株価
ZOZOとは

株式会社ZOZOは、千葉県千葉市稲毛区緑町1丁目15番16号に本社を置く、日本を代表するファッションEC企業です。設立は1998年5月21日で、もともとは有限会社スタート・トゥデイとして設立され、2007年12月に東証マザーズに上場、その後プライム市場に移行しました。資本金は約13.6億円、連結従業員数は約1,700名、グループ全体では2,000名を超えています。平均年齢は約34歳と比較的若く、ファッション業界とIT業界を融合させた新しいビジネスモデルを確立しています。
ZOZOの企業理念は「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」であり、ファッションとテクノロジーを融合させた「ファッションテック(Fashion Tech)」企業として、データやテクノロジーを活用して新しい購買体験を提供することを目指しています。
同社の主力事業は、日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」の運営です。ZOZOTOWNは、国内外1,500以上のブランドを取り扱うオンラインモール型のサイトで、アパレル、靴、アクセサリー、コスメなど幅広い商品を展開しています。ZOZOTOWNのビジネスモデルは大きく3つに分かれており、①ブランドから商品を預かり販売手数料を得る「受託販売モデル」、②自社が商品を買い取り販売する「買取モデル」、③中古品の販売を行う「ZOZOUSED」事業です。この受託販売が売上の中心を占めており、在庫リスクが少ない点が特徴です。
また、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」も運営しており、ユーザーが自分のコーディネートを投稿・共有できるSNS型サービスとして人気を集めています。WEARの投稿数は累計1,600万件を超え、10代から30代の若年層を中心に支持されています。ユーザー投稿データを活用して購買傾向を分析し、ZOZOTOWN内の販売戦略や広告展開にも反映させています。
さらに、ZOZOは自社開発のテクノロジーを活用したサービスにも力を入れています。たとえば、体のサイズを自動で計測する「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」、足の形を3Dスキャンする「ZOZOMAT(ゾゾマット)」、肌の色を分析して最適なコスメカラーを提案する「ZOZOGLASS(ゾゾグラス)」など、ユーザーごとのデータをもとにした「パーソナライズド・ショッピング体験」を提供しています。これにより、オンラインでも試着に近い精度の購買体験を実現し、返品率の低減や顧客満足度の向上に成功しています。
物流面では、千葉県習志野市と茨城県つくば市に大型物流拠点「ZOZOBASE」を設けています。これらの拠点は、商品保管・撮影・検品・発送を自社で一括管理するシステムを採用しており、数千万点に及ぶ商品を自動化された倉庫で処理しています。AIを活用した在庫管理や配送最適化も進んでおり、国内EC企業の中でもトップクラスの効率性を誇ります。
近年は親会社のLINEヤフー株式会社(旧Zホールディングス)の傘下に入り、グループシナジーを活かした事業展開を進めています。Yahoo!ショッピングとの連携による顧客基盤の拡大、LINEアプリを活用したマーケティング、電子決済サービス「PayPay」との統合など、より大きなデジタル経済圏の中でZOZOのサービスを発展させています。
また、海外展開も強化しており、アジア圏を中心に越境ECサービスを提供。海外ブランドの国内販売や、日本ブランドの海外販売支援も進めています。将来的には、グローバルなファッション・テクノロジー企業としてのポジションを確立することを目指しています。
総合的に見ると、株式会社ZOZOは単なるファッション通販サイト運営会社ではなく、テクノロジーとデータを駆使して「人と服との出会い方を変える」企業です。物流の効率化、データ分析による購買最適化、AIや3Dスキャン技術の導入など、あらゆる領域で先進的な取り組みを進めています。
今後も国内市場での安定した成長とともに、海外展開・テクノロジー開発による事業拡大が期待される、日本のEC業界を代表する企業の一つです。
直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3* | 183,423 | 56,421 | 56,716 | 39,526 | 43.9 | 21.7 |
| 連24.3* | 197,016 | 60,079 | 59,764 | 44,341 | 49.4 | 34.7 |
