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三井金属(5706)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

三井金属とは

三井金属鉱業株式会社は、非鉄金属を軸に、素材・機械・環境・リサイクルなど複数の事業を展開している総合素材メーカーです。東京都品川区大崎一丁目11-1に本社を構え、1950年5月1日に設立されました。資本金は約422.89億円、連結従業員数は約12,097人(2025年3月期時点)です。

主な事業は大きくわけて次のような分野があります。まず「金属事業」では、銅・亜鉛・鉛・貴金属(銀・金など)を扱い、鉱石の採掘から製錬、精製まで一貫して手掛けています。国内外の鉱山権益を保有し、製錬副産物まで有効利用するリサイクル・環境事業にも力を入れています。

また「機能材料事業」では、電子・半導体・モビリティ用途などで使われる銅箔、薄膜材料、機能性粉末、触媒などの高付加価値素材を製造しています。特に極薄銅箔では世界的にトップクラスの技術力を持ち、EV用バッテリーや半導体、通信機器など次世代産業を支える素材供給で存在感があります。

さらに自動車部品や機械部品も手掛けており、軽量化部材、防食部品、構造部品などを製造しています。これによりモビリティ分野(特に電動車/ハイブリッド車)からの需要を取り込んでいます。

加えて、環境・リサイクル関連のプラント設計・運営・設備建設、廃棄物から有価金属を取り出す再資源化技術なども展開しており、材料をただ採って使うだけでなく資源を循環させるサステナブルな事業体制を整えています。

歴史も古く、鉱山開発から始まり、長い間培われてきた精錬技術・素材加工技術・制御技術をベースに、素材と機械・環境技術を融合させながら事業を拡大してきました。現在は「脱炭素」「資源循環」「モビリティ軽量化」「高機能電子素材」など中長期テーマと非常に親和性が高く、将来性も期待される企業です。

全体として、三井金属鉱業は、素材・機械・環境・モビリティという複数の軸で事業を展開し、時代のトレンド(EV/再エネ/資源循環/高機能素材)に対応できる企業です。伝統的な製錬・金属精製技術を基盤として、高付加価値分野へシフトしつつあり、安定と成長の両立を目指せる企業と言えるでしょう。

三井金属 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2023年3月期 651,965 12,528 19,886 8,511 149.0 140
2024年3月期 646,697 31,694 44,513 25,989 454.7 140
2025年3月期 712,344 74,743 76,410 64,662 1,131 180(記念配含む)
2026年3月期(予想) 678,000 54,000 52,000 22,000 384.5 195

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 43,009 -31,641 -14,683
2024年3月期 75,343 -34,914 -36,557
2025年3月期 76,697 -20,873 -43,634

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績・倍) PBR(実績・倍)
2023年 1.9% 3.3% 1.3%
2024年 4.9% 9.3% 4.0%
2025年 10.4% 19.5% 9.8% 高値平均 13.1倍
安値平均 9.9倍
2.86倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

三井金属鉱業の直近3年の数値を見ると、非常に明確に「変化の年」を経て成長軌道に乗っていることが分かります。

2023年は営業利益率が1.9%と低く、ROEも3.3%にとどまり、利益面ではまだ回復過程でした。しかしその後、2024年に営業利益率が4.9%、ROE9.3%まで上昇。さらに2025年には営業利益率10.4%、ROE19.5%、ROA9.8%と、収益力が急激に改善しています。これは単に市況の回復ではなく、同社が取り組んできた「高付加価値素材へのシフト」「収益性重視の経営」「電動車・電子材料分野への展開」が実を結んだ結果と見られます。

また、PERは高値平均13.1倍、安値平均9.9倍、PBR2.86倍という水準から見ると、株式市場ではすでに一定の成長を織り込みつつある状態です。PBRが1倍を大きく上回っている点は、投資家が純資産価値だけでなく「将来の利益成長」に対してプレミアムを払っていることを示しています。特にROEが20%近くまで上昇しているため、理論的にもPERが10倍台前半であれば依然として割安感があると考えられます。

営業利益・経常利益・純利益の伸びも顕著で、2023年の純利益8,511百万円から、2025年には64,662百万円へと約7.6倍に増加。これは非鉄金属メーカーとしては異例の伸びであり、今後の業績安定性に対する市場の信頼を高める要因になっています。

投資判断としては、成長性と収益性の両立が明確に見える「中長期成長株」という位置づけが妥当です。短期的には非鉄相場や為替動向の影響を受けやすいものの、リチウムイオン電池用銅箔や次世代モビリティ向け素材など、高付加価値領域が業績の柱になっているため、構造的な強みがあります。

総合的に見ると、現時点のPER・PBR水準はやや割高にも見えますが、利益成長が続けば自然と割安感が出てくる展開です。
したがって、短期の値幅狙いよりも、長期の企業成長・配当増加を見据えたホールド型投資に向いている銘柄といえます。

配当目的とかどうなの?

