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アステラス製薬(4503)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

アステラス製薬とは

アステラス製薬株式会社は、東京都中央区日本橋本町二丁目5番1号に本社を置く日本を代表する大手製薬会社です。1949年5月16日に東京証券取引所へ上場しており、現在は東証プライム市場に所属しています。代表取締役社長は岡村直樹氏で、決算期は3月です。

アステラス製薬は、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業の合併により誕生しました。両社の強みを統合することで、泌尿器・免疫・感染症・腎・糖尿病・循環器など、幅広い疾患領域で世界的な製薬企業へと発展しました。現在では、医療用医薬品の研究開発・製造・販売を中心に事業を展開しており、特にスペシャリティケア(専門領域医薬)と呼ばれる高度治療領域に注力しています。

主な製品には、前立腺がん治療薬「イクスタンジ(Xtandi)」、急性骨髄性白血病治療薬「ゾスパタ(Xospata)」、過活動膀胱治療薬「ベタニス」や「ベシケア」などがあり、これらは世界中で広く使用されています。特に「イクスタンジ」はアステラスの収益の柱となっており、米国・欧州・日本を中心に高いシェアを維持しています。

研究開発(R&D)にも非常に力を入れており、がん領域を中心に免疫疾患、眼科、神経疾患、女性疾患(ウィメンズヘルス)などの分野でも多くの新薬候補(パイプライン)を抱えています。近年では、細胞治療や遺伝子治療などの次世代バイオテクノロジーにも積極的に投資しており、再生医療分野でも先端的な研究を行っています。

アステラスはグローバル企業として、70か国以上で事業を展開しています。売上高の約7割は海外市場が占めており、特に北米・欧州・アジアでの存在感が強いです。各国に研究拠点を設け、現地の医療ニーズに合わせた開発を行うことで、国際競争力を高めています。

企業理念として「Changing Tomorrow(チェンジング・トゥモロー)」を掲げており、医療の未来を変える革新的な医薬品を提供することを使命としています。この理念のもと、アステラスは短期的な利益よりも、患者のQOL(生活の質)の向上と医療の進化に貢献する長期的な企業価値の創造を目指しています。

また、環境・社会・ガバナンス(ESG)にも積極的に取り組んでおり、研究倫理、サステナビリティ経営、ジェンダー多様性推進などを強化しています。医薬品アクセスの拡大や発展途上国支援など、社会的責任を果たす企業としての評価も高いです。

総合的に見ると、アステラス製薬株式会社は、がん治療薬を中心としたスペシャリティ医薬分野で世界をリードする企業であり、安定した収益基盤と強力な研究開発力を両立するグローバル製薬会社です。

アステラス製薬 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
◇23.3 1,518,619 133,029 132,361 98,714 54.2 60
◇24.3 1,603,672 25,518 24,969 17,045 9.5 70
◇25.3 1,912,323 41,039 31,237 50,747 28.4 74
◇26.3予 1,940,000 165,000 155,000 134,000 74.8 78

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023.3 327,767 -84,500 -195,623
2024.3 172,475 -845,802 614,060
2025.3 194,512 -89,419 -261,367

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PBR PER(高値平均) PER(安値平均)
2023 8.7% 6.5% 4.0%
2024 1.5% 1.0% 0.4%
2025 2.1% 3.3% 1.5% 1.94倍 144.4倍 98.4倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

アステラス製薬の業績と各指標を見ると、ここ数年はやや厳しい状況にありますが、長期的な回復基調が見えてきています。

まず、売上高は2023年から2025年にかけて1兆5,000億円台から1兆9,000億円超へと着実に増加しており、事業規模自体は拡大しています。しかし、利益面を見ると、2023年の営業利益1,330億円から2024年には255億円と大きく落ち込み、その後2025年に410億円まで回復する見通しです。営業利益率も2023年8.7%から2024年1.5%へ低下し、2025年には2.1%とまだ低水準にとどまっています。

この利益低下の主な要因は、がん治療薬「イクスタンジ」など主力製品の売上伸び悩みと、新薬開発コストの増加によるものです。特に研究開発費や買収関連費用が一時的に重くのしかかっています。ただし、2025年にはパイプライン(新薬候補)の承認がいくつか見込まれており、これらが業績回復に寄与する可能性が高いです。

純利益は2024年の170億円から2025年には507億円へと回復しており、財務体質は悪化していません。ROE(自己資本利益率)は2024年1.0%から2025年3.3%に改善、ROA(総資産利益率)も0.4%から1.5%へと上向いています。依然として利益効率は低いものの、業績底打ちの兆しが出ています。

