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大豊建設(1822)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

大豊建設とは

大豊建設株式会社は、東京都中央区新川一丁目24番4号に本社を置く中堅ゼネコンです。1949年に設立され、1962年に東京証券取引所へ上場しました。現在はスタンダード市場に上場しており、資本金は10億円。麻生グループの一員として運営されています。従業員数は約1,000名で、国内外の土木・建築工事を手がけています。

同社の特徴は、土木事業における高い専門技術力です。特に、泥土加圧シールド工法や無人ケーソン工法、地盤改良技術などに強みを持ち、地下鉄・トンネル・河川・港湾・高速道路・ダムといった社会インフラ整備で多数の実績を有しています。これらの技術は都市部の再開発や地下構造物の施工など、難易度の高い工事で活用されており、同業他社と比べても独自の技術力が際立っています。

建築事業では、オフィスビル、商業施設、学校、病院、マンションなどの建築工事を手がけています。近年は防災・耐震性の高い構造設計や、環境負荷を抑えた省エネ建築にも注力しており、公共施設や民間施設の両方で幅広い実績を持ちます。また、建築と土木を組み合わせた複合施設の設計・施工にも対応しており、都市開発案件にも積極的に参画しています。

さらに、海外事業にも進出しており、東南アジアや中東地域を中心に、インフラ整備やトンネル工事などの国際プロジェクトを展開しています。海外では日本の先端技術を生かし、地盤改良や掘削工事の分野で高い評価を得ています。

技術開発にも積極的で、ICT施工(建設現場のデジタル化)や自動化技術、シールドトンネル技術などを進化させる研究開発体制を整えています。これにより、安全性・生産性の向上や省人化を推進し、持続可能な建設ビジネスを目指しています。

大豊建設は、確かな技術を基盤にした堅実経営が特徴であり、公共インフラから民間建築、海外プロジェクトまで幅広く事業を展開する企業です。特に地下構造物や基礎工事の分野では国内有数の実績を持つため、今後も都市再開発や防災関連投資の拡大とともに安定した需要が期待される企業です。

大豊建設 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
2023年3月期 156,050 5,064 5,054 2,914 33.1 46
2024年3月期 163,222 466 1,259 -2,072 -23.5 5.4
2025年3月期 143,394 5,533 5,204 3,691 41.9 29.4
2026年3月期(予) 140,000 5,200 6,400 4,000 45.4 32

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 12,856 758 -5,431
2024年3月期 -11,536 -996 1,725
2025年3月期 11,776 -876 -6,621

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年3月期 3.2% 4.0% 1.7%
2024年3月期 0.2% -3.1% -1.3%
2025年3月期 3.8% 5.1% 2.4% 23.0倍 17.3倍 1.01倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

大豊建設は、土木分野に強みを持つ中堅ゼネコンであり、特にシールド工法や地盤改良工事において確かな技術を有しています。
直近3年の業績指標(営業利益、経常利益、純利益、ROE、ROAなど)を総合的に見ると、業績はやや不安定ながらも回復基調にあります。

まず、2023年3月期は売上高1560億円、営業利益50億円、純利益29億円で、営業利益率3.2%、ROE4.0%と堅実な利益を確保しました。しかし、2024年3月期は採算の悪化や原価上昇の影響を受け、営業利益はわずか4億円、純利益は赤字(▲20億円)に転落。ROE−3.1%、ROA−1.3%と低迷し、収益面での厳しさが浮き彫りになりました。

一方、2025年3月期には業績が回復傾向を見せており、営業利益55億円、純利益37億円を確保する見込みです。営業利益率は3.8%と改善し、ROE5.1%、ROA2.4%と再び黒字水準へ。経営再建が順調に進みつつあることがわかります。

株価指標を見ると、PER(実績)高値平均23倍/安値平均17.3倍、PBR1.01倍となっており、バリュエーション的にはほぼ妥当水準です。PER20倍前後は利益水準の改善を市場がある程度織り込んでいる状態であり、「割安感は薄いが、堅実な中堅建設株」といえます。

投資判断としては、中長期的に緩やかな成長を見込めるが、短期的な値上がり期待は限定的です。
建設市場全体が公共事業や都市再開発で底堅い需要を持つ一方で、原材料高や人件費上昇といったコストリスクが続いており、利益率が大幅に拡大する可能性は高くありません。

ただし、同社はシールド工法や地盤改良など特殊技術に強く、再生エネルギー・防災関連の需要増にも対応できる体制を持っているため、安定成長を志向する投資家には悪くない選択肢です。

総合評価としては、「堅実だが伸びしろは限定的、中立(ホールド)判断」が妥当です。
収益性改善が続けば株価上昇余地もありますが、再び赤字転落するリスクにも注意が必要です。

配当目的とかどうなの?

