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塩野義製薬(4507)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想


株価

塩野義製薬とは

塩野義製薬株式会社は、大阪府大阪市中央区道修町三丁目1番8号に本社を置く日本を代表する製薬会社です。創業は1878年(明治11年)と非常に歴史が長く、1919年(大正8年)に会社として設立されました。代表取締役会長兼社長(CEO)は手代木功氏で、資本金は約212億円です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、決算期は3月末です。

塩野義製薬は、医療用医薬品の研究開発・製造・販売を中心に事業を展開しています。特に感染症領域に強みを持ち、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」やHIV治療薬などで知られています。ほかにも疼痛(痛み)治療薬、中枢神経疾患治療薬、生活習慣病関連薬など幅広い領域をカバーしており、感染症対策や神経系疾患の治療におけるリーディングカンパニーの一つです。

同社の特徴は、自社創薬の比率が非常に高い点にあります。自社で発見・開発した新薬を国内外の製薬会社にライセンス提供し、ロイヤリティ収入を得るビジネスモデルを確立しています。これにより、薬の販売だけでなく、知的財産からの収益も安定的に得られる体制を築いています。実際、塩野義は「創薬型製薬企業」として知られており、国内外の研究機関や製薬会社との提携も積極的に進めています。

また、グローバル展開にも力を入れており、北米・欧州・アジアに拠点を設け、世界市場でのプレゼンスを強化しています。近年では新興国市場の開拓にも取り組んでおり、海外売上比率の拡大を重要な経営課題としています。研究開発体制としては、日本国内に加えて、海外にも研究拠点を持ち、国際共同開発やAI創薬など新技術を取り入れながら効率的な研究を推進しています。

さらに、塩野義製薬は医薬品の枠を超えたヘルスケア事業にも注力しています。感染症検査、ワクチン開発、デジタルヘルス(アプリやオンライン医療サポート)など、新たな医療の形を模索しています。とくに新型コロナウイルス感染症対策では、経口治療薬「ゾコーバ」を開発し、国産コロナ薬として注目を集めました。

企業理念として「自らの手で創り出す創薬」を掲げ、社会課題を解決する医薬の提供を目指しています。環境や倫理にも配慮したサステナブル経営を重視し、ESG(環境・社会・ガバナンス)分野でも評価が高い企業です。

総合的に見て、塩野義製薬は感染症・神経疾患・疼痛治療などの分野で確固たる地位を築くとともに、創薬力と研究開発力を強みにグローバル化を進める企業です。伝統と革新の両面を持ち合わせた製薬会社として、今後も国内外での医療貢献が期待されています。

塩野義製薬 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
◇23.3* 426,684 149,003 220,332 184,965 207.1 45
◇24.3* 435,081 153,310 198,283 162,030 186.2 53.3
◇25.3* 438,268 156,603 200,750 170,435 200.4 61.3
◇26.3予 530,000 175,000 222,000 180,000 211.5 66

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 177,867 -48,292 -84,123
2024 154,284 5,922 -126,853
2025 195,460 -116,080 -64,908

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PBR PER(高値平均) PER(安値平均)
2023 34.9% 16.8% 14.1%
2024 35.2% 13.1% 11.4%
2025 35.7% 12.5% 11.1% 1.54倍 13.3倍 9.8倍

投資判断

塩野義製薬は、日本を代表する創薬型製薬会社の一つであり、その業績指標を見ると非常に安定した経営基盤と高収益体質を維持していることがわかります。

まず営業面では、2023年の営業利益は1,490億円、2024年は1,533億円、2025年は1,566億円と安定した増加傾向にあります。営業利益率は34.9%、35.2%、35.7%といずれも30%台半ばを維持しており、これは製薬業界の中でもトップクラスの水準です。一般的に営業利益率20%を超える企業は優良とされますが、塩野義はその1.5倍以上の利益率を確保しており、研究開発費を多く投じながらも極めて効率的な収益構造を持っているといえます。

経常利益は2023年に2,203億円、2024年に1,982億円、2025年に2,007億円とほぼ横ばいながらも高水準を維持しています。純利益も1,849億円、1,620億円、1,704億円と推移しており、多少の上下はあるものの、安定的な収益体制を保っています。製薬企業は新薬開発やライセンス収入などで年度ごとの変動が大きくなりやすいですが、塩野義の場合は既存製品とロイヤリティ収入が堅調に推移しており、利益の安定性が高い点が強みです。

指標面を見ても、2025年の予想PERは高値平均で13.3倍、安値平均で9.8倍と割安圏に位置しています。製薬業界では成長期待を織り込みPER20倍前後となる企業も多い中で、塩野義の9〜13倍という数値は「利益に対して株価がまだ十分に高くない」ことを示しており、割安感があります。PBRは1.54倍と資産価値に対して適正水準で、過熱感はありません。

ROE(自己資本利益率)は16.8%→13.1%→12.5%、ROA(総資産利益率)は14.1%→11.4%→11.1%とやや低下傾向にありますが、依然として二桁を維持しており、自己資本・総資産を効率的に活用して利益を生み出していることが分かります。製薬業界の平均ROEが5〜8%程度であることを考えると、塩野義の収益性は明らかに高い水準です。

