株価
日本ガイシとは

日本ガイシ株式会社は、1919年に設立されたセラミックス総合メーカーで、本社を愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号に構えています。東京証券取引所プライム市場に上場しており、資本金は約700億円。国内外に多くの子会社・関連会社を有し、世界20カ国以上で事業を展開するグローバル企業です。代表取締役社長は小林茂氏で、従業員数は連結ベースで約17,000名にのぼります。
同社は、創業時から送電用碍子(がいし)の製造で発展してきた企業であり、現在では高度なセラミックス技術を応用して多様な分野に事業を拡大しています。主な事業領域は「エンバイロメント事業」「デジタルソサエティ事業」「エネルギー&インダストリー事業」の3本柱で構成されています。
エンバイロメント事業では、自動車の排ガスを浄化するためのセラミックス製品を主力としており、特にガソリン車やディーゼル車向けの排ガス浄化用ハニカムセラミックス、NOxセンサーなどを製造・販売しています。これらは環境規制の強化を背景に、世界中で需要が拡大しています。
デジタルソサエティ事業では、通信インフラやデータセンター、半導体製造装置向けのセラミックス部品、電子デバイス、圧電セラミックス、マイクロアクチュエーターなどを手掛けています。近年では5G通信やAIサーバーの普及に伴い、電子部品向けセラミックスの需要が増加しています。
エネルギー&インダストリー事業では、創業時から続く電力用碍子(がいし)や変電機器に加え、大規模な蓄電システム「NAS電池」を展開しています。このNAS電池は再生可能エネルギーの普及や電力需給の安定化に貢献するもので、世界的にも注目されています。また、産業用セラミックス部材なども手掛け、製造現場の省エネ化・効率化にも貢献しています。
研究開発にも力を入れており、セラミックスの基盤技術を応用した次世代電池材料、EV(電気自動車)関連製品、CO₂削減につながる環境ソリューションなどを積極的に開発中です。売上高の約6割を海外が占めるなど、グローバル市場でのプレゼンスも高い企業です。
日本ガイシ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 559,240 | 66,761 | 65,887 | 55,048 | 177.5 | 66 |
| 連24.3 | 578,913 | 66,397 | 63,042 | 40,562 | 133.7 | 50 |
| 連25.3 | 619,513 | 81,241 | 78,249 | 54,933 | 186.0 | 60 |
| 連26.3予 | 650,000 | 83,000 | 81,000 | 62,000 | 217.4 | 66〜70 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 97,949 | -52,006 | -34,568 |
| 2024年3月期 | 99,159 | -68,593 | -36,123 |
| 2025年3月期 | 96,658 | -55,081 | -34,219 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績・倍) | PBR(実績・倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 11.9% | 8.6% | 5.3% | ― | ― |
| 2024年 | 11.4% | 5.8% | 3.5% | ― | ― |
| 2025年 | 13.1% | 7.6% | 4.8% | 高値平均 13.0倍 安値平均 10.0倍 |
1.11倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
日本ガイシの業績を見ると、2023年から2025年にかけて売上・利益ともに堅調に推移しています。営業利益は66,761百万円 → 66,397百万円 → 81,241百万円と増加傾向にあり、特に2025年には営業利益率が13.1%まで上昇しています。これは製品の高付加価値化と海外需要の回復が寄与していると考えられます。経常利益も同様に78,000百万円近くまで伸びており、本業の稼ぐ力がしっかりしています。
純利益は2024年に一時的な減少(40,562百万円)を見せましたが、2025年には54,933百万円と再び持ち直しています。ROEは2023年8.6% → 2024年5.8% → 2025年7.6%と改善傾向にあり、資本効率の回復が見られます。ROAも同様に3.5%から4.8%へ上昇しており、資産を使った利益創出力も戻りつつあります。
また、PERは2025年実績ベースで高値平均13倍、安値平均10倍程度、PBRは1.11倍です。製造業としてはやや割安圏にあり、同業他社と比較しても評価は中庸からやや割安といえる水準です。営業利益率も10%を超える安定した収益体質で、キャッシュフロー面も営業CFが常に9,000億円超を維持しており、投資余力があります。
総合的に見ると、日本ガイシは「長期安定型」の優良銘柄と判断できます。短期的な大幅成長を狙うよりも、中長期的に堅実な配当と利益成長を期待する投資が向いています。配当も1株あたり60円前後と安定しており、将来的に増配の余地もあります。
リスク要因としては、自動車排ガス浄化材の需要減少(EV化の進行)や半導体市況の変動などが挙げられますが、デジタルソサエティ事業やNAS電池など新分野の伸びで補う展開が見込めます。したがって、現状のPER水準やROEの推移から判断すると、「堅実な中長期保有には適した銘柄」。成長余力よりも安定収益と配当狙いで投資するのが良いといえます。
配当目的とかどうなの?
