株価
極洋とは

東急不動産ホールディングス株式会社は、東京都渋谷区道玄坂1丁目21番1号(渋谷ソラスタ)に本社を構える、不動産事業を中心とした総合デベロッパーグループの持株会社です。1918年に東急電鉄グループの不動産部門として発足し、2013年に持株会社体制へ移行しました。東京証券取引所プライム市場に上場しており、東急不動産株式会社や東急コミュニティー、東急リゾーツ&ステイなど、多数のグループ会社を傘下に持ちます。
同社の企業理念は「We are green.」というスローガンに象徴されており、環境・社会・経済のバランスを重視した持続可能な街づくりを目指しています。環境配慮型の不動産開発や再生可能エネルギー事業を推進し、脱炭素社会の実現にも貢献しています。
主な事業セグメントは4つに分かれています。
- 都市開発事業(Urban Development)
オフィスビル、商業施設、分譲マンション、賃貸住宅などの開発・販売・運営を行っています。代表的な開発案件には「渋谷ソラスタ」「神谷町トラストタワー」「ブランズ」シリーズ(分譲マンション)などがあります。首都圏を中心に、地方都市や海外(特にアジア・アメリカ)でも開発事業を展開しています。また、渋谷の再開発プロジェクトにおいては、東急グループの中心的役割を担っています。 - 戦略投資事業(Strategic Investment)
再生可能エネルギー(太陽光・風力・バイオマスなど)や物流施設、データセンターなどへの投資・開発・運営を行っています。不動産ファンド・REIT(リート)事業にも注力しており、「東急不動産リート・インベストメント・コーポレーション(証券コード8957)」の運営母体として、安定的な収益基盤を形成しています。また、不動産投資信託やプライベートファンドなどを通じて国内外の投資家向けの運用サービスも展開しています。 - 管理運営事業(Property Management & Operation)
マンション・オフィスビル・商業施設の管理・保守・リノベーションを行うほか、ホテル・リゾート・ゴルフ場・スキー場などの運営も手掛けています。会員制リゾート「東急ハーヴェストクラブ」や、観光型ホテルブランド「STORYLINE」「東急ステイ」などを展開。さらに、シニア向け住宅「グランクレール」シリーズや、環境緑化・ランドスケープデザイン事業にも取り組み、都市生活と自然の調和を重視したビジネスを展開しています。 - 不動産流通事業(Real Estate Agency)
東急リバブルを中心に、不動産の売買・仲介・再販・賃貸管理を手掛けています。個人・法人を問わず幅広いニーズに対応し、オンライン査定やリノベーション付き中古販売など、DXを活用したサービスも拡大しています。
これらの事業を通じて、グループ全体では都市開発から管理運営、投資・流通までを一貫して手掛ける「総合不動産バリューチェーン」を形成しています。海外では、米国・英国・タイ・ベトナムなどで不動産開発や運用ビジネスを展開し、グローバルな収益基盤の拡大を進めています。
近年は、脱炭素・ESG経営にも力を入れており、2050年までにグループ全体でのカーボンニュートラル達成を目標に掲げています。太陽光や風力発電の導入拡大、木造建築の推進、ZEB・ZEH仕様の不動産開発などを通じ、環境負荷の低減を重視した経営を実践しています。
このように、東急不動産ホールディングスは「都市開発×環境×暮らし」を軸にした多角的な事業展開を行う企業であり、長期的には安定収益と持続的成長を目指す総合デベロッパーとして位置づけられています。
東急不動産ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
当期純利益 (百万円) |
一株当たり利益 (円) |
一株当たり配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 1,005,836 | 110,410 | 99,558 | 48,227 | 67.2 | 23.5 |
| 連24.3 | 1,103,047 | 120,238 | 110,391 | 68,545 | 96.4 | 31.0 |
| 連25.3 | 1,150,301 | 140,763 | 129,152 | 77,562 | 108.7 | 36.5 |
| 連26.3(予) | 1,290,000 | 158,000 | 136,500 | 88,700 | 124.0 | 42.0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 94,739 | -120,060 | 42,764 |
| 2024年3月期 | 156,465 | -178,190 | 97,774 |
| 2025年3月期 | 47,426 | -139,980 | 1,468 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 10.9% | 7.0% | 1.7% | ― | ― |
| 2024年3月期 | 10.9% | 9.1% | 2.2% | ― | ― |
| 2025年3月期 | 12.2% | 9.4% | 2.3% |
実績PER 高値平均:12.3倍 安値平均:7.6倍 |
実績PBR:1.09倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
東急不動産ホールディングスは、不動産業界の中でも安定性と成長性を兼ね備えた総合デベロッパーです。業績面のデータを見る限り、着実な収益拡大と効率的な経営改善が進んでおり、長期的な投資先として十分魅力があります。
まず、営業利益・経常利益・純利益の推移を見ると、2023年から2025年にかけてすべて右肩上がりです。営業利益は110,410百万円から140,763百万円へと増加、経常利益も99,558百万円から129,152百万円、純利益も48,227百万円から77,562百万円に伸びています。これは再開発事業・不動産運用・リゾート運営など複数の分野で収益が拡大していることを示しており、事業ポートフォリオの多角化が功を奏しています。
