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日立製作所(6501)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日立製作所とは

日立製作所は、日本を代表する総合電機メーカーであり、創業から100年以上にわたって国内外の社会インフラや産業基盤を支えてきた巨大グローバル企業です。従来はテレビや洗濯機など家電のイメージが強かったものの、現在の日立は完全に「IT×インフラ」を中心とした社会イノベーション企業へと生まれ変わっています。特に近年はデジタルサービス事業の比率を高め、AIやビッグデータを活用した企業向けITソリューションが急成長し、世界的に評価されています。

同社の中核にあるのが「Lumada(ルマーダ)」と呼ばれるデジタルソリューション事業で、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)やデータ分析、IoT活用、クラウド最適化など、幅広い分野でデジタル改革を支援しています。金融、製造、公共、社会インフラ、輸送システムなどあらゆる業界の企業に対してITサービスを提供し、日立の成長を牽引する最重要事業へと育っています。

また日立は社会インフラ領域でも圧倒的な存在感を持っています。エネルギー・電力システム事業では、発電設備や送変電システム、電力の管理・監視・制御システムを手掛け、世界中の電力インフラを支えています。脱炭素化の流れが強まる中で、再生可能エネルギーを効率的に電力網へ取り込むための設備・ソリューション需要が高まっており、日立の強みがより活かされる環境になっています。

鉄道システム事業も日立の大きな柱で、英国を中心に海外での鉄道事業が特に好調です。高速鉄道車両から通勤電車、信号・運行管理システムまで手掛ける“総合鉄道システムメーカー”として世界的に評価されており、車両製造とメンテナンスサービスを組み合わせた長期契約ビジネスが収益を安定させています。

産業・インフラ関連では、エレベーター・エスカレーター、建設機械、工場向け制御システム、ロボティクス、水処理設備など、都市インフラから産業設備まで幅広く支えています。特にエレベーター・エスカレーター分野ではアジアを中心に強い競争力を持ち、都市化の進展に伴い長期的な需要が見込まれています。

ヘルスケア領域では、MRIやCTなどの医療用画像診断装置、医療分野におけるITシステム、データ解析技術などを展開しています。医療現場の効率化・精度向上に貢献する先端技術を多数保有しており、医療デジタル化の流れを追い風に事業拡大が進んでいます。

さらに、海外企業の大型買収や構造改革にも積極的で、世界の市場で競争力を高めるための戦略を継続的に実行しています。特に欧米ではITサービス企業としてのプレゼンスが強まり、海外売上高比率は年々上昇しています。

このように日立製作所は、ITサービス、電力・エネルギー、鉄道、産業インフラ、ヘルスケアなど、どれも国の基盤となる領域でビジネスを展開しているため、景気に左右されにくい安定した事業構造が特徴です。製造業の枠にとらわれず、デジタルとインフラの両輪で成長を続ける、日本を代表する総合社会インフラ企業と言える存在です。

日立製作所 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
23.3* 10,881,150 805,324 819,971 649,124 136.9 29
24.3* 9,728,716 775,285 825,801 589,896 126.9 36
25.3 9,783,370 878,248 962,733 615,724 133.9 43
26.3予 10,100,000 910,000 1,040,000 710,000 155.8 43〜46

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 827,045 151,063 -1,142,966
2024 956,612 -131,543 -1,024,907
2025 1,172,240 -573,650 -424,122

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 7.4% 13.1% 5.1%
2024 7.9% 10.3% 4.8%
2025 8.9% 10.5% 4.6% 高値平均:22.1倍
安値平均:12.9倍
3.76倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日立製作所の直近の業績を数字から読み解くと、まず収益性の高さと安定性が際立っています。売上は約9.7兆〜10.8兆円という国内トップクラスの規模を持ちながら、営業利益は8,053億円 → 7,752億円 → 8,782億円と、ほぼ毎年7,000〜9,000億円台を安定的に稼いでいます。営業利益率も 7.4% → 7.9% → 8.9% と年々改善しており、製造業の中でも非常に高い水準を維持しています。

純利益も6,491億円 → 5,898億円 → 6,157億円と高水準で推移し、26年3月期には7,100億円まで増える見通しです。EPSも安定して伸びており、事業規模の大きさと収益の底堅さが特徴です。ROEは13.1% → 10.3% → 10.5%と10%前後の高水準で安定しており、資本効率の高さが際立ちます。一般的にROE10%超は優良企業の目安とされるため、日立はトップクラスの効率性を持つ企業と言えます。ROAも4〜5%台と好調で、総資産から見ても効率よく利益を稼いでいます。

