株価
工藤建設とは

工藤建設株式会社は、神奈川県横浜市青葉区新石川に本社を構える総合建設会社で、1971年7月に設立されました。
東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、上場日は1997年4月11日です。決算期は6月で、従業員数はおよそ760名、代表取締役社長は藤井研児氏です。
同社は、「建設」「不動産」「介護・福祉」の3本柱を中心に事業を展開しています。
創業以来、神奈川県・東京都を中心に地域密着型の建設事業を行い、特に中高層住宅・商業施設・オフィスビル・学校・病院などの建築実績を数多く持ちます。
また、公共工事(道路・橋梁・上下水道など)から民間建築まで幅広く手がける「総合建設業」として、地元自治体との取引も多いのが特徴です。
建設事業では、建築工事と土木工事の両方を行っており、耐震設計、省エネ・環境配慮型建築、リニューアル・リフォーム工事などにも注力しています。
さらに、商業施設・医療福祉施設・教育施設・集合住宅の設計・施工を通じて、地域インフラの発展に貢献しています。
不動産事業では、土地・建物の売買、賃貸、マンション開発、管理業務を行っており、
グループ会社を通じて「土地活用のトータルサポート」を提供しています。
自社ブランドの賃貸住宅や分譲住宅の開発実績もあり、安定した収益基盤を構築しています。
さらに、近年は高齢化社会の進展を見据え、介護・福祉分野にも力を入れています。
グループ会社「ライクケア」を中心に、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の運営、介護サービスの提供など、福祉関連事業を展開しています。
この分野は建設事業と親和性が高く、自社の建築技術を活かして、設計から運営までを一貫して行う体制を整えています。
また、環境への配慮にも積極的で、ZEB(ゼロエネルギービル)やZEH住宅などの省エネ建築技術、再生可能エネルギーの活用を推進しています。
地元密着企業として、環境保全や地域社会貢献活動にも取り組んでおり、地場建設業の中でも信頼度が高い企業です。
総じて工藤建設は、堅実な建設事業を基盤に、不動産・介護分野で新たな成長を目指す安定企業であり、
地域密着型経営と多角化によって、景気変動に強い経営体質を築いている企業です。
直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単23.6 | 19,579 | 333 | 306 | 135 | 108.2 | 100 |
| 単24.6 | 20,510 | 427 | 397 | 175 | 140.6 | 100 |
| 連25.6 | 22,497 | 646 | 616 | 483 | 388.7 | 117 |
| 連26.6予 | 25,000 | 610 | 480 | 310 | 249.9 | 117 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年6月期 | 294 | -347 | 299 |
| 2024年6月期 | 3,065 | -479 | -626 |
| 2025年6月期 | -2,125 | -359 | 1,247 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均) | PER(安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年6月期 | 1.7% | 2.8% | 0.9% | ― | ― | ― |
| 2024年6月期 | 2.0% | 3.6% | 1.1% | ― | ― | ― |
| 2025年6月期 | 2.8% | 8.9% | 2.8% | 19.0倍 | 13.7倍 | 0.60倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
工藤建設株式会社は、神奈川県を拠点とする地域密着型の総合建設会社で、建設・不動産・介護事業の3分野を柱に事業を展開しています。
業績の推移を見ると、売上は2023年6月期の195億円から2025年6月期の224億円まで拡大しています。営業利益は3億33百万円から6億46百万円へ増加し、営業利益率も1.7%から2.8%へと改善しました。経常利益は3億06百万円から6億16百万円、純利益は1億35百万円から4億83百万円と大きく増加しており、収益性が着実に高まっています。
ROEは2.8%から8.9%、ROAは0.9%から2.8%に上昇し、自己資本を効率的に活用できる体質へ変化しています。これにより企業としての資本効率や収益力が明確に向上しています。
2025年6月期の株価指標を見ると、実績PERは高値平均19.0倍、安値平均13.7倍、PBRは0.60倍です。PBRが1倍を下回っていることは、株価が純資産を下回る「割安状態」にあることを意味します。財務基盤が安定しており、借入依存度も低いため、下値リスクは比較的小さいと考えられます。
さらに、配当も100円から117円へと増配しており、株主還元への意識が高い企業です。営業キャッシュフローは年度によって波はありますが、投資や財務のバランスが良く、経営は堅実です。建設事業に加えて介護・福祉事業など、安定した収益源を複数持っている点も強みです。
総合的に見ると、工藤建設は派手さはないものの、堅実経営と財務安定性を両立した割安株といえます。
利益成長とROE改善が確認されており、PBR0.6倍という低評価は将来的に見直される余地があります。短期的に急上昇するタイプではありませんが、中長期での安定配当と着実な株価上昇を狙える銘柄です。
結論としては、短期では様子見ですが、中長期では「やや買い」判断。配当利回りも高く、資産価値を重視する投資家に向いた堅実な投資先といえます。
配当目的とかどうなの?
