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花王とは

花王株式会社は、東京都中央区日本橋茅場町一丁目14番10号に本社を置く日本を代表する総合日用品・化学メーカーです。創業は1887年(明治20年)で、長い歴史の中で「清潔・美・健康」をテーマに、生活者の暮らしを支える製品を幅広く提供してきました。1949年5月16日に東京証券取引所へ上場し、現在は東証プライム市場に所属しています。代表取締役社長は長谷部佳宏氏、資本金は約854億円、決算期は毎年12月です。グループ全体では、国内外に100社を超える子会社・関連会社を有し、世界中に生産・販売拠点を展開しています。
花王グループの事業は大きく分けて「コンシューマープロダクツ事業」と「ケミカル事業」の2本柱で構成されています。
まず、主力のコンシューマープロダクツ事業では、日常生活に欠かせない家庭用品や化粧品を幅広く手掛けています。
ハイジーン&リビングケア分野では、衣料用洗剤「アタック」、柔軟剤「ハミング」、住居用洗剤「マジックリン」、食器用洗剤「キュキュット」、紙おむつ「メリーズ」、生理用品「ロリエ」など、家庭のあらゆる場面に浸透したブランドを展開しています。
ヘルス&ビューティケア分野では、「ビオレ」「メリット」「ケープ」「リセッシュ」「バブ」など、洗顔料・シャンプー・入浴剤・消臭製品などを提供しており、性別や世代を問わず幅広い層に支持されています。
また、化粧品分野では「ソフィーナ」「カネボウ」「エスト」「キュレル」などのブランドを通じて、スキンケアやメイクアップ商品を国内外に展開しています。これらはアジアや欧米市場でも高い評価を受け、グローバルブランドとして存在感を強めています。
次に、ケミカル事業では、花王の強みである界面科学・精密化学技術を活かし、産業用途向けに油脂・界面活性剤・樹脂・化学材料などを開発・供給しています。これらの製品は、化粧品、医薬品、電子部品、自動車、食品包装材など、幅広い分野で利用されています。特に「機能材料」「スペシャルティケミカル」「オレオケミカル」などは、世界的にも高い技術評価を受けています。
花王は近年、デジタル技術やAIを活用した生産の最適化、サプライチェーンの効率化、需要予測モデルの高度化など、DX(デジタルトランスフォーメーション)にも積極的に取り組んでいます。また、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した経営を進めており、長期環境ビジョン「Kirei Lifestyle Plan」を掲げています。この中では、「環境負荷ゼロ」「プラスチック循環型社会」「CO₂排出削減」「水資源の有効活用」「生物多様性の保全」などを重点課題としています。実際に再生プラスチックや紙パッケージの採用、動物実験廃止への取り組みなど、環境・倫理面でも業界をリードしています。
また、花王は研究開発にも力を入れており、年間数百億円規模の研究開発費を投じています。研究所では、肌や毛髪の科学的分析、香料・感性工学、化学材料の分子設計など多岐にわたるテーマで研究が行われています。その結果として、世界で初めての新素材や高機能成分の開発に成功し、これが多くのヒット商品につながっています。
国際展開にも積極的で、アジアでは中国・台湾・タイ・インドネシアなどに生産拠点を持ち、欧米にも拠点を広げています。特にアジア市場では化粧品や日用品の需要拡大を背景に高成長を続けており、現地ニーズに合わせた製品開発を進めています。
総合的に見て、花王株式会社は「生活者の清潔と健康、美しさを支える」という理念を軸に、日用品から産業資材まで幅広い分野で事業を展開する日本を代表するグローバル企業です。環境・社会・人々の暮らしに寄り添う経営姿勢と、長年培った技術力の高さが強みであり、今後も持続可能な成長が期待される企業です。
花王 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◇22.12 | 1,551,059 | 110,071 | 115,848 | 86,038 | 183.3 | 148 |
| ◇23.12 | 1,532,579 | 60,035 | 63,842 | 43,870 | 94.4 | 150 |
| ◇24.12 | 1,628,448 | 146,644 | 151,024 | 107,767 | 231.9 | 152 |
| ◇25.12予 | 1,690,000 | 165,000 | 168,000 | 121,000 | 260.5 | 154 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022.12 | 130,905 | -74,911 | -139,311 |
| 2023.12 | 202,481 | -109,302 | -79,983 |
| 2024.12 | 201,585 | -45,902 | -104,578 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PBR | PER(高値平均) | PER(安値平均) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 7.0% | 8.8% | 4.9% | – | – | – |
| 2023 | 3.9% | 4.4% | 2.4% | – | – | – |
| 2024 | 9.0% | 10.1% | 5.7% | 2.90倍 | 42.9倍 | 33.6倍 |
| 2025(予) | 9.7% | 11.3% | 6.4% | – | – | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
