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トレンドマイクロ(4704)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

トレンドマイクロとは

トレンドマイクロ株式会社は、東京都新宿区新宿4-1-6 JR新宿ミライナタワーに本社を置く、日本を代表するセキュリティソフトウェア開発企業です。1989年に創業し、現在は東京証券取引所プライム市場に上場しています。資本金は約199億円で、グローバル本社を日本に構えつつ、世界60か国以上に拠点を持ち、約7,000名の従業員を擁しています。

同社は主に「サイバーセキュリティ事業」を展開しており、企業・個人向けにウイルス対策や不正アクセス防止、クラウドセキュリティなどを提供しています。代表的な製品として、個人向けには「ウイルスバスター(Trend Micro Security)」、企業向けには「Deep Security」や「Trend Vision One」などがあります。これらはマルウェアやランサムウェア、フィッシング攻撃、情報漏えいといった脅威からシステムを守るために開発されたものです。

特に、クラウドやIoT、5G時代に対応したセキュリティソリューションを強化しており、AWSやMicrosoft Azureなどのクラウド環境に対応した「Cloud One」シリーズは世界的にも高く評価されています。また、AIによる脅威検知や自動対応技術を活用した次世代のセキュリティ運用を推進しており、サイバー攻撃の早期検知から封じ込め、被害防止までをワンストップで提供しています。

法人向け事業が売上の大部分を占めており、世界中の大企業、官公庁、金融機関、製造業、教育機関などに導入されています。さらに、中小企業向けのクラウド型セキュリティサービス「Worry-Free Business Security」なども提供し、幅広い顧客層をカバーしています。

トレンドマイクロは研究開発にも注力しており、世界各地に「Trend Micro Research」という専門研究チームを設置。新たなサイバー脅威や脆弱性を監視・分析し、セキュリティ対策技術を継続的にアップデートしています。これにより、ゼロデイ攻撃や標的型攻撃への対応力を高め、業界をリードする立場を確立しています。

また、企業の持続的成長を重視し、環境・社会・ガバナンス(ESG)活動にも力を入れています。特に「デジタルセーフティ教育」や「子ども向けネットリテラシー啓発活動」など、社会的責任を果たす取り組みも積極的に展開しています。

まとめると、トレンドマイクロ株式会社は「安全なデジタル社会の実現」を企業理念に掲げ、個人から企業、政府機関までを包括的に守る総合サイバーセキュリティ企業です。世界中で信頼される日本発グローバルブランドとして、テクノロジーと安心を両立するサービスを提供しています。

トレンドマイクロ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2022年12月期 223,795 31,340 34,162 29,843 213.6 151
2023年12月期 248,691 32,602 36,181 10,731 78.5 738(特別配当含む)
2024年12月期 272,638 48,105 52,840 34,358 259.1 184
2025年12月期(予想) 274,000 53,600 45,000 30,200 229.0 160

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022年12月期 56,903 -67,716 -30,437
2023年12月期 57,227 31,000 -43,433
2024年12月期 46,781 5,044 -130,900

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PBR PER(高値平均/安値平均)
2022年12月期 14.0% 13.1% 6.3%
2023年12月期 13.1% 5.0% 2.1%
2024年12月期 17.6% 29.3% 8.5% 9.38倍 62.0倍/39.6倍
2025年12月期(予想) 19.5% 25.8% 7.5%

出典元:四季報オンライン

投資判断

トレンドマイクロ株式会社は、直近の業績と各種指標を総合的に見ると、収益性・資本効率ともに高水準で推移しており、長期安定成長を見込める優良グロース株です。

まず、営業利益・経常利益・純利益の推移を見ると、2022年から2024年にかけてそれぞれ増加傾向にあります。営業利益は31,340百万円 → 48,105百万円へと約1.5倍に拡大しており、2025年予想でも53,600百万円と増益が続く見通しです。これは、法人向けクラウドセキュリティ製品やAI検知型サービスの需要が世界的に拡大していることが背景にあります。

営業利益率も2022年14.0% → 2024年17.6% → 2025年予想19.5%と、非常に高い水準で推移しており、製品力・ブランド力の強さが表れています。ROEも2024年に29.3%、ROAも8.5%と高水準を記録しており、資本効率・総資産効率ともに優れています。これは、利益率の高いソフトウェア事業ならではの特徴であり、株主資本を効率的に活用していることを示しています。

一方で、PBRは9.38倍とかなり高く、市場が将来の成長性を強く織り込んでいる状態です。PERも2024年の高値平均で62倍、安値平均で39.6倍と割高感はあります。つまり、現時点で「安い株」ではありませんが、安定した成長と高収益構造を持つ“プレミアム銘柄”として市場から高く評価されています。

