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三井住友建設(1821)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

三井住友建設とは

三井住友建設株式会社は、東京都中央区佃二丁目1番6号に本社を構える総合建設会社です。設立は1941年10月で、2003年に旧三井建設と旧住友建設が合併して誕生しました。両社の長年の実績と技術力を継承し、現在は準大手ゼネコンとして建設業界でも高い信頼を得ています。東京証券取引所プライム市場に上場しており、資本金は約120億円、連結従業員数は約5,400名規模の企業です。

同社の事業は大きく「建築事業」「土木事業」「不動産事業」「海外事業」の4つに分かれています。

まず、建築事業では超高層マンション、オフィスビル、商業施設、学校、病院、ホテルなどの設計・施工を手掛けています。特に都市部の大規模マンション開発に強みを持ち、「パークホームズ」「パークシティ」などの大手デベロッパー案件を多数手掛けており、集合住宅分野での施工実績は国内トップクラスです。また、耐震技術や省エネ建築技術、ZEB(ゼロエネルギービル)への対応など、環境配慮型の建築にも積極的に取り組んでいます。

土木事業では、橋梁、道路、ダム、トンネル、上下水道、港湾などの公共インフラ整備を行っています。特にプレストレストコンクリート(PC)橋梁の分野では国内有数の技術を誇り、長大橋や高架橋など高難度工事に強みを持っています。トンネル掘削や地盤改良などの分野でも高い技術力を発揮しており、災害復旧や防災・減災関連工事にも積極的です。

不動産事業では、自社保有地の有効活用やオフィス・商業施設の開発、賃貸運営を行っています。再開発プロジェクトにも参画しており、建設で培ったノウハウを活かした都市開発を推進しています。

海外事業では、アジアや中東を中心に道路、橋梁、発電所、上下水道などの社会インフラ工事を展開しています。ODA(政府開発援助)関連プロジェクトにも多数携わっており、日本の技術力を海外へ広げる役割も担っています。

三井住友建設は、「人と社会の未来をつくる総合建設企業」を掲げ、安全で持続可能な社会づくりに貢献しています。国内外での豊富な実績と確かな技術力を背景に、今後も都市再開発や防災・インフラ整備などの分野で安定的な成長が期待される企業です。

三井住友建設 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
2023年3月期 458,622 -18,759 -18,483 -25,702 -164.3 14
2024年3月期 479,488 8,500 6,291 4,006 25.6 14
2025年3月期 462,982 7,587 3,725 855 5.5 14
2026年3月期(予) 410,000 15,500 10,000 7,500 47.8 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 -16,123 -3,512 14,200
2024年3月期 21,452 13,465 -7,510
2025年3月期 -16,707 2,634 -6,916

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年3月期 -4.1% -40.5% -6.3%
2024年3月期 1.7% 5.7% 0.9%
2025年3月期 1.6% 1.2% 0.2% 50.7倍 37.8倍 1.38倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

三井住友建設は、かつて業界上位の準大手ゼネコンとして堅実な収益を上げていましたが、直近の業績を見ると一時的な業績悪化からの回復途上にあることがわかります。数値面から判断すると、まだ本格的な再成長には時間を要する段階にありますが、収益基盤の改善は着実に進みつつあります。

まず、2023年3月期は営業利益が▲187億円(赤字)、経常利益も▲184億円、純利益が▲257億円と大幅赤字でした。資材価格高騰や不採算案件の影響が大きく、ROE−40.5%、ROAも−6.3%と厳しい内容でした。建設業界の中でも特に赤字幅が大きく、経営体質の見直しが求められる状況でした。

しかし2024年3月期には、営業利益85億円、純利益40億円と黒字転換を果たし、ROE5.7%、ROA0.9%まで回復しました。続く2025年3月期も営業利益75億円、純利益8億円を確保しており、わずかではありますが黒字を維持しています。営業利益率も1.6%と低い水準ながら、赤字からのV字回復が継続している点は評価できます。

一方、株価指標をみると、2025年3月期の実績PERは高値平均50.7倍・安値平均37.8倍とかなり高水準です。これは利益水準がまだ低く、純利益が8億円と少ないため、実質的には割高に見える状態です。実績PBRも1.38倍と、収益力を考慮するとやや割高です。現時点では「利益回復を株価が先取りしている」状態に近く、短期的な値上がりを期待しての投資はリスクが高いといえます。

ROEやROAが依然として低水準にとどまっている点からも、資本効率はまだ改善途上です。ただし、同社は過去の赤字を教訓に、コスト管理や不採算案件の削減を徹底しており、2026年以降にかけては営業利益率が2〜3%台へ改善する見込みがあるため、中長期で見れば再成長の余地はあります。

総合的に判断すると、三井住友建設は現時点では「回復過程にある銘柄」であり、即座に強気で買う段階ではありません。短期では株価変動リスクが大きく、利益規模に対してPERが高い点は注意が必要です。ただし、業績改善の流れが続けば、数年後には堅実な収益体質を取り戻し、再び安定配当が期待できる可能性があります。したがって、投資判断としては現段階では「中立〜やや様子見」が妥当であり、今後の黒字拡大やROE改善の確認が買いシグナルとなるでしょう。

配当目的とかどうなの?

