株価
INPEXとは

INPEX株式会社は、日本最大の総合エネルギー開発企業です。2006年4月3日に設立され、本社は東京都港区赤坂5丁目3番1号の赤坂Bizタワーにあります。資本金は約2,908億円で、東京証券取引所プライム市場に上場しています。決算期は12月末で、売買単位は100株です。
同社は、石油・天然ガスの探鉱、開発、生産、販売を中心に事業を展開しています。世界20カ国以上で鉱区権益を保有し、地質調査、試掘、生産、販売までを一貫して行う「上流事業」に強みを持ちます。特に、オーストラリアの「イクシスLNGプロジェクト」は世界的にも大規模な天然ガス開発事業で、INPEXの主力プロジェクトの一つです。
また、LNG(液化天然ガス)の生産・販売を通じて日本やアジア各国へエネルギーを供給しており、日本のエネルギー安全保障にも重要な役割を果たしています。
近年では、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギー事業にも注力しています。水素やアンモニアの供給、二酸化炭素の回収・貯留(CCS)や再エネ電力の導入など、クリーンエネルギー事業の拡大を進めています。石油・天然ガスという伝統的な資源エネルギーに加え、低炭素・脱炭素分野への取り組みを強化することで、持続可能なエネルギー企業への転換を目指しています。
INPEXは、従来型のエネルギー開発と次世代型の再生可能エネルギー戦略を両立させる、日本を代表するグローバルエネルギー企業です。
直近3年間の業績・指標
| 決算期(12月期) | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株当たり利益 (EPS, 円) | 1株当たり配当 (DPS, 円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023/12(連23.12) | 2,165,702 | 1,121,844 | 1,350,448 | 371,531 | 287.1 | 74 |
| 2024/12(連24.12) | 2,265,837 | 1,271,789 | 1,298,811 | 427,344 | 345.3 | 86 |
| 2025/12(予想) | 1,995,000 | 1,085,000 | 1,133,000 | 370,000 | 309.0 | 100 |
出典元:会社四季報 2025年新春号(INPEX株式会社)
キャッシュフロー
| 項目 | 2024/12(実績) | 2023/12(実績) | 単位:億円 |
|---|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 6,547 | 7,863 | 億円 |
| 投資キャッシュフロー | -2,904 | -3,243 | 億円 |
| 財務キャッシュフロー | -3,499 | -4,803 | 億円 |
| 現金及び現金同等物期末残高 | 2,416 | 2,008 | 億円 |
出典元:会社四季報 2025年新春号(INPEX株式会社)
バリュエーション
| 決算期(12月期) | PER(株価収益率) | PBR(株価純資産倍率) | 営業利益率 | ROE(自己資本利益率) | ROA(総資産利益率) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023/12(連23.12) | 7.2倍(高値平均)/4.2倍(安値平均) | 0.74倍 | 51.8% | 8.9% | 5.6% |
| 2024/12(連24.12) | ― | 0.74倍 | 56.1% | 8.8% | 5.7% |
| 2025/12(予想) | 9.69倍(予想) | ― | 54.3% | 7.6% | 5.0% |
出典元:会社四季報 2025年新春号(INPEX株式会社)
投資判断
INPEX株式会社は、日本最大のエネルギー開発企業で、石油・天然ガスの探鉱から生産・販売までを一貫して行う企業です。利益率が非常に高く、財務面も安定していることから、エネルギー関連株の中でも特に堅実な銘柄といえます。
まず業績を見ると、2023年12月期の営業利益は約1兆1,218億円、経常利益は約1兆3,504億円、純利益は約3,715億円でした。翌2024年12月期には営業利益が約1兆2,718億円、経常利益が約1兆2,988億円、純利益が約4,273億円とさらに増加。2025年12月期の予想では営業利益が約1兆850億円、経常利益が約1兆1,330億円、純利益が約3,700億円となっており、やや減益見通しではあるものの依然として高い水準を維持しています。
営業利益率は2023年が51.8%、2024年が56.1%、2025年予想が54.3%と、50%を超える非常に高い利益率を保っています。これは、世界的に見ても極めて収益性の高い水準であり、INPEXのコスト競争力の高さを示しています。
株価指標を見ると、実績PER(株価収益率)は高値平均で7.2倍、安値平均で4.2倍、PBR(株価純資産倍率)は0.74倍と明らかに割安です。予想PERは9.69倍で、依然として市場平均を下回っており、バリュー株としての魅力が非常に高い水準です。
ROE(自己資本利益率)は2023年が8.9%、2024年が8.8%、2025年予想が7.6%、ROA(総資産利益率)は2023年が5.6%、2024年が5.7%、2025年予想が5.0%と、資本効率も安定しています。多少の変動はあるものの、長期的に安定した収益を上げる力を持っていることがわかります。
このように、INPEXは営業利益率・ROE・ROAすべてが高水準にあり、利益体質が非常に強い企業です。PERやPBRが低い点からも、株価は依然として割安圏にあると考えられます。さらに、1株あたり配当は2025年予想で100円と高水準で、配当利回りも高いことから、インカムゲインを狙う投資家にも魅力的です。
ただし、リスク要因としては原油価格や為替の変動があります。原油やLNG価格の下落局面では利益が一時的に圧迫される可能性がありますが、INPEXは世界的にも上位のコスト競争力を持っており、他社よりも影響を受けにくいと考えられます。
総合的に見ると、INPEXは「安定した高収益」「高配当」「株価割安」という三拍子がそろった優良バリュー株です。短期的な資源価格の上下はあるものの、中長期で保有する価値の高い銘柄であり、配当を受け取りながらじっくりと資産を増やすタイプの投資に向いています。
配当目的とかどうなの?
