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カシオ計算機(6952)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

カシオ計算機とは

カシオ計算機株式会社は、1957年に創業した日本を代表するエレクトロニクスメーカーで、本社は東京都渋谷区本町にあります。時計、電卓、電子辞書、電子楽器など、身の回りの生活に密着した製品を幅広く展開している企業で、「創造と貢献」という社是のもと、新しい価値を生み出すことに重きを置いたメーカーとして長年支持されてきました。特に“世界初”を数多く生み出す会社として有名で、現代の技術文化を支えた企業といっても過言ではありません。

同社の代表的な製品といえば、やはり世界中で圧倒的なブランド力を誇る「G-SHOCK」シリーズです。G-SHOCKは1983年の誕生以来、“落としても壊れない腕時計”として世界的ヒットになり、現在ではアウトドア・ファッション・スポーツ・軍用など、多様なカテゴリーで展開されています。海外売上比率も高く、カシオ全体の収益を支える柱として非常に重要な事業です。最近ではスマートフォン連携やソーラー駆動、GPS機能なども搭載し、単なる時計を超えた価値を提供しています。

一方、電卓や電子辞書といった教育・事務向け製品でも世界トップクラスのシェアを持っており、特に学校・オフィスで利用される電子計算機はカシオの代名詞となっています。世の中で「電卓=CASIO」と連想されるほど浸透しているブランドで、実際に世界各国の教育現場で幅広く採用されています。また、電子辞書や電子楽器でも高い支持を得ており、特に電子ピアノやキーボードでは初学者からプロまで幅広い層に利用される人気製品です。

さらに企業向けのシステム機器事業では、レジスター、ハンディターミナル、業務支援ソリューションなどを提供しており、小売・物流・飲食店などに欠かせないインフラの一部を担っています。教育用タブレットやオンライン学習ツールなど、デジタル教育分野にも力を入れており、時代に合わせた事業領域の再構築を進めています。

カシオは過去に携帯電話やコンパクトデジタルカメラ市場にも参入していましたが、競争激化を背景にこれらの事業からは撤退し、現在は“選択と集中”による事業最適化を進めています。特に時計事業の利益率改善や、電子楽器・教育関連のグローバル展開が鍵となっており、ここ数年は収益構造の変革とブランド再強化が経営テーマとして掲げられています。

カシオの特徴は、派手さはないものの堅実なものづくりを行い、多くの製品カテゴリで世界的に安定したシェアを維持している点です。海外比率が高いため、為替の影響を受けやすいものの、G-SHOCKのブランド力と教育市場の強みを活かして、持続的に実需が発生する安定ビジネスを展開しています。長い歴史の中で築いたブランド価値と技術基盤は非常に強固で、安定した収益を生み出す企業として知られています。

カシオ計算機 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 263,831 18,164 19,570 13,079 54.7 45
連24.3 268,828 14,208 17,920 11,909 50.9 45
連25.3 261,757 14,236 14,131 8,064 35.2 45
連26.3予 270,000 21,000 20,500 15,000 65.8 45

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 11,339 -3,146 -15,232
2024 30,516 -218 -21,846
2025 16,144 4,674 -24,788

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 6.8% 5.9% 3.9%
2024 5.2% 5.1% 3.4%
2025 5.4% 3.6% 2.4% 高値 30.6倍/安値 24.3倍 1.25倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

カシオ計算機の直近3年間の数字を見ると、全体的に「売上は横ばい〜微減、利益はじわじわと下がっている」という流れがはっきり見えてきます。G-SHOCKや電卓といった世界的ブランドを持ちながらも、利益水準だけを見ると以前よりも力が落ちてきており、強い成長を期待するというより“成熟企業として安定運営している会社”という印象が強い状況です。

まず収益ですが、営業利益は 181.6億 → 142.1億 → 142.3億円 とほぼ横ばいです。ただ、売上が伸びていないため、営業利益率は 6.8% → 5.2% → 5.4% と悪化傾向にあります。5%前後というのは製造業としては最低限のラインですが、G-SHOCKのような強いブランドを持つ企業としては物足りない利益率で、構造的に高収益を維持しづらい体質が見えます。

加えて、ROEも 5.9% → 5.1% → 3.6% と低下しており、株主資本を活かして利益を生み出す力は年々弱まっています。一般的に“優良企業の目安”と言われるROE 8〜10%には届かず、むしろ下落傾向にあるため、投資家が評価しづらい状況です。同様にROAも 3.9% → 3.4% → 2.4% と低下しており、資産効率の面でも課題があります。

株価評価面では、2025年のPERが 高値30.6倍、安値24.3倍 とやや割高に見られています。利益がそれほど伸びていないのに株価が大きく崩れなかったため、相対的にPERが高く見えてしまっています。PBRも 1.25倍 と、資産に対して割高ではないものの、「割安で放置されている」というほどでもありません。利益率やROEが低下している中でこの評価は、やや楽観的な価格帯とも言えます。

総合すると、カシオは“強烈に成長する会社”というより、ブランド価値を背景に安定的に利益を出す成熟企業です。ただし、ここ数年は利益率・ROEの双方が下落しており、稼ぐ力が少しずつ削られているのが気がかりなポイントです。2026年には利益回復が見込まれているものの、それが一時的なのか構造的な改善なのかは慎重に見極める必要があります。

投資スタンスとしては、中長期で爆発的な成長を狙うより、安定配当を受け取りつつ、株価が下がったタイミングだけ拾っていく“ディフェンシブ投資” が最も相性が良い銘柄です。ROEの低下や利益率の水準を見ると、積極的に買い向かう強い理由は現状ではやや乏しく、“優良だけど伸びしろは控えめ”というのが現実的な評価だと言えます。

配当目的とかどうなの?