三井住友建設は、配当目的の投資にはあまり向いていない銘柄といえます。

まず配当の実績を見ると、2023年3月期は大幅赤字(純損失257億円)ながら14円の配当を維持しましたが、2024年・2025年も同水準の14円と横ばいが続いており、2026年3月期は無配(0円)の見通しとなっています。業績の安定性に欠けるため、安定配当を期待するにはリスクが高い状況です。

同社はもともと三井・住友グループに属する準大手ゼネコンで、長期的に安定した事業基盤を持つ企業でした。しかし、2023年以降は不採算工事による赤字や、建設資材費の高騰が重なり、キャッシュフロー面での余裕が低下しました。営業キャッシュフローも2025年3月期に▲167億円とマイナスになっており、手元資金の確保を優先せざるを得ない状況です。

仮に2026年度以降、業績が回復し純利益が黒字を安定的に確保できれば、配当再開の可能性もありますが、現時点では経営再建と利益体質の強化が優先されており、株主還元より内部留保重視の方針が見られます。

また、仮に配当が再開された場合でも、同業他社(鹿島建設、清水建設、大林組など)が3〜4%台の配当利回りを維持しているのに対し、三井住友建設は利益水準が低いため1%前後の利回りにとどまる可能性が高いです。

総合的に見ると、三井住友建設は配当利回りの高さや安定性を目的に投資するタイプの銘柄ではありません。
今は業績の回復を待つ段階であり、配当収入を重視するなら他の高配当ゼネコン株(例:大成建設・西松建設・奥村組など)を検討したほうが現実的です。

したがって現時点での評価は、「配当目的の投資には不向き、業績改善後の再配当を待つ段階」といえます。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の三井住友建設(証券コード1821)の株価を596円とした場合の今後5年間の値動き予想を以下に示します。良い場合・悪い場合・中間の3パターンで整理しました。

良い場合

不採算工事が一巡し、原価管理と受注選別が進むことで収益性が回復。営業利益率が現状の1.6% → 3.0〜3.5%程度まで改善し、純利益も安定的に50〜70億円を確保できるようになる。ROEは5〜6%台に上昇、財務体質も強化され、再び安定配当(年間10〜20円)を再開できる可能性がある。市場評価も回復し、PERが15倍前後、PBRが1.3倍程度に上昇する見込み。この場合、株価は850円〜950円程度まで上昇する可能性があります。建設市況が安定すれば、1000円回復も視野に入ります。

中間の場合

業績は徐々に改善するが、原価上昇や案件採算のばらつきにより、営業利益率は2%前後、ROEも2〜3%台にとどまる。
黒字は維持できるが大幅な成長は期待しづらく、配当も再開されても10円前後にとどまる見通し。PERは12〜14倍、PBRは1.0〜1.2倍程度で推移。
この場合、株価は600〜750円前後で安定推移し、横ばいからやや上昇の範囲に収まると考えられます。

悪い場合

建設資材費や人件費の上昇が続き、採算悪化により再び赤字転落。営業利益率が1%未満に低下、ROEもほぼゼロ近辺まで低下。財務キャッシュフローがマイナスに転じ、無配の状態が続く。市場からの信頼回復が進まず、PERは10倍未満、PBRも0.7〜0.8倍に下落。この場合、株価は400〜480円程度まで下落する可能性があります。

まとめ

三井住友建設は、2023年度の大赤字から徐々に立て直しを図っている段階で、短期的には株価の上昇余地は限定的です。しかし、業績改善が確実に進めば、5年後には700〜900円台の水準まで戻す可能性があります。
ただし、再び赤字化した場合は400円台まで下落するリスクもあるため、「中期的には回復期待、ただしリスクも高い再生銘柄」という位置づけになります。

中長期での投資を考えるなら、業績黒字化と配当再開が確認されてからのエントリーがより安全です。

この記事の最終更新日:2025年11月1日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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