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日清製粉グループ本社(2002)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日清製粉グループ本社とは

日清製粉グループ本社は、日本の食品業界を代表する大手企業グループであり、製粉を中心に食品、惣菜、バイオ、エンジニアリングなど幅広い事業を展開しています。本社は東京都千代田区神田錦町一丁目25番地にあり、資本金は約171億円、従業員数は連結で約9,700人です。東京証券取引所プライム市場に上場しています。

同社は、製粉業を基盤に発展してきた企業であり、小麦粉、ふすま、ライ麦粉、胚芽などの製造・販売を主力としています。業務用・家庭用の両分野で幅広い商品を展開し、国内の小麦粉市場では約4割のシェアを持つトップメーカーです。特にパン用、菓子用、麺用など用途に応じた高品質な製粉技術で国内外の食品メーカーから信頼を得ています。

製粉事業で培った技術を生かし、現在は食品事業にも大きく進出しています。家庭用では天ぷら粉、から揚げ粉、ホットケーキミックス、パスタ、冷凍食品など、消費者になじみの深い製品を多数展開しています。業務用では、プレミックス(調理素材)や製菓・製パン用ミックス粉、惣菜や調理済み食品の原料など、外食・中食産業に向けた幅広い商品を提供しています。パスタブランドや冷凍パスタ商品も人気が高く、内食需要や時短ニーズの高まりを背景に売上を伸ばしています。

さらに、惣菜や中食事業では、調理麺、弁当、惣菜などを製造・販売し、スーパーやコンビニ向けにも幅広く供給しています。また、ペットフードや冷凍スナックなどの関連商品も取り扱い、家庭の食卓全体を支える総合食品メーカーとしての地位を確立しています。

一方、バイオ・ライフサイエンス分野にも注力しており、酵母や発酵技術を活用した健康食品や医薬原料、機能性素材の研究開発を行っています。これらの取り組みは、食の領域を超え、健康や医療の分野にも貢献しています。

また、エンジニアリング事業では、粉体加工設備、粉砕・分級機器などの製造・販売を行い、食品工場や化学工場の生産効率化を支援しています。さらに、倉庫業や物流事業、スポーツ施設運営などの関連事業も手掛け、多角的な経営を進めています。

海外にも積極的に進出しており、北米、アジア、オセアニアなどに製粉・食品製造拠点を展開しています。特にアメリカでは製粉会社のM&Aを行い、海外売上高を拡大。グローバルブランドとして成長を続けています。

企業理念は「健康で豊かな生活づくりに貢献する」であり、食を通じて人々の暮らしを支えることを目指しています。ESG経営や環境への配慮にも積極的で、再生可能エネルギーの活用や食品ロス削減、サステナブルな原料調達などにも取り組んでいます。

中期経営計画(2022〜2026年)では、「製粉を核とした食品総合グループ」として、主力事業の成長と新分野の開拓を両立させ、グループ全体の収益力とブランド価値の向上を図る方針を掲げています。

まとめると、日清製粉グループ本社は、製粉を出発点に食品・惣菜・健康・バイオ・設備などへと事業を広げた総合食品企業であり、「食の安心・安全」「健康」「環境」を重視しながら、国内外で持続的な成長を続ける企業グループです。

日清製粉グループ本社 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
連23.3 798,681 32,831 33,051 -10,381 -34.9 40
連24.3 858,248 47,791 49,992 31,743 106.7 45
連25.3 851,486 46,380 49,210 34,684 117.3 55
連26.3予 870,000 50,000 53,000 39,000 134.6 60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
連23.3 23,422 487 -10,625
連24.3 73,194 -30,944 -19,539
連25.3 55,209 -34,961 -35,432

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR(実績)
連23.3 4.1% -2.5% -1.5%
連24.3 5.5% 6.3% 3.8%
連25.3 5.4% 7.1% 4.3% 20.0倍 14.4倍 1.01倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日清製粉グループ本社は、製粉業を中心に食品・惣菜・バイオなどを展開する日本を代表する食品企業です。
直近の業績を見ると、2023年3月期に赤字を出したものの、その後は順調に回復しており、企業としての安定感が際立っています。

2023年3月期の営業利益は約328億円、経常利益は約331億円でしたが、原材料費高騰の影響などで最終損益は約104億円の赤字でした。しかし2024年3月期には営業利益約478億円、経常利益約500億円、純利益約317億円と黒字に転換。2025年3月期には営業利益約464億円、経常利益約492億円、純利益約347億円まで増加し、完全に回復基調となっています。

利益率を見ると、営業利益率は2023年4.1% → 2024年5.5% → 2025年5.4%と改善。ROEもマイナス2.5%から7.1%まで上昇しており、収益性が安定してきました。ROAも4%台を維持しており、企業全体の資産効率も堅調です。

株価指標では、2025年実績のPERが高値平均20.0倍、安値平均14.4倍、PBRが1.01倍と、株価は企業価値とほぼ釣り合った水準にあります。
つまり、株価が過大評価されているわけでもなく、割安すぎるわけでもなく、「妥当な評価」を受けている状態です。

今後の見通しとしては、国内の小麦粉シェアが約4割と圧倒的で、価格転嫁力も高いため、原材料費の変動にも比較的強い体質です。パスタや冷凍食品、調理麺といった中食・時短需要が続く限り、安定した売上を維持できる可能性が高いでしょう。加えて、健康志向の高まりを受けたライフサイエンス事業(酵母や機能性素材など)も、中長期的な成長ドライバーとなりつつあります。

