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オムロン(6645)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

オムロンとは

オムロンは日本を代表するエレクトロニクスメーカーであり、特に「制御機器」と「自動化技術」において世界トップクラスの企業として知られています。長い歴史を持ちながらも常に新しい技術へ挑戦する姿勢を貫いてきた企業で、本社は京都に構えています。近年は世界中の製造業で自動化が急速に進んでいることもあり、オムロンの存在価値はさらに高まっています。

オムロンの中核となるのが ファクトリーオートメーション(FA)事業 で、これは企業の生産ラインを自動化し、生産効率・品質・省人化を実現するソリューションを提供しています。工場で使われるセンサー、コントローラー、自動検査装置、産業用ロボットなど、多岐にわたる製品群を持っており、特にセンサー技術と制御技術の精度は世界でもトップレベルです。自動車産業、半導体産業、食品・医薬品といった多くの製造業で使われており、オムロンの機器は“工場の神経と脳”ともいえる重要な役割を担っています。

また、一般の人にも馴染みの深い ヘルスケア事業 も大きな柱になっています。血圧計や体温計、体組成計など、家庭で使える健康機器を世界中に展開しており、特に電子血圧計は世界トップクラスのシェアを誇ります。高齢化が進む現代社会では、自宅で測定・管理できる健康機器の需要が伸び続けており、オムロンのヘルスケア部門は安定的に成長しやすい領域だといえます。近年は健康データのクラウド化や病院との連携など、ヘルステック分野にも積極的に進出しています。

さらに 社会システム事業 では、駅の自動改札機、券売機、交通管制システムなど、私たちの生活に直接関わるシステムを提供しています。国内ではほぼすべての人がオムロンの改札を一度は通ったことがあると言っても過言ではなく、交通インフラにおける存在感は絶大です。加えて、防犯システムや電子決済のプラットフォームなど、都市のデジタル化・スマート化の中心にも関与しています。

もう一つの重要な領域が デバイス&モジュールソリューション事業 です。これは電子部品、リレー、スイッチなどを扱う分野で、家電メーカーや自動車メーカーなど多くの企業の製品にオムロンの部品が組み込まれています。特に省エネ性能の高い電子部品は世界的に需要が伸びており、安定した収益基盤となっています。

オムロンは4つの大きな事業領域を持つため、特定分野に依存しすぎないのが大きな強みです。FAの好調期には利益が伸び、景気後退期でもヘルスケアや交通インフラが安定収益源として支えるなど、非常にバランスの良いポートフォリオを形成しています。また、近年はAIを活用した生産ラインの自動化、次世代センサー、スマートファクトリー構想など、先端領域にも積極投資しており、将来の成長余地が大きい企業です。

総合すると、オムロンは「制御技術・自動化技術の世界的リーダー」でありながら、「健康・生活インフラ・電子部品」という安定領域も持ち合わせた、長期的に見ても揺らぎにくい大型企業です。製造業の自動化が世界的テーマになる中で、今後も確実に需要が見込める企業といえます。

オムロン 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当(円)
23.3 876,082 100,686 98,409 73,861 372.2 98
24.3 818,761 34,342 34,953 8,105 41.2 104
25.3 801,753 54,038 29,001 16,271 82.6 104
26.3予 827,500 60,500 53,500 32,300 164.0 104

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 53,456 -55,533 -58,757
2024 44,875 -107,096 85,987
2025 55,784 -47,889 -4,608

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 11.4% 10.1% 7.3%
2024 4.1% 1.0% 0.5%
2025 6.7% 2.1% 1.1% PER高値 110.4倍
PER安値 65.0倍
1.00倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

オムロンの直近3年間の業績推移を見ると、同社は依然として世界トップレベルの制御機器メーカーでありながら、足元の業績は明確に調整局面にあることが分かります。まず売上と利益を見ると、2023年は営業利益1006億円と非常に高い収益を上げていましたが、2024年には営業利益343億円まで急減し、2025年も540億円台と回復はしているものの、過去の高水準には戻っていません。経常利益や純利益も同じ流れで、2024年に一度大きく落ち込み、その後2025年にかけて徐々に戻している形です。

営業利益率の推移を見ても、2023年の11.4%→2024年4.1%→2025年6.7%と変動幅が非常に大きく、製造業としては安定性を欠く局面と言えます。特に2024年の急落は、世界的な設備投資の減速、半導体・自動車・電子部品市場の一時的な弱含みなど、オムロンが影響を受けやすい分野の調整が要因として考えられます。

またROEは2023年の10.1%から2024年1.0%、2025年2.1%とかなり低下しており、企業全体の収益力が落ちていることを示しています。ROAも同様に、2023年7.3%→2024年0.5%→2025年1.1%と低い水準に沈んでいます。通常、ROEが10%を切ると資本効率が悪化しているサインとされますが、オムロンは24年・25年ともにかなり低く、市場から高い評価を得にくい構造になっています。

さらに懸念要素として、2025年のPER高値が110倍、安値でも65倍という非常に割高な評価になっている点があります。利益が落ちているにもかかわらず、PERがここまで跳ね上がっているのは、株価に比べて利益が大きく落ち込んでしまったためであり、投資妙味としては“割安”とはかなり言いづらい状況です。一方でPBRは1倍程度と落ち着いており、資産価値としては妥当な評価に戻ってきているともいえます。

