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太平洋セメント(5233)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

太平洋セメントとは

太平洋セメント株式会社は、日本を代表する総合セメントメーカーであり、建設・インフラ分野を中心に社会基盤を支える企業です。本社は東京都文京区にあり、1900年代初頭に創業された長い歴史を持つ企業です。現在ではセメントだけでなく、コンクリート製品、建設資材、環境事業など幅広い分野で事業を展開しています。

主力事業であるセメント部門では、国内に複数の生産拠点を持ち、全国各地の建設・土木現場にセメントを供給しています。製品はダム・高速道路・橋梁・ビルなどの大型インフラ建設から、一般住宅向けの建築資材まで幅広く使われており、日本の街づくりや社会インフラを支える中心的な存在となっています。また、セメントの品質や耐久性、環境への影響を考慮した製品開発にも注力しており、低炭素型セメントや環境対応型コンクリートの研究も進めています。

さらに、太平洋セメントは単なる製造業者にとどまらず、「循環型社会の構築」に大きく貢献している点も特徴です。セメント製造過程では、産業廃棄物や副産物を原料や燃料として再利用しており、廃棄物の削減と資源の有効活用を同時に実現しています。例えば、石炭灰や汚泥、廃プラスチックなどをセメント焼成炉の燃料として利用し、廃棄物の再資源化とCO₂削減を両立する仕組みを確立しています。こうした「環境と経済の両立」を目指す姿勢は、国内外から高く評価されています。

また、セメント以外の事業も年々重要性を増しています。建設用資材、骨材、コンクリート製品などの関連事業をはじめ、地熱発電や風力発電といったエネルギー事業にも進出しており、持続可能なエネルギーの供給にも取り組んでいます。加えて、環境リサイクル事業では、自治体や企業から発生する廃棄物の処理を請け負い、リサイクル原料として再利用するなど、環境インフラ企業としての側面も強めています。

グローバル展開も積極的で、アジアを中心にアメリカや中東など世界各地に拠点を持ち、現地の建設需要に対応しています。特に東南アジア地域では、人口増加と都市化の進展により、セメント需要が堅調に推移しており、海外事業が同社の収益基盤を下支えしています。

経営理念としては「地球とともに生きる企業」を掲げ、サステナビリティ(持続可能性)を軸にした企業経営を行っています。近年では、カーボンニュートラル(脱炭素)への取り組みも本格化しており、2050年までにセメント製造におけるCO₂排出量を大幅に削減する目標を掲げています。再生可能エネルギーの活用やCCUS(CO₂回収・貯留・利用)技術の導入など、セメント産業全体の脱炭素化をリードする存在です。

まとめると、太平洋セメントは日本のインフラを根底から支えるだけでなく、環境保全・資源循環・脱炭素化を通じて、社会の持続的発展に貢献する企業です。セメント業界では国内最大手の一角を占め、安定した収益基盤と環境対応力を兼ね備えています。これからも「建設と環境の両立」をテーマに、日本の街づくりと地球環境の未来を支える存在であり続けるでしょう。

太平洋セメント 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2023年3月期 809,542 4,456 1,015 -33,206 -283.7 70
2024年3月期 886,275 56,470 59,472 43,272 371.1 70
2025年3月期 896,295 77,750 75,374 57,428 502.5 80
2026年3月期(予想) 940,000 84,000 82,000 59,300 531.9 100

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023年3月期 -268 -93,344 112,080
2024年3月期 140,543 -82,138 -59,476
2025年3月期 117,874 -106,528 -20,611

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PBR PER
2023年3月期 0.5% -6.8% -2.7%
2024年3月期 6.3% 7.6% 3.2%
2025年3月期 8.6% 8.9% 4.0% 0.72倍 高値平均 9.3倍 / 安値平均 6.1倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

太平洋セメントは、2023年に大きく落ち込んだ業績を立て直し、現在は明確に回復基調にある企業です。数字の流れを追うと、2023年の営業利益はわずか4億円、経常利益も1億円と低迷し、最終的には純損失が332億円にまで膨らみました。この年は、エネルギー価格の高騰や需要の一時的な停滞が直撃し、ROE(自己資本利益率)はマイナス6.8%、ROA(総資産利益率)もマイナス2.7%と厳しい状態でした。

しかし2024年には大きく立て直しが進み、営業利益564億円、経常利益595億円、純利益432億円へと急回復しました。営業利益率も6.3%に改善し、ROEは7.6%、ROAは3.2%と、収益性が明確に戻ってきています。さらに2025年には営業利益777億円、経常利益753億円、純利益574億円が見込まれており、営業利益率は8.6%、ROEは8.9%、ROAも4.0%へと上昇する予想です。

株価指標を見ると、PER(株価収益率)は高値平均9.3倍、安値平均6.1倍と比較的低水準で推移しており、PBR(株価純資産倍率)も0.72倍と、依然として割安な水準にあります。これは、利益が回復しているにもかかわらず、株価がまだ十分に評価されていないことを意味します。

