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日本電気硝子とは

日本電気硝子株式会社は、滋賀県大津市に本社を置くガラスメーカーで、電子機器や産業用途向けの特殊ガラスを中心に製造している企業です。創業以来、高いガラス加工技術と素材開発力を強みに、世界各地で事業を展開しています。
本社所在地は滋賀県大津市青藍二丁目7番1号で、東京証券取引所プライム市場に上場しています。グループ全体の従業員数はおよそ5,500人規模です。業種区分は「ガラス・セラミック製品」に分類され、国内外で数多くの工場・研究拠点を持っています。
事業の柱は大きく4つに分かれています。
まず1つ目は「ディスプレイ・電子機器向けガラス」です。液晶ディスプレイや有機ELディスプレイのパネルに使われるガラス基板を製造しており、薄型で高い透明度と強度を両立した製品を世界中に供給しています。スマートフォンやテレビ、パソコン、車載ディスプレイなど幅広い分野で採用されています。
2つ目は「機能素材・産業用ガラス」です。高い耐熱性や耐薬品性を持つ特殊ガラスを開発し、医療機器、化学装置、光学部品などで利用されています。さらに、建築用ガラスやガラス製造装置などの産業向け製品も展開しており、幅広い用途に対応しています。
3つ目は「ガラス繊維・強化素材分野」です。プラスチック補強用のガラス繊維や複合材料向けの短繊維(チョップドストランド)、耐アルカリガラスなどを製造しています。これらは自動車部品、家電、建材などの構造素材として使われ、軽量化や強度向上に貢献しています。
4つ目は「医療・先端用途分野」です。医薬品用のバイアル瓶、注射器用ガラスチューブ、検査機器向けガラスなどを製造し、高い清浄性と耐薬品性を求められる分野で信頼を得ています。
日本電気硝子は、技術志向の企業として常に新しいガラス素材の開発に取り組み、環境負荷の低減やリサイクル素材の活用にも積極的です。ガラスという素材の可能性を広げることで、ディスプレイ、モビリティ、エネルギー、医療といったさまざまな産業の発展を支えています。
総じて、日本電気硝子は「見えないところで社会を支える素材メーカー」として、確かな技術力と安定した収益基盤を持ち、今後も幅広い分野での成長が期待される企業です。
日本電気硝子 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 324,634 | 26,184 | 34,058 | 28,167 | 302.8 | 120 |
| 2023年12月期 | 279,974 | -10,420 | -9,480 | -26,188 | -282.9 | 120 |
| 2024年12月期 | 299,237 | 6,120 | 12,417 | 12,091 | 141.7 | 130 |
| 2025年12月期(予想) | 310,000 | 27,000 | 24,000 | 17,000 | 225.0 | 145 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 31,563 | -57,155 | -5,874 |
| 2023年12月期 | -1,360 | -20,777 | -11,572 |
| 2024年12月期 | 52,200 | 42,601 | -48,832 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 8.0% | 5.3% | 3.7% | ― | ― |
| 2023年12月期 | -3.8% | -5.4% | -3.8% | ― | ― |
| 2024年12月期 | 2.0% | 2.4% | 1.7% | 14.3~18.8 | 0.89 |
| 2025年12月期(予想) | 10.3% | 4.7% | 3.3% | 21.52 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
日本電気硝子株式会社は、電子機器やディスプレイ向けの特殊ガラスを中心に製造する企業で、2023年に一度大きく業績を落としたものの、2024年以降は回復の兆しが見えている状況です。
まず、営業利益を見ると、2022年は約262億円の黒字でしたが、2023年にはマイナス104億円の赤字に転落しました。ところが2024年には61億円の黒字に戻り、2025年は270億円まで増える見通しです。経常利益も2024年の124億円から2025年には240億円へと倍増する予想で、純利益も2023年の赤字から2024年には120億円、2025年には170億円の黒字と、明確な回復傾向にあります。
営業利益率の推移を見ると、2023年のマイナス3.8%から2024年には2.0%、2025年には10.3%まで上昇する見込みです。ROE(自己資本利益率)も2023年のマイナス5.4%から、2024年に2.4%、2025年には4.7%と改善しています。ROA(総資産利益率)も同様に、2023年のマイナス3.8%から2025年には3.3%まで回復が見込まれています。
株価指標を見ると、2024年のPBR(株価純資産倍率)は0.89倍と1倍を下回っており、株価が資産価値に比べて割安な水準にあります。PER(株価収益率)は2025年の予想で21.52倍とやや高めですが、これは赤字から黒字への転換を織り込んだ期待値といえます。
この数字から見ると、日本電気硝子は2023年の業績悪化で底を打ち、2024年以降は本格的な回復局面に入っていると判断できます。特に、ディスプレイ用ガラスだけでなく、自動車や医療、建築などの分野でも高付加価値製品を展開しており、事業の多角化が進んでいます。今後は、世界経済の回復や新技術需要の増加に支えられ、安定的な成長が期待されます。
ただし、ガラス産業は原材料価格やエネルギーコスト、為替の影響を受けやすいため、短期的には業績が振れる可能性があります。したがって、短期で値上がりを狙う銘柄というよりは、中長期で業績回復と配当を安定的に享受する投資先として考えるのが良いでしょう。
まとめると、日本電気硝子は2023年の赤字を経て再び黒字軌道に戻りつつある「回復型の安定銘柄」です。PBRが低く割安感があり、配当も安定していることから、今後3~5年の間に業績の回復とともに株価の再評価が期待できる企業です。
配当目的とかどうなの?
