株価
アマダとは

アマダ株式会社は、神奈川県伊勢原市に本社を構える日本を代表する金属加工機械メーカーです。1946年に創業し、1948年に会社として設立されて以来、70年以上にわたり金属加工の分野で世界的なブランドを築いてきました。東証プライム市場に上場しており、資本金は約547億円、グループ全体で国内外に数多くの拠点を持っています。
同社は「金属加工機械の総合メーカー」として、板金機械、切削機械、研削盤、プレス機、溶接機などを幅広く開発・製造・販売しています。なかでもレーザ加工機やパンチングプレス、ベンディングマシンといった板金加工機分野で世界的なシェアを誇ることが最大の特徴です。単に機械を販売するだけでなく、金型や自動化装置、制御ソフトウェア、周辺機器、そして導入後のメンテナンスや技術サポートまで含めたトータルソリューション提供型のビジネスモデルを展開しています。
また、アマダは「生産現場の自動化・効率化」を強く推進しており、FA(ファクトリーオートメーション)やIoTを取り入れたスマートファクトリー向けのシステムを積極的に開発しています。AIによる加工条件の最適化や、クラウド連携による生産管理など、製造現場のデジタル化をリードする存在でもあります。特に、近年では「アマダ・スマートファクトリー構想」を掲げ、生産ラインの自動搬送や加工精度のリアルタイム管理を実現するなど、次世代製造業の中核を担う企業として存在感を高めています。
事業構成としては、板金機械事業が売上の中心で、売上高の約7割を占めています。そのほか、精密加工や電子機器向けの微細溶接事業、工具・切削機器を扱う切削事業、高精度な研磨機を提供する研削盤事業、そして大型プレス機を扱うプレス事業など、複数の分野でバランスの取れたポートフォリオを持っています。
海外展開も積極的で、アメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジアなどに生産・販売拠点を持ち、グローバル売上比率は約60%に達しています。現地法人による販売・保守体制を整備し、世界中の製造業を支える存在として信頼を得ています。
経営面では「顧客第一」「現場主義」「技術革新」を経営理念に掲げ、単なる機械メーカーではなく、「生産性向上を提案するパートナー企業」として顧客と長期的な関係を築いています。安定した財務基盤を持ちながら、研究開発投資を惜しまない姿勢が強みであり、業界でもトップクラスの開発力を維持しています。
総じてアマダは、安定した経営基盤と世界的な知名度を兼ね備えた優良企業です。ものづくり現場の省力化・自動化・高精度化が進むなか、今後も「金属加工機械のトータルサプライヤー」として、国内外の製造業を支える中心的存在であり続けると見られます。
アマダ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 365,687 | 49,867 | 49,608 | 34,158 | 98.3 | 48 |
| 2024年3月期 | 403,500 | 56,507 | 58,066 | 40,638 | 119.0 | 60 |
| 2025年3月期 | 396,670 | 49,076 | 49,157 | 32,386 | 98.7 | 62 |
| 2026年3月期(予想) | 436,000 | 48,900 | 48,900 | 33,700 | 111.1 | 62 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 24,949 | -13,323 | -20,392 |
| 2024年3月期 | 47,595 | -15,188 | -38,145 |
| 2025年3月期 | 46,192 | 7,851 | -42,420 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 13.6% | 6.7% | 5.2% | ― | ― |
| 2024年3月期 | 14.0% | 7.6% | 5.9% | ― | ― |
| 2025年3月期 | 12.3% | 6.2% | 4.9% | 高値平均16.0倍/安値平均10.9倍 | 1.13倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
アマダは、板金機械で世界的に高いシェアを持つ金属加工機械メーカーであり、ここ数年も安定した収益構造を維持しています。業績数値を見ると、営業利益は2023年の約499億円から2025年も490億円前後を確保しており、売上高の変動に対して利益水準をしっかりと維持している点が特徴です。営業利益率も13.6%、14.0%、12.3%と、製造業としては高水準で推移しており、収益性の安定感が際立ちます。
経常利益も3年間を通して490億円前後で推移しており、営業外損益によるブレが少ないのは、財務体質の健全さを示しています。純利益は2024年に406億円とピークを付けた後、2025年はやや減少し323億円となっていますが、依然として高水準です。EPSも約100円前後を維持しており、長期的に見れば安定成長型の企業といえます。
株価指標を見ても、2025年時点でのPERは高値平均16.0倍・安値平均10.9倍、PBRは1.13倍と、やや割高感はあるものの、製造業の中では「成長性と安定性のバランスが取れた評価」です。ROEは6.7%→7.6%→6.2%、ROAも5.2%→5.9%→4.9%と推移しており、自己資本を厚く持ちながらも一定の収益を確保できていることが分かります。
営業利益率が2ケタを維持し、ROEが5~7%台という点からも、アマダは大きな成長を狙う企業というより、堅実で景気変動に強い中長期安定銘柄と位置づけられます。特に工作機械業界は市況によって受注が変動しやすいですが、アマダは顧客基盤の広さと海外事業の多角化によって、業績の安定化に成功しています。
株主還元の面でも、配当を毎年増加させており、2023年48円、2024年60円、2025年62円と右肩上がり。2026年も62円予想と、減配リスクがほぼないのが強みです。配当利回りは概ね2.8~3%前後と見込まれ、安定配当を重視する投資家に向いた銘柄です。
総合的に判断すると、アマダは景気変動の影響を受けにくい財務体質と高い利益率を兼ね備え、製造業の中でも「安定・堅実」タイプの優良企業です。短期での急上昇を狙うよりも、配当を受け取りながら長期でじっくりと保有する中長期投資向け銘柄として評価できます。株価が調整局面に入った際には、押し目買いの好機となるでしょう。
配当目的とかどうなの?