この高収益の背景には、塩野義が長年培ってきた創薬力と知的財産収益モデルがあります。自社開発した新薬を海外企業にライセンス供与し、販売ロイヤリティを得ることで安定的なキャッシュフローを確保しています。また、感染症分野では抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」や新型コロナ経口薬「ゾコーバ」などの開発実績があり、社会的貢献度も高いです。さらに、疼痛治療や中枢神経領域など、長期的需要が見込まれる分野に注力していることも強みとなっています。

財務面でも極めて健全で、営業キャッシュフローは常にプラス。2025年には約1,950億円と高水準を維持しています。投資キャッシュフローはマイナスですが、これは研究開発や生産設備への積極的な投資によるもので、将来の成長に向けた前向きな支出といえます。財務キャッシュフローは自社株買いや配当支払いによってマイナスとなっており、株主還元にも積極的な姿勢がうかがえます。

これらの数値から判断すると、塩野義製薬は安定的な収益力を持つ「守りながら伸びるタイプの銘柄」です。急成長株のような爆発的な値上がりは期待しにくいものの、着実な業績と増配傾向によって長期保有で報われるタイプの企業といえます。特に営業利益率が35%前後を維持している点は際立っており、経営効率の高さと独自のビジネスモデルが反映されています。

総合的な投資判断としては「中長期での安定成長を狙う買い」。業績の安定性、配当の増加傾向、そして堅実な財務体質を考えると、ディフェンシブ銘柄として非常に魅力的です。景気変動に強く、医薬品需要が落ち込みにくいため、ポートフォリオの安定要因としても適しています。短期的な値上がりを狙うよりも、5年〜10年の長期視点で保有し、安定した利益と増配を享受する投資が向いている銘柄といえるでしょう。

配当目的とかどうなの?

塩野義製薬は、配当目的の投資としても非常に魅力的な企業です。
現在の予想配当利回りは2026年3月期・2027年3月期ともに2.53%で、製薬業界の平均(おおよそ2%前後)よりも高い水準です。しかも塩野義は、ここ数年で毎年のように増配を続けています。2023年3月期には年間45円だった配当を、翌年に53.3円、2025年に61.3円、そして2026年には66円へと引き上げており、株主還元の姿勢が非常に明確です。

同社は研究開発に多くの資金を投入しながらも、営業キャッシュフローが毎年1,500億円から2,000億円規模と安定しており、配当原資に十分な余裕があります。財務面も非常に健全で、自己資本比率が高く、有利子負債も少ないため、今後も無理なく安定配当を継続できる体制が整っています。

塩野義製薬の配当方針は「安定配当を維持しつつ、持続的な増配を目指す」というもので、短期的な業績の上下に左右されず、長期的に株主に利益を還元する姿勢を取っています。実際、過去10年以上にわたって減配はなく、企業としての安定感と信頼性の高さが際立っています。

また、塩野義は医薬品という景気に左右されにくい分野に強みを持ち、収益の安定性も高いため、長期保有による配当収入の積み上げに適しています。預金や国債と比べても2.5%を超える安定利回りを長期で享受できる点は、個人投資家にとって非常に魅力的です。

まとめると、塩野義製薬は「安定した収益基盤」「継続的な増配」「健全な財務構造」という3つの要素を兼ね備えた、典型的なディフェンシブ高配当株です。長期的に配当収入を重視する投資家にとって、非常に安心して保有できる優良銘柄といえます。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の塩野義製薬の株価は2,607円です。この株価をもとに、今後5年間の値動きを良い場合・中間の場合・悪い場合の3つに分けて予想します。

良い場合は、新薬の開発が順調に進み、感染症領域の「ゾコーバ」や中枢神経疾患の新薬が市場で成功を収め、ロイヤリティ収入も増えるケースです。営業利益率は35%を超え、ROEも13%前後まで改善します。さらに海外での販売も拡大し、収益構造が強化されれば株価は5年後に3,800円から4,200円程度まで上昇する可能性があります。増配も継続すれば、長期的な投資対象として高く評価されます。

中間の場合は、既存製品の安定販売と新薬の堅調な成長が続く一方で、研究開発費や薬価改定の影響で利益の伸びが限定的なケースです。営業利益率は34~35%前後を維持し、ROEも12%前後で推移します。業績は安定しますが、爆発的な成長までは期待しづらく、株価は2,800円から3,200円の範囲で推移する見込みです。着実な増配が続けば、長期保有で安定したリターンを得られる展開になります。

悪い場合は、新薬の開発遅延や既存薬の特許切れ、薬価引き下げなどが重なり、収益性が低下するケースです。営業利益率が30%前後に落ち込み、ROEも10%を下回る可能性があります。こうした状況では市場の評価が下がり、株価は2,000円から2,300円程度まで下落するリスクがあります。配当は維持される見通しですが、増配余地は小さくなります。

総合的に見ると、塩野義製薬は利益率が非常に高く、キャッシュフローも安定しているため、景気変動に強いディフェンシブ銘柄です。短期的に大きな値上がりを狙うよりも、堅実な成長と安定した配当を重視する長期投資に向いています。5年後の想定株価は、良い場合3,800~4,200円、中間の場合2,800~3,200円、悪い場合2,000~2,300円を目安と考えられます。

この記事の最終更新日:2025年11月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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