大豊建設は、配当目的での投資としては「やや慎重に見るべき銘柄」です。

まず配当実績を見ると、2023年3月期は1株あたり46円と比較的高い水準でしたが、2024年3月期は赤字転落の影響で5.4円に大幅減配しました。その後、2025年3月期は業績回復により29.4円、2026年3月期は32円の配当を予定しています。つまり、業績次第で増配・減配の振れ幅が非常に大きい会社です。

業績が安定していないため、この利回りが継続する保証はありません。特に建設業界は公共事業予算や資材価格の影響を受けやすく、年度によって利益が大きく変動する傾向があります。

また、2024年度には営業キャッシュフローがマイナス115億円と資金面でも苦しい状況があり、利益が出ない年は配当の維持が難しい体質です。そのため、短期的に「安定した配当を狙う投資」には向いていません。

一方で、今後業績が回復し、営業利益率が3〜4%程度を安定的に維持できるようになれば、年間30円前後の配当を続けられる可能性もあります。その場合、株価水準が安定すれば利回り4〜5%の高配当銘柄としての魅力も出てきます。

結論としては、業績が安定しない限り配当目的での投資には向かず、減配や無配のリスクを許容できる中長期投資家向けの銘柄です。
短期的に配当を重視するなら他の安定したゼネコン銘柄(鹿島建設、奥村組など)の方が適していますが、業績回復局面での株価上昇と高利回りを狙うタイプの投資家にとっては、今後の成長余地がある銘柄とも言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

大豊建設の現在の株価は790円です。この水準を基準に、今後5年間の値動きを「良い場合」「悪い場合」「中間の場合」で考えると次のようになります。

良い場合
公共インフラや防災関連の需要が引き続き堅調で、受注高が安定的に増加する展開です。特に同社の得意とするトンネル工事や地盤改良などの高付加価値案件が増えることで、営業利益率が現在の3.8%から5%前後まで改善。
ROEも6〜7%台まで上昇し、財務体質も強化されます。業績の安定化により市場の評価も高まり、PERは25倍程度、PBRも1.1倍前後となる可能性があります。
このシナリオでは株価は5年後に1,050円〜1,200円程度まで上昇する見込みです。配当も安定して続き、利回りも4〜5%を維持できるでしょう。

中間の場合
建設需要は横ばいながらも、採算改善や原価管理の徹底によって営業利益率は4%前後を維持します。ROEも5%前後と中程度の水準を確保し、収益の安定が続く想定です。
この場合、PERは20〜22倍、PBRは1.0倍程度の評価が妥当で、株価は900円〜950円前後で推移する見通しです。大きな上昇は見込みづらいものの、安定配当が続く限り、年4%程度の配当利回りを期待できる堅実な展開となります。

悪い場合
公共事業の減少や資材コストの上昇、採算の悪い案件が増えることで、営業利益率が1〜2%程度まで低下する可能性があります。
ROEやROAも1%未満に落ち込み、再び赤字に転じるリスクも否定できません。PERは17〜18倍程度、PBRは1倍を下回る可能性もあり、株価は600円〜700円前後まで下落する展開が考えられます。業績が悪化すれば減配や無配に転じるリスクもあります。

総合的な見方
大豊建設は中堅ゼネコンの中でも技術力が高く、防災・インフラ需要を背景に堅実な成長が見込める企業です。ただし、利益率は高くないため短期的な値上がりは期待しにくく、業績の波を受けやすい点には注意が必要です。
5年スパンで見れば、業績回復が進めば1,000円前後への上昇余地はありますが、逆に採算悪化が続けば600円台まで下がる可能性もあります。
したがって現状では、中長期的に安定配当と緩やかな株価上昇を狙う保有型の投資が適していると考えられます。

この記事の最終更新日:2025年11月1日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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