株価
テルモとは

テルモ株式会社は、東京都渋谷区幡ヶ谷二丁目44番1号に本社を置く、日本を代表する医療機器メーカーです。1921年に「赤線検温器株式会社」として設立され、現在は世界160カ国以上で事業を展開するグローバル企業に成長しています。東京証券取引所プライム市場に上場しており、決算期は3月。連結従業員数はおよそ3万人を超え、医療機器業界でもトップクラスの規模を誇ります。
テルモの企業理念は「医療を通じて社会に貢献する」であり、医療従事者と患者の双方にとって安全で信頼性の高い製品を提供することを使命としています。長年にわたり医療現場の課題を技術力で解決してきた企業で、今では世界的な医療デバイスメーカーとして認知されています。
事業内容は大きく3つの分野に分かれています。
1つ目は「心臓血管カンパニー」で、血管内治療用カテーテルや人工血管、人工心肺システムなど、心臓や血管の治療に関わる製品を扱っています。特にカテーテル治療やステント分野では、世界的に高いシェアを持ち、手術をより低侵襲で安全に行うための技術革新を進めています。
2つ目は「メディカルケアソリューションズカンパニー」です。この分野では、病院や在宅医療向けに注射器、輸液セット、点滴装置、シリンジポンプ、自己血糖測定器、腹膜透析関連製品などを提供しています。医療従事者の作業効率を高めるだけでなく、患者の生活の質(QOL)向上にも貢献する製品群が中心です。
3つ目は「血液・細胞テクノロジーカンパニー」で、血液バッグ、輸血用製品、細胞治療関連機器、血液成分分離装置などを開発・製造しています。これらの技術は輸血医療や再生医療分野で活用されており、将来的には細胞医療(セルセラピー)事業の拡大も期待されています。
また、テルモは国内外に多数の製造拠点・研究開発拠点を持っており、国内では山梨、静岡、熊本などに生産工場を展開。海外ではアメリカ、ヨーロッパ、中国、インドなどに拠点を置き、世界中の医療現場に迅速に製品を供給する体制を整えています。グループ全体では連結子会社が約100社、持分法適用会社が4社あります。
製品面では、注射器、輸液ポンプ、人工肺、心臓手術用カテーテル、血液バッグ、透析装置、糖尿病関連製品など、幅広い医療分野をカバーしています。特にテルモ製のプレフィルドシリンジ(薬剤充填済み注射器)は世界的に評価が高く、多くの製薬会社で採用されています。
さらに、テルモは環境・社会・ガバナンス(ESG)にも積極的に取り組んでおり、医療アクセスの平等化や環境負荷の低減、医療従事者支援活動などを通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。
総合的に見ると、テルモは医療機器メーカーとしての高い技術力と、グローバルな展開力を併せ持つ企業であり、心臓・血管治療から在宅医療、再生医療に至るまで幅広い領域で社会貢献を続けています。日本発の「世界ブランド」として、医療の未来を支える存在といえる企業です。
テルモ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◇23.3* | 820,209 | 117,332 | 116,137 | 89,325 | 59.5 | 20 |
| ◇24.3* | 921,863 | 140,096 | 140,829 | 106,374 | 71.5 | 22 |
| ◇25.3 | 1,036,171 | 157,668 | 154,574 | 116,978 | 79.0 | 26 |
| ◇26.3予 | 1,050,000 | 194,000 | 194,000 | 143,000 | 96.9 | 30 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 117,536 | -59,121 | -86,559 |
| 2024年3月期 | 146,330 | -81,472 | -62,079 |
| 2025年3月期 | 210,802 | -82,481 | -108,766 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PBR(倍) | PER(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 14.3% | 8.0% | 5.5% | ― | ― |
| 2024年3月期 | 15.1% | 8.0% | 5.8% | ― | ― |
| 2025年3月期 | 15.2% | 8.5% | 6.3% | 2.68倍 | 高値平均:40.8倍 安値平均:26.9倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
テルモは、業績・指標ともに非常に安定しており、中長期の成長と安定配当を両立できる優良銘柄と判断できます。
まず、業績面を見ると、売上高は2023年の約8,200億円から2025年には1兆円を突破しており、堅実な右肩上がりの成長を続けています。営業利益も1173億円 → 1576億円と順調に増加しており、営業利益率も14.3%から15%台へ上昇しています。これは医療機器メーカーとして高い収益性を維持していることを示しており、価格競争に巻き込まれにくい強固な事業基盤を持つことがわかります。
経常利益・純利益も同様に安定成長を見せており、2025年には純利益が約1,170億円と過去最高水準。ROE8.5%、ROA6.3%と、効率性の面でもしっかりと利益を生み出しています。財務の健全性も高く、自己資本比率は60%超、キャッシュフローも安定しており、研究開発・設備投資・株主還元のいずれにも十分な余力があります。
株価指標を見ると、PBRは2.68倍、PERは高値平均40.8倍・安値平均26.9倍とやや割高感はありますが、これは市場がテルモの将来性を織り込んでいる証拠です。心臓血管や透析、血液関連製品など世界的に成長余地のある分野を中心に展開しており、長期的な医療需要の拡大が見込まれます。
また、営業利益率15%前後という高水準を維持している点は非常に強みで、競合であるオリンパスやニプロと比較しても収益性が際立っています。ROE・ROAの安定性から見ても、資本効率の良い経営が継続していることがわかります。
総合的に判断すると、テルモは短期的な急騰を狙う銘柄ではないものの、堅実な利益成長と安定配当を継続できる長期投資向きの企業です。医療機器業界の中でも世界的ブランド力があり、新技術開発や再生医療分野などの将来テーマにも積極的なため、今後5~10年の視点で見れば株主価値の拡大が十分期待できます。
結論としては、安定成長+医療分野の長期需要拡大に支えられた中長期保有に適した「買い」判断が妥当です。
配当目的とかどうなの?
