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富士ピー・エス(1848)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

富士ピー・エスとは

株式会社富士ピー・エスは、福岡市中央区に本社を置く建設会社で、主にプレストレスト・コンクリート(PC)技術を用いた構造物の設計・施工を行っています。1954年3月に設立され、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。資本金は約23億円、従業員数はおよそ500名です。主要株主には太平洋セメント、住友電気工業、九州電力、西日本鉄道など、インフラ関連企業が並んでおり、安定した経営基盤を持っています。

事業内容は大きく「土木」「建築」「製品」の3分野に分かれています。
土木分野では、プレストレスト・コンクリートを用いた橋梁や高架橋、道路橋などの設計・施工を中心に行い、長寿命化・補強・補修にも対応しています。特にPC床版取替や防食工法などの独自技術を持ち、老朽化した社会インフラの再生事業で強みを発揮しています。

建築分野では、PC工法を活用した建築物の設計・施工を行っており、耐震補強やPCa工法(プレキャストコンクリート工法)など、構造の高耐久化や省力化を図る技術を多数保有しています。既存建物の耐震補強では「スマイルパラレル工法」など独自の技術を展開しています。

さらに、橋桁や床版などのプレキャストコンクリート製品を製造・販売する製品事業も行っており、全国各地のインフラ整備に関わっています。また、一部では不動産賃貸事業も手掛け、安定した収益源を確保しています。

富士ピー・エスは、PC技術を核とした高い技術力と全国ネットワークを持つインフラ構築企業として、公共事業や民間再開発の両面で重要な役割を担っている会社です。

富士ピー・エス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益(EPS)
(円)
一株配当(DPS)
(円)
連23.3 26,843 221 226 123 7.0 9
連24.3 28,566 564 550 415 23.4 11
連25.3 33,771 885 851 2,187 123.3 13
連26.3予 35,500 1,500 1,400 850 48.1 14

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期
(単位:百万円)
営業CF 投資CF 財務CF
2023 -1,162 -1,100 1,327
2024 -1,086 -1,457 2,425
2025 -2,334 1,701 1,514

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA 実績PER(高値平均) 実績PER(安値平均) 実績PBR
2023 0.8% 1.2% 0.4%
2024 1.9% 3.9% 1.2%
2025 2.6% 17.7% 5.7% 47.3倍 39.7倍 0.74倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

富士ピー・エスは、プレストレスト・コンクリート(PC)技術を中心に、橋梁や道路などの社会インフラを支える建設事業を展開している企業です。近年の数値を見ると、着実に業績を回復させつつある中小建設株として評価できます。

まず、営業利益は2023年3月期の2億円から2024年に5億円、2025年には8億円規模に増加し、営業利益率も0.8%から2.6%まで改善しています。建設業界の平均営業利益率は5%前後であるため、まだ水準は低いものの、利益率の改善傾向は明確で、経営効率が向上しているといえます。

純利益は2023年の1億円台から2025年には21億円と大幅に伸びており、ROE(自己資本利益率)も1.2%から17.7%へと急上昇しています。これは、収益性の改善とともに、自己資本を有効に活用できている証拠です。ROA(総資産利益率)も0.4%から5.7%へ改善しており、総じて収益構造が着実に強化されています。

一方で、PER(株価収益率)は2025年実績ベースで高値平均47.3倍、安値平均39.7倍と、やや割高感が見られます。PBR(株価純資産倍率)は0.74倍と1倍を下回っており、資産面では依然として割安に放置されている状況です。つまり、市場は急回復した利益水準の持続性をまだ慎重に見ていると考えられます。

キャッシュフロー面でも、投資CFがプラス転換するなど設備投資を抑制しながら安定化を図っており、財務体質は健全です。営業CFがマイナス推移なのは工事の進行状況による一時的な資金変動で、懸念すべきレベルではありません。

総合的に判断すると、富士ピー・エスは収益改善が明確で、財務健全性も高い回復局面の企業です。PERが高めである点を考慮しても、PBR0.7倍台の割安感やROE17%という高い資本効率を評価すれば、中長期的に株価の上昇余地は十分にあると見られます。短期よりも「安定した業績回復+配当成長」を狙う長期投資に向く銘柄といえます。

配当目的とかどうなの?

富士ピー・エスは、配当目的としても悪くない選択肢です。

まず、同社は近年、安定した増配傾向を続けており、2023年3月期の1株当たり配当は9円、2024年が11円、2025年が13円、そして2026年3月期は14円を予定しています。段階的に配当を引き上げており、経営が無理なく利益を株主還元に回している印象です。配当性向もおよそ10%台と低く、今後の増配余地も残されています。

また、業績面では営業利益率やROEが改善傾向にあり、利益水準も回復しているため、配当を支える財務体質も安定しています。建設業界の中では比較的堅実な経営を行っており、長期的に安定した配当が期待できます。

銀行預金よりは明確に上回りますが、3%を超える高配当株と比べるとやや控えめです。ただし、同社は株主優待制度も導入しており、100株以上の保有でQUOカードがもらえるため、実質的な利回りはもう少し高くなります。

総合的に見ると、富士ピー・エスは「高配当狙い」というよりも、「業績改善を伴った安定配当を長期で受け取りたい投資家」に向いた銘柄です。
安定した建設需要と独自技術による受注力を背景に、今後も堅調な配当維持が見込めるため、長期保有で安心して配当を得られる中堅インフラ関連株といえます。

今後の値動き予想!!(5年間)

富士ピー・エスの現在値は518円です。ここから5年間の株価の推移を想定すると、次のような3つのシナリオが考えられます。

良い場合
インフラ更新需要が高まり、橋梁や道路などのプレストレスト・コンクリート(PC)関連工事が順調に伸びる展開です。営業利益率がさらに上昇し、ROEも高水準を維持。業績拡大が続くことで投資家の評価が高まり、PERが30倍程度まで見直される可能性があります。この場合、株価は700円〜800円台、場合によっては900円前後まで上昇する可能性があります。配当も14円からさらに増配され、配当利回りと値上がり益の両方を得られる展開です。

中間の場合
業績は安定的に推移するものの、大幅な成長までは至らないケースです。建設需要は横ばいながら、受注の質を維持して着実な利益を確保。営業利益率は2〜3%程度を維持し、ROEも10%前後で安定。株価は500円〜600円前後で推移する見通しです。配当は現行水準(14円前後)を維持し、実質配当利回りは約2.5〜3%程度となるため、安定収入を狙う長期保有には向いています。

悪い場合
資材価格の上昇や人件費高騰、工事遅延などの影響で利益率が悪化するシナリオです。営業利益率が2%を下回り、純利益も減少。市場の評価も下がり、PERが20倍を割り込む可能性があります。この場合、株価は350円〜400円程度まで下落するリスクがあります。減配の可能性も否定できません。

まとめ
富士ピー・エスはインフラ関連の安定企業で、長期的な需要が見込まれる一方、業界特有のコスト変動リスクも抱えています。現在の株価水準は比較的割安で、安定配当も維持されているため、長期で持つなら堅実な値上がりと安定した配当の両方を狙える中小建設株といえます。

この記事の最終更新日:2025年11月2日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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