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アストロスケールホールディングスとは

アストロスケールホールディングス株式会社(証券コード186A)は、宇宙ごみ(スペースデブリ)除去や衛星の寿命延長など、宇宙環境の持続可能な利用を目指す事業を展開する宇宙関連企業です。本社は東京都墨田区錦糸四丁目17番1号に所在し、決算期は4月末、上場市場は東京証券取引所グロース市場です。資本金は15,791百万円(2025年6月30日時点)となっています。
「スペースデブリを除去することで宇宙を持続可能な環境に保つ」という理念のもと事業を拡大してきました。世界的にも珍しい「宇宙デブリ除去専門企業」として注目を集めており、日本国内だけでなく、英国、米国、シンガポール、イスラエルなどにも拠点を展開しています。
主な事業内容は、宇宙空間におけるデブリ除去、衛星運用支援、寿命延長サービス、軌道上サービス(On-Orbit Servicing)などです。独自開発の磁気吸着プレート「ドッキングプレート」を用いて、運用を終了した人工衛星を安全に捕獲・除去する技術を確立しており、JAXA(宇宙航空研究開発機構)や欧州宇宙機関(ESA)、NASAなどとの国際的な連携も進めています。
代表的な実証プロジェクトとしては、「ELSA-d」(デブリ除去実証衛星)や「ADRAS-J」(JAXAとの協力による実証ミッション)などがあり、実際の宇宙空間でデブリ捕獲・接近運用技術の実証を行っています。これらは商業ベースでのデブリ除去サービス実現に向けた大きな一歩とされています。
また、衛星の寿命延長(Life Extension)や軌道変更サポート、デブリ監視(In-Orbit Monitoring)などの分野にも事業を広げており、宇宙環境の安全・効率的な運用を支えるインフラ企業として位置づけられています。
アストロスケールは「宇宙に持続可能性を(Space Sustainability)」を企業理念に掲げ、今後はデブリ除去を軸とした宇宙インフラ事業の商業化を進めるとともに、地球規模での宇宙交通管理(Space Traffic Management)や宇宙経済発展への貢献を目指しています。
アストロスケールホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
1株益 (円) |
1株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 23.4 | 1,792 | -9,665 | -9,314 | -9,264 | -111.2 | 0 |
| 24.4 | 2,852 | -11,555 | -9,219 | -9,181 | -101.5 | 0 |
| 25.4 | 2,456 | -18,755 | -21,550 | -21,551 | -188.9 | 0 |
| 26.4予 | 5,500 | -9,800 | -10,200 | -10,200 | -75.3 | 0 |
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | -7,937 | -1,634 | 15,227 |
| 2024 | -12,822 | -1,182 | 4,145 |
| 2025 | -12,250 | -1,043 | 20,818 |
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | -539.4% | -62.3% | -30.5% | ― | ― | ― |
| 2024 | -405.2% | -170.0% | -36.8% | ― | ― | ― |
| 2025 | -763.7% | -351.8% | -64.1% | ― | ― | 6.88倍 |
投資判断
アストロスケールホールディングスは、宇宙ごみ(スペースデブリ)除去などの最先端技術を手掛ける宇宙ベンチャー企業です。提示された数値を見ると、現状は開発投資段階にあり、利益を出すフェーズにはまだ到達していません。投資判断としては、短期的な利益を狙う銘柄ではなく、将来的な成長に賭ける「長期・ハイリスク投資対象」と言えます。
営業利益は2023年に約96億円の赤字、2024年には115億円の赤字、2025年には187億円の赤字と、赤字幅が拡大しています。経常利益や純利益も同様に大幅なマイナスで、現在の事業構造ではまだ収益化の見通しが立っていません。営業利益率はマイナス400〜700%台と極端に低く、開発費や人件費の先行負担が重くのしかかっています。ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)も大きくマイナスで、現時点では収益体質の改善には時間がかかりそうです。
一方で、株価指標を見ると実績PBRが6.88倍と非常に高く、投資家が将来の成長に期待していることがわかります。PER(株価収益率)は赤字のため算出できず、現在の株価は実際の企業価値以上に「将来性」への期待で形成されている状態です。
アストロスケールは世界でも数少ない「宇宙デブリ除去専業企業」であり、JAXAや欧州宇宙機関(ESA)、NASAなどと連携しながら、軌道上でのデブリ除去や衛星寿命延長サービスを実証段階まで進めています。この分野は今後数千億円規模の新産業になると見られており、同社が実用化に成功すれば大きな成長が期待されます。
総合的に見ると、現時点の業績だけでは評価が難しいものの、技術力と将来性には非常に高いポテンシャルがあります。したがって投資判断としては、 短期での利益を狙う投資には不向きであり、長期で宇宙産業の成長を信じてリスクを取れる投資家にはチャンスのある銘柄。
現段階では赤字が続き配当もありませんが、世界的に見ても「宇宙の清掃産業」を商業化しようとしている唯一無二の存在であり、技術の確立と実用化が進めば将来的な株価上昇の可能性は十分にあります。
配当目的とかどうなの?
