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サッポロホールディングス(2501)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

サッポロホールディングスとは

株式会社サッポロホールディングスは、日本を代表する総合飲料・食品メーカーの一つで、ビールやワイン、チューハイ、清涼飲料、食品、外食、不動産など幅広い事業を展開しています。設立は1949年9月1日で、本社は東京都渋谷区恵比寿4丁目20番1号にあります。資本金は約531億円、従業員数は連結で約6,500人です。東京証券取引所プライム市場に上場しています。

サッポログループの歴史は古く、1876年に北海道で設立された「開拓使麦酒醸造所」にまでさかのぼります。これは日本で最初のビール醸造所とされ、同社の象徴である「星マーク」は開拓使のシンボルを受け継いだものです。サッポロは「黒ラベル」「ヱビス」「GOLD STAR」などの有名ブランドを擁し、長い歴史と高いブランド力を誇る企業です。

主力の酒類事業はサッポロビール株式会社が担っており、「サッポロ生ビール黒ラベル」「ヱビスビール」「GOLD STAR」などを中心に展開しています。特にヱビスは日本のプレミアムビール市場の草分け的存在で、高品質なビールブランドとして国内外で高く評価されています。チューハイ分野では「99.99(フォーナイン)」や「濃いめのレモンサワー」が人気を集めています。さらに、北米・アジア市場では「SAPPORO」ブランドの輸出が拡大し、海外での売上比率も高まっています。

飲料・食品事業はポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社が中心で、「ポッカレモン」「キレートレモン」「じっくりコトコト」「がぶ飲み」などの定番商品を展開しています。レモンや果汁飲料、健康志向の機能性飲料に強みを持ち、サステナブル素材を使った商品や新しい飲料カテゴリーの開発にも力を入れています。食品分野ではスープや加工食品が主力で、家庭用だけでなく業務用にも広がりを見せています。

外食事業はサッポロライオン株式会社が運営しており、日本最古のビヤホール「銀座ライオン」をはじめ、「YEBISU BAR」「THE DRAFT HOUSE」などの店舗を全国展開しています。ビールと食文化を融合させた飲食スタイルを発信しており、観光客にも人気のブランドです。特に「銀座ライオン」は創業120年以上の歴史を誇り、日本のビール文化を象徴する存在となっています。

さらに、サッポロ不動産開発株式会社による不動産事業も同社の収益基盤の一つです。代表的な物件は「恵比寿ガーデンプレイス」で、商業施設・オフィス・住宅などを備えた複合型開発として知られています。不動産事業はグループの安定収益を支える重要な柱であり、地域の再開発や街づくりを通じて長期的な資産価値向上に貢献しています。

サッポログループの経営理念は「潤いを創造し、豊かさを提供する」であり、ビール・飲料・食品・不動産の4つの事業を通して、人々の生活を豊かにすることを目指しています。中長期ビジョン「サッポログループVISION2030」では、ビール中心の事業モデルから脱却し、食と飲の総合企業へと進化する方針を掲げています。健康志向や環境配慮を重視し、サステナビリティを軸にした経営を進めているのも特徴です。

環境への取り組みとしては、CO₂排出削減やリサイクル素材の使用、再生可能エネルギーの活用を推進しています。また、北海道を中心とした地域社会との共生や、ビール文化の継承・観光振興などの社会貢献活動にも積極的です。

総合的に見ると、サッポロホールディングスは「伝統と革新の両立」を実現している企業です。長い歴史を背景に高品質な商品を提供しつつ、健康志向・環境対応・海外展開を強化することで、安定成長を続けています。ビールをはじめとする飲料事業を中核に、食品・外食・不動産を組み合わせた多角的経営によって、安定性と成長性を両立している企業です。

サッポロホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
2022.12 478,422 10,106 11,367 5,450 70.0 42
2023.12 518,632 11,820 12,144 8,724 112.0 47
2024.12 530,783 10,416 11,576 7,714 99.0 52
2025.12予 532,000 20,000 19,000 10,700 137.2 60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2022.12 7,814 -46,137 36,465
2023.12 45,446 -16,439 -27,140
2024.12 36,109 -5,836 -25,372

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR(実績)
2022.12 2.1% 3.2% 0.8%
2023.12 2.2% 4.7% 1.3%
2024.12 1.9% 3.9% 1.1% 67.9倍 36.2倍 3.02倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

サッポロホールディングスは、直近3年間の業績を見ると売上は着実に伸びているものの、利益面ではまだ改善途上で、収益構造が完全に安定しているとは言い難い状況です。

2022年12月期の営業利益は10,106百万円、2023年は11,820百万円、2024年は10,416百万円と推移しており、営業利益率は2.1%→2.2%→1.9%とわずかに低下しています。売上規模(約5,300億円)に対して営業利益の割合が低く、コスト構造の改善が今後の課題です。経常利益は2024年で11,576百万円、純利益は7,714百万円と前年より減少しており、利益率の鈍化が見られます。

ROEは3.2%→4.7%→3.9%、ROAは0.8%→1.3%→1.1%といずれも控えめで、資本効率はやや低めです。ビール業界の平均ROE(おおよそ6~8%)と比べると見劣りし、収益力強化が求められます。PBRは3.02倍と高めの水準で、純資産に対して株価はやや割高です。さらに2024年のPERは高値平均で67.9倍、安値平均でも36.2倍とかなり高く、利益水準に対して株価が先行している印象です。

