株価
松井建設とは

松井建設株式会社は、東京都中央区新川一丁目17番22号に本社を置く総合建設会社です。創業は1586年(天正14年)と非常に古く、400年以上の歴史を持つ日本屈指の老舗企業です。1939年(昭和14年)に株式会社として設立され、1961年(昭和36年)に東京証券取引所に上場、現在は東証スタンダード市場に上場しています。資本金は40億円、従業員数は連結で約760名です。
同社の特徴は、長年培ってきた伝統建築の技術にあります。特に神社や仏閣などの社寺建築、文化財建築の修復・改修を数多く手がけており、国宝や重要文化財の保存事業にも携わるなど、文化財修復の分野では国内でもトップクラスの実績を持っています。「文化財の松井建設」と呼ばれるほど、この分野での技術力と信頼は高く評価されています。
また、伝統建築だけでなく、教育施設、医療施設、オフィスビル、住宅、商業施設などの一般建築や公共事業にも幅広く対応しています。さらに、土木工事や都市再開発、不動産の開発・管理、リフォーム・リノベーション事業なども展開し、建設から運営までをトータルにサポートしています。
環境分野では、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業にも取り組み、省エネ技術や環境配慮型建築の推進を通じて、持続可能な社会づくりにも貢献しています。
松井建設は「伝統と革新の融合」を理念に掲げ、長い歴史の中で受け継いできた職人技と最新の建築技術を組み合わせながら、過去の文化を守り、未来の街を創造する企業として発展を続けています。信頼性の高い施工技術と堅実な経営姿勢で、今後も文化と社会の発展に寄与する企業です。
松井建設 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株当たり利益(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 88,664 | 2,268 | 2,702 | 1,702 | 57.5 | 25 |
| 2024年3月期 | 96,969 | 264 | 767 | 1,161 | 39.9 | 26 |
| 2025年3月期(実績) | 99,253 | 3,382 | 3,843 | 2,726 | 94.3 | 48 |
| 2026年3月期(会社予想) | 97,000 | 4,000 | 4,300 | 3,000 | 104.5 | 53 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 7,180 | -543 | -923 |
| 2024年3月期 | -16,190 | -18 | 3,804 |
| 2025年3月期 | 7,623 | -177 | -3,073 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2.5% | 3.8% | 2.3% | ― | ― | ― |
| 2024年3月期 | 0.2% | 2.4% | 1.4% | ― | ― | ― |
| 2025年3月期(実績) | 3.4% | 5.3% | 3.3% | 11.2倍 | 8.3倍 | 0.77倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
松井建設株式会社の直近3年の業績と各種指標を見ると、全体的には「緩やかな回復基調にある堅実な中小型建設株」といえます。
まず、売上高は2023年の88,664百万円から2025年に99,253百万円と増加しており、着実な受注拡大が見られます。特に2024年は一時的に利益が落ち込んだものの、2025年には営業利益3,382百万円、経常利益3,843百万円、純利益2,726百万円と大幅な回復を果たしています。利益水準が戻ったことで、一株当たり利益(EPS)も2024年の39.9円から2025年には94.3円へと倍以上に伸びています。
営業利益率は2023年2.5% → 2024年0.2% → 2025年3.4%と改善傾向にあり、コスト管理の見直しや採算性の向上が進んでいると考えられます。ROEも3.8%から5.3%まで上昇し、資本効率が改善している点もポジティブです。ROAも3.3%と、総資産に対する利益効率が向上しており、事業の安定化が見られます。
株価指標面では、2025年のPERが高値平均11.2倍・安値平均8.3倍、PBRが0.77倍となっており、株価は依然として割安水準にあります。建設業の中ではPBRが1倍を下回っているため、資産価値から見ても下値の堅い銘柄といえます。
このように、利益率やROEが改善傾向にある一方で株価評価がまだ高くないため、中長期での株価上昇余地がある堅実なバリュー株と見ることができます。配当も2023年の25円から2025年には48円へと増加しており、株主還元の姿勢も強まっています。
総合的に判断すると、松井建設は安定した財務基盤を持ち、利益の回復基調が鮮明なことから、「中長期保有に適した堅実な割安株」といえます。短期的な爆発力はありませんが、堅調な受注と増配傾向を背景に、着実なリターンを期待できる投資対象です。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見た場合、松井建設株式会社は安定した配当と今後の増配余地を併せ持つ堅実な高配当株といえます。
まず、配当の推移を見ると、
2023年:25円 → 2024年:26円 → 2025年:48円 → 2026年(会社予想):53円みたいな感じで3年連続で増配傾向にあります。特に2025年には前年比でほぼ倍増しており、利益回復とともに株主還元の姿勢が明確に強化されています。
現在のEPS(1株利益)は2025年で94.3円、2026年予想で104.5円の見込みであり、配当性向はおおむね45〜50%前後と見られます。業績に対して無理のない範囲での配当水準であるため、今後も安定した配当継続が期待できる状況です。
PBRが0.77倍と1倍を下回っており、資産面での安全性も高いことから、株価下落リスクを抑えつつ配当を狙える点も魅力です。仮に株価を1,400円〜1,600円台と仮定すると、配当利回りは約3.0〜3.5%程度となり、同業の中小建設株の中では平均以上の水準です。
また、松井建設は社寺建築・文化財修復など、景気変動に比較的強い分野にも事業基盤を持っており、長期的に安定収益を上げやすい構造です。そのため、業績の急落や大幅な減配リスクは低めと考えられます。
総合的に見ると、松井建設は「大きく株価が動くタイプではないが、安定した配当収入を得ながら堅実に保有できる銘柄」です。特に長期保有でインカムゲインを重視する投資家に向いており、今後も配当の増加や自己資本比率の高さを背景に、安定した株主還元が続く可能性があります。
今後の値動き予想!!(5年間)
松井建設株式会社の現在株価は1,382円です。今後5年間の株価について、良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオを以下に示します。
良い場合(強気シナリオ)
2025年以降も社寺建築や文化財修復を中心に受注が堅調に推移し、加えて公共工事や一般建築の収益性が改善した場合、営業利益率は4〜5%台、ROEは7%を超える水準まで上昇する可能性があります。PERが11倍台に評価され、PBRも0.9倍〜1.0倍程度に見直されれば、株価は1,800円〜2,000円前後まで上昇する可能性があります。増配傾向も続けば、配当利回り3%台を維持しつつ、株価上昇とインカム両面の恩恵を受けられる展開が期待されます。
中間(現実的シナリオ)
業績が横ばいで、営業利益率3〜3.5%程度を維持するケースでは、PERは9〜10倍、PBRは0.8倍前後で推移する見込みです。この場合、株価は1,400円〜1,600円前後で安定的に推移する可能性が高いです。配当は年50円前後を維持できるため、株価の大幅な上昇は見込みにくいものの、安定した高配当株としての魅力が続きます。長期保有による配当収入を重視する投資家には適しています。
悪い場合(弱気シナリオ)
建設資材や人件費の高騰により採算が悪化し、営業利益率が2%前後に低下する場合、ROEも4%を下回り、PERが8倍程度まで下落する可能性があります。業績悪化が続けば市場からの評価も低下し、株価は1,100円〜1,200円台まで下落する可能性があります。この場合でもPBRは0.6倍程度にとどまるため、極端な下落リスクは限定的ですが、回復には時間がかかる展開です。
総合的に見ると、松井建設は配当を受け取りながら安定的に保有できる中小型建設株であり、短期での急上昇は見込みにくいものの、堅実なバリュー株として中長期投資に向いています。増配が続く限り、1,300円台は中期的に見ても「割安圏」といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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