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fantasistaとは

株式会社fantasista(証券コード1783)は、東京都港区赤坂五丁目3番1号に本社を置く企業で、東証スタンダード市場に上場しています。設立は1995年、代表取締役は田野大地氏です。資本金は約66億円、単元株式数は100株です。
主な事業は、不動産を中心に幅広い分野に展開しています。中核となるのは「リアルエステート事業」で、不動産の売買、賃貸仲介、マンションや宅地開発、用地仕入れや再販などを一貫して行っています。開発から販売、管理までを自社で完結できる体制を持ち、事業の効率化と収益性の向上を図っています。
また、脱炭素社会を見据えて「系統用蓄電所事業」にも力を入れており、大規模蓄電設備の開発・運営・売却を行っています。さらに、「EV充電器事業」では電気自動車向けの充電設備を輸入・販売し、次世代インフラの普及にも貢献しています。
このほか、「ヘルスケア事業」では、5-アミノレブリン酸(5-ALA)を含む健康関連商品の販売を行い、「不動産DX事業」では不動産業界向けのデジタルソリューションを提供しています。さらに、観光需要回復を見据えた「ホテル事業」も展開し、複数の分野で収益の柱を分散化しています。
全体として、ファンタジスタは不動産を軸にしながら、エネルギー・IT・健康・観光といった分野に積極的に進出しており、事業の多角化によって成長を目指す企業です。
直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年9月期(連) | 5,027 | 75 | 50 | -803 | -5.8 | 0 |
| 2023年9月期(連) | 10,586 | 1,503 | 1,477 | 1,053 | 6.2 | 0 |
| 2024年9月期(連) | 8,806 | 701 | 664 | 290 | 1.7 | 0 |
| 2025年9月期(予) | 11,000 | 750 | 500 | 320 | 1.9 | 0 |
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年9月期 | -2,044 | -1,422 | 3,112 |
| 2023年9月期 | 1,732 | -230 | -655 |
| 2024年9月期 | -3,976 | -706 | 4,771 |
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年9月期 | 1.4% | -15.7% | -10.8% | ― | ― |
| 2023年9月期 | 14.1% | 16.6% | 13.9% | ― | ― |
| 2024年9月期 | 7.9% | 4.3% | 2.0% | 高値平均:24.5倍 安値平均:13.9倍 |
1.49倍 |
投資判断
ファンタジスタは、不動産開発・蓄電事業・EV関連・ヘルスケアなど多角化を進めている企業ですが、業績の波が大きいことが特徴です。
2022年は営業利益75百万円、経常利益50百万円にとどまり、純利益は-803百万円と大幅赤字でした。
しかし2023年には売上が倍増し、営業利益1,503百万円、純利益も1,053百万円と急回復しました。ROEは16.6%、ROAも13.9%と高く、資本効率が大幅に改善しています。
ただし2024年は再び減速傾向で、営業利益701百万円、純利益290百万円と減益となり、ROEは4.3%、ROAは2.0%まで低下しました。
営業利益率は2022年1.4% → 2023年14.1% → 2024年7.9%と推移しており、2023年に一時的に高収益化しましたが、2024年は半分程度に下がっています。これは一部事業で採算が悪化した可能性を示唆しています。
2024年のPERは高値平均で24.5倍、安値平均で13.9倍、PBRは1.49倍となっており、株価は業績に対してやや割高気味です。ROE・ROAの低下を踏まえると、現在の株価にはやや期待が先行している印象があります。
キャッシュフローを見ると、2024年は営業キャッシュフローが-3,976百万円と大きくマイナスになっており、資金繰り面では借入など財務CFで補っている状況です。投資CFもマイナスが続いているため、成長投資と運転資金の負担が大きくなっています。
総合的に見ると、ファンタジスタは成長余地のある企業ではありますが、利益の変動が激しく、安定性に欠ける点がリスクです。
ROEやROAの高さは一時的であり、現状は営業キャッシュフローの改善が課題となっています。
したがって、現時点の投資判断としては、
短期的な値上がりを狙うよりも、今後の業績安定化を見極める段階であり、「中立(様子見)」が妥当です。
今後、2025年以降に営業利益率が再び10%台へ回復し、営業CFが黒字化する兆しが見えれば、株価上昇余地も出てきますが、当面は慎重姿勢が望まれます。
配当目的とかどうなの?
株式会社ファンタジスタは、現時点では配当目的の投資には向いていません。
直近3年間(2022年~2024年)はすべて無配で、2025年9月期の予想でも配当は0円の見通しです。
理由としては、業績の変動が大きく、営業キャッシュフローが安定していないことが挙げられます。2024年の営業キャッシュフローは約-39億円と大きなマイナスで、資金繰りを財務キャッシュフローで補っている状況です。会社としては株主還元よりも、事業拡大や投資を優先している段階にあります。
ただし、2023年に黒字転換して以降、利益は確実に改善してきており、今後の事業が軌道に乗ってキャッシュフローが安定してくれば、将来的に配当再開の可能性もあります。
特にROEが再び10%を超え、営業CFが黒字化するようになれば、株主還元に転じる余地が出てくるでしょう。
現時点では、配当を目的に保有するよりも、事業成長や新規分野への拡大による株価上昇を狙う中長期的な成長投資銘柄として見る方が現実的です。
つまり、今は「配当株」ではなく、「再投資で成長を目指す企業」という位置づけです。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価56円を基準に、株式会社ファンタジスタの今後5年間の値動きを3つのパターンで予想します。
良い場合
ファンタジスタは不動産や蓄電、EV関連、ヘルスケアなどの新規事業を積極的に展開しています。
これらの事業が軌道に乗り、営業利益率やROEが改善していけば、業績は再び成長軌道に戻る可能性があります。
営業キャッシュフローが黒字化し、財務体質が強化されれば投資家の信頼も回復します。
この場合、株価は現在の56円から上昇基調となり、5年後にはおおよそ110円〜170円前後まで上がる可能性があります。
業績次第では2倍から3倍程度の上昇も視野に入ります。
中間の場合
業績が安定はしているものの、大きな成長にはつながらず横ばいが続くケースです。
営業利益率が7〜8%程度、ROEが5〜10%前後で推移し、キャッシュフローも徐々に改善していくような状態です。
この場合、株価は緩やかに上昇して5年後に70円〜100円程度で推移する可能性が高いです。
安定成長はしているものの、爆発的な上昇は期待しにくい展開です。
悪い場合
営業キャッシュフローが再びマイナスに転じ、借入金の増加や利益率の低下が続くケースです。
新規事業の採算が合わず、赤字が続けば投資家の信頼を失うリスクもあります。
この場合は株価が下落し、5年後に40円〜50円程度まで下がる可能性があります。
特に資金繰りが悪化した場合は、下落幅が大きくなるおそれもあります。
まとめ
・良い場合:110円〜170円(2〜3倍)
・中間の場合:70円〜100円(約1.5倍)
・悪い場合:40円〜50円(0.7〜0.9倍)
ファンタジスタは成長分野に事業を広げている企業ですが、まだ安定した収益基盤が確立されていない段階です。
そのため、現状ではリスクを取りながら将来の成長を狙う「中長期の成長期待型銘柄」として見るのが現実的です。
この記事の最終更新日:2025年10月30日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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