総合すると、オムロンは中長期的にみれば「自動化・制御技術」という強いテーマを持つ優良企業ですが、短期的な実力値としては利益率・ROEの大幅低下が目立つ“業績調整期”にあります。市場の期待で株価が支えられている部分が大きく、PERの高さから見ても、現時点では“割安で買いやすい大型株”とは言えません。

ただし2025年は回復の兆しが数字に表れており、利益も改善傾向にあります。今のオムロンは「今すぐ強気で買う」というより、「底打ちや業績回復を確認しながら中長期で狙うタイプ」の銘柄です。配当も安定しており、事業基盤も強いため、長期保有前提で押し目を狙うには良い企業ですが、急成長を期待して買いにいくにはやや慎重さが必要な局面だと判断できます。

配当目的とかどうなの?

オムロンを配当目的で考えると、ここに来てようやく“少し魅力が出てきたかな”という水準になっています。というのも、26.3期と27.3期の予想配当利回りが 2.62% まで上がってきており、これまでの1%台とは違って、配当目的としても検討できるレベルに届いてきたからです。大型株で安定感のあるオムロンが2.6%を出してくれるなら、利回りだけ見ても決して悪くありません。

ただ、この利回りの上昇は“積極的な増配で引き上げた”というより、足元の業績が落ちて株価が下がった結果として利回りが上がった面もあります。実際の配当金はここ数年あまり大きく変わっておらず、オムロンはもともと高配当株ではありません。配当政策は安定しているものの、毎年ぐいぐい増配していくような企業ではないので、あくまで“堅実型の配当スタンス”です。

とはいえ、オムロンの事業は複数の柱があり、FA・ヘルスケア・社会システム・デバイスなどが分散しているため、景気の波を受けづらく、配当の安全性は高いです。突然の無配や大きな減配のリスクは極めて低い企業で、長期で持って安心できるのは大きなポイントだと思います。

一方で、バリュー視点では注意が必要で、2025年の実績PERが 高値110倍、安値65倍 とかなり高い水準になっています。業績が落ち込んでいるのに株価がそこまで下がらないため、PERが跳ねてしまっている状況です。割安で配当を狙うタイプの投資とは少し相性が悪い部分でもあります。ただ、PBRが1.00倍なので、資産価値に対しての株価は割高でも割安でもなく、ちょうど適正あたりに落ち着いているとも言えます。

結論として、オムロンは「配当だけを目当てに買う銘柄ではないけれど、安定した企業の配当を受け取りながら、業績の回復もゆっくり待ちたい」という人にはちょうど良いタイプの株です。利回り2.6%という数字は、配当株として見ても程よく魅力があり、そこにオムロンの安定性が加わることで、長期で持つ分には十分ありだと思います。

短期で高配当を取りたい人には向きませんが“安心感を重視する長期投資家”には悪くない選択肢という位置づけです。

今後の値動き予想!!(5年間)

オムロンの今の株価3,962円から5年間の動きを考えると、やはりポイントになるのは「業績がどれだけ回復するか」と「世界的な自動化需要がどれくらい戻るか」です。ここ数年は半導体、車載、電子部品向けが弱かったことで利益が落ち込み、PERが異常に高く見える状況になっています。ただ、オムロン自体の事業基盤は強く、FA(自動化)やヘルスケアなど長期テーマにどっしり構える企業なので、5年スパンで見れば上下どちらにも動く可能性があります。

まず良い場合ですが、世界の製造業向け投資が盛り返し、半導体も自動車も自動化の需要が戻ってくれば、オムロンのFA事業が強く伸びていきます。営業利益率も2ケタ台に戻り、利益も十分回復してくると、株価は素直に上がっていきます。この場合、5年後には6,500〜8,000円くらい、今の株価から見ると1.5倍前後までは十分に狙える展開になります。

一方で、中間のシナリオはもっと現実的で、事業は徐々に回復していくものの、勢いよく伸びるというよりは、緩やかに持ち直すようなパターンです。営業利益率もひと桁後半〜10%前後を行ったり来たりしながら、着実に利益を積んでいくイメージです。この場合、株価も穏やかにじわじわ上がる形になり、5年後は4,500〜5,500円あたりが妥当な水準だと思われます。今より少し高い、そんな落ち着いた着地です。

悪い場合は、世界景気がなかなか回復せず、半導体も自動化も投資が停滞したままのパターンです。この場合、オムロンの利益も戻らないため、PERだけ高くて利益は低いという“割高に見える状態”が続くことになります。株価は上値が重く、場合によっては3,000〜3,800円あたりのレンジで停滞する可能性もあります。大きく崩れはしないものの、上にも向かない、そんな展開になります。

総合すると、オムロンは「長期で見れば上がっていく力があるものの、短期ではまだ業績調整が続くかもしれない」というタイプの銘柄です。世界の自動化テーマに押されて長期的にはプラス要素が多いですが、業績の反転を待ちながらじっくり持つスタイルが合う、といった印象の企業です。

この記事の最終更新日:2025年11月15日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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