株価
コニカミノルタとは

コニカミノルタ株式会社は、日本を代表する光学・電子機器メーカーのひとつであり、複合機や印刷機、医療機器、画像解析技術など幅広い分野で事業を展開している会社です。
その起源は1873年にまでさかのぼり、カメラや写真フィルムの製造から始まりました。現在は「見えないものを見える化する技術」を軸に、オフィスのデジタル化、医療・ヘルスケア分野、産業用センサー、画像解析ソリューションなど、時代の変化に合わせて事業を進化させてきました。
本社は東京都千代田区丸の内にあり、資本金は約375億円、従業員はグループ全体で3万5千人以上にのぼります。創業から100年以上を経た今でも、技術革新を重ねながら世界150カ国以上で事業を展開しており、国内外の企業・病院・製造業など幅広い業界にソリューションを提供しています。
主力となるのは「デジタルワークプレイス事業」。複合機やプリンター、ドキュメント管理、クラウド連携など、企業のオフィス業務をデジタル化・効率化するソリューションを提供しています。かつての「コピー機メーカー」という枠を超え、今ではITとAIを融合させた業務改革支援企業へと進化しました。
また、商業印刷・産業印刷分野にも強みがあります。大量印刷向けのデジタル印刷機や、テキスタイル(布地)・ラベル印刷などの特殊用途プリンターを開発し、従来の印刷業界に新しいデジタル技術をもたらしています。
医療・ヘルスケア領域では、X線撮影機器や超音波診断装置、医用画像システムなどを提供しており、病院やクリニックの診療を支えています。さらに、AI画像解析技術を活かし、介護や健康管理の現場にも進出。人の動きや表情を分析して異常を検知する「画像IoTプラットフォーム(FORXAI)」など、医療とテクノロジーを融合させた取り組みを進めています。
産業分野では、光学技術を活かした計測機器、カメラセンサー、電子材料などを開発。半導体やディスプレイ、車載部品の検査など、高精度が求められる分野で強みを発揮しています。
コニカミノルタは、これまで「写真・映像の会社」として知られていましたが、今では「デジタル変革を支える技術企業」へと生まれ変わっています。AI・IoT・画像認識・センサー技術を活かし、企業や社会の課題を解決することを使命としています。
創業から150年、コニカミノルタの歴史は「変化に適応し続ける企業」の歴史でもあります。これからも、光学とデジタルを融合した技術で、人と社会をつなぐ企業として成長を続けていくことが期待されています。
コニカミノルタ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 1,130,397 | -95,125 | -101,872 | -103,153 | -208.9 | 10 |
| 2024年3月期 | 1,159,999 | 26,091 | 13,566 | 4,521 | 9.2 | 5 |
| 2025年3月期 | 1,127,882 | -64,014 | -79,156 | -47,484 | -96.0 | 0 |
| 2026年3月期(予想) | 1,050,000 | 45,000 | 35,000 | 22,100 | 44.7 | 10 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 13,319 | -37,498 | 84,321 |
| 2024年3月期 | 83,338 | -44,534 | -96,853 |
| 2025年3月期 | 51,093 | 24,607 | -110,861 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | PER(倍) | PBR(倍) | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | ― | ― | -8.5 | -21.2 | -7.3 |
| 2024年3月期 | ― | ― | 2.2 | 0.8 | 0.3 |
| 2025年3月期 | 高値平均 64.0 / 安値平均 43.5 | 0.59 | -5.7 | -10.3 | -3.9 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
コニカミノルタは、ここ3年間の業績を見ると非常に厳しい経営状況にあります。
2023年3月期は営業利益がマイナス951億円、経常利益がマイナス1,018億円、純利益もマイナス1,031億円と大幅な赤字でした。営業利益率はマイナス8.5%、ROEはマイナス21.2%、ROAはマイナス7.3%と、収益性・効率性ともに大きく低下しています。主な要因は、主力の複合機事業での価格競争激化と、為替変動によるコスト上昇です。
2024年3月期にはようやく黒字転換しました。営業利益は26億円、経常利益13億円、純利益4億円とプラスに戻り、営業利益率は2.2%、ROE0.8%、ROA0.3%とわずかに改善しています。ただし黒字幅は極めて小さく、構造改革の効果が十分に出ているとは言えません。
2025年3月期は再び営業損失640億円、経常損失791億円、純損失474億円となり、赤字に逆戻りしています。営業利益率はマイナス5.7%、ROEマイナス10.3%、ROAマイナス3.9%と再び悪化しました。競争が激しい複合機市場での採算性が依然として低く、新しい収益源の育成が追いついていません。
株価の指標を見ると、2025年時点のPERは高値平均で64倍、安値平均で43倍と割高水準にあります。PBRは0.59倍と低いですが、これは利益面での低迷による企業価値の下落を反映した数値でもあります。
総合的に見ると、コニカミノルタは短期的な投資対象としてはリスクが高い銘柄です。利益の回復が安定しておらず、ROEやROAがマイナス圏にあるため、現状では「成長株」ではなく「再建中の企業」といった位置づけです。
今後は、画像解析や医療・ライフサイエンス分野の拡大、産業用センサーなどの新規事業がどれだけ利益に貢献できるかが鍵になります。長期的な再生に期待する投資家にとってはチャンスもありますが、現時点では「様子見」または「業績回復確認後に検討」という判断が妥当です。
配当目的とかどうなの?
