株価
INPEXとは

株式会社INPEXは原油・天然ガスの探鉱・開発・生産を行う国内最大手の石油開発企業である。政府が黄金株を保有しており、エネルギー安全保障の観点からも重要な役割を担う企業となっている。オーストラリアで大型LNGプロジェクトであるイクシスLNGを操業している点が特徴である。東京都港区赤坂に本社を置き、国内外で石油・天然ガスなどの鉱業資源の権益を持つ大手石油開発企業である。日経平均株価およびJPX日経インデックス400の構成銘柄の一つである。
同社は国際石油開発と帝国石油の経営統合により、2006年に国際石油開発帝石ホールディングスとして発足し、2008年に両社を吸収合併して現在の事業体制となった。国策会社を前身としているため、現在も経済産業大臣が黄金株を保有する特殊な株主構成となっている。
事業の中核は石油・天然ガスのE&P(探鉱・開発・生産)であり、世界各地に資源権益を保有している。特にオーストラリアのイクシスLNGプロジェクトは同社最大の収益源となっており、日本向けを含むLNG供給に大きく寄与している。
海外ではアブダビの下部ザクム油田など中東の大型油田権益にも参画しており、長期にわたり安定的に原油を確保できる体制を構築している。また、インドネシアや北海など複数地域で事業を展開しており、地域分散によるリスク分散も図っている。
国内では新潟や秋田、北海道などで天然ガスの開発・生産を行い、直江津LNG基地やパイプライン網を通じてガス供給事業も展開している。これにより上流の資源開発から中流・下流の供給まで一貫したエネルギー供給体制を構築している。
また、エネルギー転換への対応として、再生可能エネルギー、CCUS(二酸化炭素回収・貯留)、水素・アンモニアといった低炭素分野への投資も進めており、総合エネルギー企業としての事業多角化を図っている。
沿革としては、2005年に国際石油開発と帝国石油の統合が発表され、2006年に持株会社が設立、2008年に統合が完了。その後、2012年にイクシスLNGプロジェクトの最終投資決定、2018年にLNG出荷開始、2021年にINPEXへ社名変更、2022年に東証プライム市場へ移行している。2024年には国内事業を子会社INPEX JAPANへ承継するなど組織再編も進めている。
事業内容は、石油・天然ガスの探鉱、開発、生産、販売を中心に、LNG事業、パイプライン輸送、電力事業、再生可能エネルギー事業などで構成されており、世界規模で資源開発を行う総合エネルギー企業である。
INPEX 公式サイトはこちら直近3年間の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 2,324,660 | 1,246,408 | 1,438,242 | 438,276 | 320.7 | 62 |
| 連23.12 | 2,165,702 | 1,121,844 | 1,350,448 | 371,531 | 287.1 | 74 |
| ◇24.12 | 2,265,837 | 1,271,789 | 1,298,811 | 427,344 | 345.3 | 86 |
| ◇25.12予 | 2,000,000 | 1,120,000 | 1,170,000 | 390,000 | 330.6 | 100 |
| ◇26.12予 | 2,100,000 | 1,150,000 | 1,200,000 | 400,000 | 339.1 | 110〜120 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 786,324 | -324,347 | -480,339 |
| 2024 | 654,737 | -290,401 | -349,937 |
| 2025 | 693,893 | -668,734 | -110,730 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 51.8% | 8.9% | 5.6% | – | – |
| 2024 | 56.1% | 8.8% | 5.7% | – | – |
| 2025 | 56.4% | 8.2% | 5.0% | 4.2〜7.2倍 | 0.93倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上は2兆1657億円から2兆2658億円へ増加した後、2兆円予想へ減少し、その後2兆1000億円予想へ回復見込みとなっている。資源価格の影響を受ける中でも大きく崩れず、高水準を維持している点が特徴で、事業規模自体は非常に大きい。
営業利益は1兆1218億円から1兆2717億円へ増加した後、1兆1200億円予想、1兆1500億円予想とピークアウト後は横ばい圏で推移している。経常利益も1兆3504億円から1兆2988億円、1兆1700億円予想、1兆2000億円予想と緩やかに減少している。純利益は3715億円から4273億円へ増加した後、3900億円、4000億円予想と高水準を維持しつつもピークからはやや低下している。
営業利益率は51.8%→56.1%→56.4%と非常に高水準で推移しており、資源価格の恩恵を受けているとはいえ、極めて高い収益性を維持している。売上が減少しても利益率が高止まりしている点から、コスト構造の強さと高採算の権益を保有していることが読み取れる。
ROEは8.9%→8.8%→8.2%とやや低下傾向で、利益規模の大きさに対して資本効率は中程度にとどまっている。ROAも5.6%→5.7%→5.0%と横ばいからやや低下しており、巨額の資産を使うビジネスであることが反映されている。つまり「利益は大きいが資産も非常に大きい」構造となっている。