花王株式会社は、2023年に一時的な業績の落ち込みがあったものの、2024年以降は業績が大きく回復し、2025年も増益基調が続く見通しです。売上高は2022年の1兆5,510億円から2025年予想で1兆6,900億円に増加しており、堅調な成長を維持しています。営業利益は2023年の600億円から2024年に1,466億円、2025年は1,650億円と大きく回復しています。純利益も2023年の438億円から2024年に1,078億円、2025年には1,210億円と順調に伸びており、収益力が再び高まっています。
営業利益率は2023年の3.9%から2024年に9.0%、2025年に9.7%まで改善しており、コスト構造の見直しや価格改定の効果が出ています。ROE(自己資本利益率)は2023年の4.4%から2025年に11.3%まで上昇し、ROA(総資産利益率)も2.4%から6.4%へと改善しています。資本効率・収益性の両面で、確実な回復傾向が確認できます。
株価指標では、2024年の実績PERが高値平均で42.9倍、安値平均で33.6倍とやや割高でしたが、2025年の予想PERは25.1倍まで下がっており、利益の回復に伴って割高感は薄れています。PBRは2.90倍と高水準ですが、ROEが10%を超えていることから、一定の妥当性があります。
キャッシュフローを見ても、営業キャッシュフローは安定して年間2,000億円規模を維持しており、事業の基礎体力が非常に強いことが分かります。財務キャッシュフローがマイナスなのは、自社株買いや配当支払いなど、株主還元を継続して行っているためであり、財務体質は非常に健全です。
総合的に見ると、花王は原材料価格の高騰による一時的な減益期を乗り越え、2024年以降は再び安定した利益成長を取り戻した企業です。営業利益率とROE・ROAの上昇、そして安定したキャッシュフローを考慮すれば、長期的に安定して保有できるディフェンシブ銘柄といえます。PERも25倍前後と落ち着いており、配当も毎年増加傾向にあります。
結論として、花王は中長期的な視点で「買い」と判断できます。短期的な値動きは限定的かもしれませんが、業績の安定性と配当の増加、そしてブランド力を背景に、5年単位で見れば堅実な株価上昇と安定したリターンが期待できる企業です。
配当目的とかどうなの?
花王は、配当目的の投資にも向いている安定配当銘柄です。
2025年12月期の予想配当利回りは2.35%、2026年12月期は2.39%と、平均的な日本株の配当利回りよりやや高い水準にあります。
花王の大きな特徴は、30年以上にわたり減配を一度もしていないことです。景気の悪化や円高の時期でも配当を維持してきた実績があり、安定性の高さは国内企業の中でもトップクラスです。営業キャッシュフローが毎年2,000億円規模で安定しており、配当を支払うための資金的な余裕も十分にあります。
会社としては、配当性向(利益のうち配当に回す割合)を40〜50%程度に保つことを目標としており、業績が回復すれば今後も増配が期待できます。実際に、2024年の配当は152円、2025年は154円の予想となっており、今後も少しずつ増える見通しです。
利回り自体は3〜4%台の高配当株ほどではありませんが、業績の安定性と増配実績を考慮すると、長期的に安心して保有できる銘柄です。
特に、配当を受け取りながら株価の上昇も狙いたい人に向いており、「安定配当+成長期待」の両面で魅力があります。
まとめると、花王は高配当株というよりも、長期間にわたって安定した配当を続ける“安心感のある増配株”です。
配当を受け取りながら、業績回復とともに株価上昇を期待する中長期投資に適した企業です。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の花王の株価は6,526円です。この株価をもとに、今後5年間の値動きを「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」で考えると次のようになります。
良い場合は、海外での販売が引き続き好調に推移し、特にアジア市場や化粧品分野での成長が続くケースです。
原材料価格の安定や円安傾向が追い風となり、営業利益率が10%台後半に上昇して収益力がさらに強化されます。
ROEも12%を超える水準まで伸び、投資家からの評価が高まってPERが30倍近くまで上がる可能性があります。
このシナリオでは株価は8,500円から9,000円程度まで上昇し、配当も増配が続くことで中長期的なリターンが期待できます。
中間の場合は、国内の主力ブランドであるアタックやビオレ、ロリエなどが安定して推移し、海外事業も堅調に推移するものの、
大きな成長は見られず、業績は緩やかな増益にとどまるケースです。
PERは25倍前後で推移し、株価は6,800円から7,200円程度で安定する見通しです。
急な上昇は見込めませんが、業績が安定しているため大きく下がる可能性も低く、配当を受け取りながら安心して保有できる銘柄となります。
悪い場合は、原材料価格の上昇や為替の影響などでコストが増加し、利益率が再び低下するケースです。
一部ブランドの競争力が落ちたり、海外での需要が鈍化すると、ROEは8%程度まで下がる可能性があります。
PERは20倍を下回り、株価は5,000円から5,500円程度まで下落する可能性もあります。
それでも花王はキャッシュフローが安定しているため、配当を維持する力は十分にあり、無配や急激な下落のリスクは低いと考えられます。
総合的に見ると、花王は日用品や化粧品といった生活必需品を扱う企業であり、景気の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄です。そのため長期的には中間から良いケース寄りの展開になる可能性が高く、5年後の株価は7,000円台を中心に安定した成長が見込めます。配当を受け取りながら堅実に資産を増やしていく長期保有に適した銘柄です。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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