コニカミノルタは、配当目的の投資として見るとやや物足りない銘柄です。
予想配当利回りは2026年・2027年ともに1.66%と低めで、近年の減配傾向を考えると安定的なインカムゲインを狙うには向いていません。ここ数年の業績を振り返ると、2023年に10円、2024年に5円、2025年には無配と配当が段階的に減少しており、利益変動の影響を強く受けています。
会社としては財務基盤を立て直すことを優先しており、今のところ「安定配当よりも再建重視」の姿勢が続いています。2026年3月期には10円の復配を見込んでいますが、業績が再び赤字になれば無配に戻る可能性も否定できません。
つまり、コニカミノルタは配当狙いの長期保有には不向きです。今後の業績回復と事業再建が軌道に乗れば配当が戻る可能性はありますが、現時点では配当目的よりも再生途上企業としての成長性を見極める段階にあります。
安定した配当収入を重視する投資家よりも、「再建後の株価上昇」を狙う中長期の成長期待型の投資家に適した銘柄と言えます。
今後の値動き予想!!(5年間)
コニカミノルタの現在の株価は599.2円です。ここから今後5年間の値動きを、「良い場合」「中間」「悪い場合」で詳しく予想してみます。
良い場合は、会社の構造改革が順調に進み、収益体質の改善が本格化するシナリオです。複合機事業での生産体制の統合やコスト削減が成果を上げ、加えて医療・画像診断、センシング、材料・光学部品などの成長事業がしっかりと利益を生むようになります。さらにAIやDXを活用した新しいサービスが軌道に乗れば、営業利益率が安定してプラス圏を維持でき、ROEやROAも改善に向かいます。こうした流れが続けば、投資家からの信頼も戻り、株価は上昇基調になります。5年後には株価が現在の2倍以上、1,200円から1,600円程度まで上がる可能性があります。
中間のケースでは、構造改革は進むものの、業績の改善ペースが遅いシナリオです。複合機市場は世界的に縮小傾向が続き、新規事業の採算化にも時間がかかります。赤字と黒字を行き来しながら、徐々に収益を立て直していく形になるでしょう。営業利益率は改善しても低水準にとどまり、ROEも小幅なプラス圏で安定する程度です。投資家の評価も慎重で、株価は緩やかに上昇していくと見られます。この場合、5年後の株価は700円から900円前後が目安です。
悪い場合は、構造改革が思うように進まず、複合機や印刷関連の需要減少が長引くシナリオです。コスト削減の効果も限定的で、再び赤字が続く可能性があります。材料費やエネルギーコストの上昇、為替の影響なども重なれば、営業利益率はマイナス圏のまま、ROEやROAも改善できません。キャッシュフローが悪化し、減配や無配が続けば、投資家の評価も厳しくなります。この場合、株価は下落傾向をたどり、5年後には400円から500円程度、最悪の場合は400円を下回る可能性もあります。
総合的に見ると、コニカミノルタは現在「再建途上」にあり、今後5年は業績の立て直しが続く時期となります。成功すれば大きな回復余地がある一方、失敗すればさらに下落するリスクもあるため、投資する場合は長期的な視点で慎重に見極める必要があります。短期的な値上がりを狙うよりも、再建が形になってからの中長期保有が現実的な戦略と言えるでしょう。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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