株価
三越伊勢丹ホールディングスとは

株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、日本を代表する百貨店グループであり、2008年4月1日に株式会社伊勢丹と株式会社三越の経営統合によって設立された純粋持株会社です。資本金は約515億円で、東京証券取引所プライム市場に上場しています。
同社は「三越」「伊勢丹」という二つの老舗百貨店ブランドを軸に、日本全国に店舗を展開しています。主な店舗は、伊勢丹新宿本店、日本橋三越本店、銀座三越、札幌三越、仙台三越、名古屋栄三越、広島三越、福岡三越などで、地域を代表する商業施設として長年にわたり親しまれています。加えて、アジアを中心に海外展開も行っており、現地法人や提携店舗を通じてグローバルに事業を展開しています。
事業内容は百貨店業を中心に多角化されており、主なセグメントは百貨店事業、クレジット・金融・友の会事業、不動産事業、専門店・小売事業、その他事業に分かれます。百貨店事業では高級ブランド、ファッション、食品、生活雑貨、文化事業などを扱い、クレジット事業ではエムアイカードを中心に顧客基盤を拡大しています。不動産事業では店舗や商業施設の開発・賃貸を行い、専門店事業や人材派遣、物流、旅行、情報システムサービスなども手掛けています。
グループ会社には、株式会社エムアイカード(クレジット事業)、株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザイン(不動産・内装事業)、株式会社三越伊勢丹トラベル(旅行事業)、株式会社三越伊勢丹ビジネスサポート(業務支援事業)などがあり、グループ全体で総合的なライフスタイル提案を行っています。
経営理念は「お客さまの暮らしを豊かにするライフスタイル提案企業」であり、伝統的な百貨店の接客文化を守りながら、デジタル技術やサステナビリティを重視した新しい経営を進めています。オンラインストア「三越伊勢丹オンラインストア」やアプリ「三越伊勢丹リモートショッピング」などを通じて、リアルとデジタルを融合した購買体験を提供しています。
また、顧客データを活用したマーケティング、高付加価値商品の開発、訪日外国人向けのインバウンドサービスにも注力し、国内外での競争力強化を図っています。老舗百貨店としての伝統と信頼を基盤に、時代の変化に合わせて新しい価値を創造し続ける企業グループです。
三越伊勢丹ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 487,407 | 29,606 | 30,017 | 32,377 | 84.8 | 14 |
| 連24.3 | 536,441 | 54,369 | 59,877 | 55,580 | 145.8 | 34 |
| 連25.3 | 555,517 | 76,313 | 88,123 | 52,814 | 142.4 | 54 |
| 連26.3(予) | 552,000 | 77,000 | 73,000 | 59,000 | 165.6 | 60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 66,301 | -27,026 | -16,198 |
| 2024年3月期 | 56,895 | -27,015 | -68,485 |
| 2025年3月期 | 89,564 | -25,955 | -94,909 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 6.0% | 5.9% | 2.6% | ― | ― |
| 2024年3月期 | 10.1% | 9.3% | 4.5% | ― | ― |
| 2025年3月期 | 13.7% | 8.7% | 4.3% | 高値平均 21.6倍/安値平均 11.6倍 | 1.47倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
三越伊勢丹ホールディングスは、業績・収益性・財務指標すべてにおいて改善傾向が続く堅実な銘柄です。
2023年から2025年にかけて営業利益は29,606億円から76,313億円へと大きく伸びており、経常利益も30,017億円から88,123億円、純利益も32,377億円から52,814億円と着実に成長しています。特に営業利益率が6.0%から13.7%へと倍増しており、コロナ禍以降の経費構造改革や高付加価値商品の強化が実を結んだ形です。
ROEは5.9%から9.3%、そして8.7%と推移し、自己資本を効率的に活用していることがうかがえます。ROAも2.6%から4.3%へと改善しており、総資産に対して安定的に利益を上げられる体制が整っています。営業利益率・ROE・ROAすべてが業界平均を上回っており、収益性の高さが際立っています。
一方で、2025年の実績PERは高値平均21.6倍、安値平均11.6倍、実績PBRは1.47倍と、株価は利益水準に対してやや割高圏にあります。ただし、百貨店業界の中で同社はブランド力・収益性ともに抜きん出ており、将来のインバウンド需要回復や海外展開の拡大を考慮すれば妥当な水準と見ることができます。
また、営業キャッシュフローは直近で約8,956億円と非常に安定しており、財務CFがマイナスでも自己資金で十分に投資・配当を賄えています。配当も年々増加しており、2023年14円、2024年34円、2025年54円と推移、次期予想は60円で、配当利回りは約2.5%となっています。連続増配の姿勢が明確で、長期保有によるインカムゲインも魅力的です。
総合的に見ると、同社は「収益性の向上」「財務の健全性」「株主還元」の3拍子が揃った安定企業です。営業利益率やROEの改善が続いている点からも、コスト管理とブランド戦略が機能していることが分かります。株価はやや割高圏ではあるものの、長期的に見ると業績拡大と増配が見込めるため、長期投資・配当狙いの投資先として魅力があります。
総評としては、短期的な株価上昇を狙うよりも、安定した業績と増配基調を活かした中長期での「やや強気」投資判断が妥当です。
配当目的とかどうなの?