INPEX株式会社は、配当目的の投資に非常に向いている銘柄です。
まず配当の水準ですが、2024年12月期は1株あたり86円、2025年12月期は100円の配当が予定されています。現在の株価(おおよそ2,000円前後)を考えると、配当利回りは約5%前後と高水準で、日本株の中でも屈指の高配当銘柄です。
INPEXは資源価格によって業績が変動しやすい企業ですが、ここ数年は原油や天然ガス価格が安定しており、安定配当を維持できる体力があります。実際、営業利益率は50%を超えており、キャッシュフローも潤沢です。2024年の営業キャッシュフローは約6,500億円と高水準で、減配リスクはかなり低いと見られます。
また、同社は株主還元を経営方針の中心に据えており、配当方針を明確に公表しています。配当性向はおおむね40%前後を目安にしており、利益が伸びれば増配、利益が減っても一定水準を維持する姿勢を示しています。実際、2023年〜2025年の3年間で配当は74円 → 86円 → 100円と増配を続けています。
さらに、INPEXは再生可能エネルギーや水素・アンモニアなどの脱炭素関連事業にも投資を進めており、将来的に事業の安定性がより高まる可能性があります。これは、資源価格の変動による配当リスクを徐々に和らげる効果もあります。
今後の値動き予想!!(5年間)
INPEX株式会社の現在値は2,849円です。ここから5年間の値動きを、良い場合・悪い場合・中間の3つのパターンで予想します。
まず、良い場合のシナリオです。
世界的なエネルギー需要が増え、原油や天然ガス価格が安定的に高い水準で推移した場合、INPEXの利益はさらに拡大していくと考えられます。
LNG(液化天然ガス)事業の拡大や、水素・アンモニアなどの脱炭素エネルギー分野が軌道に乗れば、業績はより安定し、ROEも10%前後まで上昇する可能性があります。
このような展開になれば、PER(株価収益率)は10倍程度まで評価が高まり、株価は4,000円から4,500円前後まで上昇することが期待されます。
次に中間の場合です。
原油価格が1バレルあたり70〜80ドル程度で安定し、現在と同じような収益水準が続いた場合、株価は横ばい圏で推移する可能性が高いです。
営業利益率が50%前後を維持し、ROEが7〜8%程度なら、PERも9倍前後で安定し、株価は2,800円から3,200円前後で推移すると思われます。
この場合でも年間配当100円を維持すれば、5年間で合計500円程度の配当が得られ、安定したインカムゲインが期待できます。
最後に悪い場合です。
世界経済の減速や、脱炭素の流れが加速して化石燃料需要が想定以上に減少した場合、原油や天然ガスの価格が下落し、利益が縮小する可能性があります。
営業利益率が40%台まで低下し、PERが6〜7倍に下がると、株価は1,800円から2,200円前後まで下落する可能性があります。
ただしINPEXは財務基盤が強く、赤字転落のような極端なリスクは小さいため、長期的には再び持ち直す力があります。
総合的に見ると、INPEXは利益率が高く、財務体質も安定しているため、下値は比較的堅い銘柄です。
中長期では、エネルギー需要の安定と脱炭素の流れの両方に対応できる企業として、配当を受け取りながら安定的に保有するのに向いている銘柄です。
この記事の最終更新日:2025年10月27日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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