株価
セブン&アイ・ホールディングスとは

セブン&アイ・ホールディングス株式会社は、東京都千代田区二番町8番地8に本社を置く、日本を代表する総合流通グループの持株会社です。2005年9月に設立され、セブン‐イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、セブン銀行などを傘下に持っています。東京証券取引所プライム市場に上場しており、資本金は約500億円、連結従業員数は15万人を超える大企業グループです。
同社の特徴は、コンビニエンスストア事業を中心に、総合スーパー、食品スーパー、百貨店、専門店、外食、金融サービス、IT事業など、幅広い業態を展開している点です。国内では「セブン‐イレブン」「イトーヨーカドー」「ヨークベニマル」「アリオ」などが代表的なブランドで、海外ではアメリカを中心に「7-Eleven, Inc.」が大規模に展開しており、北米の店舗数は2万店を超えています。
中核事業であるセブン‐イレブン事業は、グループの収益の柱となっており、国内外あわせて約8万店舗を運営しています。日本国内ではフランチャイズ方式によって地域に密着した店舗網を築き、北米では買収を通じてスピーディーに事業を拡大しています。特にアメリカの「Speedway」事業買収により、世界最大級のコンビニチェーンへと成長しました。
総合スーパー事業ではイトーヨーカ堂を中心に、食品や日用品を扱う店舗を全国で展開しています。かつては総合品揃え型の大型店舗が多かったものの、現在は食品中心の「地域密着型店舗」へと方向転換を進めています。また、ヨークベニマルやヨークマートなどの食品スーパー事業もグループ内で連携し、収益力の安定を図っています。
金融・サービス分野ではセブン銀行を中心に、全国のセブン‐イレブンやイトーヨーカ堂に設置されたATMを通じて、利便性の高い金融サービスを提供しています。電子マネー「nanaco」やセブンカード・プラスなど、キャッシュレス決済の普及にも貢献しています。
また、プライベートブランド商品「セブンプレミアム」は、品質と価格のバランスに優れた商品群として国内外で高い評価を受けており、食品や日用品など幅広いカテゴリで展開されています。さらに、環境保全・食品ロス削減・再生エネルギー利用など、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営にも積極的に取り組んでいます。
近年は事業再編も進めており、百貨店事業の「そごう・西武」を売却するなど、収益性の高いコンビニ・食品・金融事業への集中を加速させています。グループの基本方針として「お客様の生活インフラを支える総合サービス業」を掲げ、日常生活のすべてのシーンに密着した商品とサービスを提供し続けています。
総合的に見て、セブン&アイ・ホールディングスは、国内外に強力なブランド力と店舗網を持つ流通業界のリーダー企業です。安定したキャッシュフローと高い収益基盤を背景に、今後もデジタル化・海外事業拡大・環境対応を軸とした持続的な成長が期待されます。
セブン&アイ・ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
当期純利益 (百万円) |
一株当たり利益 (円) |
一株当たり配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.2* | 11,811,303 | 506,521 | 475,887 | 280,976 | 106.0 | 37.7 |
| 連24.2* | 11,471,753 | 534,248 | 507,086 | 224,623 | 84.9 | 37.7 |
| 連25.2 | 11,972,762 | 420,991 | 374,586 | 173,068 | 66.6 | 40.0 |
| 連26.2予 | 10,840,000 | 430,000 | 400,000 | 260,000 | 105.4 | 50.0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023年2月期 | 928,476 | -413,229 | -270,373 |
| 2024年2月期 | 673,015 | -431,809 | -377,065 |
| 2025年2月期 | 876,458 | -732,363 | -392,648 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年2月期 | 4.2% | 8.0% | 2.6% | ― | ― |
| 2024年2月期 | 4.6% | 6.0% | 2.1% | ― | ― |
| 2025年2月期 | 3.5% | 4.2% | 1.5% |
実績PER 高値平均:28.8倍 安値平均:20.0倍 |
実績PBR:1.34倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
セブン&アイ・ホールディングスは、現在やや停滞期に入っているものの、依然として安定した経営基盤を持つ大手小売グループです。
営業利益は2023年に5,065億円、2024年に5,342億円と一時的に増加しましたが、2025年には4,209億円に減少しています。経常利益も4,758億円から3,745億円へと減少し、純利益も2,809億円から1,730億円まで落ち込んでいます。
この減益の背景には、北米セブン‐イレブン事業での物流コスト上昇や人件費増加、国内スーパー事業の再編費用などが影響しています。
営業利益率は2023年の4.2%から2024年に4.6%まで上がったものの、2025年には3.5%まで低下しており、全体の収益性は弱まっています。ROE(株主資本利益率)も8.0%から4.2%へ半減しており、ROA(総資産利益率)も2.6%から1.5%に落ち込んでいます。
つまり、企業全体として資本や資産を使ってどれだけ効率的に利益を上げられるかという「経営効率」が悪化している状況です。
一方で、2025年の実績PERは高値平均28.8倍、安値平均20.0倍、PBRは1.34倍と比較的高水準にあります。
この水準は、セブン&アイのブランド力や安定的な収益構造を市場が評価していることを示しており、「信頼性が高い大型ディフェンシブ株」としての位置づけが強いことがわかります。
ただし、PER20倍を超える評価は今後の利益回復を前提としており、業績改善が遅れると株価が調整する可能性があります。
キャッシュフロー面では、営業キャッシュフローが9,000億円前後と非常に高く、本業で安定的に資金を生み出せる体質です。
一方で投資キャッシュフローはマイナス4,000億〜7,000億円と大きく、積極的にM&Aや設備投資を行っています。財務キャッシュフローもマイナスで、自社株買いや配当などの株主還元を続けています。財務的な安定性は高く、倒産リスクは極めて低いといえます。
総合的に見ると、セブン&アイは「堅実で現金を稼ぐ力はあるが、利益率の改善が課題」という状況です。ROEやROAの低下は気になるものの、セブン‐イレブンを中心としたキャッシュ創出力は非常に強く、景気後退局面でも業績が大きく崩れる可能性は低いです。
そのため、短期的な株価上昇を狙う銘柄ではなく、配当を受け取りながら安定運用したい投資家に向いた企業です。
投資判断としては「中立からやや慎重」。今の株価水準は割安とは言えず、むしろ将来の回復期待が織り込まれています。
しかし、長期的に見れば、海外事業の収益改善や国内スーパー事業の合理化が進むことで再び利益成長が見込めるため、長期で安定配当を狙う投資家には適した銘柄です。
守りの姿勢で保有するには安心感があり、株価が下落したタイミングでの買い増しが有効な戦略といえます。
配当目的とかどうなの?
