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大塚ホールディングスとは

大塚ホールディングス株式会社は、医薬品・食品・化学分野を中心に幅広い事業を展開するグローバル企業グループの持株会社です。資本金は816億円です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、連結従業員数は約35,000人にのぼります。
同社は「Otsuka people creating new products for better health worldwide(世界の人々の健康に貢献する新しい価値を創造する)」という企業理念のもと、医薬品やニュートラシューティカルズ(栄養補助食品)、消費者向け製品、化学製品などを多角的に展開しています。
グループの中核を担うのは「大塚製薬株式会社」であり、医療用医薬品の研究開発・製造・販売を行っています。代表的な製品には、抗精神病薬「エビリファイ(Abilify)」、抗がん剤「ロンサーフ(Lonsurf)」、経口抗がん薬「アブラキサン(Abraxane)」、ポカリスエット、カロリーメイトなどがあります。
その他にも、大塚製薬工場株式会社が輸液・臨床栄養分野を担当し、大塚食品株式会社がボンカレーなどの食品事業を展開しています。さらに、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界30カ国以上にグループ会社を持ち、グローバル市場で積極的に事業を拡大しています。
大塚ホールディングスは、研究開発に積極的で、年間2,000億円を超える規模の研究開発投資を行い、医薬品を中心とした新製品開発に注力しています。また、医薬品と食品の融合(“Nutrition × Medicine”)を掲げ、生活習慣病やメンタルヘルスなど多様な健康課題に対するソリューション提供を目指しています。
要約すると、大塚ホールディングスは「医薬・食品・化学」を柱とする多角的ヘルスケアグループであり、世界中の人々の健康を支える製品と研究開発力を基盤としたグローバル企業です。
大塚ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022.12 | 1,737,998 | 150,323 | 172,954 | 134,019 | 247.0 | 100 |
| 2023.12 | 2,018,568 | 139,612 | 142,655 | 121,616 | 224.1 | 110 |
| 2024.12 | 2,329,861 | 323,564 | 335,854 | 343,120 | 633.8 | 120 |
| 2025.12(予) | 2,380,000 | 450,000 | 430,000 | 330,000 | 624.8 | 140 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 211,848 | -81,575 | -95,474 |
| 2023 | 283,232 | -190,538 | -60,260 |
| 2024 | 354,638 | -265,793 | -189,367 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PBR | PER(高値平均/安値平均) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 8.6% | 6.0% | 4.3% | ― | ― |
| 2023 | 6.9% | 5.0% | 3.6% | ― | ― |
| 2024 | 13.8% | 12.5% | 9.1% | 1.54倍 | 23.1倍 / 16.3倍 |
| 2025(予) | 18.6% | 12.0% | 8.8% | ― | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
大塚ホールディングスは、安定した成長性と収益性の両方を兼ね備えた企業で、中長期での投資に向いていると判断できます。
まず、業績面では売上・利益ともに堅調に伸びています。2022年の売上高は1兆7,379億円でしたが、2024年には2兆3,298億円に増加し、2025年も2兆3,800億円を見込んでいます。営業利益も2023年の一時的な低下を経て、2024年には3,235億円、2025年には4,500億円の予想と、大きく改善しています。営業利益率も18.6%まで上昇する見通しで、収益力が高まっています。
ROE(自己資本利益率)は2023年に5%と低水準でしたが、2024年に12.5%、2025年にも12.0%と改善しており、企業の資本を効率的に活用できる体質に変わってきています。ROA(総資産利益率)も2024年に9.1%、2025年に8.8%と、資産運用効率が向上しており、利益を安定的に生み出す経営基盤が整ってきています。
また、PER(株価収益率)は2024年時点で高値23倍、安値16倍と適正水準で、成長性を考慮するとやや割安感があります。PBR(株価純資産倍率)は1.54倍と、企業価値に対して過度な割高感はありません。医薬品や栄養食品といった安定分野を中心に事業を展開しているため、業績のブレが少なく、長期的に保有しても安心できる銘柄です。
さらに、営業キャッシュフローも毎年増加しており、本業でしっかりと現金を生み出せる構造を維持しています。これにより研究開発や設備投資を積極的に行いながら、安定した配当を継続できるだけの余力があります。
総合的に見ると、大塚ホールディングスは
・営業利益率とROEの改善による収益性の向上
・医薬品と食品の2本柱による安定した収益基盤
・健全なキャッシュフローと継続的な株主還元
という3点が強みです。
そのため、短期での値上がりを狙うよりも、安定した成長と配当を長期で享受するタイプの投資に向いています。5年から10年のスパンで見れば、着実に株主価値を高めていく企業と言えるでしょう。
配当目的とかどうなの?
