面にある。
PBRは4.4倍と高水準であり、株価は配当ではなく成長性と収益性を前提に評価されている。このため配当利回りによる下支えは弱く、株価は業績や成長期待に大きく左右される構造となっている。
総合すると、この銘柄は配当目的には不向きであり、「高収益グロース株」としての性格が強い。配当は出始めているものの水準は低く、あくまで成長投資の余力の範囲で実施されている段階である。今後、成長が一巡し投資負担が落ち着けば増配余地はあるが、現時点では配当よりも成長による株価上昇を狙うキャピタルゲイン型の銘柄と整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は1,140円で、カウリスは売上9億から12億、14億、16億予想と拡大が続いている。営業利益も2億台から4億台へと大きく伸び、その後は4億〜4.5億程度で推移する見込みとなっており、高い収益水準を維持している。
営業利益率は29%前後と非常に高水準で推移しており、SaaS型ビジネス特有の収益構造が表れている。一方でROEは57.6%から16.6%、ROAも22.0%から12.6%へ低下しており、急成長初期の効率からは落ち着きつつあるが、それでもなお高水準を維持している。
良い場合は、金融機関向けの不正検知需要の拡大により導入社数が増加し、売上20億規模、営業利益6億規模まで拡大するシナリオである。営業利益率も25%前後を維持し、ROE15%以上を確保できれば高収益企業としての評価が維持される。PBRも4倍前後を維持しながら利益成長に応じて株価が上昇し、5年後の株価は1,800円から2,600円程度まで上昇する可能性がある。ストック型の積み上げにより、比較的安定した上昇トレンドになりやすい。
中間の場合は、売上は拡大するものの人件費や投資負担により利益の伸びが緩やかになり、営業利益4億〜5億程度で横ばい推移となるシナリオである。営業利益率25%前後、ROE12%前後で安定し、評価はPBR3倍前後に収まる。この場合5年後の株価は1,000円から1,400円程度のレンジで推移しやすく、成長期待と現実のバランスで上下するボックス相場になりやすい。
悪い場合は、競争激化や金融機関の投資抑制により導入が伸び悩み、営業利益が3億前後まで低下するシナリオである。営業利益率は20%台前半、ROEも10%前後まで低下し、成長株としての評価が縮小する。PBRも2倍前後まで低下すると評価修正が進み、5年後の株価は700円から1,000円程度まで下落する可能性がある。高評価銘柄のため、業績鈍化時の下落圧力は比較的大きくなりやすい。
総合すると現在値1,140円は成長性と高収益を前提にした価格帯にあり、上昇余地はあるが前提は成長の継続である。配当利回りが低いため下値の支えは弱く、株価は業績成長と評価倍率の変動に強く影響を受ける。長期ではストック型収益の積み上げによる安定成長が期待される一方、短期では期待と現実のギャップによって上下に振れやすい銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年3月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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