テルモは、配当目的の投資先としてはやや物足りないが、安定配当を長期で維持する堅実型の銘柄です。
まず、2026年3月期と2027年3月期の予想配当利回りはいずれも1.20%と低水準です。これは日本企業全体の平均(約2%前後)を下回る水準であり、短期的に高いインカムゲイン(配当収入)を狙う銘柄ではありません。
ただし、テルモは減配リスクが極めて低い企業です。2023年の配当20円から、2025年には26円、そして2026年には30円へと着実に増配しており、利益に合わせてバランス良く株主還元を行っています。毎年の業績に応じて少しずつ配当を引き上げる「安定増配型」のスタイルで、長期保有者にとっては信頼できる還元姿勢を持っています。
また、テルモは営業キャッシュフローが年々増加しており、2025年には約2,100億円と強力な資金創出力を誇ります。これにより、将来的に業績がさらに拡大すれば、配当性向を高めたり、自己株買いを実施したりする余地も十分あります。
さらに、テルモの事業は世界中で安定需要が見込まれる「医療機器・ライフサイエンス分野」であり、景気変動に強いディフェンシブ性を持ちます。したがって、株価下落リスクが限定的で、安定した配当を受け取りつつ、長期的な株価上昇も狙える点が魅力です。
まとめると、テルモは「高配当銘柄」ではなく「安定配当+長期成長型銘柄」です。
配当利回りだけを見ると魅力は薄いですが、業績の堅調さと増配傾向、財務体質の強さから、中長期で安心して保有できる安定配当株として評価できます。
長期で医療業界の成長に乗りつつ、少しずつ配当を積み上げていく投資スタイルに向いた銘柄です。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在のテルモの株価は2,495.5円です。この株価をもとに今後5年間の値動きを「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」で予想すると次のようになります。
良い場合は、心臓血管カテーテルや血液関連製品などの主力事業が世界的に好調で、再生医療や細胞治療など新しい分野でも成果が出てくるシナリオです。
営業利益率が16%前後まで上昇し、海外での売上がさらに拡大することで業績は過去最高を更新する見込みです。
この場合、投資家からの評価も高まり、PERも上昇して株価は5年後に3,800円から4,200円程度まで上昇する可能性があります。
長期の安定成長株としての地位を確立し、増配も期待できる展開です。
中間の場合は、業績は堅調に推移するものの、為替や原材料コスト、研究開発費の増加などの影響で利益の伸びが限定的になります。
営業利益率は15%前後で安定し、配当も少しずつ増加しますが、大きな成長は見られません。
株価は緩やかに上昇し、5年後には2,900円から3,200円程度のレンジで推移する可能性が高いです。
安定配当を受け取りながら、中長期で堅実に保有するタイプの投資となります。
悪い場合は、為替の逆風や海外市場での競争激化、研究開発の遅れなどによって業績が伸び悩むケースです。
営業利益率が14%を下回り、ROEも低下して市場評価が下がる可能性があります。
この場合、株価は5年後に2,000円から2,200円程度まで下落するおそれがあります。
ただし、テルモは財務体質が強く、キャッシュフローも安定しているため、企業としての存続リスクはほとんどありません。
まとめると、テルモは短期的な値上がりを狙う銘柄ではなく、安定した業績と財務基盤を持つ中長期保有向けの株です。
5年後の想定株価レンジは、良い場合が3,800~4,200円、中間の場合が2,900~3,200円、悪い場合が2,000~2,200円と予想され、堅実なリターンを求める投資家に適しています。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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