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長谷工コーポレーションとは

株式会社長谷工コーポレーションは、東京都港区芝二丁目32番1号に本社を構える総合建設・不動産グループです。創業は1937年(昭和12年)で、1946年(昭和21年)に設立されました。日本のマンション建設をリードしてきた企業として知られ、分譲マンション事業では国内トップクラスの実績を誇ります。資本金は575億円、単体従業員数は約2,800名、連結では約9,000名を超えています。
主力事業は「建設」「不動産」「サービス」「海外」の4つの柱で構成されています。建設事業では、分譲マンション・賃貸マンションを中心に、ホテル、商業施設、オフィスビル、物流施設など多様な建築物の企画・設計・施工を一貫して行っています。特にマンション分野では、用地取得から企画・販売、アフターサービスまでをグループ内で完結できる「マンション建設のトータルプロデュース体制」が強みです。
不動産事業では、分譲・賃貸・管理の各分野を包括的に展開しています。ファミリー向けのマンションブランドや都市型賃貸マンションの開発を行うほか、建物管理、修繕、リノベーションなどの付随サービスも幅広く提供しています。特に、グループ会社の長谷工コミュニティを中心に全国のマンション管理戸数は国内最大規模となっており、安定したストックビジネス基盤を持っています。
また、サービス関連事業としては、シニア向け住宅や介護施設の運営、資産運用支援、エネルギー関連ビジネスなども展開。近年では脱炭素社会への対応や環境配慮型の建築にも積極的に取り組んでいます。さらに、ハワイなどを中心とした海外不動産開発にも注力しており、海外事業は将来的な収益拡大の柱の一つと位置づけられています。
長谷工コーポレーションは、これまでに累計65万戸を超えるマンションの建設に携わっており、マンション市場における「企画から管理まで一貫体制」を確立したパイオニアです。今後も人口減少や都市再開発、高齢化といった社会的課題に対応しながら、安心・快適な住環境づくりとサステナブルな街づくりを目指しています。
長谷工コーポレーション 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株当たり利益(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 1,027,277 | 90,162 | 88,265 | 59,326 | 216.1 | 80 |
| 2024年3月期 | 1,094,421 | 85,747 | 83,334 | 56,038 | 205.5 | 85 |
| 2025年3月期(実績) | 1,177,353 | 84,701 | 83,408 | 34,450 | 126.2 | 85 |
| 2026年3月期(会社予想) | 1,230,000 | 92,500 | 85,500 | 55,300 | 204.6 | 90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | -51,909 | -55,446 | 50,785 |
| 2024年3月期 | 115,023 | -39,846 | -753 |
| 2025年3月期 | 3,916 | -32,472 | -20,545 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 8.7% | 13.0% | 4.9% | ― | ― | ― |
| 2024年3月期 | 7.8% | 10.9% | 4.1% | ― | ― | ― |
| 2025年3月期(実績) | 7.1% | 6.4% | 2.5% | 11.3倍 | 8.7倍 | 1.28倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
株式会社長谷工コーポレーションの直近業績と指標を総合的に見ると、全体としては「堅実な事業基盤を持つが、利益率の低下がやや気になる安定型銘柄」と言えます。
2023年から2025年にかけての売上は1兆円を超える規模を維持しており、業界内でもトップクラスの水準です。営業利益は9,000億円規模の売上に対して8〜9%程度の利益率を確保しており、建設業としては高水準といえます。ただし、2023年の営業利益率8.7%から2025年の7.1%へとやや低下傾向が見られます。これは、建設資材費や人件費の上昇、マンション販売のコスト増が影響していると考えられます。
ROEは2023年13.0%→2024年10.9%→2025年6.4%と大きく低下しています。自己資本利益率の鈍化は、純利益の落ち込み(59,326百万円 → 34,450百万円)が主因であり、資産効率の悪化を示しています。ROAも4.9%から2.5%へと半減しており、企業全体の稼ぐ力が一時的に弱まっている状態です。