三越伊勢丹ホールディングスは、配当目的の長期投資先としても十分に魅力がある銘柄です。
まず、2023年からの配当推移を見ると、14円 → 34円 → 54円 →(2026年3月期予想)60円と毎年増配を続けており、安定した利益成長とともに株主還元姿勢を強めています。配当性向はおおむね30〜35%前後で、無理のない範囲で持続的な増配を実現している点が評価できます。
予想配当利回りは2.51%(2026年3月期)と、銀行預金や国債利回りを大きく上回る水準です。インカム狙いとしては高配当株とまではいきませんが、連続増配+業績の安定性+財務健全性という3つの安心感があります。営業キャッシュフローが直近で約8,956億円と厚く、借入金返済や投資支出を行ってもなお余力があるため、今後も増配余地は十分にあります。
同社は「お客様の暮らしを豊かにするライフスタイル提案企業」という理念のもと、百貨店だけでなくカード事業・不動産・デジタル販売など多角的な収益源を持っています。これにより、景気変動の影響を緩和しやすく、安定配当を維持しやすい体質です。
株価水準もPBR約1.47倍、PER11~21倍レンジと中庸で、配当利回りだけでなく中長期の値上がり益も期待できます。加えて、インバウンド需要の回復や富裕層消費の堅調さが続けば、さらなる利益拡大から増配ペースが加速する可能性もあります。
総合的に見て、三越伊勢丹ホールディングスは「高配当株」ではなく「安定成長+継続増配型の優良銘柄」です。長期で持つことで、安定したインカムゲインと緩やかなキャピタルゲインの両方を狙えるため、配当目的の保有にも十分向いている銘柄といえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価が2,386円の三越伊勢丹ホールディングス(3099)について、今後5年間の株価シナリオを3パターンで予想します。
【良い場合】
国内外の富裕層消費とインバウンド需要がさらに拡大し、百貨店事業の利益率が高止まりするシナリオです。
デジタル戦略や不動産事業も安定的に収益を伸ばし、ROEが10%前後を維持。PERは上限の21倍付近まで評価され、株価は約4,000~4,500円程度まで上昇する可能性があります。配当も年70円以上まで増える見通しで、キャピタルゲインとインカムゲインの両方が狙える展開です。経済が堅調に推移し、訪日観光客が戻る場合はこの水準が十分に現実的です。
【中間の場合】
業績は堅調ながら、国内消費が伸び悩み、為替や物価上昇の影響を受けて利益成長がやや鈍化するシナリオです。営業利益率は12~13%台を維持しつつも、株価はやや割安圏のPER15~17倍程度で推移。その場合、株価は約2,800~3,200円前後が中心レンジとなります。配当は60~65円程度が続き、安定したインカムゲインを確保できる展開です。大きな上昇はないものの、リスクが比較的少ない安定成長型の動きが想定されます。
【悪い場合】
国内消費が減速し、インバウンド需要も円高や景気後退で伸び悩むシナリオです。営業利益率が10%を下回り、ROEも7%台まで低下。PERはレンジ下限の11~12倍に縮小し、株価は約1,800~2,000円程度まで下落する可能性があります。
それでも財務は健全であり、配当が50円前後に維持されれば、配当利回り3%台で下支えが入る展開となります。短期的には調整局面があり得ますが、長期的な倒産リスクは低く、下値は限定的とみられます。
まとめ
総合的には、三越伊勢丹ホールディングスは長期的に安定した収益を上げられる体質を持ち、5年後に株価が現状より上昇している可能性が高い銘柄です。配当を受け取りながら中長期で保有することで、安定したリターンが期待できます。
この記事の最終更新日:2025年11月5日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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