アストロスケールホールディングスは、配当目的の投資には全く向いていません。
まず、現在の決算状況を見ると、営業利益・経常利益・純利益のいずれも大幅な赤字が続いており、設立以来一度も配当を実施していません。
2023年から2025年にかけての配当はすべて「0円」で、今後数年間も利益剰余金が積み上がる見通しは立っていません。
これは、同社が研究開発型のベンチャー企業であり、収益を株主還元に回す段階ではなく、資金を開発費・実証プロジェクト・人材確保などの成長投資に優先的に投入しているためです。
特に宇宙デブリ除去や軌道上サービスは技術開発に多大な費用と時間がかかる分野で、現時点では「利益を生む事業」というよりも「将来に向けた基盤づくり」が中心となっています。
また、資金面では、毎期数十億円規模の営業キャッシュフロー赤字を計上しており、財務キャッシュフローでは新株発行や増資によって資金を確保しています。
このため、安定配当を期待する段階にはまだ遠いのが現状です。
したがって、配当目的で保有する銘柄としては不適切であり、「将来の成長・技術確立・宇宙インフラ産業化」という長期ビジョンに共感できる投資家向けの株といえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
度合いによって3つのシナリオ(良い場合・悪い場合・中間)で予想します。
良い場合
宇宙ごみ(スペースデブリ)除去や衛星寿命延長サービスが実用化段階に入り、商業契約を複数獲得できた場合です。JAXAや欧州宇宙機関(ESA)との協力実証が成功し、海外政府や通信企業との連携が進めば、同社は「宇宙インフラ維持の中核企業」として市場で高く評価されます。
その結果、売上は現在の数倍に拡大し、赤字縮小から黒字化へと転換する可能性があります。
PERやPBRが成長株水準(PER30倍程度)で評価されると仮定すると、株価は2,000円〜3,000円台まで上昇するシナリオが考えられます。特に海外ファンドの資金流入があれば、5年以内にテンバガー候補と見られる可能性もあります。
中間の場合
技術開発は順調に進むが、商業化が想定よりも遅れ、売上の伸びは限定的なケースです。
赤字は縮小するものの黒字化までは至らず、資金調達を継続しながら開発フェーズを維持。市場からは「期待はあるが収益化が見えにくい会社」として評価され、株価は700円〜1,000円前後で推移する可能性があります。
この場合、長期保有で値動きは小さいものの、実用化ニュースや提携発表などのタイミングで一時的な上昇が見込まれます。
悪い場合
技術実証でのトラブルや、資金調達難により開発の遅延・中止が発生するケースです。
商業契約が得られず、宇宙デブリ除去ビジネスが想定以上に時間を要する場合、投資家の関心が薄れ、株価は400円〜500円台まで下落する可能性があります。さらに追加増資による希薄化リスクが発生すると、短期的には一段安となるおそれもあります。
総合的に見ると、アストロスケールは赤字の続く開発型ベンチャーである一方、将来の宇宙インフラ産業を支えるポテンシャルを持つ「長期視点の夢のある株」です。
したがって、短期的な配当や安定性を求める銘柄ではなく、「5年〜10年先の宇宙ビジネスの実用化」を信じて待てる投資家向けの成長期待株と言えます。
この記事の最終更新日:2025年11月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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