一方で、株価指標を見るとPERは高値平均で11.3倍、安値平均で8.7倍、PBRは1.28倍と割高感はなく、株価は適正〜やや割安の範囲内にあります。特にマンション販売が好調に転じれば、再びPERが10倍台半ばへ戻り、株価上昇余地が生まれる可能性もあります。
総合的に判断すると、短期的には利益の鈍化が懸念されるものの、建設・不動産のトータルバリューチェーンを持つ長谷工は業界内での地位が高く、底堅い経営基盤を有しています。利益率の改善とマンション需要の回復が見られれば、再評価される可能性は十分あります。
したがって、投資判断としては「中長期の安定保有向き」。現時点では成長性よりも配当や資産価値を重視した投資に適した銘柄です。利益水準の回復が確認できれば、株価は再び上昇基調に戻る可能性があります。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見た場合、株式会社長谷工コーポレーションは「安定的なインカムゲインを狙える優良銘柄」です。
まず、直近の配当推移を見ると、2023年に80円、2024年に85円、2025年にも85円と安定的な高水準配当を維持しており、2026年3月期は90円への増配予想を公表しています。配当性向は30〜40%前後で推移しており、利益変動の中でも減配せず、むしろ増配傾向を維持している点は高く評価できます。
特に、同社は長期にわたって内部留保を積み上げており、自己資本比率が高く財務体質が健全なため、景気変動があっても配当が大幅に減る可能性は低いと考えられます。
また、グループ全体でマンション管理・修繕・リフォームなどのストック型ビジネスが拡大しており、分譲販売に依存しすぎない収益構造を築いている点も、安定配当を支える要因になっています。
一方で、短期的な株価上昇は利益率の低下やマンション市況の動向に左右されやすいため、値上がり益狙いよりも配当収入重視で保有するのが現実的です。
総合的に見ると、長谷工コーポレーションは「配当を得ながら安心して中長期保有できる銘柄」であり、特に高配当株ポートフォリオの一角として組み入れるのに適しています。安定志向の投資家や、年4%前後の利回りを重視する長期インカム目的の投資に向いています。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社長谷工コーポレーションの株価は現在2,490円です。今後5年間の値動きについては、業績と不動産市況の動向に左右されると考えられます。以下のような3つのシナリオが想定されます。
良い場合(強気シナリオ)
マンション開発事業や建設部門が引き続き堅調に推移し、営業利益率が8%前後、ROEが10%を超える水準まで回復した場合、株価の上値余地は十分にあります。PERが11倍台を維持し、PBRも1.3倍から1.4倍台に見直されることで、株価は3,200円〜3,600円程度まで上昇する可能性があります。配当も増配基調を維持し、年90円以上の安定配当が続けば、配当利回りは3%台後半で推移します。中長期での資産形成や配当収入を重視する投資家にとって魅力的な展開です。
中間(現実的シナリオ)
マンション市況が安定的に推移し、利益率が7%前後で横ばいの場合、業績は大きな変化はなく安定します。PERが9〜11倍程度、PBRが1.2〜1.3倍前後で推移すると想定すると、株価は2,600円〜3,000円の範囲で推移する可能性が高いです。配当は90円前後を維持でき、利回りは3.5〜3.8%程度と依然として高水準を維持します。値上がり益は限定的ですが、安定的なインカム収入が期待できる堅実なシナリオです。
悪い場合(弱気シナリオ)
資材費や人件費の上昇、不動産市況の低迷が長引いた場合、営業利益率が6%以下に低下し、ROEが4%前後まで落ち込む可能性があります。PERが8倍前後に低下し、PBRも1.0倍を下回る水準になると、株価は1,800円〜2,200円程度まで下落するリスクがあります。配当は80円前後を維持できる可能性が高いものの、利益の減少が続くと減配の可能性も否定できません。
総合的に見ると、長谷工コーポレーションは業界トップクラスのマンション建設実績を持ち、ストック型収益(管理・修繕・リフォームなど)による安定収益もあるため、長期的な安定保有や配当目的の投資には向いた銘柄です。短期での急激な上昇は期待しにくいですが、配当利回りの高さと財務の安定性を考慮すると、2,400円前後での水準は「中長期保有には適正水準」と言えます。
この記事の最終更新日:2025年11月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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