ただし、同社はブランド力と安定した需要基盤を持っています。主力の「黒ラベル」や「ヱビス」ブランドは依然として堅調で、加えて「ポッカサッポロ」や外食、不動産などの複合事業が下支えとなっています。特に恵比寿ガーデンプレイスを中心とする不動産収益は安定しており、景気変動時にも一定のキャッシュフローを維持できる強みがあります。

一方で、他の大手(アサヒ・キリン)と比べると規模の差が大きく、原材料高や物流費上昇の影響を受けやすい点はリスクです。今後は、海外展開の強化と高付加価値商品の拡大によってどれだけ利益率を改善できるかが焦点になります。

総合的に見ると、サッポロホールディングスは「安定したブランドを持ちながらも利益率が低く、株価はやや割高」な状態にあります。投資判断としては、短期での上昇を狙うよりも、業績の立て直しやコスト削減が進むまで様子を見るのが無難です。

ただし、2025年12月期には営業利益2倍の2,000億円を計画しており、これが実現すればROE・ROAともに改善し、PER水準も正常化します。そのため、業績回復の確度が見えた段階での中長期投資には妙味がある銘柄といえます。

現時点では「中立〜やや慎重」なスタンスが妥当で、安定配当とブランド価値を評価しつつ、次期決算の内容を見極めるのが良い判断といえます。

配当目的とかどうなの?

サッポロホールディングスは、現時点では配当目的の投資にはあまり向かない銘柄といえます。

2025年12月期の予想配当は60円で、配当利回りは0.8%程度しかありません。東証プライム市場の平均配当利回り(約2%〜2.5%)や、同業のアサヒ(約3%)・キリン(約3%)と比較すると、明らかに低い水準です。

同社は過去数年、業績回復を優先しており、配当よりも成長投資や財務体質の強化を重視する傾向があります。営業キャッシュフローは安定していますが、利益率がまだ低く、増配余力は限定的です。特にROEが4%前後と低水準であることからも、株主還元よりも内部留保・設備投資・海外展開に資金を回していることが伺えます。

一方で、配当自体は安定的に増加しており、2022年の42円から2025年予想60円まで3年間で約1.4倍の増配を実現しています。したがって、減配リスクは低く、安定配当株としての性格は維持しています。

ただし、利回りが1%未満と低いため、配当収入を目的に保有するメリットは小さいです。むしろ、今後の業績回復や海外ビール事業の拡大による株価上昇(キャピタルゲイン)を狙うタイプの中期投資向け銘柄と見るのが現実的です。

まとめると、

  • 現状の配当利回り(0.8%)は低く、配当目的の投資には不向き
  • 減配リスクは低く、配当の安定性は高い
  • 成長戦略の成果次第で、将来的には増配の余地あり

したがって、配当を主目的にするよりも、業績回復後の株価上昇を見込んだ中長期投資向けの銘柄と位置づけるのが妥当です。

今後の値動き予想!!(5年間)

サッポロホールディングスの現在値は7,496円です。今後5年間の株価の見通しについて、事業の成長性・収益力・海外展開・不動産収益などを踏まえ、「良い場合」「中間」「悪い場合」の3つのシナリオで予想します。

良い場合(強気シナリオ)
プレミアムビール「ヱビス」や「黒ラベル」のブランド強化が進み、海外市場でも「SAPPORO」ブランドの売上が拡大するケースです。北米やアジアの販売が伸び、原材料高や物流コストが落ち着けば、営業利益率は3〜4%台に改善。
不動産事業も恵比寿ガーデンプレイスを中心に安定した収益を維持し、グループ全体のROEが6〜7%台に上昇する見通しです。PERが20倍程度まで見直されると仮定すると、5年後の株価は9,000円〜10,000円台まで上昇する可能性があります。業績改善とともに増配が進めば、配当も70円前後まで上がる余地があります。
長期的に見れば、ブランド価値と不動産収益の両輪で堅実に株価上昇が期待できる展開です。

中間の場合(標準シナリオ)
国内の酒類市場は伸び悩むものの、コスト管理の徹底と海外事業の安定で収益を確保するケースです。営業利益率は2〜3%台を維持し、ROEは5%前後。PERは15倍前後で推移する想定です。
この場合、株価は7,000円〜8,000円前後での横ばい圏が中心となり、配当を受け取りながら安定保有する展開になります。大きな値上がりは見込みにくいものの、景気変動に左右されにくいディフェンシブ性が強く、長期保有向きの銘柄としては堅実な推移が予想されます。

悪い場合(弱気シナリオ)
国内ビール市場が縮小し、海外でも為替変動や競争激化で採算が悪化するケースです。営業利益率が2%を下回り、ROEも3%程度に低下。さらに、原材料費や物流費の高止まりが続けば、収益構造の改善が遅れる可能性があります。
この場合、PERが10倍台まで縮小し、5年後の株価は6,000円〜6,500円程度まで下落するリスクがあります。配当利回りはやや改善しても、キャピタルロスが大きくなるおそれがあります。

まとめ
総合的に見ると、サッポロホールディングスはブランド力と不動産収益という安定要素を持ちながらも、利益率の低さと高コスト体質が課題です。株価の上昇余地はあるものの、急成長型ではなく、中長期的に「安定+緩やかな上昇」を狙うタイプの堅実なディフェンシブ銘柄といえます。

この記事の最終更新日:2025年11月4日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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