一方で、海外の穀物価格や為替の影響を受けやすいため、外部環境によって利益が上下するリスクはあります。ただし、日清製粉グループは財務体質が非常に健全で、自己資本比率も高く、赤字期でも減配を行わなかったほど安定性が強い企業です。

総合的に見ると、日清製粉グループ本社は「短期で大きく値上がりするタイプ」ではなく、「長期的に安定した成長と配当を期待できる銘柄」です。PER・PBRの水準も適正で、増配基調(40円→45円→55円→予想60円)も続いており、堅実な中長期投資先として安心感があります。

結論として、日清製粉グループ本社は赤字からの完全回復を果たし、利益体質を強化している安定成長企業です。リスクを抑えながら長期的に配当と緩やかな株価上昇を狙う投資家にとって、「買い」または「長期保有に適した優良銘柄」と言えます。

配当目的とかどうなの?

日清製粉グループ本社は、配当目的での投資先としてかなり魅力的な銘柄です。予想配当利回りは3.44%で、食品業界の中では比較的高い水準にあります。しかもこの会社は、業績が悪化しても安定した配当を維持してきた実績があります。

2023年3月期は赤字になったものの、減配はせずに1株あたり40円の配当を継続。その後は業績回復にあわせて増配を行い、2024年に45円、2025年に55円、そして2026年3月期の予想では60円まで引き上げる見込みです。こうした増配の流れからも、株主還元を重視する経営姿勢がはっきりしています。

財務面でも非常に安定しており、自己資本比率は高く、営業キャッシュフローも安定しています。2025年3月期には552億円の営業キャッシュフローを確保しており、今後も配当を継続・増加できる余力があります。食品業界は景気の影響を受けにくく、日清製粉グループは国内シェアトップの製粉メーカーであるため、業績のブレも比較的小さいのが特徴です。

また、EPS(1株あたり利益)が134.6円、配当60円の予想で、配当性向は約44%と健全な水準です。これは利益の中から無理なく配当を出していることを意味しており、今後の業績次第ではさらに増配の余地もあります。

同業他社と比べても、日清製粉グループは配当の安定性と利回りのバランスが優れており、特に長期保有には向いています。日清製粉は原材料高や為替の影響を受けやすい面もありますが、価格転嫁力が高く、ブランド力のある商品を多数持っているため、利益が大きく落ち込みにくい構造です。

総合的に見て、日清製粉グループ本社は「安定した配当を長期的に受け取りたい投資家」にとって非常に良い銘柄です。高成長株のように株価の急上昇は期待しにくいですが、安定した業績と増配傾向を考えれば、着実に配当を積み上げるタイプの長期投資には最適です。つまり、配当目的での投資としては「安心して長く持てる銘柄」と言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

日清製粉グループ本社(証券コード2002)の現在値は1,741円です。ここでは今後5年間(2025年〜2030年頃まで)の株価の動きを、業績や市場環境の変化を踏まえて「良い場合」「中間」「悪い場合」の3つのシナリオで予想します。

良い場合(強気シナリオ)
業績が順調に拡大し、利益率の改善と増配が続くパターンです。小麦価格の安定化や円安基調が続き、海外事業の収益も拡大。家庭用・業務用のパスタ、冷凍食品、健康志向の高い商品などの販売が伸び、営業利益率は6%台、ROEも8%台まで上昇します。

配当はさらに増配基調となり、1株配当が70円以上へ上昇。PERは現在の14〜20倍レンジから上方修正され、株式市場でも「安定成長+株主還元銘柄」として再評価されます。
この場合、株価は5年後に2,300円〜2,500円前後まで上昇する可能性があります。長期保有で年3〜4%の配当を受け取りながら、値上がり益も狙える展開です。

中間(現実的シナリオ)
業績は堅調に推移するものの、大きな伸びは見られない安定成長型の展開です。製粉・食品事業の利益は安定し、営業利益率は5〜5.5%前後を維持。

円高や原材料費の変動はあるものの、価格転嫁とコスト削減で吸収。配当は60円台を維持し、安定した配当利回り3%台を継続します。PERは概ね15倍前後で評価され、株価は緩やかな上昇基調を保ちます。

この場合、5年後の株価は1,900円〜2,100円程度と予想されます。大きな値動きはないものの、堅実な配当を受け取りながら安定的に保有できる水準です。

悪い場合(弱気シナリオ)
世界的な小麦価格の高騰や為替の急変動、エネルギーコストの上昇が長期化し、コスト転嫁が難しくなるパターンです。営業利益率が4%台に低下し、利益成長が鈍化。為替リスクや物流費の上昇が続き、投資家の関心が他の高成長銘柄に移ることで株価はやや低迷します。

PERが12倍程度まで低下し、株価は1,500円〜1,550円程度まで下落する可能性があります。それでも、財務基盤は強いため大幅な減配は想定されず、配当利回りは4%前後で維持されます。

まとめ(総合見通し)
日清製粉グループ本社は、景気や原材料価格の影響を受けやすい業種ではあるものの、国内シェアの高さとブランド力から長期的な安定性が見込まれます。良い場合には2,500円前後まで上昇余地があり、悪くても1,500円前後の下値が意識されるため、ディフェンシブ性の高い中長期保有向けの銘柄です。配当を受け取りながら安定成長を狙う投資家にとっては、今の1,700円台は長期で見て「妥当からやや割安」な水準と言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月3日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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