株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


王子ホールディングス(3861)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

,

株価

王子ホールディングスとは

王子ホールディングス株式会社は、日本を代表する総合製紙メーカーであり、紙やパルプを中心に多角的な事業を展開しているグローバル企業です。
本社は東京都中央区銀座四丁目七番五号にあり、創業は1873年2月12日、設立は1949年8月1日です。資本金は1,038億8,000万円、東証プライム市場に上場しており、グループ全体の従業員数は約3万9千人です。世界30か国以上で事業を展開しています。

王子ホールディングスは、旧王子製紙・本州製紙・十條製紙が統合して誕生した企業で、日本の近代製紙業の基礎を築いた存在です。製紙事業だけでなく、包装材、機能材料、エネルギー、物流、不動産など幅広い分野に進出し、安定した経営基盤を持っています。

主な事業は次の通りです。

まず、生活産業資材分野では、段ボール原紙や段ボール箱、白板紙、包装用紙、製袋、紙器、液体用紙容器などの包装関連製品を製造しています。また、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなど家庭用紙製品も展開し、国内外で高いシェアを誇ります。

機能材分野では、感熱紙、インクジェット用紙、特殊紙、粘着製品、フィルムなどの高付加価値製品を開発しています。これらはレシート、ラベル、医療用途など幅広い場面で利用されています。

資源環境ビジネス分野では、森林資源の保全と活用を目的に、国内外で植林事業や木材加工事業を行っています。特にブラジルやニュージーランドなどに広大な森林を保有しており、パルプの自給体制を構築しています。また、バイオマス発電などの再生可能エネルギー事業にも力を入れ、脱炭素社会の実現を目指しています。

印刷情報メディア分野では、新聞用紙や印刷・出版・情報用紙を製造しています。紙媒体の需要が減少する中でも、高品質化や効率化を進め、デジタル化に対応した製品開発を続けています。

その他にも、商事、物流、エンジニアリング、不動産など多様な事業を展開しており、グループ全体で安定した収益を確保しています。

王子ホールディングスは、「革新と持続可能性で社会に貢献する」という企業理念を掲げ、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した経営を推進しています。特に、プラスチック代替素材の開発やリサイクルシステムの強化など、環境負荷の低い事業モデルを構築しています。

近年は、バイオマス由来の新素材や環境技術分野にも注力しており、紙だけにとどまらず「脱炭素×素材革新企業」への転換を進めています。
連結売上高は約1兆6,000億円規模で、世界有数の製紙・素材メーカーとして成長を続けています。

王子ホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 1,706,641 84,818 95,008 56,483 57.0 16
連24.3 1,696,268 72,600 85,987 50,812 51.3 16
連25.3 1,849,264 67,686 68,568 46,171 47.3 24
連26.3(予) 1,900,000 75,000 60,000 65,000 71.0 36

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 18,262 -123,274 101,787
2024年3月期 202,897 -118,003 -84,899
2025年3月期 94,420 -154,911 60,969

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年3月期 4.9% 6.0% 2.4%
2024年3月期 4.2% 4.7% 2.0%
2025年3月期 3.6% 4.1% 1.7% 12.9倍 10.0倍 0.68倍

投資判断

王子ホールディングスは日本を代表する総合製紙メーカーで、紙やパルプを中心に、包装資材や機能材、エネルギー関連など幅広い事業を展開しています。国内外に多くの生産拠点を持ち、世界30か国以上で活動しており、安定した事業基盤を築いています。そのため、景気変動の影響を受けにくく、ディフェンシブ株として評価されやすい企業です。

直近3年間の業績を見ると、売上高は2023年3月期が1兆7,066億円、2024年3月期が1兆6,962億円、2025年3月期が1兆8,492億円と横ばいから微増傾向にあります。しかし営業利益は848億円から676億円へと減少しており、営業利益率も4.9%から3.6%へと低下しています。経常利益や純利益も同様に減少しており、原材料やエネルギーコストの上昇が利益を圧迫しています。

ROEは6.0%から4.1%に、ROAも2.4%から1.7%に下がっており、資本効率の面ではやや弱含みです。ただし、2026年3月期の会社予想では営業利益が7,500億円、純利益が6,500億円と回復が見込まれており、コスト削減や価格転嫁が進めば収益改善の余地があります。

株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均で12.9倍、安値平均で10.0倍、PBRは0.68倍と1倍を下回っており、株価は資産価値から見ても割安水準にあります。業界全体でみてもこの水準は低く、株価が純資産を下回っている点からも、投資妙味があるといえます。