| 連25.3* | 213,131 | 64,756 | 64,888 | 45,346 | 50.9 | 35.7 |
| 連26.3予 | 233,600 | 69,800 | 69,800 | 48,500 | 54.8 | 39.0 |
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー(営業CF) | 36,671 | 42,589 | 60,114 |
| 投資キャッシュフロー(投資CF) | -10,588 | -9,879 | -6,285 |
| 財務キャッシュフロー(財務CF) | -17,738 | -37,138 | -32,081 |
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 30.7% | 51.6% | 25.3% | ― | ― | ― |
| 2024年3月期 | 30.4% | 52.3% | 27.3% | ― | ― | ― |
| 2025年3月期 | 30.3% | 45.9% | 24.1% | 30.3倍 | 18.7倍 | 11.96倍 |
投資判断
株式会社ZOZOは、日本を代表するファッションEC企業であり、利益率と資本効率の高さが際立つ「高収益型の成長企業」です。数字の面から見ても、非常に優れた収益体質と財務の健全性を持つことが確認できます。
まず業績面を見ると、2023年から2025年にかけて売上高は1,834億円から2,131億円へと着実に成長しています。営業利益は564億円から648億円、経常利益は567億円から649億円、純利益も395億円から453億円へと増加しており、すべての段階で堅調な右肩上がりを示しています。ファッションEC市場は競争が激しいものの、ZOZOはブランドとの強固な関係と高い顧客リピート率に支えられ、安定した成長を維持しています。
特に注目すべきは営業利益率の高さで、3年連続で30%前後(2023年30.7%、2024年30.4%、2025年30.3%)を維持しています。通常、EC業界では10%前後が平均的な水準ですが、ZOZOはその3倍に近い利益率を確保しており、在庫リスクを抑えた受託販売モデルや自社物流拠点「ZOZOBASE」の効率運営が収益性の高さにつながっています。
さらにROE(自己資本利益率)は2023年が51.6%、2024年が52.3%、2025年でも45.9%と非常に高く、株主資本を効率よく利益に変えている点が際立ちます。ROA(総資産利益率)も25%前後と高く、資産の小さなオンライン企業ならではの軽いビジネスモデルで高収益を上げていることが分かります。これらの数値は国内の上場企業の中でもトップクラスの水準であり、経営効率の高さを示しています。
一方で、株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均で30.3倍、安値平均で18.7倍、PBRは11.96倍とかなり高めです。これは、ZOZOのビジネスモデルが安定的に利益を生み出し続けると市場が判断しているためであり、単なる割高というより「プレミアム評価」を受けている状態です。投資家はこの企業に対して、今後も成長と増配を続けるだろうという信頼を織り込んでいます。
キャッシュフローの推移も堅調で、営業キャッシュフローは2023年36,671百万円から2025年には60,114百万円に増加しています。投資キャッシュフローはマイナスながら額は小さく、これは主に設備投資や開発費に使われているものです。財務キャッシュフローのマイナスは、配当金支払いや自社株買いによる株主還元を反映しています。これらの数字から、同社が事業成長と同時に株主還元を重視している姿勢がはっきり読み取れます。
総合的に見ると、ZOZOは極めて高い収益力と効率性を誇る企業であり、「中長期で安定成長を狙える銘柄」といえます。ROEや営業利益率の水準を考えると、現状のPER水準(20〜30倍台)は必ずしも割高とは言えず、企業の成長余地を考慮すれば妥当な評価です。短期的には株価がやや高値圏にあるため、押し目を待っての中期投資が効果的でしょう。
また、配当も2023年の21.7円から2025年35.7円と増加しており、連続増配傾向にあります。営業キャッシュフローが潤沢なため、今後も増配や自社株買いを継続できる見込みです。配当目的の投資にも一定の魅力があります。
まとめると、ZOZOは「高収益・高効率・安定成長・株主還元」の4拍子が揃った企業です。短期的には株価の上下動はあるものの、長期的に見れば業績・配当ともに堅調な上昇が見込めるため、中長期保有に適した優良グロース株と判断できます。
配当目的とかどうなの?