アマダは、配当目的の投資先として非常に魅力的な銘柄です。
現在の予想配当は2026年3月期・2027年3月期ともに1株あたり62円を見込んでおり、予想配当利回りは3.4%前後(3.41%~3.46%)と、東証プライム上場の製造業としてはかなり高めの水準です。これは単なる一時的な高配当ではなく、過去数年間にわたって増配を継続してきた「安定的な株主還元策」の結果です。
アマダは長期的に見ても減配がほとんどなく、業績悪化時でも配当を維持する姿勢を貫いています。内部留保が厚く、営業キャッシュフローも毎期安定してプラスを確保しているため、景気後退局面でも配当支払いに無理がない点が強みです。財務体質も極めて健全で、有利子負債が少なく自己資本比率が高いことから、将来的な配当継続の安心感も大きいです。
一方で、配当性向はおおむね50%前後とやや高めであるため、急激な増配余地は大きくありません。ですが、その分「配当の安定性重視」の方針が徹底されており、長期で持って毎年確実に配当を受け取るタイプの銘柄として適しています。
総じて、アマダは「高すぎず低すぎない安定配当」を継続しており、配当利回り3.4%前後という数字は、長期の資産形成・配当再投資を狙う投資家にとって十分に魅力的な水準です。業績の安定性・財務の健全性・減配リスクの低さを考えると、配当目的での保有に非常に向いた銘柄といえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
アマダの現在の株価は1,817.5円です。ここから今後5年間の株価の動きを考えると、業績や世界経済の状況によって3つのパターンが想定されます。
まず、良い場合は世界的に製造業が回復し、特に自動化やスマートファクトリー関連の需要が拡大する展開です。アマダの主力であるレーザ加工機やベンディングマシンの販売が国内外で伸び、営業利益率も再び14%台まで上昇する可能性があります。円安も追い風となり、業績が堅調に推移すればPERが15倍程度まで見直され、株価は2,800円から3,000円前後まで上昇する可能性があります。業績の安定と配当の継続が評価され、長期保有でしっかりとしたリターンを得られる展開です。
次に中間の場合は、特段の好景気でも不況でもない安定推移のケースです。営業利益率は12%前後で落ち着き、ROEは6%前後を維持。大きな成長はないものの、堅調な需要と効率的な経営で着実に利益を出し続けます。この場合、株価は1,700円から2,000円台を中心としたレンジで推移し、配当金(1株62円前後)を受け取りながら安定した運用ができる状態になります。値上がり益を狙うよりも、配当による実質利回りを重視する投資に向いています。
悪い場合は、世界景気が減速し、設備投資の抑制や円高による輸出採算の悪化が進むシナリオです。営業利益率は10%程度まで低下し、ROEも5%を下回る水準に落ち込む可能性があります。PERが10倍を下回る評価となれば、株価は1,300円から1,400円程度まで下落する可能性があります。それでもアマダはキャッシュフローが強く、財務体質も極めて健全なため、無配や業績急落といった事態にはなりにくく、底堅く推移することが予想されます。
まとめ
総合的に見ると、アマダは派手さはないものの、景気変動に比較的強く、配当を安定的に支払う企業です。短期的な値上がりを狙うよりも、配当を受け取りながら長期で安定して保有するスタイルに適した銘柄です。悪い局面でも下値は限定的で、良い局面では業績回復とともに株価の上昇が期待できる、堅実な長期投資向けの企業といえるでしょう。
この記事の最終更新日:2025年11月12日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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