株価
富士フイルムホールディングスとは

富士フイルムホールディングス株式会社は、日本を代表する総合化学・映像・医療関連企業です。1934年に「富士写真フイルム株式会社」として設立され、もともとは写真フィルムの製造から始まりました。その後、技術の多角化とともに医療、ライフサイエンス、エレクトロニクス、印刷など幅広い分野に事業を拡大し、2006年に持株会社制へ移行して現在の社名になりました。本社は東京都港区赤坂および西麻布にあり、資本金は約403億円、従業員はグループ全体で7万人を超えています。
富士フイルムグループは「地球上の笑顔の回数を増やしていく」という企業理念を掲げており、環境・医療・デジタル技術を軸にした持続可能な社会の実現を目指しています。
主な事業は4つの領域に分かれています。
まず、ヘルスケア事業では、医療機関向けの画像診断装置やX線システム、超音波診断装置、内視鏡などを展開しています。また、医薬品や再生医療、バイオ医薬品の受託製造(CDMO)にも注力しており、創薬から製造までの一貫サポートを行っています。近年では抗体医薬や細胞治療、ワクチン開発などライフサイエンス分野の拡大も進めています。
次に、エレクトロニクス事業では、半導体材料、有機ELやディスプレイ用材料、電池材料などを手がけ、先端デバイスの高性能化を支えています。これらの高機能素材はスマートフォン、EV、AIサーバーなどの分野で幅広く使われています。
ビジネスイノベーション事業では、富士ゼロックスを前身とするオフィスソリューション・デジタル印刷機の提供を行っています。ペーパーレス化やデジタル化の流れの中で、業務効率化や文書管理システムなどのITソリューション事業にも力を入れています。
イメージング事業は、かつての写真・カメラ事業から進化し、現在はデジタルカメラ「Xシリーズ」や「INSTAX(チェキ)」といった人気ブランドを展開しています。また、プロ用映像機器、映画用レンズ、写真プリントなどの分野でも世界的な存在感を持っています。
このほか、環境対応型の化学素材、AIを活用した画像解析技術、産業用途の高精度光学技術などにも事業を広げています。全社的にデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しており、医療や製造業のデータ活用、AI診断支援など次世代技術への投資を強化しています。
総じて、富士フイルムホールディングスは、かつてのフィルムメーカーから脱却し、「医療」「バイオ」「電子材料」「デジタル印刷」などに軸足を移した総合テクノロジー企業へと進化しています。今後もヘルスケア分野を中心にグローバルで成長を続けることが期待される企業です。
富士フイルムホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2,859,041 | 273,079 | 282,224 | 219,422 | 182.4 | 43.3 |
| 2024年3月期 | 2,960,916 | 276,725 | 317,288 | 243,509 | 202.3 | 50(記念配含む) |
| 2025年3月期 | 3,195,828 | 330,155 | 340,594 | 260,951 | 216.7 | 65 |
| 2026年3月期(予想) | 3,280,000 | 331,000 | 343,000 | 262,000 | 217.4 | 70 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 210,452 | -323,225 | -123,695 |
| 2024年3月期 | 407,941 | -527,416 | -462 |
| 2025年3月期 | 428,162 | -541,953 | 108,883 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | PER(倍) | PBR(倍) | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | ― | ― | 9.5 | 7.9 | 5.3 |
| 2024年3月期 | ― | ― | 9.3 | 7.6 | 5.0 |
| 2025年3月期 | 高値平均 16.7 / 安値平均 11.6 | 1.17 | 10.3 | 7.7 | 4.9 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
富士フイルムホールディングスは、ここ3年間の業績を見ても非常に安定しており、堅実な経営を続けている企業です。
