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鉄建建設(1815)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

鉄建建設とは

鉄建建設株式会社は、東京都千代田区三崎町2丁目5番3号に本社を置く総合建設会社です。1944年に設立され、東京証券取引所プライム市場に上場しています。資本金は約133億円で、従業員数は連結で約2,000名規模の中堅ゼネコンです。社名の通り「鉄道建設」を原点とし、戦後から現在にかけて日本の鉄道インフラ整備を支えてきた企業として知られています。

同社の最大の特徴は、鉄道関連の土木工事に非常に強いことです。JR各社をはじめ、私鉄、地下鉄などの鉄道事業者向けに、線路改良、高架橋、駅舎、トンネル、橋梁などの建設を数多く手掛けてきました。特にトンネル工事や高架化工事など、夜間施工や狭隘地での工事など高度な施工技術が求められる現場に強みがあります。また、新幹線や都市高速鉄道など、国家的なインフラ事業にも関与しており、鉄道の安全性・耐震性向上に大きく貢献しています。

主力事業は「土木」「建築」「不動産」の3分野です。土木事業では、鉄道に加えて道路、ダム、上下水道などのインフラ整備も行っており、防災・減災工事や災害復旧工事の実績も豊富です。建築事業では、オフィスビルや商業施設、学校、病院、駅ビル、マンションなど多岐にわたる建築物の設計・施工を手掛けています。近年では環境に配慮したZEB(ゼロエネルギービル)や省エネ建築にも取り組んでおり、老朽化建物の耐震補強・リニューアルにも力を入れています。

さらに、不動産・開発事業にも進出しており、自社で保有する土地や建物を活用した賃貸事業、オフィスや商業施設の運営、不動産再開発なども行っています。グループ会社では建設資材の販売や機械リース、環境関連事業なども手掛けており、建設から運用までを一貫して対応できる体制を整えています。

鉄建建設は、長年培ってきた鉄道土木技術を基盤に、社会インフラ整備全般に貢献している企業です。今後は国内での鉄道再開発や耐震補強、都市再生事業に加え、東南アジアなど海外での鉄道関連プロジェクトにも参入しており、技術力を活かした国際展開にも力を入れています。社会の安全と快適さを支える「鉄道とインフラの専門ゼネコン」として、堅実な経営を続けている企業です。

鉄建建設 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
2023年3月期 160,743 1,233 965 2,360 154.8 80
2024年3月期 183,586 958 2,278 4,260 282.1 100
2025年3月期 185,114 3,459 3,026 3,429 242.8 122
2026年3月期(予) 179,600 3,900 3,700 3,900 280.0 140

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 -219 -2,489 580
2024年3月期 3,973 -4,288 1,145
2025年3月期 -20,285 615 17,932

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年3月期 0.7% 3.6% 1.2%
2024年3月期 0.5% 5.9% 2.0%
2025年3月期 1.8% 4.9% 1.5% 0.72倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

鉄建建設は、鉄道関連の土木工事に強みを持つ中堅ゼネコンであり、近年の業績を見ると緩やかに回復傾向にあります。数値面から判断すると、まだ利益率の低さが課題ですが、収益構造の改善に向けた動きが見られます。

まず、営業利益は2023年3月期に12億円、2024年3月期に9億円と一時減少しましたが、2025年3月期には34億円まで大幅に回復しています。営業利益率も0.7% → 1.8%と上昇しており、採算性が確実に改善していることが分かります。特に鉄道・インフラ関連の工事受注が堅調に推移しており、利益面の改善が続いている点はプラス要因です。

純利益も2023年の23億円から2024年には42億円と急伸し、2025年も34億円と安定水準を維持しています。ROEは3.6% → 4.9%と上昇傾向にあり、資本効率が改善しています。ROAも1.2% → 1.5%と低水準ながら着実に回復しています。

一方で、株価指標をみると、2025年の実績PBRは0.72倍と1倍を下回っており、資産価値に対して株価が割安に放置されている状況です。PERは公表されていませんが、仮に一株益280円前後、株価3,000円程度とするとPERは10倍前後と推定され、同業他社と比較しても割安な水準といえます。

鉄建建設は財務体質が比較的健全で、有利子負債比率も低水準に抑えられており、安定した経営基盤を持っています。課題は利益率の低さですが、今後の再開発・鉄道高架化・防災インフラ需要の継続を考えれば、緩やかな成長が期待できます。

総合的に判断すると、株価は割安で、業績は改善傾向にある堅実な中長期投資向け銘柄といえます。急成長を狙うタイプではありませんが、安定した受注基盤と改善する収益性を考慮すれば、中長期で「やや買い」判断が妥当です。

配当目的とかどうなの?