PERは4.2〜7.2倍、PBRは0.9倍と低水準にあり、利益水準や利益率の高さに対して市場評価は抑えられている。これは現在の利益が資源価格に依存しているため、将来の減益リスクが織り込まれている状態といえる。
キャッシュフローを見ると、営業CFは6000億〜7000億円規模と非常に大きく、安定してキャッシュを生み出している。一方で投資CFは3000億〜6000億円規模のマイナスとなっており、資源開発への投資負担は大きい。ただし営業CFで十分に賄えており、フリーCFは確保できている。財務CFはマイナスが続いており、配当や自社株買いなど株主還元に資金を回している構造が見える。
全体として、利益規模・利益率・キャッシュ創出力はいずれも非常に高水準で、企業としての基礎体力は強い。一方で業績は資源価格に強く連動し、長期的に安定成長するタイプではなく、周期的に上下する構造となっている。現在の低PER・低PBRは割安とも見えるが、それは利益の持続性に対する不確実性を織り込んだ評価であり、単純なバリュー株とは性質が異なる。投資対象としては「高収益だが市況依存」という特徴が強く、資源価格の局面によって評価が大きく変わる銘柄と整理できる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは2.84%→3.00%(26年度から27年度)と、東証平均(2〜3%前後)と比較して標準〜やや高めの水準にあり、インカム目的としても一定の水準には達している。配当の推移を見ると62円→74円→86円→100円→110〜120円予想と、継続的な増配が続いている。減配ではなく増配基調が続いている点は特徴で、資源価格の上昇局面で得た利益を株主還元に回している動きが明確に出ている。
純利益は3715億円→4273億円→3900億円→4000億円予想と高水準を維持しており、配当原資は非常に大きい。営業CFも6000億円〜7000億円規模と安定しており、キャッシュ面から見た配当余力はかなり強い。
一方で、この配当は完全な安定配当ではなく、資源価格に連動した業績連動型の側面がある。利益が高水準の間は増配が続くが、原油・ガス価格が下落した場合には、将来的に減配に転じる可能性もある構造となっている。
また、投資CFは大きくマイナスであり、資源開発への投資が継続的に必要なビジネスであるため、配当と投資のバランスが重要になる。現状は営業CFで十分に賄えているが、市況悪化時には配当余力が圧縮される可能性もある。
配当性向の観点では、利益水準に対して無理のない範囲で配当を引き上げている印象で、過度な還元ではなく「利益に応じて増配する」方針が見える。これは資源企業としては比較的バランスの取れた還元姿勢といえる。
総合すると、この銘柄は高配当株とまでは言えないが、「中配当+増配余地」のタイプであり、キャッシュ創出力の強さから配当の持続性自体は一定程度ある。ただし完全な安定配当ではなく、資源価格次第で配当水準が変動する点が最大の特徴となる。配当目的での保有は可能だが、景気敏感・市況依存であることを前提にしたインカム投資として位置付ける必要がある。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価3,800円を基準に、INPEXの今後5年間の株価の値動きを考える。この会社は原油・天然ガス価格に強く連動する典型的な市況株であり、業績は資源価格と為替に大きく左右される。直近は高収益だが、会社自身も減益見通しを出しており、今後は「ピーク後の横ばい〜減益」が基本シナリオになっている。
良い場合は、原油価格が再び上昇または高止まりし、LNG需要の拡大が続くシナリオ。特にアジアのLNG需要は長期的に拡大見通しがあり、供給不足の可能性も指摘されている。この場合、利益は再び4000億円〜5000億円規模へ拡大し、市場の評価も改善する。PERが6〜9倍程度まで切り上がると、株価は4,500円〜6,000円程度まで上昇余地がある。資源価格が強い上昇局面では一時的に6,500円近辺までの上振れもあり得る。
中間の場合は、原油価格が現在水準前後で安定し、利益が3000億円〜4000億円規模で推移するシナリオ。実際に今後は利益・売上ともに緩やかな減少が予想されており、成長というより安定局面に入る見方が出ている。この場合、PERは4〜6倍程度の低評価レンジが続き、株価は3,000円〜4,200円程度のボックス圏で推移しやすい。配当による下支えはあるが、大きな上昇トレンドにはなりにくい。
悪い場合は、原油価格の下落や円高進行、LNGプロジェクトの遅延などが重なるシナリオ。実際に2026年は減益見通しが出ており、資源価格次第ではさらに利益が圧縮される可能性がある。この場合、純利益が2000億円台まで低下し、PERが4倍前後でも評価が下がると、株価は2,200円〜3,000円程度まで下落する可能性がある。資源株特有の急落局面では一時的に2,000円割れも視野に入る。
全体として、この銘柄は成長株ではなく「高収益だが市況依存の大型株」であり、株価は企業成長よりも原油・ガス価格で動く傾向が強い。現在の3,800円という水準は、過去の高収益と今後の減益見通しの両方を織り込んだ中間的な位置にある。今後5年は右肩上がりというより、資源価格のサイクルに応じて3,000円〜5,000円台で大きく波を作る展開になりやすい。
この記事の最終更新日:2026年3月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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