三井金属鉱業は、配当目的の投資先としてはやや物足りない水準です。予想配当利回りは2026年3月期・2027年3月期ともに1.22%で、プライム市場の平均(約2〜2.5%)を下回っています。つまり、高配当株というよりは、成長性を重視する銘柄として捉えるのが妥当です。

ただし、配当が少ないからといって株主還元に消極的というわけではありません。三井金属はここ数年、記念配も含めた増配を実施しており、2023年の140円配当から2025年には180円(記念配含む)まで引き上げています。これは業績回復とキャッシュフローの改善を反映したものであり、利益の安定化が進めば今後も増配余地があります。

一方で、同社は事業再編と新素材への投資を強化しており、リチウムイオン電池やEV用銅箔、次世代触媒などに積極的な研究開発費を投じています。そのため、短期的には「内部留保・設備投資優先」の方針を取っており、長期的な企業成長を配当以上に重視している傾向が見られます。

結論として、三井金属鉱業は現段階では「高配当株」とは言えませんが、安定した配当維持と業績拡大による将来的な増配が期待できる配当成長型銘柄です。安定配当を重視するよりも、将来的な株価上昇と配当拡大の両方を見込んで中長期で保有するタイプの企業といえるでしょう。

今後の値動き予想!!(5年間)

三井金属鉱業の現在値は15,965円です。ここから今後5年間の値動きを、良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで考えると、同社の事業特性と成長分野の方向性がはっきり見えてきます。三井金属は非鉄金属の製錬を中心に、電動車や半導体、再エネ関連分野へ事業を広げており、特にリチウムイオン電池用の電解銅箔(負極集電体)や高機能粉末など、世界的に需要が高まる素材を手掛けています。近年は営業利益率が10%を超え、ROEも19.5%と極めて高い水準にあり、事業構造が安定成長型へと移行しています。

【良い場合】
世界的なEV普及と再生可能エネルギーの拡大が進み、リチウムイオン電池材料や電子部品用素材の需要が急増します。三井金属はこれら分野で圧倒的な技術力を持つため、受注が拡大し、利益率もさらに向上。ROEは20%超を維持し、成長企業としてグローバル投資資金の流入も見込まれます。PERは20倍前後まで買われ、株価は25,000円〜28,000円程度まで上昇する可能性があります。特にEVや次世代電池関連テーマ株としての評価が高まれば、株価の上振れ余地も十分にあります。

【中間の場合】
世界経済は安定的に推移し、EVや半導体関連需要も一定の成長を維持します。ただし、金属価格の変動や為替の影響で利益はやや伸び悩む可能性があります。営業利益率は8〜9%台を維持し、ROEも15%前後をキープ。この場合、PERは12〜15倍程度で推移し、株価は16,000円〜19,000円のレンジで安定的に動くと考えられます。企業価値をじっくり積み上げる「堅実成長型」の展開で、長期保有に向いた局面です。

【悪い場合】
世界的な景気減速やEV市場の一服、非鉄金属価格の下落などが重なった場合、同社の業績にも逆風が吹きます。営業利益率が6%程度まで低下し、ROEも10%を下回る可能性があります。市場の期待が後退すればPERは10倍を割り込み、株価は11,000円〜13,000円程度まで調整する展開も想定されます。ただし、財務基盤が強固でリサイクル事業などの安定収益もあるため、急落リスクは限定的です。

総合的に見ると、三井金属鉱業は「成長性」と「安定性」を兼ね備えた素材メーカーであり、短期の値動きよりも中長期の上昇トレンドを狙う投資に向いた銘柄です。現在の株価15,965円は業績拡大をある程度織り込んだ水準ですが、事業成長が継続する限り、5年後に2万円超を目指す展開も十分考えられます。

この記事の最終更新日:2025年11月10日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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