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日本製鉄(5401)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本製鉄とは

日本製鉄株式会社は、日本を代表する総合鉄鋼メーカーであり、世界最大級の製鉄会社の一つです。本社は東京都千代田区丸の内二丁目6番1号、丸の内パークビルディング内にあり、1950年4月1日に設立されました。現在は東証プライム市場に上場しており、資本金は約5,695億円、連結従業員数はおよそ11万人を超えます。代表取締役社長は今井正氏です。

同社は、かつての「新日本製鉄」と「住友金属工業」が経営統合して誕生した企業であり、国内製鉄業の中核的存在です。統合により、日本国内の主要製鉄所を網羅し、八幡製鉄所、君津製鉄所、名古屋製鉄所、大分製鉄所などを中心に、原料調達から製品加工・販売まで一貫した生産体制を確立しています。製鉄業界のリーダーとして、日本の産業基盤を支えると同時に、アジア・欧米を中心にグローバル展開も積極的に行っています。

事業構成は主に4つの柱から成り立っています。第一の柱である「製鉄事業」は、熱延鋼板、冷延鋼板、めっき鋼板、厚板、棒鋼、線材、H形鋼、鋼管など、あらゆる鉄鋼製品を製造・販売しており、自動車、造船、建設、エネルギー、インフラ、家電といった幅広い産業分野に供給しています。特に自動車向けの高張力鋼板(ハイテン材)や、エネルギー分野で用いられる高強度鋼管など、高付加価値製品の開発に注力しており、世界でもトップクラスの技術力を誇ります。

第二の柱である「エンジニアリング事業」では、製鉄プラントや環境プラント、橋梁・エネルギー関連設備の建設・運用などを行っています。鉄鋼生産のノウハウを活かし、海外の製鉄所建設プロジェクトにも関与しており、環境対応技術の提供やリサイクル設備などの設計も進めています。

第三の「ケミカル&マテリアル事業」では、石炭化学やピッチ系炭素繊維、機能樹脂、リチウムイオン電池材料など、鉄鋼副産物を活用した新素材開発を行っています。これにより、単なる鉄鋼メーカーにとどまらず、素材科学の総合企業としての側面を強めています。

さらに「システムソリューション事業」では、製造現場のデジタル化を進めるためのITソリューションやシステム開発を提供しています。自社の製鉄工程で培った技術を外販する形で、他産業の生産性向上にも貢献しています。

グローバル展開にも非常に積極的で、インド・東南アジア・ブラジル・米国などに生産・販売拠点を持ち、海外売上比率は3割を超えています。最近では、米国の鉄鋼大手「U.S.スチール」の買収を発表するなど、世界シェア拡大に向けた大型戦略も進めています。この動きにより、アメリカ市場での存在感が一気に高まり、世界的な鉄鋼サプライチェーンの再構築を狙っています。

環境対応にも力を入れており、カーボンニュートラル社会に向けて「水素還元製鉄」や「電炉化」などの技術開発を推進中です。CO₂排出削減を柱とした次世代製鉄技術の研究に巨額の投資を行っており、国内外の官民連携プロジェクトにも参加しています。

財務面でも安定しており、近年は鉄鋼価格の上昇や為替効果によって高い収益を上げています。営業利益率はおおむね10%前後、ROEも10%を超える年度が多く、配当水準も年々上昇傾向にあります。

総じて、日本製鉄は日本経済を支える基幹産業の中心的存在であり、世界的にも競争力の高い鉄鋼メーカーです。伝統的な製鉄技術を基盤にしながら、環境対応型素材や海外M&Aなどで新たな成長フェーズに入っています。長期的に見れば、世界的なインフラ需要の拡大と脱炭素社会への移行の両方を追い風に、持続的な成長が期待できる企業といえます。

日本製鉄 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2023年3月期 7,975,586 883,646 866,849 694,016 753.7 180
2024年3月期 8,868,097 778,662 763,972 549,372 596.6 160
2025年3月期 8,695,526 547,960 524,377 350,227 350.9 160
2026年3月期(予想) 10,000,000 240,000 220,000 -40,000 -38.3 120(予)

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 661,274 -366,580 -197,655
2024年3月期 1,010,159 -710,654 -543,945
2025年3月期 978,593 -462,428 -313,334

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績・倍) PBR(実績・倍)
2023年 11.0% 16.5% 7.2%
2024年 8.7% 11.4% 5.1%
2025年 6.3% 6.5% 3.2% 高値平均 7.2倍
安値平均 5.0倍
0.62倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日本製鉄は、直近3年間の業績と財務指標を総合的に見ると、業績がピークを過ぎて一服感を見せつつも、依然として高水準の収益力と強固な財務基盤を持つ大型鉄鋼株です。

2023年から2025年にかけての数値を見ると、営業利益は8836億円 → 7786億円 → 5479億円と減少傾向にあります。経常利益も同様に8668億円から5243億円まで低下しており、鉄鋼価格の調整や資源コストの上昇、世界的な需要の一巡が影響しています。純利益も6940億円から3502億円まで減少していますが、それでも依然として業界内では高い利益水準を維持しています。

営業利益率は11.0% → 8.7% → 6.3%と下がっており、収益性はやや鈍化傾向です。ただし6%台を保っている点は、資源高や景気変動がある中でもコスト競争力が高いことを示しています。ROEも16.5% → 11.4% → 6.5%と低下していますが、自己資本の増加や大型設備投資を進めている影響もあり、財務の健全性は高い水準を維持しています。ROAも7.2%から3.2%に低下していますが、依然として国内鉄鋼メーカーの中では優位な位置にあります。

