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レゾナック・ホールディングスとは

レゾナック・ホールディングス株式会社は、日本を代表する化学メーカーで、半導体材料や電子部材、石油化学製品などを中心に事業を展開しています。旧昭和電工と旧日立化成が経営統合して誕生した企業で、2023年1月に「レゾナック・ホールディングス株式会社」へ商号を変更しました。東証プライム市場に上場しており、資本金は約1,821億円です。
「レゾナック(Resonac)」という社名は、“共鳴(Resonate)”と“化学(Chemistry)”を組み合わせた造語で、「人と社会、そして地球と共鳴し、新しい化学の力で未来を創造する」という理念を込めています。昭和電工の素材・基礎化学技術と、日立化成の電子・機能材料分野のノウハウを融合させたことで、幅広い産業領域をカバーする総合化学メーカーとなっています。
主な事業は以下の4分野に分かれます。
1つ目は「電子材料分野」です。半導体製造プロセスに使われる高純度ガス、フォトレジスト材料、絶縁膜、配線材料、接着剤などを提供しています。特に半導体パッケージ材料や化合物半導体材料(SiC、GaNなど)に強みがあり、スマートフォン、自動車、サーバーなどの電子デバイス市場に不可欠な部材を供給しています。この分野は成長性が高く、レゾナックの中核事業のひとつです。
2つ目は「モビリティ・エネルギー分野」です。自動車向け樹脂、軽量素材、電池材料、放熱材料などを開発しており、EV(電気自動車)やハイブリッド車の普及に伴い需要が拡大しています。特に、リチウムイオン電池の電極材料や放熱材ではグローバル市場で存在感を高めています。
3つ目は「石油化学・基礎化学分野」です。エチレン、プロピレンなどの石化製品をはじめ、アンモニアや酸化エチレンなどの基礎化学品を製造しています。これらは樹脂、繊維、塗料、医薬品など多くの産業の原料として利用されています。近年はカーボンニュートラル対応として、化石燃料に依存しない新しい製造プロセスの研究にも取り組んでいます。
4つ目は「黒鉛電極・機能化学品分野」です。鉄鋼製造に欠かせない黒鉛電極を製造しており、世界的に高いシェアを持っています。また、アルミナやシリカを応用した高機能材料、炭素繊維強化複合材料なども手掛けています。これらは環境対応素材や高強度・軽量部材として注目されています。
レゾナックは、こうした多角的な事業ポートフォリオを持ちながらも、特に「半導体材料」と「自動車向け高機能化学品」の分野を今後の成長ドライバーと位置づけています。世界の半導体市場の拡大に合わせて設備投資を進めており、2025年以降はAIやEV向け需要の増加を取り込みながら利益成長を目指しています。
また、環境・社会・ガバナンス(ESG)経営にも力を入れており、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目標に掲げています。廃プラスチックの化学リサイクルやCO₂排出削減型プロセスの開発など、持続可能な社会に貢献する取り組みも積極的に進めています。
まとめると、レゾナック・ホールディングスは、化学とエレクトロニクスを融合させた総合素材メーカーであり、特に半導体・モビリティ分野での技術力が強みです。中長期的にはAI、EV、再生可能エネルギー分野の拡大が追い風となり、成長が期待できる企業です。今後も化学技術を通じて社会課題の解決と持続的成長の両立を目指しています。
レゾナック・ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 1,392,621 | 59,371 | 59,367 | 30,793 | 170.0 | 65 |
| 連23.12 | 1,288,869 | -3,764 | -14,773 | -18,955 | -104.7 | 65 |
| 連24.12 | 1,389,277 | 78,750 | 69,692 | 55,422 | 306.6 | 65 |
| ◇25.12(予) | 1,422,000 | 49,000 | 38,000 | 26,000 | 143.7 | 65 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 100,349 | -54,667 | -103,964 |
| 2023年12月期 | 118,686 | -61,869 | -62,880 |
| 2024年12月期 | 165,254 | -51,601 | -19,978 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均) | PER(安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 4.2% | 5.5% | 1.4% | – | – | – |
| 2023年12月期 | -0.3% | -3.5% | -1.0% | – | – | – |
| 2024年12月期 | 5.6% | 8.7% | 2.6% | 15.0倍 | 9.4倍 | 1.59倍 |
| 2025年12月期(予) | 3.4% | 4.1% | 1.2% | 40.69倍 | – | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
レゾナック・ホールディングスは、旧昭和電工と旧日立化成が経営統合して誕生した総合化学メーカーで、半導体材料や電子部材、自動車向け製品、石油化学など幅広い分野で事業を展開しています。近年は半導体や電動車関連の需要拡大を背景に成長が期待されていますが、業績の変動が大きく、慎重な見方も必要な企業です。
2022年12月期は営業利益が約593億円、純利益が約308億円と堅調でしたが、2023年12月期は半導体市況の悪化や化学品価格の下落が響き、営業損失が37億円、純損失が約189億円と赤字に転落しました。しかし2024年12月期には営業利益が787億円、純利益が554億円と大きく黒字に転換し、利益面での回復が鮮明になっています。営業利益率も5.6%まで上昇し、ROEは8.7%、ROAは2.6%と効率性も改善しています。2025年12月期は減益予想で営業利益490億円、営業利益率3.4%、ROE4.1%とやや慎重な見通しです。
株価指標をみると、2024年実績ではPERが高値平均15倍、安値平均9.4倍、PBRは1.59倍と標準的な水準です。企業価値としては過度に割高ではありませんが、2025年予想ではPERが40倍前後に上昇しており、利益の減少を株価が織り込んでいない点には注意が必要です。PBR1.59倍は一定の成長期待を反映しているものの、利益が再び鈍化すれば1倍程度まで下がるリスクもあります。
総合的にみると、レゾナックは半導体材料や電子化学品の分野で技術力が高く、今後の成長ポテンシャルはあります。ただ、短期的には半導体需要の変動やコスト増の影響を受けやすく、業績のブレが大きいのが難点です。財務基盤は安定しており、自己資本比率も30%台を維持しているため、倒産リスクなどの懸念は低いと考えられます。
投資判断としては、短期での値上がりを狙うよりも、半導体需要の回復や事業の安定化を待ちながら中長期で保有するのが現実的です。今の株価水準はやや割高感があるため、押し目を待って購入するのが妥当です。
まとめると、レゾナックは2023年に赤字転落後、2024年に黒字へ回復し、利益率とROEが改善した点は評価できます。ただし2025年は減益予想で、成長ペースは一時的に鈍化する可能性があります。とはいえ、半導体や電動車向け部材など成長分野に強みを持っており、長期的には再評価される可能性があります。したがって、財務の安定性と成長性のバランスを考えると、中長期での押し目買いが有効な銘柄といえます。
配当目的とかどうなの?
