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アルプスアルパイン(6770)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

アルプスアルパインとは

アルプスアルパイン株式会社は、世界有数の電子部品メーカーとして長い歴史を持つ企業です。本社は東京都大田区に位置し、電子部品・車載情報機器・センサー技術を中心に、グローバルに展開しています。2019年にはアルプス電気とアルパインが経営統合し、電子部品の高い技術力と車載機器のソフトウェア・システム開発力を融合させた「総合デバイス&ソリューション企業」として再スタートを切りました。この統合によって、従来の部品メーカーという枠を超え、完成品・ソフトウェア・プラットフォームの提供まで手掛ける企業へ成長しています。

同社の主力は大きく分けて「コンポーネント事業」「システム&エレクトロニクス事業」「アルパインブランド事業」の3つです。まずコンポーネント事業では、スイッチ、ポテンショメータ、センサー、コネクタ、タッチパネルなど、電子機器の基幹となる部品を幅広く扱っています。これらは自動車、スマホ、家電、PC、産業機器など、生活のあらゆる場面に使われており、同社は精密加工技術とセンシング技術を強みに世界中へ製品を供給しています。特に車載向けセンサーやHAPTIC(触覚)技術などは注目されており、自動運転や安全支援システムに必要な高信頼部品の開発が進められています。

次にシステム&エレクトロニクス事業では、自動車メーカー向けのディスプレイオーディオ、車載通信機器、車載カメラやHMI(ヒューマンマシンインターフェース)製品を展開。車両の情報管理や音声制御などのソフトウェア開発にも力を入れており、近年伸びるCASE領域(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)に合わせた開発が強化されています。また5GやIoT領域への部品供給も増えており、車載以外の産業・通信分野でも存在感を高めています。

さらにアルパインブランド事業では、一般消費者向けのカーオーディオやカーナビ製品を展開しており、国内では根強いブランド力を持っています。特に音響技術に優れ、車種専用設計のスピーカーや大型ディスプレイのナビゲーションなどが人気を集めています。これらの製品は日本だけでなく海外市場でも一定の評価を受けており、安定した収益源のひとつとなっています。

全体としてアルプスアルパインは、電子部品メーカーとしての高い技術力に加え、ソフトウェアとシステム設計力を兼ね備えた総合企業として成長戦略を進めています。自動車の電装化・コネクテッド化が進む中で、同社のセンサー技術、通信機器、HMI技術の需要は中長期的に増加すると見られており、次世代車載領域における主要プレイヤーとしての地位を確立しています。さらに、グローバルで30を超える製造・開発拠点を持っており、日本・アジア・欧州・北米に広く拠点を構えていることから、世界中のメーカーのニーズに応えられる体制を整備しています。

また、ESGやサステナビリティへの対応にも力を入れており、省エネ部品の開発や環境負荷の低い製造プロセス、リサイクル材料の活用など、持続可能な供給体制を築く取り組みも進めています。これらにより、自動車・電子部品業界の変革期において競争力を維持しつつ、新たな価値創造につなげる姿勢が明確になっています。

アルプスアルパイン 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 933,114 33,595 34,940 11,470 55.8 40
連24.3 964,090 19,711 24,809 -29,814 -145.0 30
連25.3 990,407 34,106 30,521 37,837 184.0 60
連26.3予 950,000 25,000 22,500 5,500 26.9 60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 15,413 -54,205 -742
2024 89,173 -55,095 -1,808
2025 65,817 -1,683 -37,299

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 3.6% 2.8% 1.5%
2024 2.0% -7.7% -4.0%
2025 3.4% 9.1% 5.1% 高値平均 27.6倍
安値平均 18.4倍
0.93倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

アルプスアルパインは、直近3年間の業績推移を見ると上下動が非常に大きく、安定性という点では課題が目立つ企業です。まず2023年は営業利益が約336億円、経常利益349億円、純利益114億円と一応の黒字は確保しました。しかし営業利益率は3.6%、ROEも2.8%と利益率は低く、決して強い年ではありませんでした。

ところが2024年になると業績が大きく悪化し、営業利益は197億円、経常利益248億円と利益が細り、最終利益は▲298億円の大幅赤字へ転落しました。営業利益率は2.0%まで低下し、ROEは▲7.7%、ROAも▲4.0%と厳しい数値が並んでいます。この背景には構造改革費用、減損処理、海外での採算悪化など複合的な要因があり、「本業の稼ぐ力そのものが落ちているのでは?」という投資家の不安が強まった年度でした。

しかし2025年になると利益が大きく回復し、営業利益は341億円、経常利益305億円、純利益は378億円まで改善。営業利益率も3.4%に戻り、一株益も184円へ大きく伸びています。ROE9.1%、ROA5.1%と収益性指標もプラスに転換しており、2024年のような特殊損失による赤字から正常水準に戻った形です。ただし、営業利益率3〜4%台は自動車部品メーカーとしては「普通〜やや低め」で、構造的に高収益を出す企業ではありません。

バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均27.6倍、安値平均18.4倍と利益の波が大きい企業のわりには少し高めで、投資家が業績回復をある程度織り込んでいる印象です。一方でPBRは0.93倍と資産価値に対して割安な水準ですが、利益の安定感が弱いことがPBRの低さにも表れているといえます。つまり「資産的には割安だが、利益が安定せず市場から高く評価されにくい」という典型例です。