キャッシュフローを見ると、営業キャッシュフローは2023年が18,262百万円、2024年が202,897百万円、2025年が94,420百万円と安定しており、事業活動で安定した資金を生み出しています。投資キャッシュフローはマイナスですが、設備投資や環境関連事業への支出であり、財務的には堅実な範囲です。財務キャッシュフローも大きく崩れておらず、資金繰りの安定性が確認できます。

王子ホールディングスは急成長を目指すグロース株ではなく、長期的な安定収益を重視する企業です。製紙業という成熟産業に属しているため、今後の大幅な売上成長は見込みにくいものの、安定したキャッシュフローと資産価値の高さが強みです。また、環境配慮型の素材開発やバイオマス発電など、脱炭素社会に向けた取り組みを進めており、将来的には環境関連銘柄として再評価される可能性もあります。

総合的にみて、王子ホールディングスは利益率の低下や成長鈍化といった課題はあるものの、PBR0.68倍・PER10倍前後という水準からみると明らかに割安です。配当も安定しており、財務も健全なため、短期的な値上がりを狙うよりも、中長期で安定した収益と配当を得たい投資家に向いています。景気の下振れ局面でも業績が大きく崩れる可能性は低く、安定したディフェンシブ銘柄として保有価値があります。

今後は、原材料価格や為替の動向が落ち着き、海外事業の収益性が改善していけば、業績回復とともに株価が再評価される可能性があります。現時点では、成長期待よりも割安感と安定性を重視した長期保有が適した銘柄といえます。

配当目的とかどうなの?

王子ホールディングスの2026年3月期の予想配当利回りは 4.66% と、製紙業界の中でも比較的高い水準にあります。
これは、同社が業績の波に左右されにくく、安定したキャッシュフローを維持していることを反映しています。

王子ホールディングスは、景気に左右されにくい紙・パルプ・包装資材などの生活必需品関連を中心に事業を展開しており、設備投資や原材料コストに一定の負担はあるものの、長年にわたって安定配当を継続してきた企業です。

2025年3月期の配当は24円でしたが、2026年3月期は36円へ増配予定となっており、利益の増加分を株主還元に充てる姿勢が見られます。
営業利益や純利益が回復基調にあることに加え、財務面も健全であるため、今後も減配リスクは低いと考えられます。

また、PBRが0.68倍と資産価値に対して株価が割安な水準にあるため、配当を受け取りながら中長期での株価上昇を狙う「インカム+キャピタル両狙い」の投資にも向いています。

総合的に見ると、王子ホールディングスは安定配当を重視する長期保有型の投資家にとって非常に魅力的な銘柄です。
業績の急成長は期待しづらいものの、現状の利回り4.6%前後は、国内大型株の中でも十分高水準であり、配当目的としては優良な選択肢といえます。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の王子ホールディングスの株価は771円です。ここから5年間の値動きを考えると、景気や原材料価格、事業環境の変化によって3つのシナリオが想定されます。

良い場合は、原材料価格の上昇が落ち着き、製品価格の引き上げや海外事業の収益改善が進みます。環境対応素材やバイオマス関連事業の成長も加わり、利益率が改善して投資家の評価が上がります。この場合、営業利益率が4〜5%程度まで回復し、PERも12倍前後まで見直され、株価はおおよそ1,100円から1,200円前後まで上昇する可能性があります。配当も増配傾向が続き、配当と値上がり益の両方を狙える展開となります。

中間の場合は、業績の回復が緩やかで、利益率は3〜4%程度で安定します。景気に左右されにくい事業構造を保ちながらも、大きな成長は見込みにくく、株価は850円から950円の範囲で推移するイメージです。PERは10倍前後を維持し、配当利回りは4%台を保つため、安定配当を得ながら長期保有するには悪くない水準です。大きな値上がりは期待できませんが、下落にも強い安定型の動きになります。

悪い場合は、エネルギー価格や原材料コストが再び上昇し、利益が圧迫される展開です。国内紙需要の減少が続き、海外市場でも競争が激しくなると、ROEが3%台まで低下し、PERも8倍前後に下がる可能性があります。この場合、株価は650円から700円程度まで下落することが考えられます。ただし、財務体質は堅実で、急激な業績悪化や減配のリスクは低く、下値は比較的限定的と見られます。

まとめると、良い場合は1,100〜1,200円、中間の場合は850〜950円、悪い場合は650〜700円程度の想定です。王子ホールディングスは急成長株ではありませんが、配当利回りが高く、財務も安定しているため、長期保有でじっくり配当を受け取りながら値上がりを待つタイプの銘柄といえます。

この記事の最終更新日:2025年11月8日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP