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TOTO(5332)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

TOTOとは

TOTO株式会社は、1917年に創業された日本を代表する住宅設備機器メーカーで、本社は福岡県北九州市小倉北区中島にあります。もともとは「東洋陶器株式会社」として設立され、戦前から衛生陶器の国産化を進めた企業であり、日本で初めて洋風水洗トイレを量産したメーカーとして知られています。現在は東証プライム市場に上場しており、国内外で高いブランド力を持つ大手企業です。

主な事業内容は、水まわり関連製品の開発・製造・販売です。特に有名なのは温水洗浄便座「ウォシュレット」で、TOTOブランドを象徴する製品となっています。その他にも、洗面化粧台、システムキッチン、ユニットバス、蛇口や水栓金具など、住宅や商業施設、公共施設向けに幅広い製品を展開しています。また、病院や介護施設向けのバリアフリー製品、環境配慮型トイレ、非接触式水栓なども手がけており、清潔・快適・環境をキーワードにした総合的な水回りソリューション企業として位置づけられています。

近年では、日本国内に加えて海外事業にも力を入れており、アジア、北米、欧州など世界80か国以上に展開しています。特に中国やインド、東南アジアでは中間層の拡大に伴い、快適な住宅設備需要が急速に伸びており、TOTOは高品質な日本製ウォシュレットを中心にシェアを拡大しています。グローバル売上高は全体の約4割を占めるまでになり、今後も海外比率の上昇が見込まれています。

研究開発にも積極的で、水資源の節約や省エネ性能の高いトイレ・シャワー・水栓の開発、陶磁器技術を応用した新素材分野(セラミックフィルター、燃料電池部材など)にも挑戦しています。これらはTOTOが掲げる「TOTOグリーンチャレンジ」と呼ばれる環境ビジョンの一環で、2050年までにCO₂排出実質ゼロを目指す方針を打ち出しています。

業績面では、住宅リフォーム需要の拡大や海外販売の好調に支えられて堅調に推移しています。特にウォシュレットの普及は国内でほぼ飽和状態にあるものの、海外ではまだ普及率が低く、今後の成長余地が大きいと見られています。一方で、原材料価格や物流コストの上昇、為替の影響なども課題となっており、コスト削減と生産効率化を並行して進めています。

資本金は約355億円、連結従業員数は約3万3000人。企業理念として「愛される品質と人づくり」を掲げ、単なる製品提供ではなく、世界の衛生・快適・環境を支える企業を目指しています。TOTOは日本の“トイレ文化”を世界に広めたパイオニアであり、今後も清潔と快適を軸に、国内外でのブランド力をさらに強化していく企業といえるでしょう。

TOTO 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2023年3月期 701,187 49,121 54,760 38,943 229.7 100
2024年3月期 702,284 42,766 51,515 37,196 219.3 100
2025年3月期 724,454 48,479 50,369 12,168 71.7 100
2026年3月期 730,000 52,500 52,100 31,000 188.6 100

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 31,579 -35,269 8,779
2024年3月期 76,311 -53,790 -18,954
2025年3月期 71,381 -38,383 -19,007

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PBR PER
2023年3月期 7.0% 8.5% 5.3%
2024年3月期 6.0% 7.4% 4.7%
2025年3月期 6.6% 2.3% 1.4% 1.30倍 高値平均 40.4倍/安値平均 28.1倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

TOTOは、日本を代表する水回り機器メーカーとして非常に安定した経営を行っている企業です。営業利益、経常利益、純利益の推移を見ると、2023年から2025年にかけて大きな崩れはなく、全体として堅調に推移しています。2023年には営業利益約491億円、経常利益約547億円、純利益約389億円を確保し、営業利益率7.0%、ROE8.5%、ROA5.3%と、国内メーカーとしては十分に高い水準を維持していました。2024年も若干の減益にとどまり、景気変動に対しても耐性があることがわかります。

ただし、2025年は純利益が大きく減少し、営業利益は約484億円、経常利益約503億円と微増ながらも、純利益が121億円まで落ち込んでいます。この影響でROEは2.3%、ROAは1.4%と低下し、収益性の面では一時的なブレーキがかかっています。要因としては、円安や原材料費の上昇、海外市場での需要調整、または一時的な特損などが考えられます。とはいえ営業キャッシュフローは十分に確保されており、財務体質は健全です。借入依存も低く、自己資本比率の高さが経営の安定を支えています。

株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均で40.4倍、安値平均で28.1倍、PBRは1.30倍です。PERがやや高めに見えるのは、当期利益が一時的に落ちているためであり、業績が回復すれば自然と指標は落ち着く見通しです。PBR1.3倍という水準は、同業他社と比較してもブランド力を織り込んだ妥当な評価といえます。国内外でTOTOブランドは圧倒的な信頼を得ており、特に温水洗浄便座「ウォシュレット」は日本の住宅文化を代表する製品として世界的に評価されています。この強固なブランドが、多少の業績変動でも株価を下支えしている状況です。

今後の展望としては、2026年以降にかけて売上・利益の回復が見込まれています。海外市場、とくに中国・インド・東南アジアでは高級水回り製品の需要が伸びており、TOTOはその波に乗れる体制を整えています。また、脱炭素や節水技術など環境関連のテーマとも相性がよく、ESG投資の観点からも注目されています。

投資判断としては、TOTOは急成長を狙う銘柄ではなく、堅実な財務と安定配当を重視する「守りの株」です。利益率はやや低下傾向にあるものの、営業キャッシュフローの強さと安定した配当(年間100円を継続)は魅力です。ROEやROAが今後再び上向く兆しを見せれば、株価の再評価余地も十分あります。

したがって、短期的な値上がりを狙う投資には向きませんが、長期保有で安定配当を受け取りながら、ブランド力と海外成長に期待するスタイルには非常に向いている銘柄です。市場全体が不安定な時期でも底堅く推移する可能性が高く、TOTOは今後も「堅実な生活インフラ銘柄」として安心して持てる企業といえます。

配当目的とかどうなの?

TOTOを配当目的で考える場合、結論としては「安定しているが、配当利回りとしては控えめ」という位置づけになります。

現在の予想配当利回りは2.59%(2026年3月期・2027年3月期ともに同水準)で、これは東証プライム全体の平均(おおよそ2%前後)よりやや高い程度です。配当額はここ数年ずっと年間100円で据え置かれており、業績が多少悪化しても減配せず維持している点は大きな安心材料です。特に2025年に純利益が大幅に落ち込んだ際にも減配をしなかったことから、TOTOの株主還元姿勢の強さがうかがえます。

ただし、配当利回りそのものは高配当株とは言えません。PBR1.3倍、PER30倍前後と株価が比較的高水準にあるため、利回りが2.5%台にとどまっているのが実情です。つまり、「高配当で儲ける株」というより、「長期的に安定して配当をもらいながら、ブランド力による下値の堅さに安心して保有できる株」と捉えるのが正しいでしょう。

TOTOは利益の波がありつつもキャッシュフローが安定しており、自己資本比率も高いので、将来的に無理のない範囲で配当を維持できる基盤があります。業績が再び上向けば、増配の可能性も十分ありますが、会社としては「安定重視」のスタンスを貫いているため、急な増配よりも継続性を優先する方針と思われます。

したがって、配当狙いの投資としては「リスクを抑えて着実に配当を受け取るタイプ」の銘柄です。3%弱の利回りを確保しながら、値下がりしにくいブランド株を長期保有するという目的なら非常に相性が良いといえます。逆に、短期で高配当を狙うタイプの投資家にとっては、やや物足りないかもしれません。

まとめると、TOTOは安定配当+ブランド安心感”を重視する中長期保有向けの銘柄。派手さはありませんが、減配リスクの少なさと長年の信頼感が魅力の企業です。

今後の値動き予想!!(5年間)

TOTOの現在値3,859円を基準に、今後5年間の値動きを考えると、業績や世界経済の動向次第で大きく三つのシナリオに分けられます。

まず、良い場合は、海外需要の拡大や円安効果により業績が順調に回復し、営業利益率が6〜7%台からさらに上昇するパターンです。特に東南アジアや北米でウォシュレットや高級バスルーム設備の普及が進めば、売上と利益がともに拡大し、ROEも5〜8%台へと戻る可能性があります。ESG投資の流れに乗り、環境配慮型製品が世界的に評価されれば、PBRが1.5倍を超え、PERも20〜25倍程度に上昇して株価にプレミアムが付く展開が想定されます。この場合、5年後には株価が現在より約80〜120%上昇し、おおよそ6,900円から8,500円程度まで上昇するシナリオが見込めます。

次に、悪い場合は、住宅着工数の減少や原材料費の高騰、為替の円高傾向などで収益が圧迫されるケースです。営業利益率は5%を下回り、ROEやROAも低下し、利益水準が横ばいまたは縮小する恐れがあります。海外市場での競争も激しくなり、ブランド力は維持しても利益率が削られる可能性があります。市場が成長性を織り込まなくなればPERは15倍を下回り、PBRも1倍を切ることが考えられます。その場合、株価は3,000円を下回る展開もあり、おおよそ2,700〜3,000円前後まで下落する可能性があります。

そして、中間ケースでは、業績は安定しながらも大幅な成長までは至らず、堅実に利益を維持するシナリオです。営業利益率は6%前後、ROEは3〜5%程度で推移し、配当も現在と同じ100円を維持。海外事業が徐々に伸びて株価の評価も少しずつ見直され、PERが18〜20倍、PBRが1.2〜1.3倍程度で推移すれば、株価は5年で20〜40%ほど上昇し、4,600〜5,400円程度のレンジが想定されます。

つまり、TOTOは急成長するタイプの銘柄ではありませんが、ブランド力と財務の安定感が強く、世界的に「清潔・快適・環境」をキーワードにした需要が底堅いことから、下値は比較的限定的です。長期的には安定配当を受け取りながら、緩やかな株価上昇を狙える「守りと安定の中間型銘柄」として位置づけられます。

この記事の最終更新日:2025年11月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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