収益性を示す営業利益率は10.9%から12.2%へ上昇しており、効率的な収益構造が形成されつつあります。不動産デベロッパーは固定費が高く、景気変動に左右されやすい業種ですが、同社は管理・運営事業など安定収益を生む部門を持つため、利益率が安定しています。
さらに、ROE(自己資本利益率)は7.0%から9.4%、ROA(総資産利益率)は1.7%から2.3%へ改善しており、資本・資産を有効に使って利益を上げている点が評価できます。ROEが9%を超える水準は、日本企業としては高く、株主資本の活用効率が良いことを意味します。
一方で、2025年のPERは高値平均で12.3倍、安値平均で7.6倍、PBRは1.09倍です。これらの数値は、株価が「やや割安〜適正」な水準にあることを示しています。特にPBRが1倍前後ということは、株価が純資産価値とほぼ釣り合っており、資産面からの下値リスクが限定的です。PER10倍前後というのも、不動産業としては標準的でありながら、安定的な配当・成長を考慮すれば妥当な水準です。
キャッシュフロー面では、営業キャッシュフローが2024年に大きく伸びたものの、2025年に減少しています。これは一時的な投資・仕入れの影響によるものであり、長期的には収益物件の増加によって営業キャッシュの積み上げが期待されます。財務キャッシュフローも抑制傾向にあり、過剰な借入に頼らず資金管理を行っている点は好印象です。
リスク要因としては、金利上昇による不動産価格の調整リスク、景気後退局面での開発事業への影響、海外案件における為替リスクなどが挙げられます。しかし同社は賃貸・管理・再エネ事業など景気に左右されにくいセグメントを持っており、事業全体のバランスは取れています。
総合的に見ると、東急不動産ホールディングスは「収益基盤が安定しており、今後も緩やかな利益成長が見込める堅実な銘柄」です。ROE・ROAの改善、利益率の上昇、適正なバリュエーション水準を踏まえると、中長期保有に向いた堅調な投資対象といえます。短期的な株価変動はあっても、配当を受け取りながら安定的に資産を増やしたい投資家に適した銘柄です。
配当目的とかどうなの?
東急不動産ホールディングスは、配当目的の投資にも十分向いている銘柄です。
まず、2026年3月期の予想配当は1株あたり42円で、予想配当利回りは約3.33%となっています。東証プライム市場全体の平均利回りが2%台前半であることを考えると、かなり高めの水準です。しかも、同社はここ数年で着実に増配を続けており、配当の安定性が高い企業として評価されています。
実際に配当の推移を見ると、2023年3月期が23.5円、2024年が31円、2025年が36.5円、そして2026年には42円と、毎年少しずつ増配しています。業績の成長に合わせて株主還元を強化しており、減配リスクが低いのも特徴です。
同社は、安定した賃貸事業やマンション管理、リゾート運営などのストック型収益を多く持っているため、景気の波に左右されにくいビジネスモデルを持っています。そのため、キャッシュフローも比較的安定しており、将来的にも配当原資に不安は少ないと考えられます。
また、ROEが9%前後、営業利益率が12%台と効率性も高く、利益成長が続いている点から見ても、今後も安定した増配が期待できます。短期的な値上がりを狙うよりも、長期的に配当を受け取りながら堅実に運用したい投資家にとっては非常に良い銘柄です。
総合的に見て、東急不動産ホールディングスは「高すぎず安定した利回り」と「継続的な増配姿勢」を兼ね備えた、インカムゲイン重視の長期投資に向いた企業といえます。株価の大きな変動は少ないものの、安定した配当収入を狙いたい投資家にとっては魅力的な選択肢です。
今後の値動き予想!!(5年間)
東急不動産ホールディングスの現在値は1,260円です。ここから5年間の値動きを想定すると、業績や金利動向、不動産市況などによってある程度の振れ幅が考えられます。「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」の3つのシナリオを示します。
【良い場合】
再開発事業や再生可能エネルギー事業が順調に拡大し、営業利益率やROEがさらに改善。
また、インバウンド需要の回復やリゾート関連事業の収益拡大により、業績全体が上振れするケースです。
PERが13倍前後まで上昇し、市場の評価も高まれば株価は1,900円〜2,100円前後まで上昇する可能性があります。
この場合、配当も年間45〜50円程度まで増配が見込まれ、トータルリターンとして年平均7〜8%程度の上昇が期待できます。
【中間の場合】
業績は安定的に推移し、営業利益率12%前後、ROE9%前後で横ばい。
賃貸・管理事業が底堅く推移しながらも、金利上昇や開発コストの増加が上値を抑える展開です。
株価はPER10倍程度を維持し、1,300円〜1,500円前後のレンジで推移すると考えられます。
配当も年40〜45円程度で安定し、利回り3%台を維持する堅実な動きが続く見込みです。
【悪い場合】
金利上昇や不動産市況の悪化、建設コスト高騰などで開発利益が圧迫され、業績が下振れするケースです。
PERが8倍を割り込み、投資家の評価が低下した場合、株価は1,000円〜1,100円前後まで下落する可能性があります。
ただし、賃貸や管理といったストック収益があるため、急落よりも緩やかな調整で止まる公算が大きいです。
配当も一時的に減配する可能性はありますが、極端な悪化は考えにくく、長期的には再び安定が期待されます。
【総合判断】
東急不動産ホールディングスは短期的な値動きは限定的ですが、中長期では都市再開発・再エネ・リゾート事業の拡大によって堅実な上昇を見込める銘柄です。
長期で保有すれば、安定した配当+緩やかな株価上昇で着実なリターンを狙えるタイプの株といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月6日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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