日本ガイシは、配当目的でも非常に安定感のある銘柄です。直近の予想配当利回りを見ると、2026年3月期が2.6%、2027年3月期が2.77%と、緩やかに上昇しています。東証プライム企業の平均が2%前後であることを考えると、やや高めの水準で、しかも業績の安定した製造業という点から見ても安心感があります。
同社は創業以来、セラミックス技術をベースにした環境・電子・エネルギー分野で強みを持っており、利益構造が非常に安定しています。2025年の営業利益率は13.1%、ROEも7.6%と着実に改善しており、配当を支えるだけの利益余力がしっかりあります。営業キャッシュフローも毎年9,000億円規模で推移しており、投資と配当の両立ができる健全な財務体質です。
また、EPS(1株益)は2024年の133.7円から2025年には186円、2026年予想では217円へと上昇しており、今後も増益基調が続く見通しです。配当性向は30%前後と無理のない範囲で、利益に応じた増配が期待できます。特に2027年3月期の配当利回りが2.77%に上がる見込みなのは、利益回復に合わせた自然な増配の流れといえます。
PERは10~13倍、PBRは1.11倍と、バリュエーション面でも割高感はなく、長期保有で配当と株価上昇の両方を狙える位置にあります。株価が安定しているため、配当を再投資していくスタイルにも向いています。
総じて日本ガイシは、派手さはないものの堅実なキャッシュフローを背景にした「着実に増配を重ねるタイプ」の優良企業といえます。短期で大きく値上がりするような成長株ではないですが、リスクを抑えながら毎年の配当を受け取りたい投資家にとっては非常に相性の良い銘柄です。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本ガイシの現在の株価は2,917円です。今後5年間の値動きを考えると、業績の堅調さや市場環境の変化によって幅広い展開が考えられます。
まず、同社は環境対応型セラミックスや電力インフラ用製品で世界的なシェアを持っており、営業利益率も2025年には13.1%まで上昇しています。ROEも7%台まで回復しており、利益体質が年々改善しています。この流れが維持されれば、株価の中長期的な上昇は十分に期待できる水準です。
良い場合としては、EV(電気自動車)の普及や再生可能エネルギー分野でのNAS電池の採用拡大などが追い風となり、業績が想定以上に伸びる展開です。営業利益率が15%前後まで高まり、ROEが10%に近づけば、PERも13倍程度まで上昇余地があります。その場合、株価は4,000円〜4,500円台まで上昇する可能性があります。地味ながらも世界的な省エネ・脱炭素トレンドの波に乗れば、堅実な株価上昇が見込めます。
中間的なケースでは、主力の自動車排ガス関連事業の縮小をデジタルソサエティ事業やエネルギー関連製品で補いながら、営業利益率を12〜13%で維持。PERは現状水準の11〜12倍程度を維持し、株価は3,200円〜3,600円台で推移する可能性が高いです。このパターンでは配当を受け取りながら、緩やかな値上がりを期待する中長期保有向きの展開となります。
悪い場合は、EV化の進展で自動車排ガス浄化用セラミックスの需要が急減したり、半導体関連の需要減速、海外景気の後退が重なるケースです。その場合、営業利益率が10%を下回り、ROEも5%前後に低下する可能性があります。市場評価も下がり、PERが10倍を割ると株価は2,200円〜2,500円台まで調整するリスクもあります。ただし、キャッシュフローが安定しているため、減配リスクは低く、下値は比較的堅いとみられます。
総じて、日本ガイシは派手さはないものの、堅実に利益を積み重ねるタイプの企業です。配当も安定しており、配当利回りは今後2.6〜2.8%と上昇傾向です。5年スパンで見ると、景気や為替の波を受けつつも中長期では緩やかに上昇トレンドを描く可能性が高く、配当を受け取りながら安定的に保有できる銘柄と言えます。
この記事の最終更新日:2025年11月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す