日本電気硝子株式会社は、配当目的の投資先として見ると「安定配当型で中長期向き」の銘柄です。
予想配当利回りは2025年・2026年ともに2.62%で、東証プライム上場企業の平均(約2%前後)よりやや高い水準を維持しています。
同社は業績の変動が大きいガラス業界の中では比較的配当を安定させており、2023年に赤字となった際も減配をせずに120円の配当を維持しました。
これは、経営陣が「株主還元の継続性」を重視していることを示しており、短期的な業績悪化でも配当を守る姿勢が強い企業といえます。
また、営業キャッシュフローも2024年に再びプラス(522億円)へ大きく改善しており、今後の配当財源には十分な余裕があります。財務体質も堅実で、自己資本比率が高く、有利子負債も抑えられています。
一方で、配当利回りが高配当株として特別に目立つほどではなく、業績連動の増配余地も限定的です。したがって、「毎年安定して配当を受け取る」タイプの投資には適していますが、「配当で大きく稼ぐ」タイプの高配当株ではありません。
まとめると、日本電気硝子は赤字期でも減配せず、安定した配当を維持してきた実績があるため、堅実にインカムゲイン(配当収入)を得たい長期投資家に向いた銘柄です。
派手な成長よりも、配当と業績の安定を重視する投資スタイルにぴったりといえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本電気硝子株式会社の現在の株価は5,529円です。ここから今後5年間の株価の動きを考えると、業績の回復度合いや世界経済の状況によって、良い場合・中間・悪い場合の3つの展開が考えられます。
良い場合
ディスプレイや自動車、医療機器などに使われる高機能ガラスの需要が世界的に増加し、業績が順調に回復していくパターンです。営業利益率は10%を超える水準まで改善し、純利益も安定的に増加します。市場からの評価も高まり、PER(株価収益率)が20倍を上回る水準まで上昇し、PBR(株価純資産倍率)も1倍付近に回復します。このようなシナリオでは、株価は7,000円から7,500円あたりまで上昇する可能性があります。業績回復とともに配当も増加が見込まれ、長期保有の投資家にとって魅力的な展開となります。
中間の場合
景気は落ち着いて推移し、電子材料や産業用ガラスの需要も安定的に維持されますが、急激な成長は見られない状況です。営業利益率は4〜5%程度、ROEは3〜4%で推移し、業績は堅調ながら大きな伸びはありません。この場合、PERは18〜20倍前後で推移し、株価は5,800円から6,200円の範囲で緩やかに動くと考えられます。配当は安定的に維持され、長期的なインカムゲイン狙いには向いています。
悪い場合
世界景気が悪化し、ディスプレイや自動車関連の需要が冷え込み、原材料費の上昇や為替の影響で収益が圧迫される展開です。営業利益率は低下し、場合によっては赤字に転じる可能性もあります。このような状況では投資家心理も冷え込み、PERが15倍以下に下落、PBRも0.7倍を下回る可能性があります。この場合、株価は4,200円から4,600円あたりまで下がる可能性があります。ただし、日本電気硝子は財務体質が強く、赤字の年でも配当を維持する傾向があるため、極端な下落は限定的と見られます。
まとめ
良い場合は7,000〜7,500円、中間の場合は5,800〜6,200円、悪い場合は4,200〜4,600円の範囲が想定されます。日本電気硝子は業績が一時落ち込んでも確実に立て直してくる企業であり、派手な成長を狙うというよりも、配当を受け取りながら業績回復と株価上昇を中長期で待つタイプの銘柄です。長期的に見れば、5年後には緩やかに株価が見直される可能性が高い安定株といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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