工藤建設株式会社は、配当目的の投資先として非常に魅力的な銘柄です。
まず、同社は建設業の中でも財務体質が安定しており、長期的に黒字経営を維持しています。
そのため、配当も一度も途切れることなく、安定して高水準を維持しています。
実績を見ると、
- 2023年6月期:1株あたり100円
- 2024年6月期:1株あたり100円
- 2025年6月期:1株あたり117円(増配)
- 2026年6月期予想:117円(維持)
と、連続して高い水準の配当を実施しており、増配も確認されています。
仮に現在の株価が3,000円台後半〜4,000円前後だとすると、
配当利回りは 約3%〜4%台 となり、東証スタンダード市場の中でも上位水準に位置します。
営業キャッシュフローは年度によって変動があるものの、総じてプラス圏で推移しており、
実際の営業活動から得た資金で配当を支払っている点も安心材料です。
また、同社は無理な高配当を続けるタイプではなく、利益に応じて着実に還元を強化する方針を取っています。
建設事業に加えて介護・不動産など安定収益分野を持つため、景気悪化時にも大幅な減配リスクは小さいと考えられます。
今後の値動き予想!!(5年間)
工藤建設株式会社の現在値は2,641円です。
この水準をもとに、今後5年間の株価の動きを「良い場合」「中間」「悪い場合」の3つのシナリオで予想します。
良い場合(強気シナリオ)
建設事業の受注が堅調に推移し、不動産開発や介護・福祉事業の収益も伸びます。
営業利益率が3%台後半〜4%台に改善し、ROEも10%前後を維持できれば、
市場からの評価が見直されてPBRが0.6倍から1.0倍前後へ上昇する可能性があります。
この場合、株価は4,000円〜4,800円程度まで上昇する見込みがあります。
配当も維持または増配が見込まれ、配当利回りを含めると中長期で安定したリターンが期待できます。
中間の場合(横ばいシナリオ)
売上・利益ともに安定するものの、大幅な成長は見られない状態です。
建設需要は堅調ですが、資材費や人件費の上昇が利益率を圧迫します。
ROEは5〜7%程度で推移し、PBRも0.6〜0.7倍の範囲に留まります。
この場合、株価は2,500円〜3,000円前後で推移し、緩やかなレンジ相場になると予想されます。
ただし、配当利回りが3〜4%台と高いため、長期保有による安定的な収入は十分期待できます。
悪い場合(弱気シナリオ)
景気減速や公共工事の減少により、建設受注が落ち込みます。
資材コストの高止まりや人手不足が続き、営業利益率が2%前後まで低下します。
ROEも5%を割り込み、業績の伸びが止まることで市場評価が下がり、PBRは0.5倍程度に縮小。
この場合、株価は2,000円〜2,300円程度まで下落する可能性があります。
ただし、財務基盤が安定しているため、減配のリスクは低く、一定の配当は維持される見通しです。
まとめ
工藤建設は、利益率は高くないものの、財務体質が堅実で減配リスクの少ない企業です。
短期での急上昇は期待しにくいものの、中長期では安定配当を受け取りながら緩やかな株価上昇を狙える堅実な銘柄です。
長期投資や配当目的の保有に向いており、景気の波に左右されにくい安定型の投資先といえます。
この記事の最終更新日:2025年10月29日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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