特に注目すべきは、2023年の一時的な純利益減少(10,731百万円)は特別要因によるものであり、本業の収益力には影響がありません。その後、2024年に純利益34,358百万円へ急回復しており、成長トレンドは健在です。

投資判断としては、長期保有前提の成長株として「買い」もしくは「中立寄りの強気」といえます。短期ではPER・PBRの高さがネックになる可能性がありますが、クラウド・AI・IoT・ゼロトラストなど今後のセキュリティ需要が拡大する分野に強みを持っており、中長期的には安定した増益が期待できます。

また、同社は配当性向も高く、安定したキャッシュフローを背景に継続的な株主還元を実施しており、特別配当も実施するなど財務の健全性は非常に高いです。

総合すると、トレンドマイクロは「利益率の高いグローバル企業」「堅実な成長軌道」「高評価プレミアム株」という三拍子が揃った企業であり、短期の割高感よりも長期的な収益成長に期待する投資家向けの銘柄です。

配当目的とかどうなの?

トレンドマイクロ株式会社は、配当目的の投資としても十分に魅力がある銘柄です。2025年12月期の予想配当利回りは2.05%、2026年12月期は2.66%と上昇が見込まれており、同業のIT・ソフトウェア企業の中では比較的高めの水準です。

同社はサブスクリプション型(定額課金)による収益が多く、安定した営業キャッシュフローを維持しているため、減配リスクが非常に低い点が特徴です。毎年安定して50億円以上の営業CFを確保しており、配当を出し続ける余力は十分にあります。
また、業績に応じて配当を少しずつ引き上げる「安定増配型」の方針を取っており、利益が伸びたときは特別配当を実施することもあります。実際に2023年には特別配当を含め738円を実施し、株主還元に積極的な姿勢を示しました。

現在の利回りは2%前後ですが、今後の業績成長とともにさらなる増配が期待されます。特に、クラウドやAI分野のセキュリティ需要が拡大しており、収益が安定していることから、長期的に見て配当も伸びていく可能性があります。

一方で、PERやPBRは比較的高水準にあり、株価が上昇している局面では利回りが見かけ上下がることもあります。そのため、短期での高配当を狙う銘柄ではなく、長期的な配当と株価上昇の両方を狙う「安定成長型銘柄」として捉えるのが適切です。

まとめると、トレンドマイクロは安定したキャッシュフローを背景にした堅実な配当方針を持ち、IT企業の中では比較的高い配当利回りを維持しています。
短期的な利回りよりも、長期での配当増加と企業成長を期待する投資家に向いた銘柄です。

今後の値動き予想!!(5年間)

トレンドマイクロ株式会社の現在値は7,800円です。今後5年間の株価の動きを、良い場合・中間の場合・悪い場合に分けて考えてみます。

まず良い場合です。
サイバーセキュリティやクラウド、AI関連の需要が今後も拡大し、トレンドマイクロの製品が世界的に評価されて収益が伸び続けるケースです。営業利益率は19%前後を維持し、ROEも25%を超える高水準を保つことができれば、利益もキャッシュフローも安定して拡大していきます。業績好調を背景に増配や自社株買いも続けば、投資家からの評価も高まり、5年後の株価は10,500円から11,500円程度まで上昇する可能性があります。

次に中間の場合です。
業績は堅調ですが、成長スピードがやや鈍化するケースです。競争激化や開発コスト、為替などの影響を受けながらも営業利益率は17~18%前後を維持し、ROEは20%前後で安定推移します。配当は少しずつ増配され、利回りも2%台を維持。大きなサプライズはないものの、堅実な成長で株価は5年後に9,000円から9,800円ほどになると考えられます。長期保有での安定したリターンが見込めるパターンです。

最後に悪い場合です。
競合の台頭や価格競争の激化、研究開発費の増加などにより収益性が低下するケースです。営業利益率が15%を下回り、ROEやROAも下がると市場評価は一段落ち着きます。配当も増配が止まり、場合によっては減配する可能性もあります。こうした場合、株価は6,000円から6,800円程度まで下落するリスクがあります。

まとめると、トレンドマイクロは高い収益性と安定した事業基盤を持つ企業であり、長期的には堅実な成長が期待できる銘柄です。ただし現在の株価はすでに将来の成長をある程度織り込んでいるため、短期的には調整もあり得ます。5年後の想定株価レンジとしては、良い場合は10,500円〜11,500円、中間の場合は9,000円〜9,800円、悪い場合は6,000円〜6,800円程度が目安になります。

この記事の最終更新日:2025年11月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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