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日本精工(6471)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本精工とは

日本精工(NSK)は、1916年に日本で初めてのベアリングメーカーとして誕生した、100年以上の歴史を持つ世界的な精密機械部品メーカーです。ベアリングというと地味な部品に思われがちですが、実は自動車、鉄道、航空機、ロボット、家電、工作機械、発電設備など、ほぼ全ての産業に欠かせない「摩擦を減らし、回転を滑らかにするための最重要部品」であり、NSKはその分野で世界トップクラスのシェアを占めています。メーカーとしての技術力は非常に高く、日本のものづくりの基盤を支えてきた企業の一つと言っても過言ではありません。

NSKの強さは、長年培ってきた高精度の加工技術だけでなく、過酷な環境でも性能を維持できる耐久性、そして摩擦を極限まで減らす技術開発にあります。自動車のエンジンやモーターは高回転で膨大な熱が発生しますし、鉄鋼設備や工作機械では24時間安定して稼働することが求められます。こうした環境で使われるベアリングは、品質が少しでも劣るとすぐに故障の原因になるため、高品質を維持できるNSKは世界中から信頼されています。

事業領域は大きく3つに分かれています。
まず 産業機械用ベアリング事業 は、工作機械や建設機械、ロボット、鉄鋼設備など幅広い分野をカバーしており、NSKの基盤的な収益源になっています。特に産業ロボットや自動化設備の増加によって高精度軸受の需要が伸びており、近年も安定した成長が続いています。

次に 自動車部品事業 ですが、これはNSKにとって非常に重要な事業です。自動車向けのホイールベアリングやトランスミッション向け軸受はもちろん、電動パワーステアリング(EPS)装置も手掛けており、世界の主要自動車メーカーと深い取引関係を持っています。自動車の電動化が進む中で、低摩擦・高効率な軸受の重要性は増しており、EVの普及が進むほどNSKの存在感も高まる状況です。

そして 精機製品事業(ボールねじ・直動案内など) では、半導体製造装置、医療機器、精密ロボットなどに使われる精密部品を提供しています。特にボールねじはNSKの看板製品の一つで、精密位置制御が必要な装置に欠かせない部品として世界で高く評価されています。半導体製造分野は今後も長期成長が見込まれるため、この分野の拡大はNSKにとって大きな追い風です。

また、日本精工は海外展開が非常に強く、北米・欧州・アジアを中心に世界各地に生産拠点と販売網を持っています。海外売上比率はかなり高く、グローバルメーカーとして安定した収益基盤を確立しています。さらに、材料技術や表面処理技術、高効率グリースなど、軸受の性能を進化させるための研究開発にも積極的で、技術革新を続けている企業です。

NSKは華やかなイメージこそありませんが、“縁の下の力持ち”として世界中の産業を支える極めて重要な基幹部品メーカーであり、ベアリング分野では日本の技術力を象徴する企業の一つです。

日本精工 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
23.3 938,098 32,936 31,926 18,412 35.9 30
24.3 788,867 27,391 26,210 8,502 17.3 30
25.3 796,667 28,457 25,100 10,647 21.8 34
26.3予 863,000 27,200 24,200 9,400 19.1 34

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 64,163 -48,778 4,417
2024 99,818 -90,814 -24,780
2025 82,176 -58,753 -33,741

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 3.5% 2.9% 1.4%
2024 3.4% 1.2% 0.6%
2025 3.5% 1.6% 0.8% 39.3倍(高値平均)
30.0倍(安値平均)
0.67倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日本精工の業績を直近の数字だけで見ると、営業利益は329.4億円から273.9億円へ落ち込み、足元では284.6億円まで少し戻した程度で、まだ明確に回復軌道に乗ったとは言えない状態が続いています。経常利益や純利益の推移も同様で、純利益は184億円から85億円まで一度大きく落ち込み、その後106億円まで持ち直しているものの、まだまだ弱さが残っている内容です。営業利益率も3.5%前後で推移しており、全体として利益率が薄い状態が続いていて、製造業の中でも利幅が小さい状況が続いています。

さらにROEとROAを確認すると、ROEは2.9%から1.2%に落ち、1.6%まで少し戻した程度で、資本を使って十分に利益を生み出せているとは言いにくい数字になっています。ROAに関しても1%を割り込む低水準が続いており、企業としての収益力の弱さがはっきり表れています。数字だけを見ると、現段階では積極的に成長が期待される局面ではなく、むしろ回復途上にある印象が強い状態です。

それにもかかわらず2025年のPERは高値平均で39.3倍、安値平均でも30.0倍とかなり高い評価になっており、利益の弱さに比べて株価が割高に見える状況です。普通であればこれだけ利益が落ちている企業はPERが低く出るはずですが、それでも30倍を超えているのは、株価が先行してしまっているか、市場が将来の改善を期待しているか、あるいは一時的な業績悪化とみられている可能性があります。ただ、現状の業績に対しては割高感のある水準であり、短期的に積極的な買いが入る数字ではありません。

一方でPBRは0.67倍と非常に低く、資産価値から見ると明確に割安な水準です。つまり市場からの評価は下がっているものの、企業の持つ純資産と比較すればかなり放置されているという状態で、ここはバリュー株としての魅力がある部分です。業績が改善し始めれば見直し買いが入りやすい土台はあるため、今の株価が過度に悲観されている可能性もあります。

総合的に数字を眺めると、日本精工は現時点では利益面の弱さがはっきりしており、資本効率も低く、すぐに買いに行くタイプの銘柄ではありません。ただしPBRの低さは将来の見直し余地も大きいことを示しており、完全に見放されるような企業ではなく、業績が底を打って改善する兆しが出てくれば一気に評価が戻る可能性があります。今は割安だが割安な理由がある局面で、改善の兆しを確認しつつ中長期で拾うほうが相性の良い銘柄だと思います。

配当目的とかどうなの?

