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双日とは

双日株式会社は、日本を代表する大手総合商社の一つで、世界各地で多様な事業を展開している企業です。現在の双日は、2004年に旧「ニチメン」と「日商岩井」という2つの商社が統合して誕生しました。商社としての歴史は100年以上に及び、世界各国に拠点を持ち、エネルギーから生活関連事業まで幅広い分野を手がけています。
本社は東京都千代田区内幸町2丁目1番1号にあり、資本金は約1,603億円。グループ全体では国内外に約500社の連結子会社・関連会社を有し、社員数は約2万人規模にのぼります。双日の経営理念は「誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造する」であり、スローガンとして「New Way, New Value」を掲げています。これは、既存の枠にとらわれず新しい価値を創造していくという姿勢を示しています。
事業内容は非常に幅広く、主に7つの分野で構成されています。
まず、「自動車・モビリティ事業」では、国内外で自動車の販売・生産・部品供給などを手がけています。特にアジアや中南米での自動車販売やディーラー事業を強化しており、モビリティ社会の変化に対応した新たなビジネスモデルの構築を進めています。
次に「航空・社会インフラ事業」では、民間航空機の販売・リース・保守支援など航空機ビジネス全般を扱うほか、鉄道・道路・エネルギーなどのインフラ開発プロジェクトも推進しています。日本や東南アジア諸国での社会基盤整備に関わり、公共性の高いプロジェクトを数多く手掛けています。
「エネルギー・ヘルスケア事業」では、従来の石油・ガスなどの資源開発に加え、再生可能エネルギー(風力・太陽光・水素など)への転換を進めています。また、医療機器や病院運営支援などのヘルスケア分野にも進出しており、社会課題の解決型ビジネスにも注力しています。
「金属・資源・リサイクル事業」では、鉄鉱石・非鉄金属・レアメタルなどの資源を世界中から調達し、安定供給を支える一方で、リサイクル・資源循環の分野にも積極的に取り組んでいます。近年は環境配慮型素材やカーボンリサイクル関連の開発にも参入しています。
「化学事業」では、化学品・合成樹脂・医薬原料などの販売や輸出入を行っており、グローバルな原材料ネットワークを持っています。自動車や電子部品、食品、医療といった幅広い産業分野を支える存在です。
「生活産業・アグリビジネス」では、食品・農業・衣料・日用品など、生活に密着した分野をカバーしています。日本国内外で農産品の生産や食品の流通・販売を行い、アジア市場を中心に成長しています。また、小売・外食・物流といった消費者向けビジネスも展開しています。
さらに、「プロジェクト開発事業」では、海外の港湾・発電・工業団地などの開発を手掛け、各国政府や企業と連携しながら長期的なインフラ整備に貢献しています。
このように双日は、資源から生活インフラまでを一貫して取り扱う総合商社として、リスク分散を図りながら安定的な収益を確保しています。特定の分野に偏らず、エネルギー・インフラ・モビリティ・消費財といった多様なセクターをバランス良く展開している点が強みです。また、脱炭素・環境対応・デジタル化を重点テーマとしており、将来的には「持続可能な社会を支えるビジネスモデル」への転換を進めています。
総合的に見て、双日は「安定性」と「多角化」のバランスが取れた企業です。資源価格や為替変動の影響を受けつつも、分野ごとの収益源を分散させることで、景気変動に強い体質を築いています。今後は再生可能エネルギーやヘルスケア分野の成長が期待されるほか、海外でのインフラ開発事業が新たな収益の柱になると見られます。
双日 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 2,479,840 | 127,566 | 155,036 | 111,247 | 481.9 | 130 |
| 2024.3 | 2,414,649 | 87,731 | 125,498 | 100,765 | 451.0 | 135 |
| 2025.3 | 2,509,714 | 89,196 | 135,300 | 110,636 | 513.7 | 150 |
| 2026.3予 | 2,650,000 | 91,000 | 140,000 | 115,000 | 552.8 | 165 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 171,639 | 29,157 | -230,367 |
| 2024.3 | 112,187 | 12,429 | -186,523 |
| 2025.3 | -16,688 | -94,106 | 106,388 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均) | PER(安値平均) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 5.1% | 13.2% | 4.1% | – | – | – |
| 2024.3 | 3.6% | 10.9% | 3.4% | – | – | – |
| 2025.3 | 3.5% | 11.4% | 3.5% | 7.9倍 | 5.0倍 | 0.87倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
双日株式会社は、国内外で幅広く事業を展開する総合商社です。直近の業績を見ると、安定感のある収益構造を持ちながらも、一部の年度では利益がやや伸び悩むなど、全体的に落ち着いた推移となっています。
2023年3月期から2025年3月期までの数字を見ると、売上高は2兆4,000億円台から2兆5,000億円台で推移しており、商社としては堅実な水準を維持しています。営業利益は1,275億円から約890億円とやや減少傾向ですが、経常利益は1,353億円と再び回復しています。純利益も1,100億円前後で推移しており、全体として大きなブレはありません。
営業利益率は5.1%から3.6%、そして3.5%へと若干低下していますが、総合商社としては標準的な水準です。ROE(自己資本利益率)は13.2%から10.9%、そして11.4%と高水準を維持しており、株主資本を効率的に使って利益を上げている点は評価できます。ROA(総資産利益率)も4%前後で推移しており、総合商社としては十分に安定しています。
一方で、株価指標をみると非常に割安な状態にあります。2025年3月期のPERは高値平均で7.9倍、安値平均では5.0倍、PBRは0.87倍です。PERが10倍を下回り、PBRも1倍を切っているということは、株価が利益や資産に対して低く評価されているということを意味します。業績は堅調にもかかわらず市場で過小評価されており、長期的には見直し買いが入る余地があります。
財務面でも安定しており、自己資本比率は30%台後半と健全です。営業キャッシュフローは一時的にマイナスとなっていますが、これは積極的な投資活動によるもので、事業拡大に向けた戦略的な資金支出と考えられます。借入依存も抑えられており、資金繰りリスクは低いです。
全体的に見て、双日は「堅実な商社経営を続けながらも、株価が割安に放置されている企業」といえます。派手な成長はないものの、着実に利益を積み重ね、配当も増加傾向にあります。PBR0.87倍という数値は、株主資本に対して市場がまだ評価しきれていない状態を示しており、長期的にみれば再評価の可能性が高いです。
投資判断としては、短期的な株価急騰は見込みにくいものの、長期的に保有することで配当と株価上昇の両方を狙える銘柄といえます。現在の業績と財務状況を考えると、リスクは比較的低く、商社株の中でも安定感があります。特にPER・PBRが割安な今の水準は、中長期投資の買い場として有力です。
まとめると、双日は派手さはないものの、収益・財務・配当すべてがバランスよく安定している堅実な企業です。大きな値上がり益を狙うというよりは、配当を受け取りながら中期的な株価上昇を待つ「安定志向の投資家向けの銘柄」として評価できます。
配当目的とかどうなの?