鉄建建設は、配当目的の投資としても比較的魅力のある銘柄です。

まず配当の実績を見ると、2023年3月期の1株あたり80円から、2024年には100円、2025年には122円と着実に増配を続けており、2026年3月期は140円の配当を予定しています。3年間で約1.7倍の増配となっており、安定した業績回復を背景に株主還元を強化していることが分かります。

同社はもともと鉄道・公共工事に強みを持ち、景気変動の影響を受けにくい事業構造です。そのため、利益が大きく落ち込みにくく、長期的に安定したキャッシュフローを確保できる点が配当面での安心材料となります。2025年3月期時点での営業キャッシュフローはマイナスに転じていますが、これは一時的な投資・工事進行の影響によるもので、財務体質全体は比較的堅実です。

配当性向を推定すると、EPS(1株益)280円に対して140円の配当ですので、配当性向は約50%と適正水準です。利益の半分を還元しつつ、残りを将来の設備投資や内部留保に回すバランスの良い配当方針を取っています。

総合的に見て、鉄建建設は安定した業績・割安な株価・高い配当利回りという三拍子がそろった銘柄です。景気敏感株というよりはインフラ関連の安定銘柄であり、長期的に安定した配当収入を得たい投資家には向いています。したがって、配当目的の長期保有には非常に適した堅実株といえます。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の 鉄建建設株式会社(証券コード1815)の株価を 3,690円 と仮定して、今後5年の値動きを想定してみます。

良い場合

公共インフラ・鉄道関連工事やマンション建築などの受注が好調を維持し、敷設・トンネル・高架橋工事など高度な土木技術が活かされ利益率が改善。
営業利益率が1.8% → 2.5%前後まで改善、ROEやROAも改善傾向が続き、企業全体の収益性が向上。市場からの評価も改善し、PERが現在の予想水準14倍あたりから 16〜17倍 に上昇。この場合、5年後には株価が 4,800円〜5,400円 前後の可能性があります。配当も140円予想が継続・増配あれば、配当利回りも成長して魅力が高まります。

中間の場合

事業環境は概ね横ばいまたは緩やかな改善。公共・鉄道インフラは安定、施工コストや資材費もある程度抑えられる。営業利益率は1.8% → 約2.0〜2.2%付近で安定。ROE/ROAも現状維持またはやや改善。市場評価はPER12〜14倍、PBRは0.7倍前後。
5年後には株価は 3,900円〜4,200円 付近で安定する見込みです。配当140円を前提に保有すれば、配当利回りは約 3.8%前後(株価3,690円)となり、中長期保有には十分な収入源となります。

悪い場合

公共投資縮小、資材・人件費上昇、工事遅延などの影響で利益率が低下。営業利益率が再び1%台(1.0〜1.2%)に低下、受注減少やコスト増で収益圧迫。PERが評価低下で 10〜11倍 まで下落。PBRも0.7倍前後あるが資産に対する評価が低くなる。
この場合、5年後の株価は 2,600円〜2,900円 程度まで下落する可能性があります。配当140円でも、株価下落が続けば利回りは高く見えても総資産価値は減少リスクがあります。

総括見解

鉄建建設は実績・予想ともに利益改善傾向が見られ、配当も増配予想(2026年3月期は予想配当140円)となっています。現在株価3,690円なら、配当利回りは約 3.8% 程度となり、インカム目的でも魅力があります。良いケースでは5年後に株価が上振れて5,000円前後も見込め、中間ケースでも4,000円前後+安定配当という優位性があります。
ただし、景気後退やコスト上昇リスクも無視できないので、短期の値上がりを狙うよりは中長期での保有に向きそうです。

この記事の最終更新日:2025年11月1日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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