日本精工を配当目的で考える場合、まず利回りが3.7%台というのは、製造業としては比較的高めで、一定の魅力がある水準です。今の日本株市場では3%台後半あれば配当株として十分に候補に入る利回りなので、配当収入を重視する投資家にとっては悪くない位置にあります。ただ、利回りが高い背景には業績の伸び悩みや利益率の低さなど、株価が伸びづらい要因があることも確かで、数字の裏にはポジティブとネガティブが混在しているタイプの銘柄です。

実際のところ、純利益はここ数年で大きく上下しており、安定して増配を続けられるほどの強い収益力があるとはまだ言いにくい部分があります。それでも配当を維持しているということは、会社として株主還元を一定程度重視していることの表れでもあり、減配リスクが極端に高いタイプではありません。ただし、利益が回復軌道にしっかり戻るまでは、「高利回り=安全」と断言できるほどの安定性があるわけでもないため、利回りだけで飛びつくのは少し注意が必要です。

一方で、PBRが0.67倍とかなり低く、資産価値から見れば割安に放置されている状況は長期の配当狙いではプラスです。株価が大きく崩れにくい土台があり、仮にゆっくりでも業績が改善すれば、株価の見直しと配当収入の両方を狙える余地があります。つまり、高配当株として“不安定だが悪くない位置”におり、景気敏感株らしさを理解した上で長期保有するなら十分選択肢に入ります。

まとめると、今の日本精工は配当目的としては利回りが悪くない水準にあり、長期でのインカム狙いとしての価値はあります。ただし業績の強さで配当を支えているというより、株価が割安なことによって利回りが高くなっている側面もあるため、安定性という面では一段慎重に見る必要があります。とはいえ、資産価値がしっかりしており、企業が配当を継続する姿勢を崩していない限り、大崩れするタイプでもないため、長期的な配当収入を得ながら業績改善を待つという戦略とは相性が良い銘柄と言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本精工の現在の株価は915.5円ですが、ここから先の5年間を見据えると、世界の自動車産業や産業機械市場の動きに応じて、株価は大きく三つの方向に分かれていく可能性があります。

まず良い場合は、世界の製造業が再び活気を取り戻し、自動車の電動化やロボット、半導体関連装置などの需要が力強く伸びるケースです。特にEVやハイブリッド向けのベアリング、高効率タイプの軸受、電動パワーステアリング(EPS)といった分野で同社が存在感を高めていけば、収益性は確実に改善していきます。加えて、アジア向けの産業機械需要や北米の設備投資が回復するような流れになれば、日本精工の業績は中期的に大きく伸びる余地があり、現状低迷しているROEも5〜8%台へ改善する可能性があります。この場合、割安に放置されていたPBRの見直しが進み、株価は1500円から1900円あたりまで上昇する展開も十分考えられます。

次に中間の場合のシナリオとしては、世界経済が大幅に悪化するわけではないものの、特別強い拡大局面にもならず、自動車や産業用機械の需要が安定的に推移するケースです。この場合、日本精工は売上を維持しながらも利益率の改善が限定的になり、営業利益率は現状と同じ3〜4%台で推移し、ROEも2〜3%台の控えめな数字が続く可能性があります。劇的な成長は見込みにくいものの、会社としての安定性は高いため、配当を受け取りながら保有するには悪くない状況です。このような場合、株価は1000円から1200円前後で推移し、ほどよい値幅の中で落ち着いた動きになるとみられます。大きくは伸びないものの、大きく崩れない典型的な成熟企業の値動きです。

一方で悪い場合のシナリオでは、世界景気の減速や自動車市場の縮小が続き、軸受関連の需要が細るケースが考えられます。特に中国の景気悪化が深刻化したり、素材価格の上昇や為替の急変でコスト負担が増えたりすると、日本精工の利益率はさらに圧迫され、営業利益率が3%を割り込む可能性もあります。ROEも1%前後の低水準が続き、市場からの評価も厳しいものになります。この状態が長く続くと、PBRはさらに低下し、株価は600円から800円ほどまで下落する可能性もあり、短期的な利益を狙うにはかなり厳しい展開となります。ただし、日本精工は財務基盤が比較的安定している企業であり、極端な業績悪化でも減配や深刻な経営危機に陥りにくい点は安心材料といえます。

総合して見ると、日本精工はすぐに大きく伸びるタイプではないものの、世界の製造業が好転すればしっかりと業績が戻る可能性を持った企業です。今の株価は割安な水準にあり、配当利回りも高いため、長期で保有して配当を受け取りながら、世界景気の回復を待つ投資スタイルが最も適していると言えます。短期ではなく中長期目線でじっくり向き合うことで価値が生まれやすい銘柄です。

この記事の最終更新日:2025年11月13日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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