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住友化学(4005)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

住友化学とは

住友化学株式会社は、日本を代表する総合化学メーカーの一つであり、素材からライフサイエンス分野まで幅広い事業を展開しています。本社は東京都中央区日本橋二丁目七番一号(東京日本橋タワー)にあり、創業は1913年、設立は1925年です。資本金は約900億円で、東証プライム市場に上場しています。

住友化学は、住友グループの中核企業として、「化学を通じて社会に貢献する」という理念を掲げ、化学技術を活かした多様な事業を国内外で展開しています。現在、世界各地に生産・販売拠点を持ち、グローバルに約3万人以上の従業員を抱えています。

主な事業内容は、以下の5つの分野に分かれています。

1つ目は「石油化学分野」です。エチレン、プロピレン、ポリエチレンなどの汎用樹脂や、合成繊維の原料となる化学製品を製造しています。これらは自動車、建材、包装資材など幅広い産業で利用されています。

2つ目は「エネルギー・機能材料分野」です。電子機器や自動車向けに、リチウムイオン電池用材料、絶縁材料、フィルム材料などを提供しています。また、環境対応素材や軽量化技術にも力を入れています。

3つ目は「情報電子化学分野」で、有機ELディスプレイ用材料、半導体プロセス材料、光学製品、タッチセンサー材料などを開発しています。スマートフォンやディスプレイ向けの高機能素材を手掛けるなど、ハイテク分野で世界的な競争力を持っています。

4つ目は「健康・農業関連製品分野(アグロ・ライフソリューション)」です。農薬や肥料、種子関連製品を通じて、世界の農業生産を支えています。また、医薬・動物用医薬品の開発も行っており、ヘルスケアやバイオ技術にも注力しています。

5つ目は「医薬品分野」です。住友ファーマ株式会社を中核として、抗うつ薬、統合失調症治療薬、がん領域などの新薬開発を進めています。医薬事業はグローバルでの売上比率が高く、住友化学グループの中核事業のひとつです。

近年は「ハイブリッド・ケミストリー」という考え方を掲げ、素材技術とライフサイエンス技術を組み合わせた新分野の創出を目指しています。環境配慮型素材の開発やカーボンニュートラル対応にも積極的で、再生可能エネルギーやリサイクル材料などの分野にも進出しています。

住友化学は長い歴史と技術力を背景に、化学の力で社会課題を解決することを使命としており、今後も環境・エネルギー・健康・食糧といった分野で、持続可能な社会づくりに貢献していく方針です。

住友化学 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
◇23.3 2,895,283 -30,984 231 6,987 4.3 18
◇24.3 2,446,893 -488,826 -462,792 -311,838 -190.7 9
◇25.3 2,606,281 193,033 58,093 38,591 23.6 9
◇26.3(予) 2,370,000 115,000 75,000 42,500 26.0 12

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 111,621 -19,411 -178,502
2024年3月期 -51,317 -112,240 49,246
2025年3月期 233,027 85,229 -300,778

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年3月期 -1.1% 0.5% 0.1%
2024年3月期 -20.0% -32.3% -8.0%
2025年3月期 7.4% 4.2% 1.1% 19.4倍 13.1倍 0.73倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

住友化学は日本を代表する総合化学メーカーで、石油化学、農薬、電子材料、医薬品など幅広い分野に事業を持っています。
ただし、ここ数年の業績を見ると非常に波が大きく、投資判断としては慎重さが必要な局面にあります。

2023年3月期の営業利益は約マイナス310億円と赤字でしたが、2024年3月期にはさらに悪化しマイナス4,888億円という大きな損失を出しました。経常利益もマイナス4,627億円、純利益もマイナス3,118億円と、過去に例のないレベルの赤字です。原因は世界的な化学製品価格の下落、エネルギーコスト高騰、医薬品事業の減収、そして子会社の評価損などが重なったことによります。

ただ、2025年3月期には黒字転換し、営業利益が1,930億円、経常利益が580億円、純利益が385億円まで回復しています。営業利益率もマイナス20%から7.4%へ改善しており、構造改革やコスト削減の効果が出始めています。ROEは4.2%、ROAは1.1%とまだ高水準とは言えませんが、明確に立て直しの兆しが見えます。

株価指標をみると、2025年の実績PERは高値平均で19.4倍、安値平均で13.1倍、PBRは0.73倍です。PBRが1倍を下回っていることから、株価は資産価値に対して割安な状態です。PERは利益回復をある程度織り込んだ水準で、割安感はやや薄れつつあるものの、過去の赤字からの反発を考えると評価余地はあります。