双日株式会社は、配当目的の長期保有に非常に向いた銘柄です。2026年3月期の予想配当は165円で、配当利回りは約4.0%。これは東証プライム上場企業の平均(2%台前半)を大きく上回る水準で、総合商社の中でも高配当銘柄として位置付けられます。
双日はここ数年、安定的かつ着実な増配を続けています。2023年3月期に130円、2024年に135円、2025年に150円、そして2026年に165円と、4年連続の増配が予想されています。業績が大きく悪化していない限り、減配のリスクは低く、株主還元姿勢が強い企業です。
また、営業キャッシュフローも安定しており、内部留保も十分に積み上がっています。総合商社は景気変動の影響を受けやすい業態ではありますが、双日は資源・金属・化学・自動車・生活産業と複数の事業をバランスよく展開しており、特定分野に依存していないため、配当の安定性が高いのが特徴です。
さらに、PBRが0.87倍と1倍を下回っているため、株価自体が割安に放置されている状態です。つまり、株価の上昇余地を残しながら、4%を超える高配当を受け取れるという点で、リスクの低いインカムゲイン銘柄といえます。
この銘柄は、短期売買で値幅を狙うよりも、「安定配当をもらいながら長期でじっくり保有する」スタイルに最も向いています。商社株は景気循環に合わせて上下しますが、双日は比較的業績変動が穏やかで、保有中に減配する可能性も小さいです。
したがって、配当目的で投資するなら非常に優秀な選択肢です。
利回り4%台、連続増配、堅実な財務基盤という三拍子がそろっており、安定的に配当収入を得たい投資家には理想的な銘柄です。
まとめると、
- 配当利回り:約4.0%で高水準
- 4年連続の増配実績、減配リスクが低い
- 事業分散が進んでおり、配当の安定性が高い
- 株価もPBR0.87倍と割安圏で、将来的な株価上昇も期待できる
このため、双日は「高配当+割安+安定経営」を兼ね備えた配当狙いの長期保有銘柄として非常に魅力的です。
今後の値動き予想!!(5年間)
双日株式会社の現在の株価は4,100円です。ここから5年間の値動きを、良い場合・悪い場合・中間の場合に分けて考えてみます。
まず、双日は資源や自動車、インフラなど幅広い事業を展開しており、全体的に安定感のある総合商社です。利益率は商社として標準的で、ROEやROAも高水準を維持しています。現在の株価指標(PER7倍前後、PBR0.9倍前後)はまだ割安といえるため、今後の業績次第では上昇余地があります。
【良い場合】
エネルギー・インフラ・リサイクルなどの成長分野が伸び、資源価格や為替が追い風になるパターンです。営業利益率が3.5%から4.5%前後に改善し、ROEも12%前後を維持できると想定されます。市場からの評価も高まり、PERが12倍前後まで上昇する可能性があります。
この場合、5年後の株価は 5,700円〜6,300円程度 に上昇する見込みです。
配当も順調に増え、年165円 → 180円程度まで引き上げられる可能性があります。長期保有すれば配当収入と値上がり益の両方を得られる展開です。
【中間の場合】
業績は安定し、現在と同程度の水準を維持するシナリオです。営業利益率は3.5〜4.0%前後、ROEは10〜11%程度で推移。大きな伸びはありませんが堅調な経営が続きます。
市場の評価も落ち着いたままで、PERは8〜9倍、PBRは0.9〜1.0倍あたりを推移すると考えられます。
この場合、5年後の株価は 4,800円〜5,200円程度 に緩やかに上昇する可能性があります。
配当も165円 → 170〜175円あたりまで増配されると想定され、配当利回り4%前後を維持できそうです。
【悪い場合】
世界経済の減速や資源価格の下落、為替の逆風などが重なった場合です。営業利益率が2.5%前後まで低下し、ROEも8%を下回る可能性があります。
PERは5倍程度、PBRも0.8倍以下となり、株価は 3,400円〜3,800円程度 に下落する恐れがあります。
配当は維持される可能性もありますが、業績が悪化すれば据え置きまたは減配の可能性も出てきます。
【まとめ】
双日は、現在の株価水準でも配当利回りが4%を超える高配当株です。大きな成長性はないものの、業績の安定性と株主還元姿勢の強さを考えると、長期保有に適した堅実な銘柄といえます。悪い場合でも配当である程度リスクをカバーできるため、「中長期で配当を受け取りながら堅実に保有するタイプの投資先」として非常に魅力的です。
この記事の最終更新日:2025年11月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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