株価
鹿島とは

鹿島建設株式会社は、東京都港区元赤坂1-3-1に本社を構える日本を代表する総合建設会社です。創業は1840年(天保11年)と非常に古く、株式会社として設立されたのは1930年(昭和5年)です。資本金は約814億円で、2025年3月末時点の従業員数は連結ベースで約8,854名です。
国内では本社のほか、土木設計本部や建築設計本部、技術研究所などの主要拠点を有し、全国各地に支店や工事事務所を展開しています。また海外にも幅広いネットワークを持ち、アジア、オセアニア、北米、ヨーロッパなど世界各地でインフラや開発プロジェクトを手がけています。コーポレートスローガンは「100年をつくる会社」であり、長期的視点に立った社会貢献を掲げています。
鹿島建設の事業は多岐にわたります。中心となるのは建築事業と土木事業で、建築分野ではオフィスビルや商業施設、ホテル、医療施設、教育機関、文化施設、工場、物流センター、住宅など幅広い建築物を設計から施工、竣工後の運営・管理まで一貫して手掛けています。土木分野では、道路、トンネル、橋梁、港湾、ダム、上下水道、空港などのインフラ整備に加え、耐震補強や都市再開発事業などにも力を入れています。さらに、これらの事業を支えるための技術研究や新工法の開発にも積極的で、最新のAI・デジタル技術を活用した施工管理・設計支援も行っています。
不動産関連事業にも強みがあり、土地の造成、開発、建設、販売、賃貸、仲介、資産管理といった不動産のライフサイクル全般に関わる業務を展開しています。不動産投資信託(REIT)や特別目的会社(SPC)を活用した不動産ファンド事業にも取り組み、安定した収益基盤を築いています。また、建設資材や機械設備、内装・装飾用品などの設計、製造、販売、輸出入、リースも行っています。
近年では建設分野以外にもITや情報通信分野に事業を拡大しており、設計や監理を支援するためのソフトウェア開発やデジタルプラットフォームの提供、情報処理・データ解析、電気通信関連事業なども行っています。環境分野にも力を入れており、廃棄物処理やリサイクル、再資源化、環境コンサルティング、さらには電力や熱供給事業も手掛けています。
また、施設運営サービスとして、ビルや商業施設の保守管理、清掃、警備業務などの運営サポートも実施しています。これらの多様な事業を通じて、鹿島建設は単なるゼネコンにとどまらず、社会インフラの企画から設計、施工、運営、維持管理までを包括的に担う「総合インフラ企業」として成長を続けています。
鹿島 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2,391,579 | 123,526 | 156,731 | 111,789 | 228.0 | 70 |
| 2024年3月期 | 2,665,175 | 136,226 | 150,112 | 115,033 | 238.8 | 90 |
| 2025年3月期 | 2,911,816 | 151,882 | 160,663 | 125,817 | 266.5 | 104 |
| 2026年3月期(予) | 2,970,000 | 164,000 | 171,000 | 134,000 | 287.7 | 112〜116 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | -29,116 | -81,743 | 111,893 |
| 2024年3月期 | 123,734 | -62,925 | -9,566 |
| 2025年3月期 | 30,632 | -104,836 | 61,687 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均) | PER(安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 5.1% | 10.6% | 4.0% | ― | ― | ― |
| 2024年3月期 | 5.1% | 9.5% | 3.6% | ― | ― | ― |
| 2025年3月期 | 5.2% | 10.0% | 3.6% | 11.0倍 | 6.9倍 | 1.88倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
鹿島建設は、日本を代表する大手ゼネコンであり、近年の業績は堅調に推移しています。2023年から2025年にかけて売上高・利益ともに着実に増加しており、建設業界の中でも安定した成長を続けている企業です。
営業利益は2023年3月期に1,235億円、2025年3月期には1,519億円となり、営業利益率も5.1%から5.2%へと改善しています。経常利益・純利益も右肩上がりで、純利益は1,117億円から1,258億円まで増加しました。大型インフラ案件や再開発事業などの受注が堅調で、コスト管理の徹底が収益性の向上に寄与しています。
ROEは10.6%から10.0%、ROAは4.0%から3.6%と高水準を維持しており、自己資本の効率的な活用ができています。特にROEが10%前後あるのは建設業界の中でも優秀な部類で、資本効率の高さが光ります。
株価指標をみると、2025年のPERは高値平均で11.0倍、安値平均で6.9倍、PBRは1.88倍です。PER・PBRともにやや高めの水準ですが、利益成長が安定していることやROEの高さを考慮すると、妥当な評価範囲といえます。
総合的に見ると、鹿島建設は売上と利益がともに増加し、財務体質も健全で、長期的に安定した収益を上げている堅実な企業です。短期的な株価の大幅上昇は見込みにくいものの、インフラ整備や都市再開発、再生エネルギー分野などの需要が続く限り、今後も安定した利益と配当が期待できます。
したがって、投資判断としては、短期の売買よりも中長期での保有を前提にした「やや買い」もしくは「安定保有」が適切と考えられます。
配当目的とかどうなの?