一方、PER(株価収益率)は2025年実績ベースで高値平均7.2倍、安値平均5.0倍、PBRは0.62倍と非常に割安圏にあります。PBRが1倍を大きく下回っていることから、市場は業績の先行きや景気減速をある程度織り込んでいますが、バリュエーション面では「明確に割安」と言える水準です。長期的に見れば、鉄鋼需要が安定しているインフラ、エネルギー、自動車分野での需要を背景に、反発の余地も十分にあります。

総合的に判断すると、短期的には収益調整局面にあり株価の上値は重いものの、長期的には底堅く、割安で高配当を狙えるバリュー株としての魅力が高い銘柄です。特にPBR0.6倍前後という水準は、過去から見ても市場の悲観的評価が強い状態であり、業績の下げ止まりや海外需要回復の兆しが見えれば反発余地は大きいです。

リスク要因としては、中国・インドを中心とした鉄鋼市況の変動、為替影響、製造コスト上昇などが挙げられますが、財務面は堅実で自己資本比率も高く、長期保有でも安心感があります。

したがって投資判断としては、短期では様子見、中長期では買い優勢と考えられます。景気循環の谷に差しかかっているタイミングを逆手に取って仕込むことで、次の鉄鋼サイクルの上昇局面での値上がり益と、安定配当の両方を享受できる可能性が高い銘柄です。

配当目的とかどうなの?

日本製鉄は、配当目的の投資先としてかなり魅力的な銘柄です。予想配当利回りは2026年3月期、2027年3月期ともに3.92%と高く、東証プライム全体の平均を大きく上回っています。鉄鋼業界は景気に左右されやすいイメージがありますが、日本製鉄はキャッシュフローが非常に強く、多少業績が落ちても配当を維持できる体質になっています。

直近では、営業キャッシュフローが2024年に1兆円を超え、2025年も約9,800億円を確保しており、配当原資は十分です。過去を見ても、2023年に1株あたり180円という高配当を実施し、その後も160円前後を維持しています。鉄鋼市況が悪化しても極端な減配はなく、株主還元を安定的に続けていることが分かります。

同社の株価指標も魅力的で、PERは5〜7倍、PBRは0.62倍と明確に割安圏です。市場全体が悲観的に見ている中で、実態は財務基盤が強固であり、自己資本比率も高く、国内外のインフラ投資需要を背景に底堅く利益を出せる企業です。業績が回復すれば株価上昇と配当収入の両方を狙える「バリュー+高配当」の典型的な銘柄といえます。

また、日本製鉄は業績に連動した配当方針を取っているものの、「安定配当」を重視しており、景気の波に応じて柔軟に対応しています。減益局面でも一定の配当を維持することで株主信頼を保ってきた実績があります。今後も世界的なインフラ需要や脱炭素関連の技術投資を背景に、長期的なキャッシュ創出力は続くと見られます。

総じて、日本製鉄は派手な成長株ではありませんが、安定した配当を長期的に受け取りたい投資家にとって非常に相性の良い銘柄です。利回り3.9%前後というのは今の市場環境では十分魅力的な水準であり、長期保有で配当を受け取りながら、景気回復局面での株価上昇も同時に期待できる銘柄だと言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本製鉄の現在値は611.6円です。今後5年間の値動きを考えると、鉄鋼市況、世界経済、そして脱炭素社会への対応など、さまざまな要因が絡んできます。ここでは「良い場合」「中間」「悪い場合」に分けて予想してみます。

まず、日本製鉄は世界トップクラスの鉄鋼メーカーであり、国内外に巨大な製鉄所を構えています。鉄鋼価格や原材料コストの変動が大きい業界の中で、財務体質は非常に強く、営業キャッシュフローも安定しています。現在のPERは5〜7倍、PBRは0.6倍程度と、すでに市場ではかなり割安に評価されています。このため、業績次第では大きなリバウンドも期待できる状況です。

【良い場合】
世界的なインフラ需要が拡大し、鉄鋼価格が上昇。エネルギー関連投資や脱炭素社会に向けた水素還元製鉄などの新技術が実用段階に入り、収益性が改善。営業利益率が再び10%台に回復し、ROEも10%を超える展開になれば、市場の評価も見直されます。PERが8倍程度まで上がると仮定すると、株価は1,000円〜1,200円前後まで上昇する可能性があります。長期的に見ると、国内外の設備投資需要を背景に株価上昇と増配の両立も期待できます。

【中間の場合】
世界経済の伸びが緩やかで、鉄鋼需要は横ばいながらも価格が安定。エネルギーコストや人件費の上昇が続く中でも、効率化と高付加価値製品によって利益を維持。営業利益率は7〜8%、ROEは6〜8%前後をキープ。PERが6倍前後で推移するとすれば、株価は750円〜900円あたりで推移する可能性が高いです。配当利回り3〜4%台を維持できるため、インカムゲインを中心とした安定運用が可能です。

【悪い場合】
世界的な景気減速や中国の鉄鋼過剰供給の影響で価格が下落。エネルギーコストの高止まりや円高も重なり、利益がさらに縮小。営業利益率が5%を下回り、ROEが3〜4%程度まで低下すれば、市場の評価も厳しくなります。PERが5倍を割るような展開になると、株価は450円〜500円程度まで下落するリスクがあります。ただし財務体質は堅固なため、減配はあっても無配に転落する可能性は低く、下値は限定的と見られます。

総じて見ると、日本製鉄は景気敏感株ではありますが、世界的なインフラ需要や脱炭素技術への転換を背景に、長期的には安定成長と高配当を両立できる堅実な大型株です。5年スパンで見れば、悪材料が出尽くした局面で仕込むことで、配当を受け取りながら株価上昇の両面を狙える展開が期待できます。

この記事の最終更新日:2025年11月10日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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