セブン&アイ・ホールディングスは、配当目的の投資として見ると「安定して配当をもらえるが、利回りは高くない堅実な銘柄」です。
現在の予想配当は1株あたり50円で、配当利回りは2.56%です。これは東証プライム市場の平均(約2.3%前後)よりはわずかに高い程度で、特別高配当というほどではありません。ただ、セブン&アイの強みは「減配の少なさ」と「長期的な増配傾向」です。
配当の推移を見ると、2023年は37.7円、2024年も37.7円、2025年は40円、そして2026年には50円と着実に増えています。業績が一時的に低迷しても配当を維持する姿勢が強く、安定性が高い企業といえます。
また、営業キャッシュフローは年間6,000億~9,000億円と非常に安定しており、配当原資には十分な余裕があります。事業の中心であるセブン‐イレブン事業が強固なため、景気の影響を受けにくく、長期保有でも安心して配当を受け取ることができます。
一方で、利回りが2.5%台とやや低い点は注意が必要です。配当収入をメインに狙う投資家にとっては、銀行株や商社株などの方が高利回りですが、セブン&アイは業績の安定性とブランド力があり、「減配リスクが低い守りの配当株」として位置づけられます。
総合的に見ると、セブン&アイ・ホールディングスは「高配当ではないが、長期的に安定して配当を得たい人に向く銘柄」です。
景気後退期でも業績が崩れにくく、今後も増配が続けば、実質的な利回りは徐々に上がっていく可能性があります。したがって、短期的な配当収益よりも「安心して持てる長期の安定株」を求める投資家には適しています。
今後の値動き予想!!(5年間)
セブン&アイ・ホールディングスの現在値は1,950円です。ここから5年間の値動きを想定すると、事業再編の進み方や北米セブン‐イレブン事業の成長によって結果が大きく変わる可能性があります。以下に「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」の3つのシナリオを示します。
【良い場合】
北米事業の統合効果が本格的に表れ、収益性が改善。営業利益率が上昇し、ROEも再び8%前後まで回復するパターンです。
国内のスーパー事業も改革が進み、コスト削減と効率化で利益体質が強化されます。
配当も安定的に増配が続き、投資家からの評価が高まれば株価は2,800円〜3,200円前後まで上昇する可能性があります。
景気が安定して消費が堅調に推移すれば、セブン‐イレブン事業を中心に再び市場の主力株として見直される展開です。
【中間の場合】
海外事業の成長は続くものの、国内小売や百貨店事業の回復が遅れ、全体の業績は横ばいに近い状態。
営業利益率は4%前後、ROEは6〜7%程度で安定。株価は大きな上昇も下落もなく、2,000円〜2,400円前後で推移する可能性が高いです。
配当利回りは2.5〜3%程度を維持し、景気に左右されにくい安定株として評価される状態です。
【悪い場合】
人件費や原材料費の上昇、エネルギーコストの負担増で利益が圧迫され、海外事業の伸びも鈍化。
国内スーパー事業の立て直しが進まず、営業利益率が3%前後、ROEも4%台に低下。
PERが下がり、株価は1,400円〜1,600円前後まで下落する可能性があります。
ただし、セブン‐イレブンを中心としたキャッシュ創出力があるため、業績が大幅に悪化する可能性は低く、下値は比較的限定的です。
【まとめ】
セブン&アイ・ホールディングスの5年後の株価は、良い場合は2,800円〜3,200円、中間の場合は2,000円〜2,400円、悪い場合は1,400円〜1,600円あたりが目安となります。
短期的な値上がりを狙うよりも、安定した配当と確実なキャッシュフローを重視する「中長期保有向けの銘柄」といえます。
成長株というよりは、景気に強く安定して配当を受け取りたい人に向いた、守り重視の投資対象です。
この記事の最終更新日:2025年11月6日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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