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中外製薬(4519)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

中外製薬とは

中外製薬株式会社は、東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号の日本橋三井タワーに本社を構える、日本を代表する研究開発型製薬企業です。創業は1925年で、現在の代表取締役社長は奥田修氏です。資本金は約732億円、決算期は12月です。東京証券取引所プライム市場に上場しております。

中外製薬は、スイスの大手製薬会社ロシュ(Roche)グループの一員であり、ロシュが筆頭株主です。ロシュとの資本・業務提携を通じて、世界規模での研究開発・販売ネットワークを構築している点が大きな特徴です。ロシュとの連携によってグローバルな臨床試験や共同開発が進められており、中外製薬が開発した医薬品は海外でも販売されています。

同社の主な事業内容は、医療用医薬品の研究・開発・製造・販売および輸出入です。特に「抗体医薬」に強みを持ち、がん、免疫、感染症、血液疾患などの専門領域で革新的な医薬品を提供しています。自社開発技術である抗体エンジニアリング技術(SMART-Ig、Recycling Antibodyなど)を活用し、世界的にも競争力の高い創薬力を誇っています。

主力製品には、関節リウマチや免疫疾患の治療薬「アクテムラ」、がん治療薬「アレセンサ」「テセントリク」「ヘムライブラ」などがあり、いずれも世界的に高い評価を受けています。特に「ヘムライブラ(商品名:ヘムライブラ皮下注)」は血友病A治療薬として世界的に販売されており、中外製薬の収益の柱となっています。また、バイオ医薬品の生産技術にも定評があり、藤枝工場や浮間工場などで高度な製造体制を整備しています。

近年ではデジタル技術の導入にも積極的で、AIやビッグデータを活用した創薬研究、電子カルテを用いたリアルワールドデータ分析などを推進。創薬のスピードと精度を高め、患者ごとに最適な治療を提供する「個別化医療(プレシジョンメディシン)」の実現を目指しています。また、診断薬との連携を強化し、治療と診断を一体化したヘルスケアソリューションの開発も進めています。

財務面でも非常に安定しており、売上・営業利益ともに高水準で推移しています。営業利益率は30%を超える年もあり、研究開発費を積極的に投じながらも高い収益性を維持しています。キャッシュフローも潤沢で、国内製薬大手の中でもトップクラスの自己資本比率を誇ります。配当も安定しており、増配傾向が続いています。

中外製薬の企業理念は「革新をもって社会に貢献する」であり、医薬品の提供を通じて人々の健康と社会の発展に貢献することを掲げています。環境・社会・ガバナンス(ESG)にも力を入れており、脱炭素化、サプライチェーン管理、女性活躍推進なども積極的に取り組んでいます。

総合的に見て中外製薬は、抗体医薬とバイオ技術に圧倒的な強みを持ち、ロシュとの連携によって世界市場でも存在感を発揮する日本屈指の製薬企業です。革新的な創薬力と安定した経営基盤を持ち、国内外の医薬品市場において長期的な成長が期待される企業といえます。

中外製薬 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
◇22.12 1,259,946 533,309 531,166 374,429 227.6 78
◇23.12 1,111,367 439,174 443,821 325,472 197.8 80
◇24.12 1,170,611 542,002 543,034 387,317 235.4 98
◇25.12予 1,210,000 580,000 570,000 410,000 249.1 250(記念配含む)

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022 244,112 -145,994 -145,641
2023 409,925 -37,290 -139,331
2024 447,600 -227,365 -141,006

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PBR PER(高値平均) PER(安値平均)
2022 42.3% 26.2% 20.0%
2023 39.5% 20.0% 16.8%
2024 46.3% 20.3% 17.5% 6.50倍 26.7倍 16.6倍
2025(予想) 47.9% 21.5% 18.5% 30.58倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

中外製薬の直近の数値を見ると、非常に高い収益性と財務健全性を兼ね備えた優良企業であり、投資先としては「中長期での堅実な成長を期待できる買い」判断が妥当です。

まず、営業利益は2022年に5,333億円、2023年に4,391億円と一時的に減少しましたが、2024年には5,420億円と大幅に回復し、2025年も5,800億円と増加が見込まれています。営業利益率は42.3%→39.5%→46.3%→47.9%と推移しており、製薬業界の中でも圧倒的な高収益水準を維持しています。一般的に製薬企業で営業利益率が20%を超えれば優秀とされるなか、中外製薬はその倍近い水準を続けており、製品力・コスト効率ともに非常に優れています。

経常利益も同様に安定しており、2022年が5,311億円、2024年が5,430億円、2025年予想が5,700億円と堅調な右肩上がりです。純利益も2022年に3,744億円、2024年に3,873億円、2025年には4,100億円と安定して増加しており、収益構造の強さが際立っています。

財務指標面でも、ROE(自己資本利益率)は2022年26.2%、2023年20.0%、2024年20.3%、2025年予想21.5%と非常に高く、資本効率が優れていることを示しています。ROA(総資産利益率)も16~18%台で推移しており、企業の総資産を効率よく利益に変えていることが分かります。

株価指標をみると、2024年実績PBRは6.50倍、PERは高値平均26.7倍、安値平均16.6倍で、2025年の予想PERは30.58倍です。一見するとやや割高に見えますが、これは中外製薬の持つ成長力と技術力への市場評価が高いためで、バイオ医薬・抗体医薬の分野で世界的に評価されていることを反映しています。