株価指標をみると、2025年の**PER(高値平均144.4倍・安値平均98.4倍)**は非常に高く、一見すると割高に見えますが、これは一時的な利益水準の低下が原因です。利益が回復すればPERは大幅に下がる見込みです。PBRは1.94倍とやや高めですが、製薬業界の平均水準内に収まっています。

総合的に見ると、アステラス製薬は短期的には利益の不安定さが残るものの、研究開発型企業としてのポテンシャルは依然高いです。特にがん治療領域や再生医療、遺伝子治療などの新技術に積極投資しており、今後3~5年の中長期で業績回復が期待されます。

投資判断としては、

  • 短期(1年以内)ではやや様子見。利益率の低下が続いており、PERも高い。
  • 中長期(3~5年)では回復期待から「やや買い」判断が妥当。
  • 配当も増配傾向(60円→70円→74円→78円)で安定感があり、長期保有で報われる可能性が高い。

したがって、アステラス製薬は短期的な値上がりを狙うよりも、長期的な研究開発成果と安定配当を期待して保有するタイプの銘柄です。

配当目的とかどうなの?

アステラス製薬は、配当目的での投資にもとても向いている銘柄です。2026年3月期と2027年3月期の予想配当利回りはいずれも4.45%で、東証プライム市場の中でも高い水準を維持しています。

この会社は、長年にわたって安定した増配を続けており、2023年3月期の1株配当60円から、2024年に70円、2025年に74円、そして2026年には78円と着実に増やしています。注目すべきは、2024年に業績が一時的に悪化したにもかかわらず、減配をせずに増配を維持した点です。これは、アステラスが利益の上下に左右されにくい安定したキャッシュフローを持っていることを示しています。

実際に、2025年3月期の営業キャッシュフローは約1,900億円と非常に強く、本業による資金創出力が高いため、配当を支払う余裕が十分にあります。アステラスは「安定的かつ持続的な株主還元」を経営方針の中心に掲げており、短期的な業績よりも株主への信頼と長期的な価値向上を重視しています。

また、製薬業界は景気変動に強く、医薬品の需要が安定しているため、業績が急激に悪化するリスクが比較的少ない点も安心材料です。そのため、アステラスのような企業は、長期的に高い配当を維持できる可能性が高いと考えられます。

総合的に見ると、アステラス製薬は「高配当でありながら安定配当を継続する安心感のある銘柄」と言えます。株価の大きな上昇を狙うというよりも、安定した配当を毎年受け取りたい投資家にとって非常に魅力的です。長期で保有すれば、安定したリターンを期待できる銘柄です。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在のアステラス製薬の株価は1,752.5円です。この株価をもとに、今後5年間の値動きを「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」で予想します。

良い場合は、主力製品である「イクスタンジ」や「ゾスパタ」などが安定して売上を伸ばし、新薬の承認や販売も順調に進むケースです。再生医療や遺伝子治療などの新分野でも成果が出て、利益率が上がります。営業利益率は10%前後まで改善し、ROEも5%以上に回復。PERが落ち着いて適正水準に戻ると、株価は2,400円から2,600円ほどまで上昇する可能性があります。業績回復と増配が重なれば、配当を受け取りながら値上がり益も期待できる展開です。

中間の場合は、既存薬の売上は安定するものの、新薬の成長が限定的で、研究開発費もかさむ状況です。営業利益率は4~5%程度で推移し、ROEも2~3%台にとどまります。業績は堅調ながらも急成長は見込めず、株価は1,800円から2,000円前後で横ばいとなる見通しです。大きな値上がりは期待しにくいものの、配当利回りが高く安定しているため、長期で保有するには適した展開です。

悪い場合は、新薬の開発が遅れたり、競合品の台頭で主力薬の売上が伸び悩むケースです。研究開発費の負担も大きく、営業利益率は1%未満に低下。ROEやROAも1%を割り込み、収益性が大きく落ち込みます。業績への不安から投資家の評価が下がり、株価は1,300円から1,450円程度まで下落する可能性があります。ただし、キャッシュフローは比較的安定しており、減配のリスクは低いため、配当による下支えは期待できます。

総合的に見ると、アステラス製薬は短期的な業績変動に左右されやすいものの、研究開発力と財務の安定性を持つ企業です。中長期的には配当を受け取りながら安定したリターンを狙う投資に向いています。良い場合は2,600円前後、中間では2,000円前後、悪い場合でも1,300円台で底堅く推移する可能性があり、長期的に見れば安定配当を維持する「安心して保有できる銘柄」といえます。

この記事の最終更新日:2025年11月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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