カシオ計算機を配当目的で見た場合、結論としては「派手さはないけれど、そこそこ安定して配当を受け取りたい人には悪くない」という位置づけになります。予想配当利回り(2026・2027年度)が 3.63% というのは国内銘柄の中では十分に魅力的な水準で、3%を超えてくると“配当株”としての存在感が出てきます。特に今のような金利上昇局面や不透明な市況では、このくらいの利回りでもしっかり評価される傾向があります。

カシオの良いところは、これまでの配当政策がかなり“守り重視”である点です。業績が多少落ち込んだ年でも簡単には減配しない会社で、ここ数年も45円配当をしっかりキープしてきました。企業としてもブランド価値を維持していくために「安定配当」をひとつの柱に置いているような印象で、投資家にとっては安心材料になる部分です。

ただ、注意したいのは“配当の源泉となる利益の動き”です。近年のカシオは利益が伸び悩んでいて、営業利益率は 6.8% → 5.2% → 5.4% とじわじわ低下気味。ROEも 5.9% → 5.1% → 3.6% と落ちてきているため、企業としての稼ぐ力は以前より弱まっているのが見て取れます。本来であれば「利益も配当も伸びる企業」が投資家にとって理想ですが、カシオはそこまで強い成長を描けていないのが現状です。

それでも、事業内容を考えるとすぐに業績が崩れるタイプの企業ではありません。G-SHOCK、電卓、電子辞書、電子楽器、業務用ソリューション——どれも急激に需要がなくなるようなジャンルではなく、長く一定の需要があり続けるカテゴリーです。そのため、大きく成長しない一方で、極端に落ち込むリスクも小さい“安定型企業”という側面があります。

最終的にまとめると、カシオは「高配当株として強烈に稼ぐタイプ」ではありませんが、「そこそこの配当利回りを安定して受け取れる銘柄」としては十分候補に入ります。株価の大きな上昇は期待しにくいものの、3%超の配当をコツコツ取りながら長期で持つ、というスタイルとは相性が良いです。成長株に比べると面白みに欠けるかもしれませんが、ディフェンシブに構えて資産をゆっくり増やしたい人にとっては悪くない選択肢だと思います。

今後の値動き予想!!(5年間)

カシオ計算機の現在値1,237.5円を起点に、今後5年の株価を考えてみると、この会社が大きく業績が崩れるタイプではない一方で、強烈な成長が続く会社でもないという特徴がそのまま値動きに反映される形になりそうです。G-SHOCKや電卓などの安定したブランド力は引き続き生きていますが、利益率やROEのトレンドを見ても、“堅実だが爆発的ではない動き”が予想されます。

まず良い場合ですが、世界的にG-SHOCKの販売が再び伸び、北米・アジアを中心にブランド価値が改めて評価されるような展開です。為替が追い風になったり、電子楽器や教育関連機器の需要が底堅く推移すれば、収益がゆっくり改善して株価も上向いていく可能性があります。このシナリオだと、5年後には1,800円〜2,000円くらいまで戻り高値を取るような展開も十分考えられます。ただし、このケースでも急騰するというより、じわじわと上がるイメージです。

次に中間のパターンでは、現在の流れがそのまま続く形になります。利益率の改善は限定的ですが、事業そのものは安定しており、G-SHOCKや電卓といった基盤事業が確実に収益を生むため、株価も大きな方向感を出しません。5年後の株価はだいたい1,300円〜1,450円くらいのレンジで推移し、現在値から少し上か横ばいといった落ち着いた動きになるのではないかと思われます。成熟企業らしい安定した軌跡といえるでしょう。

そして悪い場合ですが、利益率の低下傾向が続いたり、世界的な景気減速でG-SHOCKの販売が鈍化する、あるいは為替が逆風になるといった要因が重なると、ジワジワと株価が評価縮小される可能性があります。急落するような企業ではないものの、収益性が戻らないと市場は見てくれません。このシナリオだと、5年後に900円〜1,050円くらいまで落ち込むケースも想定されます。

総合すると、カシオは“超安定のド安定企業”ではあるものの、株価上昇の勢いはあまり期待しづらい銘柄です。強いブランドを持つ反面、大幅な利益成長が見込める構造ではないため、中長期の投資としては「安い時に買って配当をもらいながら粘り強く持つ」というスタイルが一番向いています。逆に、成長株のような大きな株価上昇を期待するのであれば他の銘柄の方が合っています。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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