2023年3月期は営業利益が約2,730億円、純利益が約2,190億円で、営業利益率は9.5%と高水準でした。2024年3月期も営業利益2,767億円、純利益2,435億円と増益を維持しており、営業利益率9.3%とほぼ横ばいです。そして2025年3月期は営業利益3,301億円、純利益2,609億円を見込み、営業利益率は10.3%とさらに改善しています。
ROE(自己資本利益率)は7%台後半、ROA(総資産利益率)は5%前後と、資本効率の面でも安定しています。過度な借入に頼らず、自社資本をしっかり活かして利益を生み出しており、財務の健全性が非常に高いです。
株価の指標を見ると、2025年時点でのPERは高値時16.7倍、安値時11.6倍、PBRは1.17倍となっています。これは過度に割高ではなく、業績成長を考慮すると「適正からやや割安」と言えます。安定成長企業としては妥当な水準です。
さらに注目すべきは配当の伸びで、2023年の43.3円から2024年に50円(記念配含む)、2025年には65円と増配傾向にあります。利益成長とともに株主への還元姿勢も強く、今後も安定した配当が期待できます。
これらの数値から判断すると、富士フイルムは短期で急激に株価が上がるタイプではありませんが、堅実に利益を積み重ねる「安定成長株」と言えます。医療・ライフサイエンス・電子材料などの成長分野が順調に拡大しており、事業ポートフォリオもバランスが取れています。
総合的に見て、富士フイルムは安定した収益と健全な財務体質を持ち、配当も増加傾向にあることから、中長期で安心して保有できる銘柄です。投資判断としては、「長期保有に向く堅実な成長株」「配当も狙える安定銘柄」と言えます。
配当目的とかどうなの?
富士フイルムホールディングスは、配当目的の投資としても非常に魅力的な銘柄です。
予想配当利回りは2026年・2027年ともに2.05%と安定しており、増配傾向も続いています。ここ数年で配当金は43円 → 50円 → 65円 → 70円と着実に増えており、株主還元に前向きな姿勢がはっきり見えます。
利回り自体は極端に高くはありませんが、利益成長と財務の健全性を考えると、**「安定して配当を受け取れるタイプの優良株」**です。無理に高配当を出しているわけではなく、事業利益に見合ったバランスの良い還元方針を取っています。
また、富士フイルムは医療・ライフサイエンス事業を中心に今後も安定したキャッシュフローが見込まれており、減配リスクも低いです。長期的に見れば、配当金のさらなる増加も期待できます。
まとめると、富士フイルムは「高配当ではないが安定配当銘柄」であり、中長期での配当目的投資にも十分適した企業です。定期的な配当を受け取りながら、株価上昇も狙えるバランスの取れた投資先といえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
富士フイルムホールディングスの現在の株価は3,400円です。ここから今後5年間の値動きを「良い場合」「中間」「悪い場合」で予想します。
良い場合は、医療・ライフサイエンスやバイオ医薬品受託製造(CDMO)、電子材料といった成長事業が順調に拡大し、営業利益率やROEが大きく改善するシナリオです。会社の中期目標である営業利益率15%、ROE10%以上の達成が見えてくると、市場からの評価も上がり、株価は長期的に上昇します。この場合、5年後には株価が現在の2倍前後、6,000円から7,000円程度に到達する可能性があります。
中間のケースでは、成長分野は堅調に推移するものの、研究開発費や設備投資が重荷となり、利益の伸びは緩やかにとどまるシナリオです。既存の印刷・イメージング事業が安定し、配当も着実に増配が続きます。株価はじわじわと上昇し、5年後には4,500円から5,300円程度になる見通しです。
悪い場合は、成長事業の採算化が遅れ、研究開発コストや人件費、為替の影響などが利益を圧迫する展開です。世界的な景気減速や半導体市場の鈍化などが影響すれば、業績は停滞し、市場評価も下がります。この場合、株価は横ばいかやや下落し、5年後には2,800円から3,200円程度まで下がる可能性があります。
総合的に見ると、富士フイルムは財務体質が強く、事業の多角化も進んでいるため、長期的には安定した成長が期待できる銘柄です。短期的な値動きに左右されにくく、長期保有でじっくり伸びを狙うタイプの投資先と言えます。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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