大塚ホールディングスは、配当目的として考えると「安定重視の中長期向け銘柄」です。
現在の予想配当利回りは2025年12月期、2026年12月期ともに1.67%と高くはありませんが、同社は長年にわたって安定配当を続けており、減配リスクが非常に低い企業です。
2022年の1株あたり配当は100円でしたが、2023年には110円、2024年には120円、そして2025年には140円と、着実な増配が続いています。利益が伸びるたびに配当を引き上げる姿勢が見られ、株主還元への意識が高い会社です。
営業キャッシュフローも年々増加しており、本業で安定的に現金を稼ぐ力があります。2022年には2,118億円、2024年には3,546億円と着実に増えており、研究開発や設備投資を行いながらも、配当を維持・増加できるだけの資金的余裕があります。
また、大塚ホールディングスは医薬品事業と食品事業の二本柱を持っており、景気の影響を受けにくい安定的なビジネスモデルを構築しています。ポカリスエットやカロリーメイトなどのブランド力も強く、経済環境が悪化しても業績が急激に悪化するリスクは小さい点も魅力です。
総合的に見ると、短期的に高い配当利回りを狙うタイプの銘柄ではありませんが、長期的に見れば安定した配当と株価の成長を両立できる企業です。安定して配当を受け取りながら、企業の成長とともに資産を増やしたい人に向いている銘柄と言えます。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の大塚ホールディングスの株価は8,370円です。この水準をもとに、今後5年間の値動きを「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」で予想すると次のようになります。
良い場合は、主力の医薬品事業がグローバルで順調に伸び、食品・化学分野も安定して成長するシナリオです。研究開発が成果を上げて新薬の収益化が進み、営業利益率は20%前後、ROEも13%以上を維持。利益拡大とともに株主還元も強化され、株価は5年後に11,500円から12,500円程度まで上昇する可能性があります。医薬・食品を両立する安定型グローバル企業として、国内外の投資家からの評価がさらに高まる展開です。
中間の場合は、業績は堅調ながら成長ペースが落ち着き、営業利益率は15%前後、ROEも12%前後で安定推移するケースです。為替や原材料費の影響を受けつつも、事業ポートフォリオの強みで全体としては堅実な成長を維持。配当も継続して増配し、株価は5年後に9,500円から10,500円程度の範囲で推移する見通しです。安定成長を重視する投資家にとっては理想的な展開です。
悪い場合は、研究開発投資が成果につながらず、新薬の上市が遅れたり薬価改定で利益が圧迫されるパターンです。営業利益率が10%台前半に低下し、ROEも10%を下回る可能性があります。利益の伸び悩みや為替影響により市場評価が低下し、株価は7,000円から7,800円程度まで下落するリスクがあります。ただし財務基盤が強固なため、配当の大幅な減額などは起こりにくいでしょう。
総合的に見れば、大塚ホールディングスは長期的に成長と安定性を兼ね備えた優良銘柄であり、短期の値動きよりも5年から10年単位での着実な株主価値の向上を狙える企業です。想定株価レンジは「良い場合:11,500〜12,500円」「中間:9,500〜10,500円」「悪い場合:7,000〜7,800円」と見込まれます。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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