株式会社ZOZOは、配当目的でも十分に魅力がある銘柄です。
ただし、JTや銀行株のような「高配当株」ではなく、業績の成長に合わせて配当を着実に増やしていく「安定成長型の配当株」として位置づけられます。
同社の配当は年々増加しており、2023年の1株あたり21.7円から、2024年34.7円、2025年35.7円、そして2026年には39円の予想となっています。3年連続の増配を予定しており、会社が株主還元を重視していることがはっきりと見て取れます。現在の株価ベースでの予想配当利回りは約3.03%で、東証プライムの平均よりも高い水準です。
ZOZOの強みは、利益率の高さと安定したキャッシュフローにあります。営業キャッシュフローは2023年の約366億円から2025年には約601億円まで増加しており、会社の稼ぐ力が着実に強まっています。投資に使う金額は限られているため、配当の原資をしっかり確保できており、減配リスクは極めて低いといえます。また、自社株買いも積極的に行っており、配当と合わせた総還元性向は非常に高い水準にあります。
こうした安定した利益構造と財務体質によって、ZOZOは配当を「守る」だけでなく、「増やし続ける」ことができる企業です。今後も業績拡大とともに増配の余地が大きく、長期で保有すればするほど、投資額に対する実質的な配当利回り(YOC)は上がっていく可能性があります。
短期的に高利回りを狙う銘柄ではありませんが、業績の成長と連動して毎年少しずつ配当が増えていくため、安定的なインカムゲインを得ながら株価上昇も期待できるタイプの銘柄です。
総合的に見ると、ZOZOは配当目的の投資として「中長期保有で非常に優秀」と言えます。短期での高配当狙いには向きませんが、5年、10年と保有していくことで安定した配当収入と株価の成長を同時に享受できる、信頼性の高い成長配当株です。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社ZOZOの現在株価は1,284円です。ここから5年間の値動きを「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」の3つのシナリオで予想します。
【良い場合】
国内のアパレル市場が再び活性化し、インバウンド需要やEC利用の拡大が追い風になります。ZOZOTOWNやWEARなどのプラットフォームが成長を続け、営業利益率は30%台を維持。さらに自社開発の計測テクノロジー(ZOZOMAT・ZOZOGLASSなど)が定着し、海外展開や新サービスも順調に拡大します。
このような状況では、ROEは50%近い高水準を維持し、EPSも年5〜8%のペースで伸びます。PERも市場平均を上回る20〜25倍程度で評価され、株価は2,200〜2,600円前後まで上昇する可能性があります。配当も増加を続け、5年後には1株50円台の配当も視野に入ります。
【中間の場合】
国内の消費は安定し、ZOZOの成長は緩やかになります。新規ユーザーの伸びは一服するものの、既存顧客のリピート率が高く、収益は堅調に推移。営業利益率は28〜30%を維持し、ROEも40%台で安定。
PERは15〜18倍程度で評価され、株価は1,600〜1,900円のレンジで推移する見込みです。増配も継続しますが伸び率は穏やかになり、利回りは3%前後を維持。長期的に見ると、堅実なインカム+安定成長株として位置づけられます。
【悪い場合】
アパレル業界全体の低迷や、消費者の節約志向が強まることで売上が伸び悩みます。新しいECサービスとの競争が激化し、手数料引き下げや販促コスト増加で営業利益率は25%を下回る可能性もあります。
ROEは30%前後まで低下し、投資家の期待も後退。PERは12〜14倍程度まで下がると、株価は1,000〜1,200円程度まで下落する可能性があります。増配は難しくなり、配当は横ばいまたは一時的に減配するリスクもあります。
【まとめ】
ZOZOは営業利益率・ROEともに非常に高く、安定したキャッシュフローを持つ優良企業です。短期的な値動きよりも、長期的な利益成長と増配を重視する投資家に向いた銘柄です。5年後の株価は、中間シナリオを基準にすれば1,700円前後が妥当な目安で、長期保有によるトータルリターン(株価上昇+配当収入)で年5〜6%程度のリターンが期待できます。
この記事の最終更新日:2025年11月5日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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