株価
東ソーとは

東ソー株式会社は、日本を代表する総合化学メーカーの一つで、1935年に設立されました。本社は東京都中央区八重洲2丁目2番1号(八重洲セントラルタワー)にあり、登記上の本店は山口県周南市開成町4560番地です。東証プライム市場に上場しており、資本金は約552億円、連結従業員数は約1万4千人と、国内外に幅広く事業を展開する大企業です。
同社の事業は大きく分けて「クロル・アルカリ事業」「石油化学事業」「機能商品事業」「エンジニアリング事業」「その他」の5つに分類されます。
クロル・アルカリ事業では、苛性ソーダ、液体塩素、塩化ビニル、塩酸、塩化カルシウムなどの基礎化学品を製造しています。これらは化学工業、建材、紙パルプ、繊維、食品、セメントなど幅広い分野で使用され、産業の基盤を支える製品群です。
石油化学事業では、エチレン・プロピレンなどのオレフィン製品や、ポリエチレン・ポリプロピレンなどの樹脂原料、合成ゴム、プラスチック素材を製造しています。これらは自動車、包装、住宅建材、電子機器などに欠かせない材料であり、東ソーの中核を担う収益源です。
機能商品事業は同社の成長を牽引する分野で、高付加価値製品を多く取り扱っています。ジルコニアやゼオライトなどのセラミックス材料、有機化成品、触媒、医療・診断用試薬、電子材料、バイオサイエンス関連製品などを展開しており、半導体製造装置や医療機器、自動車用部材などの先端産業を支えています。特に医療診断用試薬やバイオセンサーでは国内外で高い評価を得ています。
エンジニアリング事業では、化学プラントや環境設備の設計・施工、水処理システムや排水処理施設の開発などを手がけています。製造業のプラント建設やインフラ支援においても重要な役割を果たしています。
さらに、物流、商社機能、情報システム、分析サービスなどを提供する関連会社群も多く、グループ全体で製造から販売、設備設計までを一貫して行える強みがあります。
東ソーは「チェーン事業」と「先端事業」を経営の両輪とする戦略を採用しています。チェーン事業は基礎化学品などの安定供給で収益基盤を築き、先端事業では電子材料・医薬・診断・高機能素材などの成長分野を拡大していく方針です。この戦略により、景気変動に左右されにくい安定した経営を実現しています。
また、環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みにも積極的で、CO₂排出削減、省エネ化学プロセス、水資源の再利用、化学物質の適正管理など、持続可能な社会の実現に向けた活動を行っています。
まとめると、東ソーは基礎化学から電子材料、医療分野まで幅広く手がける総合化学メーカーであり、安定的な基盤と成長性を兼ね備えた企業です。今後は半導体、環境素材、医療・バイオ分野での需要拡大が期待され、長期的にも堅実な成長が見込まれる企業です。
東ソー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 1,064,376 | 74,606 | 89,983 | 50,335 | 158.1 | 80 |
| 連24.3 | 1,005,640 | 79,845 | 95,920 | 57,324 | 180.1 | 85 |
| 連25.3 | 1,063,382 | 98,906 | 103,005 | 58,002 | 182.1 | 100 |
| 連26.3(予) | 1,000,000 | 103,000 | 101,000 | 59,000 | 186.1 | 100 |
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | -16,239 | -78,729 | 50,171 |
| 2024年3月期 | 116,974 | -59,943 | -31,221 |
| 2025年3月期 | 106,244 | -81,574 | -37,925 |
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 7.0% | 6.8% | 4.2% | — | — |
| 2024年3月期 | 7.9% | 7.2% | 4.4% | — | — |
| 2025年3月期 | 9.3% | 7.0% | 4.3% | 高値平均 12.2倍/安値平均 9.1倍 | 0.87倍 |
投資判断
東ソー株式会社は、基礎化学から高機能素材まで幅広く展開する総合化学メーカーであり、近年は安定した業績と堅実な収益性を維持しています。
2023年3月期から2025年3月期にかけての営業利益は7,460億円から9,890億円へと着実に増加し、営業利益率も7.0% → 9.3%と改善しています。これは、コスト削減の進展や、化学品・機能商品分野の高付加価値製品へのシフトが寄与した結果といえます。経常利益も8,998億円から1兆300億円へと伸びており、同社の事業全体が底堅く推移していることを示しています。純利益も5,033億円から5,800億円へ増加し、EPS(1株益)は158円から182円まで上昇しました。
ROE(株主資本利益率)は6.8%〜7.0%、ROA(総資産利益率)は4.2%〜4.3%で推移しています。数値としては中堅製造業として標準的な水準ですが、化学セクターの中では安定的で、資本効率の改善余地も残されています。今後はROEを10%前後に引き上げることができるかが投資評価の鍵になります。
株価指標面では、2025年3月期の実績PERが高値平均12.2倍、安値平均9.1倍、PBRは0.87倍と、バリュエーション的には割安感が強い水準です。PBRが1倍を下回っている点は市場からの評価がやや控えめであることを意味しますが、逆に言えば、財務体質の堅さと安定配当を考慮すれば中長期的なリバリュー(再評価)余地があります。
営業利益率が上昇傾向にあり、ROE・ROAも安定している点から見ても、東ソーは堅実経営型の優良銘柄といえます。景気変動に左右されにくく、基礎化学・機能商品双方のバランスが良いため、業績が大きく崩れるリスクは低いです。
投資判断としては、中長期の安定成長と配当狙いに適した「堅実なバリュー株」と位置づけられます。派手な成長は期待しにくいものの、収益性の改善と堅調なキャッシュフローを背景に、将来的な株主還元の拡大も見込まれます。現在のPBR 0.87倍、PER 9〜12倍という評価水準は、長期投資家にとっては魅力的なエントリーポイントといえるでしょう。
配当目的とかどうなの?