鹿島建設は、配当目的の投資としても十分に魅力がある銘柄です。
まず、直近の配当実績を見ると、2023年3月期が70円、2024年3月期が90円、2025年3月期が104円と増配が続いており、2026年3月期も112〜116円を予定しています。毎年増配を重ねている点からも、安定した利益成長と株主還元への積極姿勢がうかがえます。
同社は業界内でもトップクラスの財務体質を持ち、自己資本比率が高く、借入依存度も低い安定企業です。営業キャッシュフローも年度によって変動はあるものの、基本的には安定しており、将来的にも継続的な配当支払いが可能な基盤があります。
また、鹿島建設は長年にわたり「安定成長+株主還元重視」の経営を掲げており、減配リスクが低いのも強みです。特にインフラ整備や再開発事業など公共・民間双方に需要があり、業績のブレが小さいため、安定的に配当を受け取れる傾向があります。
総合的に見ると、鹿島建設は配当を目的とする中長期投資に向いている銘柄です。株価の大きな値上がりを狙うタイプではありませんが、堅実に配当を得ながら長期で資産を増やす「安定配当株」として十分な魅力があります。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の鹿島建設の株価は4,976円です。ここから5年間の値動きを想定すると、業績や建設需要、景気動向、インフラ投資の動きなどにより、以下のような3つのシナリオが考えられます。
良い場合
国内外の建設需要が堅調に推移し、大型インフラ事業や再開発案件、脱炭素関連の建設需要が拡大するシナリオです。営業利益率が5%台後半に上昇し、ROEも11〜12%程度まで改善すれば、市場からの評価が上がりPERも12〜13倍台へ上昇する可能性があります。この場合、株価は6,500円〜7,000円前後まで上昇する可能性があります。再生可能エネルギーや海外事業の拡大が進めば、長期的に株価上昇が続く展開も期待できます。
中間の場合
業績は緩やかに成長を続けるものの、原材料高や人件費上昇などのコスト圧力で利益率の改善が限定的なケースです。営業利益率が5%前後を維持し、PERも10倍前後で推移する場合、株価は4,800円〜5,500円程度で安定推移する可能性があります。大幅な上昇はないものの、安定した配当を受け取りながら中長期で保有するには適した状態です。
悪い場合
景気減速や公共工事の減少、建設コストの上昇などが続き、利益率が低下するシナリオです。営業利益率が4%台前半に下がり、PERも8倍を割り込むような評価となる場合、株価は4,000円〜4,300円程度まで下落する可能性があります。資材費や人件費の高騰が長期化した場合には、利益圧迫が顕著になり、配当の伸びも鈍化する懸念があります。
総合的に見ると、鹿島建設は安定した業績と強固な財務基盤を持つため、大幅な下落リスクは限定的です。長期的にはインフラ投資や都市再開発の恩恵を受け、5年後に5,500〜6,000円台の水準を目指す堅実な成長株として期待できます。
この記事の最終更新日:2025年11月1日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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