レゾナック・ホールディングスの予想配当利回りは、2025年12月期と2026年12月期のいずれも 1.13% となっています。
この水準は、日本企業全体の平均(おおよそ2〜3%台)と比較するとかなり低く、配当目的の投資としては魅力が乏しい水準です。
同社は統合後の事業再編や研究開発投資、設備投資に力を入れており、株主還元よりも「成長投資」を優先しているフェーズにあります。2023年に赤字を出した影響もあり、無理に配当を増やすよりも財務安定と中長期の収益力向上を優先しているのが現状です。
実際、2022年以降は一株配当65円を維持していますが、利益の変動に対して据え置きとなっており、「安定配当」方針を取っているものの、配当利回りが低いのは株価水準が高めであることにも起因しています。
一方で、レゾナックは財務基盤がしっかりしており、長期的に見れば半導体材料やモビリティ関連事業の成長によって増益余地があります。そのため、将来的に安定して利益が積み上がれば、増配の可能性は十分にあります。
特に、2026年以降に半導体市況が改善し、営業利益率が再び5〜6%台へ戻れば、配当性向を引き上げる余地が出てくるでしょう。
まとめると、現状の1.13%という配当利回りは「配当目当ての投資には向かない」水準です。
ただし、業績回復とともに増配が期待できる中長期の成長株であるため、キャピタルゲイン(値上がり益)と将来の配当拡大を見据えて保有するタイプの銘柄といえます。安定配当を重視する投資家よりも、今後の事業成長を見越した中長期の保有を目的とする方に向いている企業です。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在のレゾナック・ホールディングスの株価は5,722円です。ここから5年間の値動きを考えると、世界の半導体需要、原材料価格、為替動向などの影響を強く受けるため、上昇の可能性も下落リスクも大きい銘柄といえます。以下に、良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで予想します。
良い場合は、世界的に半導体需要が再び拡大し、電子材料やEV(電気自動車)向けの部材需要が大きく伸びるシナリオです。レゾナックは半導体パッケージ材料や化合物半導体向けの製品に強みを持っており、これらが業績を牽引します。営業利益率は5%前後、ROEは8〜10%に改善し、収益性が安定します。PERも10〜15倍程度まで見直され、投資家の評価が上がります。この場合、株価は5年後に7,800円から8,400円程度まで上昇する可能性があります。配当も現状の65円を維持または微増し、長期保有のインカムリターンも安定します。
中間の場合は、事業の回復は進むものの、半導体市況や為替、原料価格の影響で成長が緩やかにとどまる展開です。営業利益率は3〜4%程度、ROEは4〜5%で推移し、財務は堅実ながら成長スピードは限定的です。PERは13〜15倍、PBRは1.5倍前後の評価を維持します。この場合、株価は6,300円から6,600円程度のレンジで推移する見込みです。配当は65円のまま据え置かれ、利回りは1.1%前後で安定します。急激な上昇は見込めませんが、下落耐性は高く、比較的安心して保有できる水準です。
悪い場合は、世界的な景気減速や半導体需要の鈍化、原材料高騰が重なり、業績が再び悪化するシナリオです。営業利益率は2%以下、ROEは2%未満に落ち込み、PERも10倍を割り込む可能性があります。市場の評価が下がり、株価は4,200円から4,600円程度まで下落するリスクがあります。場合によっては減配や無配に転じる可能性もあり、配当目的での投資価値はさらに低下します。
まとめると、良い場合は7,800〜8,400円、中間の場合は6,300〜6,600円、悪い場合は4,200〜4,600円が想定されます。現在の配当利回り1.13%は低めで、配当目当ての投資には向きませんが、半導体やEV向けなど成長分野に強みがあるため、長期的に業績が安定すれば再評価される可能性は高いです。短期での値上がりを狙うよりも、中長期的に成長を見込んで保有するタイプの銘柄といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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