東ソーは、配当目的での長期保有にとても向いている銘柄です。
2026年3月期の予想配当利回りは4.45%と高く、化学メーカーの中でも上位に入る水準です。日本株全体の平均配当利回りが2%前後であることを考えると、かなり魅力的な数字といえます。
同社は営業利益や経常利益が安定しており、営業利益率も2023年の7.0%から2025年には9.3%へ上昇しています。利益が着実に増えているため、配当を支えるだけのキャッシュフローにも余裕があります。実際、2024年以降の営業キャッシュフローは安定してプラスを維持しており、利益と現金の両面から見ても配当がしっかり支えられています。
配当方針は「安定配当+業績連動型」で、2023年から2025年にかけて1株配当を80円、85円、100円と引き上げてきました。2026年も100円の配当を予定しており、実質的に連続増配が続いています。業績が安定しているため、無理に増配しているわけではなく、安定した利益成長の中で自然に配当が増えている点も好印象です。
また、財務体質も非常に健全で、自己資本比率は60%前後と高く、PBRは0.87倍と割安水準にあります。株価が大きく下がりにくく、景気が悪化しても業績への影響が比較的小さいことも特徴です。
まとめると、東ソーは安定した業績と強固な財務体質を持つ、高配当で堅実なバリュー株です。短期的な値上がりを狙うよりも、安定した配当収入を得たい長期投資家に向いており、今後も4%を超える高い利回りを維持できる見通しです。長期で安心して保有できる優良な配当銘柄といえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の東ソーの株価は2,246.5円です。ここから今後5年間の値動きを、良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで考えます。
良い場合
半導体材料や高機能樹脂、診断薬などの需要が国内外で拡大し、主力の化学品事業と機能商品事業がともに成長するシナリオです。営業利益率は10%を超え、ROEも8〜9%台に上昇します。市場からの評価も見直され、PERは13〜15倍程度に上昇する可能性があります。
この場合、株価は現在の2,246.5円から約1.6〜1.8倍程度まで上昇し、3,600円〜4,000円前後になる可能性があります。配当も増配傾向が続き、利回りを維持しながら株価上昇も期待できる理想的な展開です。
中間の場合
基礎化学品の価格変動や為替の影響を受けつつも、機能商品やバイオ・医薬分野が安定した収益を支えるケースです。営業利益率は9%前後、ROEは7%前後で推移し、業績は安定的に推移します。PERは現状とほぼ同じ10〜12倍程度と見込まれます。
この場合、株価は2,600円〜2,900円程度で推移し、現状よりもやや上昇する可能性があります。配当を含めれば、トータルリターンとして堅実な成長が期待できるパターンです。
悪い場合
化学品価格の下落や世界景気の減速、為替の円高進行などが重なり、利益が伸び悩むシナリオです。営業利益率は8%を下回り、ROEも6%前後に低下します。PERは9倍以下に縮小する可能性があります。
この場合、株価は1,800円〜2,000円程度まで下落するリスクがあります。業績は黒字を維持するものの、株価の上値が重くなりやすい展開になります。ただし財務が健全なため、配当が大きく減る可能性は低いと考えられます。
まとめると、東ソーの株価は現在の2,246.5円を基準にして、良い場合は4,000円前後まで上昇する可能性があり、中間では2,600〜2,900円程度、悪い場合は1,800円台までの下落もあり得ます。営業利益率とROEが安定しているため大きく崩れるリスクは少なく、配当も4%超を維持していることから、長期的に安定したリターンを狙える堅実な銘柄といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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