特に中外製薬は、スイスのロシュ(Roche)グループとの連携により、グローバルな販売網と研究開発体制を持つ点が強みです。抗体医薬品やがん治療薬「アクテムラ」「アレセンサ」「テセントリク」「ヘムライブラ」などの主力製品群は世界市場でも高いシェアを持ち、安定したロイヤリティ収入を生み出しています。これにより、景気や為替の影響を受けにくく、研究開発費を積極的に投じながらも高い利益率を維持しています。

また、営業キャッシュフローも潤沢で、2024年には約4,476億円を計上しており、研究開発投資や株主還元の原資が十分に確保されています。財務CFがマイナスで推移しているのは、配当や自社株買いなど株主還元によるもので、経営の安定性と株主重視の姿勢がうかがえます。

総合的に見ると、中外製薬は高収益・高効率・安定成長の三拍子がそろった「プレミアム製薬株」と言えます。株価指標的には割高に見えても、世界水準の創薬力と安定的な利益構造を考慮すれば妥当な評価であり、むしろ長期的にはまだ上昇余地があります。

したがって、投資判断としては「中長期の安定成長を見込んだ強気の買い」が適切です。短期的な値動きに左右されるよりも、研究開発の成果や新薬の上市による利益拡大を見越して、数年単位で保有するのが望ましい銘柄です。

配当目的とかどうなの?

中外製薬は、配当目的での投資にも一定の魅力がありますが、短期的には注意が必要です。2025年12月期の予想配当利回りは3.34%と非常に高くなっていますが、これは記念配当を含む一時的な増配によるもので、同社が創業100周年を迎えることを記念して特別に設定されたものです。したがって、この高配当は恒常的なものではなく、翌期以降に続くものではありません。

実際、2026年12月期の予想配当利回りは1.33%まで下がる見込みです。これは、記念配当が終了し、通常の年間配当(80円~100円前後)に戻ることを想定しているためです。つまり、2025年だけは特別に高い配当が出る年であり、2026年以降は安定的ではあるものの、利回り面での魅力はそれほど大きくはないということになります。

ただし、中外製薬は配当の安定性という点では非常に優れた企業です。営業キャッシュフローが毎年安定しており、利益の範囲内でしっかりと配当を行っています。配当性向もおおむね30~40%台で推移しており、無理のない範囲で株主還元を続けています。業績が伸びれば自然に配当も増える傾向にあり、減配のリスクはほとんどありません。

また、同社は自社株買いなどの株主還元策にも積極的で、単に配当を支払うだけでなく、株価の安定と企業価値の向上にも力を入れています。研究開発への投資と株主還元をバランスよく行う経営方針を取っており、長期的に見れば株価上昇と配当の両方でリターンを狙える企業です。

総合的に見ると、中外製薬は「安定した配当を長期的に受け取りたい人」に向いている銘柄です。2025年は特別配当によって高い利回りが得られる年になりますが、翌年以降は1%台前半の通常水準に戻る見込みです。
したがって、短期的に高配当を狙うよりも、「安定配当+株価上昇によるトータルリターン」を狙う長期保有の方が適しています。中外製薬は配当だけでなく、業績の安定性や技術力の高さから見ても、長期的に信頼できるディフェンシブ銘柄と言えるでしょう。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の中外製薬の株価は7,468円です。この水準をもとに、今後5年間の値動きを良い場合・中間の場合・悪い場合の3つのシナリオで考えると次のようになります。

良い場合は、新薬開発が順調に進み、抗体医薬やバイオ医薬などの分野でさらに強みを発揮したケースです。
アクテムラやテセントリク、ヘムライブラなどの主力製品が海外でも堅調に推移し、新薬の上市も成功すれば、業績は再び過去最高益を更新する可能性があります。営業利益率は45%前後を維持し、ROEは20%超の高水準が続くと予想されます。
この場合、国内外の投資家からの評価も高まり、株価は5年後に9,500円から10,500円前後まで上昇する展開が想定されます。
配当も増配傾向を維持し、総合的なリターンも大きくなるでしょう。

中間の場合は、新薬の開発や販売は堅調ながら、薬価改定や競争の影響で成長ペースがやや緩やかになるシナリオです。
営業利益率は40~45%程度で安定し、ROEも15~20%あたりを維持すると見られます。
業績は堅調ですが株価の上昇余地は限定的で、5年後の株価は8,000円から9,000円前後が中心と予想されます。
配当は安定して支払われ、長期保有することで安定した利益を得られるタイプの展開です。

悪い場合は、新薬開発の遅れや競合薬の台頭、薬価改定などの影響で利益率が低下するパターンです。
営業利益率は30%台後半まで下がり、ROEも10~15%程度まで低下する可能性があります。
その場合、株価は評価を落とし、5年後には6,000円から6,800円前後まで下落するリスクがあります。
ただし、中外製薬は財務基盤が強固であるため、極端な業績悪化や無配リスクは考えにくいといえます。

総合的に見て、中外製薬は高収益体質と強い研究開発力を兼ね備えた安定成長企業です。
短期的な値動きよりも、中長期的な業績拡大と安定配当を重視して保有するのが向いており、長期投資では「安定した成長と確実なリターン」を見込める銘柄といえます。

この記事の最終更新日:2025年11月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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