株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均22.1倍、安値平均12.9倍と幅がありますが、安定的な成長企業としては妥当な評価です。PBR3.76倍は決して割安ではないものの、成長力・収益性・ブランド力を考慮すればプレミアム評価として許容範囲と言えます。特に営業利益率とROEの高さから、市場がすでに「優良グローバル企業」として高く評価していることがわかります。

総合的に見ると、日立製作所は「利益率が高く、資本効率も優秀で、継続的な成長が期待できる大型銘柄」と評価できます。業績の安定性、グローバル展開力、ITサービスと社会インフラの両輪での成長など、複数の強みを兼ね備えているため、長期投資向けの堅実な銘柄です。

唯一の注意点はPBRが高めで、株価がすでに割安水準ではないということですが、EPS成長が続く限り、株価は企業価値に合わせてじわじわ切り上がっていくタイプであり、長期保有に適しています。

結論として、日立製作所は収益力・成長力・財務の健全性どれも高い“王道の優良株”で、中長期で堅実に成長を取りたい投資家に向いた銘柄と言えます。

配当目的とかどうなの?

日立製作所の予想配当利回りは0.84%と、明確に低い水準です。日本株全体の平均利回り(約2%前後)と比べてもかなり低く、配当収入を主目的に投資するタイプの銘柄ではありません。安定高配当株を狙う投資家にとっては、配当面の魅力はほぼないと言って良いレベルです。

ただし、日立は利益規模が大きく、収益性・ROEともに高い企業であり、配当を大きく減らすリスクは低いという特徴があります。EPSも毎年しっかり伸びており、企業体質が強いため、配当の安定性という意味では安心感があります。また、00年代の頃のように低迷する企業ではなく、現在は“優良大型グローバル株”として成長企業の分類に近くなっています。

しかし、利回りが1%未満では、配当で資産を増やすという目的には向きません。日立が重視しているのは事業拡大やデジタルソリューションの成長であり、配当ではなく、株価の中長期的な値上がり益(キャピタルゲイン)で報いるタイプの銘柄です。

総合すると、日立製作所は「配当狙いの投資先としての魅力は弱く、成長性を評価して保有する銘柄」です。安定した業績と高い収益性から企業としての信頼性は高いものの、配当目的だけで優先的に選ぶタイプではありません。

今後の値動き予想!!(5年間)

日立製作所の現在値5,083円を基準に今後5年間の株価を考えると、この企業は収益性が高く事業ポートフォリオも安定しているため、基本的には大きく崩れにくい銘柄といえます。一方で、すでに市場から一定の評価を受けている大型株でもあるため、急激に株価が爆発的に上がるタイプではなく、業績次第でじわじわと評価が積み上がる性質があります。

まず良い場合ですが、日立の成長事業であるデジタルソリューションのLumadaや、グリーンエネルギー、鉄道インフラなどが予想以上に伸び、営業利益率やROEがさらに改善するような展開になれば、株価は長期的に見直される可能性があります。このシナリオでは世界的なDX需要の拡大や社会インフラ更新の波が追い風となり、株価が5年間で7,500円から一気に1万円前後まで上昇するパターンも十分考えられます。大型株でありながら、確実に成長性を評価されるケースです。

中間のシナリオでは、業績は堅調に推移するものの、急成長ではなく着実な成長が続く状態を想定します。売上と利益が少しずつ増え、ROEも10%前後を維持しながら安定的に進むため、株価もそれに応じて緩やかに上昇していく流れです。この場合、5年後の株価は6,000〜7,000円前後で推移する見通しで、現在の水準よりは高いものの、急騰というよりは堅実な右肩上がりになります。長期で安定した企業成長を享受するイメージです。

反対に悪い場合は、世界景気の減速やインフラ投資の鈍化、為替の逆風などが重なって業績が鈍化するパターンです。日立は事業が幅広いため急激に悪化することは考えにくいものの、利益成長が止まり、市場の評価が少し薄まると、株価は現在値を割り込む可能性もあります。この場合、5年後の株価は4,000〜5,000円程度、景気後退が長引くと3,500円台まで落ちる展開もゼロではありません。ただし大型優良株なので、極端な暴落は起こりにくいと考えられます。

総合すると、日立製作所は業績の安定性が高く、悪い場合でも大崩れしにくい一方で、良い場合には7,000〜1万円への上昇も視野に入る、堅実な大型銘柄です。成長性と安定性のバランスが良いため、長期でじっくり持つには向いている一方、配当狙いよりも“株価の長期成長”を期待して保有するタイプの銘柄と言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月14日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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