今後については、2024年の赤字と2025年の急回復が示すように、市況と事業環境によって業績が大きく振れやすい“景気敏感株”の性格が強いです。2026年の会社予想も、営業利益250億円、純利益55億円、一株益26.9円と大幅に落ち込む見通しで、2025年の回復が一時的だった可能性が高く、ここが最大の投資判断ポイントです。

結論として、アルプスアルパインは株価指標的には割安感があるものの、利益が安定しにくく、長期の配当狙いにも向きづらい銘柄といえます。2025年の業績だけ見れば非常に良いのですが、その翌年に急減速する予想になっているため、収益の安定性には懸念があります。したがって、長期保有というよりは「市況の良いタイミングで買い、業績の山で売る」ような循環株の投資スタイルが合っています。中長期の安定成長銘柄という位置づけではなく、タイミング重視の銘柄として捉えるのが現実的です。

配当目的とかどうなの?

アルプスアルパインを配当目的で考える場合、利回りだけを見ると一見それなりに魅力があります。予想配当利回りは26.3期で3.03%、27.3期では3.29%と、日本株の中でも「悪くない部類」に入ってきます。3%台というのは、銀行預金や国債よりも明確に高い数字なので、表面上は魅力的に映ります。

しかし問題は、この利回りが“どれだけ安定して続くのか”という点です。というのも、アルプスアルパインは利益の上下が非常に大きく、年ごとの収益が安定しません。実際、2024年は約−298億円の大きな赤字を出し、翌年の2025年には一転して約378億円の黒字に回復しています。そして2026年の会社予想を見ると、純利益は55億円とまた大幅に落ち込む見通しになっており、利益の乱高下が非常に激しい企業です。

本来、安定して配当を受け取りたい投資家からすると、利益がこんなに揺れる企業はどうしても評価しづらくなります。というのも、利益が安定していない企業の配当は、どうしても会社の都合で上下しやすく、業績が悪い年には減配が起こりやすくなるからです。特に2026年は一株益が26.9円と大きく落ちる予想の中で、配当を60円維持するのは実質的に不可能です。配当性向が200%を超えてしまうため、会社側からすると“赤字を出してまで配当を払う”状態になってしまい、この状況が長く続くとは考えにくいのです。

つまりアルプスアルパインの配当は、短期的には悪くない利回りが期待できるものの、その利回りを維持できるほどの安定性があるかというと微妙で、長期の配当狙いという観点では不向きと言わざるを得ません。実際に、過去の配当の推移を見ても、利益が良い年には配当を増やし、悪い年にはすぐ減配しており“連続増配企業”のような安定配当銘柄とは性質が大きく異なります。

今後の値動き予想!!(5年間)

アルプスアルパインの株価は、今後5年間を見ても業績の振れ幅が大きい分だけ、上にも下にも動きやすい特徴があります。現在値の1,975円というのは、2025年の黒字回復をある程度織り込んだ水準で、決して割高でも割安でもなく“真ん中あたり”に位置している株価と言えます。ただ、2026年は再び利益が落ち込む予想になっているため、ここから素直に右肩上がりで上がり続けるというよりは、世界景気や自動車関連の動向によって株価が大きく左右される展開が続きそうです。

まず良いケースでは、自動車の電装化やセンサー需要の拡大が追い風となり、車載向けの部品需要がしっかり伸びるパターンです。円安が長期間続いたり、部材価格が安定して利益率が上向けば、業績の回復が本格化していきます。この場合、株価はじわじわ上昇していき、5年後には2,600円から3,000円くらいまで戻る可能性があります。PERが20倍程度で評価されるような強めの相場になれば、3,000円台到達も十分にあり得る展開です。

一方で中間シナリオでは、2026年に一度利益が落ちるものの、そこから極端な悪化もなく、普通にゆっくり持ち直していくパターンです。景気も世界的には悪くも良くもなく、自動車関連も横ばい気味という状況が続くイメージです。この場合は大きく伸びる材料も出にくく、逆に崩れるほどの悪材料も出づらいため、株価は1,800〜2,300円の間を行ったり来たりするような“レンジ相場”になりやすくなります。最も現実的なのはこの中間パターンで、今後数年間は特定のテーマが当たった時だけ上がり、業績が伸びない年はまた戻るという波を繰り返す動きになりがちです。

そして悪い場合は、世界景気の減速や自動車需要の鈍化、部材コストの再上昇などが重なり、利益の圧迫が続くシナリオです。アルプスアルパインは景気敏感株の側面が強いため、世界で自動車販売が弱くなったり、企業の設備投資が冷え込んだりすると真っ先に影響を受けやすい体質があります。この悪いケースでは株価がじわじわと下がり続け、1,300〜1,600円あたりまで落ちる可能性があります。特に利益が低迷する状態が何年も続くと、PBR1倍割れが固定化して放置されるような展開になりやすいです。

総合的に見ると、アルプスアルパインは長期で安定成長を期待する“コツコツ型の銘柄”ではなく、景況や為替によって動きが出る“循環株”として扱うのが一番しっくりきます。現在の1,975円という株価は、上にも下にも動きやすい位置におり、良い場合は3,000円、普通なら2,000円前後をウロウロ、悪い時は1,500円割れまで落ちるといった幅広いシナリオが想定されます。したがって、狙うなら業績が落ち込んだタイミングの押し目で買い、回復局面で売るという“景気循環に合わせた投資スタイル”が向いている銘柄です。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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