総合的に見ると、住友化学は大きな業績の乱高下を経験しており、依然として収益構造の安定性に課題があります。しかし、2025年の黒字転換と利益率改善はプラス要素であり、再び成長軌道に乗れば株価の見直しが期待できます。PBR0.7倍台という水準は下値の堅さを示しており、長期的な目線で回復を待つ投資であれば検討に値する銘柄です。

短期的には値動きが荒くなる可能性がありますが、財務基盤は健全で倒産リスクは低いとみられます。
したがって、短期で利益を狙うよりも、配当を受け取りながら中長期で業績回復と株価上昇を狙う「長期保有型の割安株」としての投資スタンスが現実的です。

配当目的とかどうなの?

住友化学の2026年3月期の予想配当利回りは 2.77% です。
この水準は、化学業界全体の平均(おおよそ2〜3%台)と比べて標準的であり、特別に高配当というほどではありません。

住友化学は過去に安定配当を基本方針としており、業績が悪化した2024年にもわずかながら9円配当を維持しました。これは「減配はしても無配にはしない」という株主還元意識の表れであり、財務基盤の安定性が背景にあります。
2025年は業績回復を受けて同じく9円、2026年3月期は12円に増配予定とされています。これは、業績が黒字基調に戻る中で、徐々に株主還元姿勢を強めていることを意味します。

ただし、住友化学は化学品市況やエネルギーコストに業績が左右されやすく、安定的な「高配当株」と呼べるほどの水準ではありません。景気変動の影響を受けやすく、配当が将来的に維持されるかどうかは業績次第という点には注意が必要です。

まとめると、配当目的での投資としてはやや物足りないが、業績回復に伴う増配余地はある銘柄といえます。安定配当を重視しつつ、中期的な業績改善と株価の再評価を狙う「中長期保有型」の投資には向いています。現状の利回り2.7%前後は、長期目線なら堅実な水準であり、減配リスクが低ければ悪くない選択肢といえます。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の住友化学の株価は431.8円です。ここから5年間の値動きを予想すると、世界の景気や原材料価格、為替動向、そして事業の回復度合いによって株価は大きく変化する可能性があります。以下に良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで考えます。

良い場合は、化学製品の需要が回復し、原材料価格やエネルギーコストが落ち着くことで採算が改善します。電子材料や医薬、農薬分野の収益が回復し、営業利益率が7%前後、ROEも5%を超える水準まで上昇します。特に、環境対応素材やリチウムイオン電池用素材、バイオマス関連事業など新分野の拡大が進めば、利益成長が加速します。投資家の評価も高まり、PERが15倍前後まで見直されると、株価は5年後に600円から650円程度まで上昇する可能性があります。配当も増配傾向となり、長期保有では年4〜6%程度の総合リターンが期待できます。

中間の場合は、業績の回復はある程度進むものの、化学製品価格や為替の変動に左右されやすく、大幅な成長は難しい状況です。営業利益率は4〜5%前後で安定し、ROEも4%程度の水準で推移します。PERは13〜15倍ほどで、株価は480円から520円前後で落ち着く可能性が高いです。配当は12円前後を維持し、配当利回りは2.5〜3%台を確保します。株価の大きな上昇は期待しにくいものの、減配リスクは小さく、配当を得ながら安定的に保有するには悪くない水準です。長期投資で安定を求めるタイプの投資家に向いた展開です。

悪い場合は、再び原材料価格が上昇し、化学品や電子材料の価格下落が重なるなど、市況が悪化するシナリオです。利益率は低迷し、営業利益率が2%未満、ROEも1%を切る可能性があります。PERは10倍を下回り、投資家の期待が後退すると、株価は350円から380円程度まで下落する恐れがあります。この場合は減配のリスクも高まり、配当利回りは2%を割り込む可能性もあります。ただし、住友化学は自己資本比率が40%前後と財務体質は比較的健全で、倒産や資金繰りのリスクは低いと考えられます。

まとめると、良い場合は600〜650円、中間の場合は480〜520円、悪い場合は350〜380円程度が想定されます。住友化学は世界経済や原油価格など外部要因に業績が左右されやすい一方で、基盤はしっかりしており、PBRが0.7倍台と割安水準にあります。したがって、短期での値上がりを狙うよりも、配当を受け取りながら業績の回復をじっくり待つ中長期保有型の投資に向いている銘柄です。環境対応素材やバイオ関連などの成長分野で成果が出れば、5年後には再評価される可能性も十分にあります。

この記事の最終更新日:2025年11月8日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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