こうした点から、太平洋セメントは「業績回復中の割安株」として投資妙味があると考えられます。特にインフラ関連需要が堅調であり、公共事業、防災関連工事、都市再開発などの需要が長期的に続く見込みです。また、環境対策としてCO₂削減や廃棄物リサイクルに積極的に取り組んでおり、環境対応型企業としての評価も高まっています。

一方で、セメント業界は燃料価格や為替変動の影響を受けやすく、利益率が景気や外部要因に左右される側面があります。短期的な変動リスクは残るものの、財務基盤は堅固で、キャッシュフローも安定しており、長期的には持続的な利益成長が見込まれます。

総合的に見ると、太平洋セメントは2023年を底に、業績・利益率・資本効率ともに回復している状況です。PER・PBRの低さから見ても、現在の株価には割安感があり、長期保有による中期的な株価上昇と配当収益の両方が期待できる企業といえます。短期の値動きよりも、業績の再評価を待ちながらじっくり保有するのに適した銘柄です。

配当目的とかどうなの?

太平洋セメントは、配当目的で見た場合、安定した配当を出し続ける堅実な銘柄です。
予想配当利回りは2026年3月期・2027年3月期ともに2.47%と、東証プライム市場の平均である2%前後を少し上回る水準にあります。

この会社は、セメント業界特有の景気変動リスクや原材料高の影響を受けながらも、長年にわたって安定した配当を維持してきました。2023年に純損失を計上した際も、減配せずに1株あたり70円の配当を続けた点は特に評価できます。赤字の年でも配当を守る姿勢は、株主還元を重視する経営方針の表れです。

キャッシュフロー面でも安定しています。2024年には営業キャッシュフローが1,405億円、2025年も1,178億円と大きく黒字で推移しており、配当の原資には十分な余裕があります。財務体質がしっかりしているため、配当を安定的に継続できる土台が整っています。

一方で、利回り自体は極端に高いわけではありません。したがって、短期的に高配当を狙う銘柄というよりは、「長期的に配当を受け取りながら安定して持ち続けるタイプ」の銘柄といえます。業績も2023年を底に改善しており、将来的には増配の余地も十分にあります。

まとめると、太平洋セメントは、
・配当利回りが安定しており平均よりやや高め
・業績が悪化した年でも減配しない安定配当方針
・キャッシュフローと財務が健全で、今後も配当余力がある

この3点から、安定した配当収入を得たい長期投資家にとって魅力的な銘柄です。大きな値上がり益を狙うよりも、じっくりと配当を受け取りながら業績回復と株価の再評価を待つのに適した企業といえます。

今後の値動き予想!!(5年間)

太平洋セメントの現在の株価は4,046円です。ここから今後5年間の値動きを考えると、業績の回復状況や建設需要、エネルギーコストの動向などによって大きく3つのシナリオが考えられます。

まず、良い場合です。国内では国土強靱化や再開発プロジェクトなどの公共投資が引き続き進み、海外でもインフラ需要が堅調に推移します。建設需要が拡大し、セメントの出荷量が増えるとともに、販売価格の上昇やコスト削減が進み、営業利益率は8%台後半を維持できる可能性があります。ROEも9%前後、ROAも4%程度と資本効率が改善し、収益体質がより強固になります。市場でも業績の回復が高く評価され、PER(株価収益率)は10倍前後、PBR(株価純資産倍率)は1倍近くまで上昇する可能性があります。このシナリオでは、株価は5,400円から5,800円程度まで上がる可能性があります。

次に中間の場合です。建設需要は底堅く推移し、都市インフラや住宅関連は一定の需要を維持しますが、成長は穏やかです。営業利益率は6〜7%前後で安定し、ROEも7〜8%、ROAは3〜4%程度の堅調な数字が続きます。業績は安定しており、配当も維持されることで投資家からの信頼は保たれますが、急激な株価上昇までは至りません。この場合、PERは8〜9倍程度、PBRは0.7〜0.8倍程度で推移し、株価は4,600円から4,900円あたりで落ち着くと考えられます。

そして悪い場合です。世界経済の減速や為替の円高、原材料・燃料費の高騰といった外部要因が重なり、セメント業界全体に逆風が吹くケースです。建設需要が鈍化し、価格転嫁も進まず、営業利益率は2〜3%に低下。ROEも5%を割り込み、ROAも2%前後まで落ち込む可能性があります。このような状況では投資家心理も悪化し、PERが6倍前後、PBRは0.6〜0.7倍程度まで低下。株価は3,400円から3,700円ほどまで下がる可能性があります。

総合的に見ると、現在の株価4,046円は中間シナリオの範囲にあり、すでに一定の業績回復を織り込みながらも、まだ割安感が残っています。良いシナリオになれば上値余地があり、長期的な業績の改善とともに再評価される可能性が高いです。短期的な変動はあるものの、太平洋セメントは安定した財務基盤と配当実績を持つ企業であり、5年スパンで見れば堅実に成長し、株主還元も期待できるタイプの銘柄と言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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